ジパング×艦これ ~次元を超えし護衛艦~   作:秩父快急

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角松達、海上自衛隊と国防海軍がマリアナ基地で軍事会議をしている最中…。米海軍の艦隊が消息を絶ったと一報が入る。米海軍から捜索活動に向かうよう要請を受けた国防海軍は…。



航跡19:軍事会議~国防海軍と海上自衛隊~ 後編

~日本国 国防軍マリアナ基地 大会議室~

 

「我々、日本はアメリカと共に戦い…。戦に勝っても日本は消えるというのか…!!!」と、滝が机を叩きながら話す。

「沢井総監!確証もないのにあの男の意見を信じるのですか!」陸軍の棟方は嘘ではないかと草加を疑っていた。

「この戦争でアメリカが裏切るのは目に見えている。世界の頂点に居続けたいのだろうアメリカは。だから、私は自衛隊の解体には反対だったんだ!!」

「今の問題と、自衛隊解体の話は関係ありません。」扇子を扇ぎながら話す吉岡を簗瀬は制止する。会議の雰囲気が何やら悪くなったとき角松が話始めた。

「我々が話す権利があるかどうか…。現段階では判断しにくいですが、我々は今後起こりうる戦いでは人命最優先に専守防衛を第一に行動していくつもりです。」という、角松の話に山本が…。

「…先の大戦では、無謀な計画で多数の軍人及び民間人に犠牲者が出た。これは私の意見だが、深海棲艦という我々人類の敵だが…。あれは…。先の大戦で亡くなり未だに成仏できずにいる御霊と考えても良いのかもしれんな…。」

その言葉を予想していなかった参謀らは驚きのあまり暫くの間沈黙していた。その沈黙の中、しらね が手を挙げた。

「私…。いえ、艦娘としての意見ですが…。先程の山本長官の意見ですが…。一理あると思います。」

「しらね さん…。」と、みらい が しらね を見つめる。

「何を言いたいのかね…?」と、沢井が しらね に尋ねる。

「先程の自己紹介の通り、我々は海上自衛隊護衛艦の艦娘です。通常の艦娘達と違って火力や装備は有利ですが…。耐久力が低く、長距離援護射撃等で戦闘に参加しています。しかし半年前、私は哨戒任務中に敵艦と接触しました。」と、自身の体験を話始める しらね 。「あのときは、敵である深海棲艦がダメージを受けており…。私が攻撃されることはありませんでした。しかし、いつ撃たれるか分からないので私は拳銃を持ち相手に向けました…。すると…。」

 

 

「…撃たないで。」

 

 

「敵から言われたその一言で、私は自衛隊の専守防衛を思い出しました。その時の私は、周りの知っている護衛艦が次々と敵にやられていくなかで…。自分の感情を押しきっていたんだと思います。とにかく、敵を倒さなきゃと…。」と、しらね は自身が体験した出来事を話した。みらい が後で聞いたことだが…。その負傷した深海棲艦は空母ヲ級で他の鎮守府の艦娘達からの攻撃に遭い、艦積機のほぼ全てを失い撤退している途中だったという…。拳銃を向けられ死を意識したのか涙ながらに命乞いしたそうだ…。護衛艦娘だった しらねは、心の中にある深海棲艦に対する恨みを押し切り見逃したのだった。

 

 

「…なるほど。深海棲艦も我々と同じく感情を持っているのかもしれないな。」と、沢井は呟いた。

「しかしな、沢井。奴等のせいで俺達はどんどん仲間を失っているんだぞ…。今さら、そんなこと考えられっか。」と、吉岡は扇子を持ちながら話した。

 

参謀会議をしている頃、一人の通信兵が大会議室に慌てた様子で入り山本の元に駆け寄った。

「報告、本日1500頃ミクロネシア連邦ボンペイ島の南西180キロ地点にて米海軍第12南太平洋駆逐隊が消息を絶ちました。」

「何ぃ?」その報告に山本は驚いた。その第12南太平洋駆逐隊はノーフォークからマリアナ基地へ転属となった新鋭イージス駆逐艦部隊だったのだ。「…既に、我が基地の米空母[ジョージ・ワシントン]が既に出港した他、各米海軍艦艇及び空軍偵察機が離陸しています。我が国防軍にも応援要請が来ていますがどうしますか?」

その報告に、一部の参謀らが反応し始め騒然となり始めた。

「我が国防海軍から汎用護衛艦を3隻だそう。それと、P-3c哨戒機を2機応援に出せ。」山本が的確に指示を出す。その上…。

「総監、我が国防軍から応援部隊として汎用護衛艦と、哨戒機を派遣しますが宜しいですか?」総監は少しの間、沈黙し考えていたが…。

「了解した。人命救助を目的として派遣する。くれぐれも、無茶はするなと救難部隊に伝えてくれ。」

「了解しました。」山本は資料をまとめると大会議室から足早に出ていった。

「すまない、角松君。この状況だ話はまた後日行おう。そちらの艦長とも詳しく話がしたい。」

「はっ、了解しました。こちらこそ御忙しい中時間を頂戴しありがとうございました。」と、深々と礼をする。

「君、この方達を部屋まで案内してくれ。」大会議室の隅に居た世話役に角松らを頼むと、沢井は空軍の司令官を呼び出した。

 

 

キイイイイイイイイインンンン

 

角松らが[だいせん]から降りると綺麗な夕焼け空を新鋭偵察機X-2a[心神]飛行機雲を作りながら通過していった。

「あれは…。」制帽を掴みながら角松が呟く。

「あれは我が日本が自衛隊時代から開発していたX-2a偵察機[心神]ですよ。」と、世話役は淡々と答える。そのあとも順次、マリアナ基地からは日米双方の哨戒機、偵察機が離陸していった。また、国防海軍からは汎用護衛艦[さがみ][おおい]と、イージス護衛艦[つるぎ]が出港した。

 

「消息を絶った米海軍の艦艇…。大丈夫でしょうか。」ふと、みらい が心配そうに声をあげる。「さぁ…。無事かどうか…。私には分からないわ。今は、無事なことを祈るしかないですね。」しらね は部屋から外を眺めつつ呟いた。

 

 

 

同時刻 みらいCIC

 

「こりゃすげえ…。」青梅が唖然としながらモニターを見つめる。モニターには、マリアナ基地から出てくる数々の船舶、航空機が表示されていた。

「我々の方向とは違うようですが…。何かあったようですね。哨戒機や偵察機が離陸しています。」菊池がボソッと呟いた。

「…うむ、我々がマリアナ基地へ入港したいのは山々だが…。この状況下、無理に接近するのは危険だろう。」と、梅津は判断し船の速度を半減するよう指示した。

「敵勢力に発見される前に、入港はしたいのだが…。ソナー、対潜水艦に注意せよ。」

ソナーに対潜警戒を現にさせ、みらいはマリアナ諸島沖合で待機することとなった。

「マリアナ入港の許可は、副長と草加次第でしょう。あの二人と案内役の護衛艦娘の二人に任せるしか方法がありません。」モニターを見つめていた菊池が眼鏡を外し、拭き始めた。「…どんなことがあっても、思考停止。には、陥りたくないな…。」と、横で梅津が小さな声で呟いた。

 

 




 
 久しぶりの更新となりました。話がゆっくり過ぎてすみませんm(__)m なかなか時間が取れず…やや執筆が遅れています(汗)そういえば、私自身。先日から艦これを始めました。相棒は吹雪です。のんびり自分のペースで執筆していくので温かい目でご覧ください。

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