野蛮な男の生きる道(第3話までリメイク済)   作:さいしん

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スク水じゃないよ



第59話 夏だ!海だ!

「海だっ! 見えてきたよーっ!!」

 

恭一達1組の生徒を乗せたバスがトンネルを抜けると、皆が窓から外の景色を楽しむ。

本日は臨海学校初日、天候にも恵まれてまさに絶好の海日和である。

 

「おうおう皆テンション上がってんなぁ」

「恭一さんもお顔が緩んでましてよ?」

 

隣りに座るセシリアがクスクスと笑みを浮かべながら指摘してくる。

 

「ぐぬぬ...帰りこそは必ずっ....くぅぅぅぅ」

「はいはい、次は勝とうねー」

 

恭一の隣りの席を賭けたジャンケンに敗れた箒をシャルロットが慰めていた。

 

「そう言えばラウラの姿が見えないんだけど、何処に座ってるのかな?」

 

キョロキョロとバスの席を見渡すシャルロットに箒が指を指して教えてやる。

 

「きょ、教官はどの部屋にお泊りになられるのですか!?」

「聞いてどうする?」

「もちろん夜這いいだだだだッッ!!」

 

千冬に両拳で頭をグリグリされているラウラ

 

「...ラウラも変わったなぁ」

「良いじゃないか。今のアイツの方が私は好ましい」

「ふふっ...それもそうだね」

 

ちなみにラウラに対するクラスメイトの印象はどうなのだろうか。

転校初日に恭一に弄り倒された事で周りが避けるような事態にはならず、タッグ戦後からは千冬と恭一の後ろを子犬のようにトテトテ付いてまわっている事もあり、今ではクラスの愛されキャラに納まり、身長の低さも相まって皆からよく頭を撫でられている。

 

シャルロットと箒の会話に一夏が

 

「俺にだけは何か冷たいような気がするんだよなぁ」

 

タッグ戦の後、千冬から最低限の社交辞令は覚えろと言われたラウラは以前のような険悪な態度を一夏に対しても見せなくなったが、距離を縮めるつもりは一切無いので現状の通りである。

 

「そろそろ目的地に着く。それぞれの席へ戻れ」

 

千冬の言葉に皆が従う。

目的地である旅館前に到着すると、生徒達はバスから出て整列した。

 

「ここが今日から三日間お世話になる松実館だ。全員、従業員の仕事を増やすなんて事は無いようにな」

 

「「「「 よろしくお願いしますッッ!! 」」」」

 

「ふふっ...元気があってよろしいですね。楽しんでいってくださいな」

 

着物姿の女将さんが丁寧にお辞儀を返す。

そこでふと、2人の男子生徒に目がいく。

 

「あらあら、こちらの方々が噂の...?」

「ええ、お前達挨拶しろ」

 

千冬の言葉に恭一と一夏は少し前に出る。

 

「お、織斑一夏です。よろしくお願いします」

「渋川恭一です。3日間しっかり堪能せてもらいまがっ」

 

―――ポカン

 

呆れ顔の千冬に途中で叩かれる。

そんな様子を楽しそうに

 

「うふふ、まさに男子生徒って感じで新鮮味がありますね。私は松実露子と申します」

 

そう言うと、先程と同じように丁寧なお辞儀をする。

一つ一つの動作に美しさと奥ゆかしさが見え隠れした見事な作法を目の当たりにした恭一もつい

 

「はっ、ハハー!!」

 

恭一のそれはお辞儀では無く土下座である。

 

 

「全く、馬鹿モンが...あとボーデヴィッヒもやろうとするな」

「...ッッ」

 

恭一の隣りで膝をつこうとしたラウラを止めながら

やれやれ、と千冬が溜息をつく。

同じく苦笑いの箒やセシリアに、大爆笑のシャルロットも旅館へと入って行った。

 

 

________________

 

 

 

初日は完全に自由時間であり、旅館に入っても生徒達は賑やかである。

 

「しーぶちー!」

「おう、のほほんさん」

 

いつもより少し呼び方が違う。

どうやら本音もテンションが上がっているようだ。

 

「しぶちーの部屋ってどこなの~? 一覧に書いてなかったよ~、遊びに行くからおせーておせーて~」

「そういや、載ってないな。俺だけじゃなくて織斑もか」

 

本音と一緒にしおりをもう一度確認するが、やはり部屋割りに2人の名前は書かれていなかった。

 

「織斑は何か聞いてるか?」

「いや、俺も知らない。廊下にでも寝るんじゃねぇの?」

「ないだろ」

「ないでしょ~」

 

思いつきで口にした一夏の言葉をとりあえず否定する。

 

「織斑、渋川、お前達の部屋はこっちだ。ついてこい」

 

本音と別れて2人は千冬に付いて行く。

.

.

.

「此処だ」

「え? ここって...」

 

一夏の目の前には『教員室』と書かれた紙が貼られた扉だった。

 

「個室にしてしまうと、就寝時間を無視した女子が押しかける可能性があるからな。私と同室ならその心配は無いだろう」

「確かに、そうですね」

 

千冬の言葉に一夏も頷く。

 

「渋川は此処の隣りだ。最初は山田先生と同室だったんだがな、さすがにそれも不味いと云う事でお前は1人になるが、良いか?」

「学園と同じでしょう、特に変わりは無いですよ」

 

恭一からすれば、いつも通りである。

 

「そうか。まぁお前の部屋にも女共が押しかける可能性は否定出来んが、私の部屋の隣りなのだ。危険を冒してまで来る程の猛者などそうはいまい。もし来ても...ふっふっふ」

 

何やら狂気地味た笑みを浮かべる千冬だった。

スルースキルを発動させた恭一はササッと部屋へ入る。

荷物を置き、窓の方まで移動すると外の景色を眺める。

 

「......学校、授業、友達」

 

ひとつひとつ、噛み締めるように恭一は口にする。

 

「そして臨海学校......か。前世ではどれもこれもが夢物語だったな」

 

前世から今までひたすら怒涛の刻を過ごし続けている恭一にとって、他人のありふれた日常こそが非日常。

苛烈に生きている時間が彼にとっての普遍である。

だからこそ今の穏やかな時間が何よりも劇的に感じられた。

 

「楽しいなぁ...」

 

人知れず、少し感傷的になる恭一だった。

 

 

________________

 

 

 

水着に着替えた恭一が海に出てくるとセシリア達が迎えた。

 

「...随分独創的な水着?を着てるんだなのほほんさん」

 

電撃を放ちそうなぬいぐみチックなモノを着ている本音を見て呟く。

 

「ぴかぴーかー、だよ~」

「っていうか、渋川君身体すっごいね! 腹筋割れ割れじゃんっっ!!」

「本当だ! 大和男子って感じだね!」

 

恭一の身体に清香と癒子が興奮する。

 

そうこうしてると、一夏も出てきた。

 

「ちょっ...なんだなんだ!?」

 

一夏の姿を見た他のクラスの女子達が一斉に殺到する。

 

 

「あっ、織斑君だ!」

「う、うそっ! 私の水着変になってない!?」

「織斑くん、私達と遊ぼっ!」

 

そんな光景を苦笑いで見る清香達

 

「あっはっはー相変わらず渋川君と違って織斑君は人気だねぇ」

「うふふ、そのおかげで私達は落ち着いて話せますからね」

 

静寐も遅れてやってきた。

その後ろには、ビーチパラソルとシートにサンオイルを持っているセシリアの姿もあった。

鮮やかなブルーのビキニで腰に巻かれたパレオがセシリアの優雅さを際立たせている。

 

「あ、あのっ恭一さん!」

「おうセシリア。随分な荷物抱えてどうしたんだ?」

「さ、サンオイルを塗ってくださいませんか!?」

 

「「「 えっ!? 」」」

 

セシリアのお願いに驚く清香達を余所に、しゅるりとパレオを脱ぐセシリア。

その仕草は何処か扇情的でもあり、同性の彼女達でもドキっとさせる仕草である。

 

(おーセッシーってばだいたーん)

(さすがに渋川君もこの色気の前じゃタジタジに)

 

「あいよー」

 

しかし恭一の反応は果てしなく軽かった。

 

「よく分からんが、背中に塗れば良いのか?」

「前も是非「前は私が塗ってやろう」くっ...来ましたわね箒さん」

 

待ったと言わんばかりの登場である。

 

「おおー、しののんってばスタイルちょーいいーねー!」

「ほんとだっ...羨ましいわぁ」

「そ、そうか...?」

 

本音達に褒められて照れる箒は

 

「ど、どうかな? 渋川が選んでくれた水着なんだが...その......」

 

白を基調としたシンプルなデザインのビキニを纏った箒はもじもじしながら恭一の前へとやってくる。

人並み以上の胸の膨らみは、水着でさらに強調されて艶麗的な姿をしていた。

 

「お、おう....似合ってると、思う。うん....」

 

少し顔を背けながら応える恭一に

 

「ちゃんと私を見て言って欲しい...な」

「...っ.....あ、ああ」

 

((((( 何だこの空間は )))))

 

恭一と箒が創り出した甘々な空間に対して

 

「わ・た・く・し・と!! 全然態度が違いましてよ恭一さんッッ!!!!!」

 

既に首の後ろで結んでいたブラの紐を解いた状態で、シートに寝そべっていたセシリアは思わず身体を起こして抗議する。

当然水着はそのまま下に落ちていく訳で。

 

ぷるるんっとセシリアの綺麗な乳房が恭一の目に

 

「させるかーーーーーーッッ!!!!!!」

「ほごぉ!?」

 

恭一と甘い雰囲気を楽しみながらも、常にセシリアの警戒を怠っていない箒に隙はなかった。

真正面から飛び込む形で抱きつき身体を張ってセシリアの乳房を隠す事に成功する。

 

「ぬぁにするんですの箒さん!?」

「お前こそ色気でアピールするなど、恥ずかしいとは思わんのか!?」

「貴女にだけは言われたくありません事でしてよッッ!! 何ですかさっきの狙い澄ましたセリフはッッ!!」

 

あくまで抱き合ったまま言い争っている2人を見て

 

「俺、泳いできた方が良さそうだな」

「そ、そうだね」

 

恭一は海へ出た。

 

 

________________

 

 

 

海の沖の方では鈴が泳いでいる。

 

「おっそいわねぇ一夏、このままじゃ私の圧勝じゃない!」

 

一夏と鈴は泳ぎの競争の真っ最中なのだが、前世は人魚と豪語するだけあって圧倒的な泳ぎっぷりだった。

 

(この臨海学校で少しでも一夏との距離を縮めてやるんだから!)

 

泳ぎなら鈴は箒達を思う。

 

(箒やセシリアだって恭一に積極的になってる。私だって頑張らないとね!)

 

そろそろゴール地点が見えてきた。

 

(ふっふーん、私の勝ちはきまっ...なっ!?)

 

どうして気付かなかったのだろうか。

前方からゆったりとしたスピードだが、背ビレを見せて鈴に向かって来ている。

 

「さっ、サメ!? どうしてこんな所にっっ.....イタッッ!!!」

 

突然の事でパニックに陥った鈴は、準備体操を怠ったツケか足を痙ってしまう。

姿勢を崩し空気を吸おうと藻掻くが、身体は沈んでいく一方である。

 

「!!!? ごぼっ...たすっ、たすけっ.....いち....か」

 

水中に沈みゆく中で意識が薄れかけた時、何かに力強く抱きしめられ浮上していくのを感じた。

 

(あ、一夏.....助けに来てくれたんだ)

 

途端に、安堵が胸に広がる。

その逞しい身体を鈴も僅かに抱きしめて、海面から顔を出した。

 

「なーにやってんだお前」

「なっ...恭一!?」

 

一夏だと思って抱きしめていた腕を鈴は咄嗟に放すが恭一は放さない。

 

「はっ、放しなさいよ!!ってか後ろ後ろッッ!!!!!!」

 

恭一の後方から背ビレを見せた黒い影が迫り来る。

 

「んー? おう、待っててくれたみたいだな」

 

サメが襲いに来ているのに、まるで慌てない。

 

「なっ、なに言ってんの.......よ?」

 

マジマジと鈴は黒い物体を見る。

 

「....マンボウ?」

「マンボウだな」

「...なんで?」

「泳いでたら懐かれた」

 

(えーっと...つまり...?)

 

鈴は考える。

どうして自分は溺れたのか。

 

(パニクって足が痙った。何に驚いた? サメ...)

 

「アンタのせいかあああああッッ!!!!!」

 

ポカポカと恭一の胸板を叩く鈴だった。

 

「いたっ.....」

「足が痙ってんのか?」

「......うん」

 

大人しくなる鈴をもう一度支えると

 

「なっ、なに?」

「ほれ、こんな機会滅多にねぇぞ?」

 

鈴の腕をマンボウの背ビレに掴ませる。

 

「...大丈夫なの?」

「心配すんな、ゆったりと陸まで運んでいってくれるぜ? まぁ万が一があったらアレだし俺も付いて行くけどな」

「うん...」

 

そんな2人のやり取りの最中に一夏もやってきた。

 

「うわっ、サメ!?...じゃない?」

「マンボウだ」

「マンボウよ」

 

これまでの経緯を話し終え、一夏も加わり3人はまったりと砂浜へ戻って行く。

陸地に着きそうになると

 

(...えーっと確か鈴は織斑と一緒に居たいって思ってるんだよな)

 

「織斑、鈴は足攣ってるから砂浜に着いたらおぶってやれ」

「あっ....」

 

恭一の言葉に鈴が反応する。

 

「ああ、分かった」

 

 

________________

 

 

 

浜に着き、一夏と鈴から離れた恭一の目の前にシャルロットとラウラがやって来る。

 

「あ、恭一。ここにいたんだ」

「お前らも泳ぎに来たのか?」

「うむ! それよりもどうだ恭一殿! 私の水着姿は似合っているか?」

 

バーンと腕を広げてラウラが聞いてくる。

 

「おう良いじゃねぇか」

「ほ、ほんとか!? これで嫁も悩殺出来るかな!?」

 

黒の水着にレースが飾られてあり、いつも飾り気の無い伸ばしたままの髪を左右一対にアップテールさせている。

キラキラ目を輝かせるラウラの後ろに丁度、千冬と真耶の姿が見えた。

 

「それは本人に聞くのが一番だろ」

 

クイッと後ろに顎を向ける。

 

「きょ、教官!?」

 

ラウラとはまた印象の違う黒の水着なのだが、スタイルの良い引き締まった身体が陽光に照らされている。

 

「どうしたボーデヴィッヒ?」

 

腰に手を当てて、自然な立ち振る舞いを見せる千冬だが同時にモデルのような格好良さも兼ね備えており、そこに居る女子一同は色々な意味で圧倒されていた。

 

「はうっ....」

 

ぽてり、と倒れるラウラ

 

「ちょっ...ラウラ!?」

 

シャルロットが駆け寄る。

 

「やっぱり嫁は可愛いなぁ...うへへー...」

 

悩殺する前に悩殺されたようだった。

とりあえず、恭一は倒れているラウラを抱え上げ

 

「織斑先生も束の間の休暇ってヤツですか?」

「ふっ...まぁそんな処だ。ボーデヴィッヒを介抱するのか?」

「ええ、さすがにこのままじゃイカンでしょ」

 

恭一の腕の中でうへへーと旅立っているラウラも見る。

 

「私も付き合おう」

「へ? いや折角海に出てきたんだから―――

「私も付き合おう」

「は、はい」

 

形容し難い迫力が其処にはあった。

 

「織斑君があっちでビーチバレーしてるんだって!」

「うそっ!? 私も行くー!」

「山田先生も一緒にビーチバレーしようよ!」

 

そんな様子を見ていた千冬は

 

「山田先生も行ってくると良い」

「そうですね、それでは楽しんできちゃいます」

 

千冬の言葉に甘え、去って行く。

 

「僕はどうしようかな」

 

ラウラを気にかけ、悩んでいるシャルロットに恭一が声を掛ける。

 

「お前さんも行ってきな。ラウラは俺と織斑先生で見ておくからよ」

「...そうだね。それじゃ僕も楽しんでくるよ」

 

シャルロット達を見送り、恭一と千冬は適当な場所へ移動する。

.

.

.

「ここなら日陰もあるし、熱中症の心配も無いだろう」

「いやそれは良いですけど...誰も居ませんね」

 

何故か人目の付かない場所まで千冬に先導された恭一だった。

 

「座らないのか?」

 

既に腰を下ろしている千冬の隣りに座り、ラウラを横にさせる。

 

「...楽しんでいるようだな恭一」

 

どうやら千冬はプライベートモードに入ったらしい。

 

「分かりますか千冬さん」

 

千冬に倣い、恭一もいつもの呼び方に変える。

 

「分かるさ、お前の浮かれっぷりなどすぐにな」

「浮かれてる...か。確かに昨日の夜は興奮して中々寝付けなかったっけ」

 

たはは、と笑う恭一を千冬は優しく見つめる。

 

「お前が戦う事以外に楽しさを見い出せてるのは私も嬉しいよ」

「ち、千冬さん...?」

 

恭一はドキッとする。

何故なら、千冬の手が自分の手に重なっているから。

 

「お前とこんな風に2人で過ごすのも随分久しぶりだな」

「渋川道場も今じゃ賑やかですもんね」

 

内心焦っているのを何とか誤魔化そうと、平静を装いながら返事をする。

千冬はどうなのだろうか。

恭一と違って随分落ち着いているようだが。

 

(ふおおおおおおおおおおッッ!! こんな機会は滅多にぬぁい!!)

 

そんな事は無かった。

 

(ふふふっ...最近じゃ篠ノ之やオルコットに後塵を拝しているが、ここで距離を縮めてやるんだ! がんばれ私ッッ!!)

 

「な、なぁ恭一?」

「なんでせうか...」

 

恭一の言葉が可笑しくなる。

いつの間にか千冬からピタリと寄り添う形になっているのだから、当然だった。

 

「私の水着姿はどうだ...? お前に見てもらいたくて新しく買ったんだ」

「あー...す、凄く似合っていると思われますです、はい」

「何処を見て言っている...こっちを見ろ」

 

そっぽを向いていた恭一の顔を両手で挟み、グイッと自分に向けさせる。

何やら先程の箒と同じような状況だが、強引さでは千冬が勝っていた。

 

「うあっ.....」

「なんだお前...顔真っ赤だぞ?」

 

戦いで見せる顔では無く、歳相応の反応を見せる恭一にニヤリと千冬は笑う。

 

(当たり前だろうが! ラウラ起きろ!! パパを助けてくれッッ!!)

 

「うへへー」

 

駄目みたいですね。

目のやり処に困った恭一はアワアワしている。

 

(....か、可愛い......もっ、もう我慢ならんッッ!!)

 

「恭一.....」

「な、なんでせう?」

「キスしようか」

「◇□△▽○♂♀!?」

 

返事を待たず、端正に整った綺麗な顔が恭一へゆっくりと―――

 

 

「「 ダウトおおおおおおおおおおおおッッッ!!!!!!! 」」

 

 

「「 ッッッ!?!?!?! 」」

 

 

何処からとも無く箒とセシリアが現れた。

 

「ちっ...小娘共が! 私と恭一の熱いベーゼを邪魔する気か!?」

「何ですかその言い回しは! 馬鹿でしょう貴女ッッ!!」

「抜けがけってレベルじゃないですわよ織斑先生ッッ!!」

 

臨海学校でも恋する乙女達は相変わらずだった。

 

「うみゅ....パパ?」

「ここは危険だ、行くぞラウラ」

「へ?」

 

3人の姦しい声でようやく目を覚ましたラウラを抱え逃走する恭一だった。

 





しぶちーも日常を楽しめって言ってんだYO!!

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