野蛮な男の生きる道(第3話までリメイク済)   作:さいしん

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原作キャラあく出せよ(読者並感)


出すっツってんだろ!!!(キレ気味)


オッスお願いしまーす!(圧倒的感謝)


第8話 天災と野生の邂逅

「うう~ツイてないよぉ...こんなトコで故障しちゃうなんて」

 

『試作型1号人参ちゃんロケット』の故障部分を確認し1つため息をついた女性、篠ノ之束。

 

「良かった!これなら1日あれば直せるね!さっすが束さん!ブイブイッ」

 

ご機嫌な口ぶりである彼女であったがその実、超が付くほど不機嫌であった。

『インフィニット・ストラトス』を作り終えた時、彼女は希望で溢れていた。

 

---束さんはこの翼で宇宙へ行くんだ!---

 

しかし、満を持して発表した結果、そこ希望は無かった。

あるのは---

 

馬鹿馬鹿しい、現実を見ろ、話にならない。

空想に妄想だ、時間の無駄。

 

嘲笑に憫笑の言葉だけだった。

 

 

---彼女はいつだって認められた事なんて無かった。

 

 

とある事件をきっかけにISの性能が知れ渡った途端、嗤っていた奴らがこぞって掌を返し、近づいてきた。

その顔は醜く歪んでいるように束は見えた。

 

『翼』として生み出したのに『力』として見出されたIS

 

---彼女の心にはもう希望は残っていなかった。

 

 

________________

 

 

 

「ふぃ~、ちょっと休憩しよっかなぁ」

 

むむむ、と身体を伸ばし

 

---ピーッ、ピーッ、ピーッ

 

「!?...大きな生体反応?人間?こんな大陸のど真ん中で?」

 

束がロケットの故障を直すために降りた場所はアフリカ大陸、サバンナのど真ん中であった。

 

「このまま休憩してても退屈だしね、見に行ってみよっかな」

 

普段の束ならこのような他人を気にかける行動はまず有り得ないだろう。

しかしこの時の束は少しナーバスになっていた。

 

逃げても逃げても追いかけてくる世界のゴミ。

最愛の妹からの拒絶と侮蔑を含んだ言葉。

どこまでも孤独な自分。

 

「宇宙人でもいないっかなぁ、いてたらいいなぁ」

 

そんな事を割と本気で口ずさみながら、反応があった場所へ歩いて行く、と

 

「ええええええ?!何やってんのあの子?!」

 

束の目に映ったもの、それは----

 

「てめぇッッ!!このッッ中々やるじゃねぇか!!!」

 

ライオンにサブミッション(関節技)をかけているアホがいた。

天災が前世武神の野生児と出会った瞬間である。

 

---この出来事より半年前---

.

.

.

「じいちゃん...」

「おいおいなんて顔しとんだ、恭一」

 

無事転生を終えた恭一であったが、誰かの体に宿る事はなく、赤ん坊のまま外に放り出された。

いわば、捨て子のような状態であった。

 

それを拾ったのが今、死に逝く最期を恭一に看取られている老人。

名を『渋川剛気』といった。

 

恭一は渋川に前世の記憶がある事を打ち明けていた。

それを気味悪がる事無く、受け入れ育ててくれた。

 

「なんていうか、今まで恥ずかしくて言えんかったが......ありがとなじいちゃん。俺を育ててくれて」

「なぁに、感謝してるのは俺の方さ。合気道を極めたは良いが、対戦相手がいなくて退屈してたんだ。そんな折り、お前さんを拾った。前世を武神と称するだけあって、ガキのくせに毎日メキメキと力を付けていくお前さんとの日々は楽しかったぜぇ」

「結局、一回も勝てなかったけどな」

「へっ、こちとら生まれ落ちて90余年、人間ぶっ倒す事だけ考えて生きてきたんだ。前世が武神だろうが、10歳にも満たねぇガキには負けてやらねぇよ」

 

2人の間に穏やかな静寂が訪れる...

 

「じいちゃん、俺はこの世界でもやる事は同じだ。地上最強を目指してやる」

「...好きにすりゃいいさ。お前さんの人生だ」

「俺はあんたに土を付ける事が出来なかったが、あの世になら心当たりがあるぜ?」

 

人が聞いたら何を馬鹿な事を大真面目に語ってるんだ、と指を指して笑うかもしれない。

だが、恭一の言葉で穏やかな空間が一変し鋭利なモノに変わった。

 

これが本当に今から死に逝く者だと言うのか?

なんという威圧感ッッ!!

 

「そいつの名前は?」

「本名は知らん。が、『範馬勇次郎』って名乗ってると思う。前世の師匠であり、全盛期の俺よりも強かった男だ。じいちゃんとどっちがツエーんだろうな?」

 

ニヤリ、と笑ってみせた恭一。

 

「くっくっく...まさに冥土の土産ってヤツだな」

 

嬉しそうに笑う渋川---

 

恭一は満足した。伝えたい事は全て言えた。

あとは---

 

「それじゃあ、あの世で強者と語り合ってくらぁ」

 

偶然か必然か。

渋川剛気の最期の言葉。

それは前世の九鬼恭一が死ぬ間際に放った言葉と同じだった。

 

こうして、渋川剛気は静かに息を引き取った。

どこまでも満たされた顔のまま。

九鬼恭一が10歳になる手前の出来事である。

 

.

.

.

それからは九鬼恭一、改め、渋川恭一は旅の支度をした。

 

テレビもない山奥の寂れた道場で暮らしていた。

剛気と恭一である。

世界の情勢などまるで知らない。

 

「どうすっかなぁ俺もなぁ」

 

人間社会へ飛び出るか

野生世界へ飛び出るか

 

とりあえず、棒を倒して決めるか。

 

左に倒れりゃ人間社会へ

右に倒れりゃ野生世界へ

 

「うりゃ!!!!!」

 

勢い良く上空へ投げ飛ばした。

 

未来を決める棒が倒れたのは果たして---

 

 

________________

 

 

 

恭一はキレていた。

誰に?

 

ライオンに---

 

「俺が仕留めたインパラ君に何してやがんだコラァァ!!!! ハイエナかてめぇッッ!!!!」

 

恭一の言葉など意に返さず、インパラにカブリついているライオン。

 

ブチッ

 

「無視してんじゃねぇぞコラァァ!!!!てめーへし折ってやる!!!!!」

 

ここに---

 

異種格闘技のゴングが鳴った。

どう見ても無謀な死合カード

 

『百獣の王 vs 10歳児』

 

公開処刑待った無しである。

しかしライオンに襲いかかる10歳児は普通の10歳児ではない。

.

.

.

それは恭一にとって思ってもない幸運であった。

神から貰った転生特典---

『完全健康体』『疲労概念除去』の2つによる副産物なのか、睡眠欲が無くなったのだ。

寝られるけど、別に眠る必要の無い身体になっていた。

 

それに気づいた恭一は喜びに喜んだ。

 

日に30時間の鍛錬という矛盾のみを条件に辿り着く事が出来る奇跡の存在。

ダイヤモンドと見紛う程に高密度な肉体。

 

その境地に俺も...ッッッ!!!!

 

「だああああああああッッ!!!」

 

両手を挙げて喜び叫んだ。

その時、恭一の姿わずか1歳。

 

その時の事を渋川剛気はこう語る。

 

「あれは狂気だった」

 

 

________________

 

 

 

束はその光景から目を離せなかった。

明らかに子供。

なのにライオンと戦っている。

傷だらけになりながらも

 

---あんなにも楽しそうに

 

「ハッハー!! 参ったかこの野郎!!!!! この世界じゃ俺が捕食者だッッ!!!!!!!」

 

ライオンに『腕ひしぎ十字固め』を見事キメ、折る事に成功した恭一は満足し、最後は『金剛』で意識を狩り、頚椎を捻り折る事で絶命させた。

 

やくぞ~、と楽しそうに準備する恭一に

 

「ねえ...」

 

つい束は声をかけてしまった。

 

「ん?なんだ姉ちゃん?こんなトコに観光かい? 言っとくがライオンはやんねぇぞ?」

「いらないよっ!!って君、束さんの事知らない?」

 

「んんん?」

 

ジーッと見つめてくる少年に不覚にも少し顔が紅くなる。

 

「...っ」

「なぁ...なんでウサ耳なんか付けてんだ?」

「へっ?」

 

あれあれ?

 

「わっ私、篠ノ之束だよっ?!あの大天才博士の!!」

「おっ自己紹介か?俺は渋川恭一ってんだ。いやぁまさかサバンナで同じ日本人に会うとはなぁ」

 

感慨深いなぁ...とかほざいてる目の前の子供に、束はさらに困惑する。

 

「いやそうじゃなくて!IS作った本人が君の目の前にいるんだよ!?」

 

あまりの少年の落ち着きさについ、ムキになって言ってしまった。

 

「!?!?!!」

「あっ...」

 

驚いた少年の顔を見て束は少し後悔した。

ISが『力』として世に出て、はや幾年---

世界は一変した。

圧倒的絶対的な『力』の象徴と化したISだったが、女性にしか扱えず、男性には全く反応しなかった。

その事が影響し、世界は超が付く程の『女尊男卑思想』に染まってしまった。

男だから、という理由だけで淘汰され、それを見ても何も思わない大半の女性。

 

狂った世界に

 

---私はそんな事望んでなかったのに...

---ただ...宇宙へ行きたいだけだったのに...

 

俯く束に

 

「思い出した!!」

 

ビクッ

 

---こんな子供にまで、責められちゃうのかな...

 

「あれだろ?あいえすって...いんふにゃっと・すとらいき!」

「違うよ!?微妙に違う!インフィニット・ストラトス、通称ISだよ!」

「ああそうなんだ、んで?それって何なんだ?」

「へ?ほんとに知らないの?」

「うん」

「嘘ついてない?」

「何で付く必要があるんですかねぇ」

 

ため息を付きながら肉を焼く準備に取り掛かる恭一に

 

「ちょっ、ちょっと待ってて!!」

 

束は自分が乗ってきたロケットへダッシュで戻り

とある機械を手に取り、再び恭一の元へ戻ってきた。

 

「うんまそぉ~...」

パチパチと音たてて焼ける様を見つめる恭一に、再び声をかける束。

 

「ねぇ...」

「ん?欲しいのか?肉」

「いや、お肉は良いから。これ見て」

 

恭一に見せたのは束発明の『嘘発見器』

 

「これで、君が嘘をついてるか束さんは調べられるんだからね!」

 

篠ノ之束は人を信じる事が出来なかった。

自分を蔑ろにし、腫れ物扱いした両親。

自分を恨み拒絶する妹。

そして、唯一の友である織斑千冬すらも...

 

それ故、目の前の恭一に対しても自分を謀り、暗殺しに来た刺客なのではないかと疑っていた。

 

「今から質問するからね!いい?丸分かりなんだからね!...君はISを知っているよね?」

「知らんって言ってんだろ」

 

ムシャムシャと肉にカブリ付きながら面倒くさそうに答える恭一。

 

「うそ...じゃない?ほ、ほんとに?」

 

もしかして故障?

 

「えっと、えっと今雨は降ってる?」

「晴天じゃねぇか、はむはむ...」

 

故障してない...本当に嘘をついてない..知らないんだISの事。

 

「嘘発見器とか凄い物作れるんだな、姉ちゃん」

 

ちょい貸してみ?と手を出してきた恭一に、それでもまだ信じられない束は、ふと貸してみる

 

「あー、あー、ゴホンッ...あー... " 渋川恭一は地上最強である " 」

 

...ブブーッ

 

「フザケンナッッ!!!!!姉ちゃんコレ壊れてんぞッッッ!!!!!!!!」

 

ムガー、と両手を上げて怒る恭一の姿が妙におかしく

 

「...はは。あはは...あーっはっははっははは!!」

 

篠ノ之束は久しぶりに心から笑えた。

 

 





肉食のライオンが美味しいわけないだろ!いい加減にしろ!!


ああ、やっと...原作キャラと絡めるんやなって(恍惚)

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