野蛮な男の生きる道(第3話までリメイク済)   作:さいしん

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何時でも何処でも天衣無縫、というお話



第90話 You still have lots more to work on....

「武運を祈ってるぜ織斑」

「ああ....恭一も頑張ってな」

 

待ちに待った(?)放課後。

ついに今日から始まった。

男子2人の部活動への派遣企画。

本日は一夏がラクロス部へ、恭一がテニス部へ派遣される日なのだ。

 

恭一がテニスコートへ辿り着くと、俄かにコート内がザワついた。

 

「渋川君よ....」

「アリーナの時のお礼って言った方が良いのかな?」

「でも、踏み殺すぞコラァ!! って言われてお礼は可笑しくない?」

 

近づいて来る訳でも無し、かと言って離れる訳でも無し。

テニス部員達と恭一には微妙な距離感が保たれていた。

 

(....やっぱり珍獣じゃないか)

 

「恭一さん!」

 

そんな中、嬉しそうに彼に駆け寄るセシリアの姿が。

 

「おう、セシリア。迷惑掛けるかもしれんが、今日はよろしくな」

「ふふっ....迷惑なんてとんでもありませんわ。部長と副部長が呼んでますので、此方へ」

 

部室で恭一を待っていたのは2人の女子生徒。

 

「初めまして渋川君。私はテニス部副部長の『サラ・ウェルキン』よ。セシリアからは貴方の事をよく聞かせて貰っているわ」

 

サラ・ウェルキン。

IS学園の2年生であり、セシリアと同じくイギリスの代表候補生である。

専用機は所持していないが、操縦技術に非常に長けており、今でもセシリアは指南を自ら受ける程である。

2人は姉妹のような仲であり、よくセシリアは彼女に恭一の事を相談していたりする。

 

もう1人の女子生徒も腰を上げた。

 

「あたくしが部長を務める『竜崎麗華』。貴方の噂はかねがね、此処に居るセシリアからも伺っていてよ」

 

竜崎麗華。

IS学園の3年生。

超高校級の実力者であり、そのプレイはまさに『舞う蝶の如し』。

既にトッププロ入り間違い無しと言われ、庭球協会理事の娘でもある。

強力なリーダーシップを持つ彼女は、部員からも大いに慕われ、尊敬の念を込めて『お蝶夫人』と呼ばれ親しまれている。

 

「渋川恭一です。今日はよろしくお願いします」

 

恭一は2人に頭を下げる。

 

「そんなに畏まら無くても良いよ渋川君。でも1つだけ言っておくわね。私達は浮ついた気持ちでテニスをしている訳では無いの。いつだって真剣よ。わざわざ来て貰って失礼かもしれないけど、貴方も今日一日は真面目にテニス部部員として励んで欲しい」

 

サラはそう一気に捲し立て

 

「部室を出た貴方を待っているのは多くの雑務。それを受ける覚悟があって?」

 

麗華が締めた。

 

「.....やるからには徹底的に、だ」

 

そう頷いた恭一を前に3人の表情が驚きに変わり、目を擦る。

恭一の姿は少しずつ稀薄になり、次第にとある人物の姿と重なっていく。

 

「「「 樺地? 」」」

 

「....ウス」

 

(こっ、これは『コート上の詐欺師』仁王のイリュージョン!?)

 

テニスプレイヤーのバイブルに登場する『仁王』はイリュージョンと称し、誰にでもなれる。

これは格闘技で云う『象形拳』であり、恭一にとっては造作も無い事だった。

 

「きょ、恭一さん? どうしてよりにも寄って『樺地』なんですか?」

「汲んでお遣りなさいセシリア。彼は『樺地』になる事で全ての雑務を引き受ける覚悟を示したのよ」

「....お蝶夫人」

 

こうして、恭一のテニス部活動が始まった。

 

 

「樺地、ボール拾いして!」

「....ウス」

 

「樺地、ネット張替え手伝ってよ!」

「....ウス」

 

「樺地、水分補給の準備! あとタオル持ってきて!」

「....ウス」

 

「樺地、汗かいたから顔拭いて!」

「それは私がして差し上げますわ」

「いたいいたいっ...セシリア痛いって! 私が悪かったよ~~~っ!」

 

樺地な恭一は部員の指示に対し泣き言恨み言一つ言わず、テキパキと働きまくる。

樺地扱いではあるが、少なくとも先程まであった彼女達との壁は無くなっていた。

 

「....お蝶夫人、少しお願いがあります」

「言ってご覧なさい」

 

普段とは色んな意味で違った恭一の姿を目で追うセシリア。

それを遠くで感じていたサラが麗華に近づき、何やら懇願していた。

 

.

.

.

 

「樺地! コートに入りなさい! 私がテニスの手解きをしてあげる!」

「なっ!? 何を言ってますのサラさん!? 恭一さんは素人なのですよッッ!! いきなり試合など、それではまるで見世物―――」

 

反論するセシリアの頭に軽く手が乗せられる。

 

「オイオイ俺は誰だセシリア。俺を知るお前ならそんな顔しねぇよなぁ」

「かばっ.....恭一さん」

 

其処に居たのはいつもの恭一だった。

一点の翳りすら無い、デッカイ自信の塊。

 

「テニスだろうが何だろうが、俺が俺で在る以上ただ楽しむ。それだけだろうが」

「ふふふ....そうでしたわね。恭一さん、ご武運を」

 

(むっ....またセシリアと楽しそうに話してるわ!)

 

サラの胸中には嫉妬が渦巻かれていた。

自分を姉のように慕い、後ろを付いて来ていたセシリア。

今でも私の処に教えを請いには来てくれるが、回数はめっきり減った。

何より、最近のあの子の口からは貴方の事ばかり。

 

(彼女が知れば、醜い嫉妬と軽蔑するだろう。それでも、もう堪えきれない。私は貴方をテニスでぶっ飛ばす!!)

 

「どうしたの樺地! あくしなさい!」

「....ウス」

 

 

『樺地恭一vs.サラ・ウェルキン』

 

 

最狂ド素人のテニスゲームが今、始まりを告げた。

 

 

________________

 

 

 

コート上で構える両者。

サラに手解きするつもりなど、毛頭無い。

 

(一気に決める。恨んでくれても良いわよ渋川君ッッ!!)

 

軽いラリーが続く中、さっそくサラの狙っていたボールが来た。

 

「ハァッ!!」

 

「「「「 あの打球は!? 」」」

 

サラの打球が地面スレスレから唸りを上げて恭一の顔面に向かってホップして襲い掛かる。

 

「うおっ、あぶねっ?!」

 

恭一が回避した打球はコート後ろのフェンスを捻り歪ませた。

その事が彼女の打球の威力を物語っている。

 

「さすが上手く避けたわね。まだまだいくわよッッ!!」

 

再び、二度三度とホッピングボールが恭一を襲うが、彼は難なく回避し続ける。

ウィニングショットを避けられ続けるサラの表情に焦りは無い。

それ処か、こうなる事は初めから分かっているかのような余裕さだ。

 

「ふふっ....Your gravepost has completed」

「....?」

 

サラは言った。

墓標は完成した、と。

 

(恭一さん.....ッッ)

 

彼の後ろにある抉られたフェンスはまるで十字架の様。

 

恭一からの返球に勢い良く飛び向かい

 

「Bear the cross and suffer!!(十字架を背負って逝け)」

 

サラの本気のホッピングボール『Southern Cross(サザン・クロス)』が巨大な鞴を吹くかの如く唸りを上げて恭一に迫る。

その打球は幾重にも重なりブレ、避ける事を決して許さない。

 

(避けらんねぇ.....事も無い、が)

 

恭一は敢えてラケットを手放し、両手を広げて真っ向から打球を迎え入れる。

 

 

ドォォンッッ!!

 

 

熱気をはらんだ轟然たる音が響き渡った。

誰もが恭一がフェンスの墓標まで吹き飛ぶ事を予見した。

が、彼はその場から鐚一文動いていない。

 

「フッ.....なんだそりゃ?」

 

「「「「 ッッ!? 」」」」

 

蠅でもはたくように手で打たれた部分をサッサッと撫でる恭一。

まるで効いていない彼の様子にギャラリー、そして打った本人すら狼狽を顔に漂わせてしまっていた。

 

「素人で恐縮だが1つ良い事を教えてやる。テニスに逆転ホームランはねぇ」

 

サザン・クロスを受けて微動だにしない恭一だからこその説得力があった。

 

.

.

.

 

「渋川ホームランッッ!!」

「へぶぅっ!?」

 

「さっ、サラさーーーーんッッ!?」

 

(((( 逆転ホームランだぁーーーーーッッ!? ))))

 

恭一の打球を受けたサラはフェンスの遥か向こうまで吹き飛ばされて行く。

 

(ふふっ....罰が当たったのね。何の罪もない渋川君に私怨で潰そうとした愚かな私への罰。ごめんなさい渋川君.....セシリア)

 

そんな彼女の落下ポイントにて、既に待ち構えていた者。

 

「きゃっ....っ」

 

サラは優しく受け止められ、抱える者の顔を見上げる。

 

「しっ、渋川....君......どうして」

「動く事雷霆の如し、ってな」

 

雷は光の速さで何処にでも現れると云う。

恭一は撃ち終わったと同時に、落下地点へと爆速していたのだ。

 

「あんたとのテニス、中々に楽しめたぜ」

「.....完敗ね」

 

恭一の漢気を受け、サラは試合続行を拒否。

これにより勝者が決まった。

 

 

________________

 

 

 

(流石ですわ恭一さんッッ!! サラさんは実力屈指なお方。その人に勝ってしまわれるなんて、私も自分の事のように嬉しさが込み上げてきますわ!)

 

セシリアが人知れず身体を震わせる中、部員達はザワついていた。

 

「ウッソでしょ....サラ副部長が樺地君に負けるなんて」

「いや途中から樺地じゃ無くなってたでしょ、渋川君よ」

「で、でもテニス部にはあのお方がまだ居るわ!」

 

ざわめきの中、金色を靡かせた美しい女子生徒がラケットを片手に立ち上がる。

 

「あたくしも貴方と是非手合わせしたくなりましたわ、渋川さん」

 

ラケットを恭一に向け、瞳に闘志の炎を灯すテニス部部長竜崎麗華。

 

「嫌なら断っても良くってよ?」

 

そう言って麗華は綺麗な人差し指を空へ掲げた。

 

「「「「 ッッ.....勝つのはIS!! 負けるの樺地!! 」」」」

 

「「「「 勝つのはISッッ!! 負けるの樺地ッッ!! 」」」」

 

(ぐっ....恭一さん、私は貴方を応援しますわッッ!!)

 

セシリアの想いはこの中では完全にアウェイであり、部員達の大合唱コールはますます大きくなるばかり。

 

「「「「 勝者はお蝶! 敗者は渋川! 」」」」

 

「「「「 勝者はお蝶ッッ!! 敗者は渋川ッッ!! 」」」」

 

―――勝者は......

 

パチンッ

 

麗華は満足気に、華麗に指を鳴らし

 

 

―――俺に決まってンだろが

 

 

当然のように、麗華の出番を台無しにする恭一。

こんな美味しい場面で、彼が大人しく指を咥えている訳が無かった。

 

「「「「........」」」」

 

唖然とするギャラリーの中

 

「きゃ~~~~っ!! 素敵ですわ、恭一さーーーんッッ!!」

 

セシリアだけがメーターを振り切っていた。

 

 

『渋川恭一vs.竜崎麗華』

 

 

最狂ド素人のテニスゲームはまだ終わらない。

 

 

________________

 

 

 

サーブ権は麗華。

ボールを手に持ち、ゆっくりと構える。

 

(あたくしは貴方を素人として扱いはしない。敬意を持って、全力で当たるのみッッ!!)

 

「はああああああッッ!!」

 

「「「「 あれはタンホイザーサーブッッ!! 」」」」

 

厚めにグリップを握り、超ド級のドライブ回転を与える事でボールの形を変形させ、意図的にイレギュラーバウンドさせて、打球を地面から駆け抜けさせるサーブ。

 

「あたくしの美技に酔いなさい」

 

麗華の言葉で一気にギャラリーが沸き立つ。

 

「キャアーーーーッ! お蝶夫人ッッ!! ステキですーーっ!」

「私はもうお蝶夫人に酔いまくってますぅぅぅぅ!!」

 

あっという間に、サーブだけで麗華は1セットを先取した。

次セットでも流れは当然麗華にあり。

彼女の前にロブが上がりスマッシュチャンスが訪れ、麗華はコート前で飛び上がる。

 

「ハッ!!」

 

ドガァァァっ!!

 

恭一のグリップに雷轟のようなスマッシュがブチ当たる。

 

(なっ....あの衝撃を喰らってもラケットを手放さい!? 凄まじい体幹ッッ!!)

 

それでもあたくしのシナリオは揺るがない。

 

跳ね返って来たボールを先程と同じくスマッシュ。

そしてその打球は恭一の手前でイレギュラーバウンドを起こし、地面を駆け抜けていった。

 

「失意への遁走曲(フーガ)よ」

 

麗華のテニスはまさに圧巻の一言、まさに圧倒的な凄さだった。

 

(恭一さん.....セシリアは信じてますわ)

 

誰もが恭一の負けを確信する中、セシリアだけは恭一を信じている。

 

「さあ、渋川さん。貴方のサーブでしてよ?」

 

構える麗華の心には、微塵も慢心は無い。

そんな彼女だからこそ、咆哮と共に恭一の放ったサーブに対して観衆以上に顔が稲光を光らせた。

 

「はあああああッッ!!」

 

ギャルルルッ!!

 

「なっ.....そ、そんな事が....ッッ」

 

「今の渋川君のサーブって....お蝶夫人と同じタンホイザーサーブッ!?!?!」

 

麗華と同じサーブを打った恭一の周りを強風が砂嵐を巻き起こし吹き荒れた。

その中で静かに佇む恭一から、仄かなオーラが見えたそうな。

先程までの汗が全て引き、もの凄い集中力の高まりを感じさせるその姿から、其処に居る全ての者が漫然と理解した。

 

「......無我の境地」

 

恭一と対峙する麗華の雫のような呟きに、皆も喉を鳴らした。

部員達が固唾を呑んで見守る中、恭一の口が開いた。

 

 

 

「ゆ、ゆーすちーるはぶ........何だっけ?」

 

 

 

全てを無にする痛恨の語学力。

 

((((えぇ~.....))))

 

「You still have lots more to work on(まだまだだね)ですわ恭一さん!」

 

空かさずセシリアの好フォロー

 

「そんな長文唱えられる訳ないだろ!」

 

恭一には無理だった。

 

「ぷっ....ウフフ.....確かにセシリアが言った通り、愉快な殿方ですわ」

 

麗華は楽しそうに微笑むとラケットを持ち構えた。

 

「さあ渋川さん! まだ試合は終わってなくてよ!」

 

麗華の言った通り、まだ恭一のサーブ権は残っている。

が、恭一は頭をガシガシ唸っていた。

 

「っかぁー!! 此処でも英語が俺を邪魔しやがるのかよッッ!!」

 

さっきの顛末が、余程気に入らないようだった。

 

「小細工はもういい、俺は俺! 何処まで行っても俺は自由ッッ!!」

 

ラケットを空高く掲げ

 

 

「誰よりも人生を楽しむ俺はテニスも例外じゃねぇ!! 楽しんだモン勝ちってんなら、俺は生まれながらに最強だああああああああッッ!!」

 

 

恭一から見えないはずの眩い光が、宝石を散らしたように一面を煌かせた。

 

「まさかっ.....『天衣無縫の極み』ッッ!?!?!?」

「恭一さんっ....貴方と云う人は本当に何処まで......ッッ」

 

「うわははははッッ!! 眉間に皺寄らせてんなよ竜崎先輩! 素人の俺が楽しめてんだ、アンタならもっと楽しめる筈だろう!?」

 

恭一の言葉にハッとなる。

 

何時からだろうか。

試合に勝たなくてはならない、と思うようになったのは。

何時かだろうか。

勝つためにミスを恐れて、自分が本当に打ちたいボールを態と遠ざけたのは。

 

(渋川恭一.....)

 

あたくしが初めてテニスに出会った時の気持ち。

 

「渋川さん、貴方はわざわざ『たんれんぶ』を作ってまで自分を鍛えているそうで。その理由を伺っても宜しいかしら?」

「ンなもん好きだからに決まってるだろう!」

 

テニスをしている時が本当に楽しい。

 

(あたくしもテニスが大好きでしてよッッ!!)

 

 

「オーッホッホッホッホッホ!!」

「だぁーっはっはっはっは!!」

 

 

込み上げてくる気持ちを抑え切れず、2人はコート上で弾ける様に笑い合った。

 

「楽しみましょう、渋川さん!」

「ああ、当然だ!」

 

それから2人が織り成した試合は、後に何代にも渡りテニス部で語られる事となった。

 

 

________________

 

 

 

キーンコーンカーンコーン

 

部活の終了を告げるチャイムが鳴り響く。

 

「今日は本当にありがとう渋川君、私も部長も何か大切なモノが見つかった気がするわ」

 

部員が解散した後、恭一にサラが感謝の意を込めてそう告げる。

 

「そいつは僥倖。俺も随分と楽しませて貰いました」

「貴方なら何時でも我部は歓迎しますわ。また遊びにいらしてね、渋川さん」

「ええ、また遊びに来ますよ」

 

それから一言二言話し終え、サラと麗華と別れた恭一はセシリアの所へ向かった。

 

「よっ、セシリア」

「お疲れ様です、恭一さん。テニス部は如何でしたか?」

「おう、思っていた以上に楽しかったぜ。お前がバイブルを貸してくれたおかげだ、ありがとなセシリア」

 

確かに恭一の言う通り、あの本を読んでいなければこんな展開は待っていなかっただろう。

 

「そ、そんな....お礼などこそばゆいですわ。恭一さんの力になれたのならば、それが私にとっての喜びですわ」

 

この言葉こそ、彼女が淑女たる所以なのかもしれない。

 

「そうか.....お礼に俺に出来る事なら何でもしてやろうと思ったんだが」

「ん?」

 

淑女の頬がピクリと反応する。

 

「今何でもするって仰いましたよね? 私の聞き間違いじゃ御座いませんよね? 恭一さんに二言は在りませんよね?」

 

淑女の気配が薄れていく。

 

「お、おう.....? 急にグイグイ来るなお前」

「恭一さんは私に言いました! 何でもする、と! 確かに言いましたわッッ!!」

 

其処に淑女は居なかった。

 

「はいはい言った言った。なんか頼みでもあんのか? 出来る事なら聞いてやんぞ」

「ええ! 是非、恭一さんに頼みたい事がありますわッッ!!」

 

こんな滅多に無い機会を逃すものですか。

 

「一夏さんが絶賛していた施術を私にもお願いしますわ!」

 

とある日に一夏は興奮気味に言っていた。

 

『恭一のマッサージまじヤベェ....まじハンパねぇ.....』

 

(合法的に私が女である事を意識させられるチャンスですわ!!)

 

「おう、いいぜ。今からか?」

「いいえ....そ、その.....夜に恭一さんのお部屋へ伺っても宜しいでしょうか?」

「あいよー」

 

そんな会話をして、2人は一旦別れた。

 

.

.

.

 

約束を取り付けたセシリアは、自室に入ると己の両頬を叩く。

 

(気合を入れなさいセシリア・オルコットッッ!!)

 

腹が減っては戦ができぬ。

しかし、まだもう少し夕食まで時間はある。

食堂に行って、夕食を召し上がった後の事を考えてみた。

 

 

「....ね、念入りに身体を清めておきましょう。淑女としての身嗜みですわ、ええ」

 

何時に限らず、身体は綺麗清潔にしておいた方が良いだろう。

 

 





いつも以上に深く考えずに読んでね!

部長のお蝶夫人さんは別世界から来てもらいました( *`ω´)

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