野蛮な男の生きる道(第3話までリメイク済)   作:さいしん

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いったい何が始まるんです? というお話



第46話 嵐の前のなんとやら

(こんな....こんな醜態を晒して.....私は何をやっているのだ.....)

 

動けない身体の視線の先には恭一の姿

 

(悔しい...悔しい悔しいッッ!!!! 私にもっと力があれば...ッッ)

 

思い出すのは『織斑千冬』の顔だった。

『あの男』を語った時の千冬が忘れられない。

どこか気恥かしそうな表情、それは―――

 

(私には決して向けられる事は無かった。私の前の貴女は常に強く、凛々しく、堂々としている私の憧れた姿―――)

 

故に、千冬にそんな顔をさせてしまう『渋川恭一』がラウラは許せなかった。

 

(認められない...認めるわけにはいかないッッ!!!!!)

 

煮え滾る思いでどうにか動こうとするが、身体は未だ言う事を聞いてくれない。

 

(...力が........欲しい)

 

ドクン...

 

『―――願うか.....? 汝、自らの変革を望むか.....? より強い力を欲するか.....?』

 

(欲しい.....あの男を殺せるのなら私の全てをくれてやるッッ!! だから.....私に力を寄越せえええええええええええッッ!!!!!!!!!!)

 

ドクンッ....

 

《 Valkyrie Trace System 》―――顕現

 

 

「お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛おッッ!!!!!!!!」

 

 

________________

 

 

 

「あれはまさか.....」

 

観察室にいる千冬はすぐに気付く。

 

「VTS(ヴァルキリー・トレース・システム)......」

「そ、それって....ッッ」

 

千冬の言葉に顔を青ざめる真耶

 

『VTS』通称『ヴァルキリー・トレース・システム』と呼ばれるモノ

過去の『モンド・グロッソ』覇者の動きを複写(トレース)するシステムである。

しかし、操縦者にかなりの負担、悪影響を及ぼす事からIS条約により全面禁止されている。

 

「...私を望んだのか...ラウラ........」

 

アリーナに居る『ラウラだったモノ』が握る刀、恭一達を襲った太刀筋―――

それらは全て過去の己の姿だった。

 

(しかし、あそこに居るのが恭一で良かった。アイツなら任せられる)

 

緊急事態ではあるが、恭一を信頼している千冬はまだ落ち着いていられた。

 

 

________________

 

 

 

「.........」

 

恭一は黒きを纏ったISを見つめる。

 

「あっ...あの恭一.....そろそろ降ろしてくれてもいいあだっっ」

 

無造作に降ろされ、シャルロットはお尻を地面に強打してしまう。

 

「~~~~ッッ!!! ほんと恭一ってば乱暴だよね!!!!!!.......どうしたの?」

 

黒いISから一向に目を離さない恭一を不思議に思い問いかける。

 

「なーんか...さっきの太刀筋、見覚えあるんだよなぁ.....どこだったかなぁ」

「へ?」

 

そんな事を2人で話していると

 

「うおおおおおッッ!!!!!!」

 

一夏が叫びながら黒いISに向かって飛び出して行く。

 

「おおおおおおあがっっ!?」

 

恭一の横を過ぎようとした一夏の足にとりあえず自分の足を引っ掛けた。

黒いISしか見てなかった一夏は派手に転んでしまう。

 

「なにしやがる!?」

 

転がされた一夏は恭一に吠える。

 

「いやお前が何してんだよ。得体も知れんモノに生身で突っ込んで行くとか面白すぎンだろお前......」

「うるせぇ!!!!!! アイツ巫山戯やがってッッ!!!! ぶっ飛ばしてやんだよ!!!!!」

 

そう言って立ち上がろうとする一夏の上に座る恭一

 

―――ドゴォォンッッ!!!!!!!

 

「かはっ.......」

 

座ると云ったのは正確には間違いである。

腰からいくボディプレスの着地点が一夏の背中だっただけである。

 

「まぁまぁ落ち着けって織斑...お前さんがそんなに息巻く程なんだ。何か知ってんだろ? いまいち状況が飲み込めてない俺にも教えてくれよ」

 

さあ頼む、と説明を促す恭一だったが―――

 

「...恭一.......一夏.....失神してるよ?」

「..........うっそだろお前」

 

一夏が恭一の攻撃(?)を生身で喰らったのは今回が初めてだった。

 

「.........」

「...どうするの恭一?」

 

ジト目で見てくるシャルロットの視線に対し「やっちまった」と頭をかくしか出来ない恭一

 

『恭一聴こえるか!?』

 

そんな折り、千冬からプライベートチャンネルが掛かってくる。

 

「千冬さんか....あのISは何なんだ?」

 

恭一は離れた場所でこちらを伺っているISについて説明を受ける。

 

『―――と云う訳だ。あれは過去のモノではあるが、ISを纏った私の姿だ。しかし、お前のシールドはまだMAXに近い....ボーデヴィッヒを......ラウラの事を頼めるか?』

「そこまでしてアイツは俺を.......いいぜ。お前の舞台に上がってやるよ」

 

話を終え、一夏の背中から退いた恭一は己を纏っている『打鉄』を撫でる。

 

「今日もお前さんの乗り心地は最高だったぜ。いつもありがとな相棒」

 

そう言うと『打鉄』を完全解除した。

 

「なっ...何してるのさ恭一!?」

「アイツは命のやり取りを求めてんだ。なら俺も拳で応えねぇとな」

 

(ISは殺し合いの道具じゃねぇかんな)

 

「生身でISと戦うなんて自殺行為だよッッ!!!! しかも相手は『ブリュンヒルデ』の動きをするんでしょ!?」

 

シャルロットは止めようと恭一に近づくが―――

 

「ひっ......ッッ」

 

恭一から放たれる殺気に充てられてしまい竦んでしまった。

 

(うっ....動けない......)

 

 

________________

 

 

 

「あんのっ....大馬鹿モンがッッッ!!!!!!!!」

「ひゃっ....」

 

恭一の様子を観ていた千冬が怒鳴り上げ、真耶は驚いて身体を震えさせてしまった。

 

(誰が生身で相手しろと言った!? 腐っても相手は『暮桜』の動きをするISなんだぞ!?)

 

「くっ...教員部隊の編成はまだなのか!?」

「駄目ですっ! 来賓の方や生徒達の避難誘導に割かれていて動ける教員は殆どいませんっ!」

 

それを聞き、千冬は乱雑にマイクを掴むとアリーナに音声を繋げる。

 

『渋川、何を考えている!? 私の説明を聞いていなかったのか!?』

「......聞いてるし、ちゃんと理解もしていますよ。これは模擬戦じゃないって事を」

 

模擬戦じゃない、この言葉で恭一の意志を千冬は感じ取ってしまった。

 

『...お前が知る生身の私とは違う。ISを纏った過去の私だ.....それが何を意味するか分かってるんだろな?』

「...今の生身の織斑先生とどっちが強いんでしょうね?」

 

恭一の声が弾んでいる。

こうなってしまうと、もう何を言っても無駄である事を千冬は知っている。

 

『はぁ分かったもういい....今の私の方が強い事を証明してくれるんだろ?』

「くくっ...試金石ってヤツですかね」

 

千冬の挑戦的な言葉に益々やる気を漲らせる恭一

 

『ただし...編成が完了次第、教員部隊を突撃させる。邪魔されたくなければそれまでに終わらせろ。いいな?』

「了解」

 

(無茶だけはしてくれるな恭一....)

 

「出来るだけ編成を急がせろッッ!!!!」

「はっ、はい!!!!!」

 

 

________________

 

 

 

千冬との会話を終えると、デュノアに

 

「織斑の事は任せる」

「わ、分かったよ....」

 

恭一はラウラを飲み込んだ黒い物体に向き直す。

 

「えらく待たしちまったな?」

 

相対する黒いISは言葉には無反応ではあるが、恭一の一挙一動を凝視しているようだった。

 

「...お前さんのお望み通り、試合は終わりだ」

 

恭一は抑えていた闘氣を解放させた。

 

ガンッッ!!!

 

己の拳同士を勢い良くぶつけ、己とラウラに言い聞かせるよう氣を吐きだす。

 

 

―――こっからは喧嘩だ馬鹿野郎ッッ!!!!!!!

 

 

過去の亡霊との闘いが今、始まる。

 





あっそうだ(唐突)

VTシステム纏ったラウラ戦のアニメ見直したけど
なんやあのクソ雑魚ナメクジ(驚愕)

じゃけんちょっとステータス弄っちゃいましょうねぇ(改変するって言ってんだYO!!)




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