野蛮な男の生きる道(第3話までリメイク済)   作:さいしん

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前話のシャルロットに対するしぶちーの行動についての解説

Q. どうしてしぶちーはあんなにシャルを煽ったの?

A. 完全にしぶちーのお節介ってヤツです。
本来なら既に興味を失くしたシャルに対して何も言わず適当に流していれば良かったんですが、シャルが身バレした時に「流されたままでいるか」それとも「抗ってみせるか」のどっちを選べば良いのか迷っていた事にしぶちーは気付いてました。

なので今回は助かったけど、次にまたシャルの身に何かあった時のために今のままでは良くないと自分は思うから強くなってみるのも良いんじゃないか?

と素直に言えれば良かったんですが、そのままの言葉では言えません。
何故なら身バレした時、表ではシャルを見放した行動を取っていたので、しぶちーが提案しても説得力が無いからです。

それなら自分をわざと嫌わせて『見返してやるんだ』という気持ちを抱かせるしか、しぶちーには思いつかなかったのです。
だから必要以上に『お前は弱い』と貶したり『ギャフンと言わせてみろ』と挑発を繰り返していた訳です。

しかし、これは最初に述べた通り『しぶちーの勝手なお世話、余計なお節介』に変わりはありません。
シャルはもうシルバーバーグ兄妹から守られる身ですから。
別に流されて生きてても良いんです。
絶対に強くならなければいけない訳では無いですから。

Q.何で興味失くしたのにそんなお節介焼くの?

A.嫌々行ったデュノア社だったけどオデッサさんと戦えたからです。
落とし前をつけたアフターサービス的な感じでいらん世話焼きました。

長々と書かせて頂きましたが、作者の技量が無いせいで多くの方に勘違いをさせてしまったようなので、深くお詫び申し上げますm(_ _)m

では本編をどうぞ



第39話 動揺する狂者

「む...もうこんな時間か、篠ノ之そろそろ出るぞ」

「ああ、分かった」

 

あれから箒と部屋でお茶を楽しみながら、恭一が休んでいた間の事を掻い摘んでだが説明を受けていた。

部屋を出て僻地を歩いていると今月末の学年別トーナメントの話になる。

 

「トーナメントねぇ...」

「今回はタッグ制を採用しているそうだ」

「タッグかぁ...自由にパートナーは選択出来んのか?」

「それも可能だし、決まっていない奴はランダムに組まれる仕組みになっているらしい」

 

それを聞くと恭一は、少し考える。

 

「俺と組むか篠ノ之? 専用機持ちでは無く、訓練機コンビが優勝を掻っ攫うのも一興だろ?」

 

恭一はそう箒に提案したが

 

「ふっ...魅力的なお誘いだが、今回は断らせてもらう」

「へぇ...何でだい?」

「確かにお前と組めば、優勝する事だって可能だろう。だが、私はお前と組んで楽するよりも、お前に挑んでみたいんだ」

 

その言葉を聞くと、恭一は立ち止まり箒に右手を向ける。

 

「っっ....」

 

急に伸びてきた手に殴られると思ったのか箒は目を瞑ってしまった。

 

ナデ...ナデ...

 

「....へっ?」

 

(.....何故、私は渋川に頭を撫でられているのだ?)

 

「あ、あの...渋川?」

「ん? おお、悪い。つい嬉しくてな」

 

そう言って手をどける。

 

「あっ.....」

「ん?」

「い、いや何でもない。それで...嬉しいとはどういう事だ?」

 

箒は物寂しそうだが、とりあえず疑問を口にする。

 

「篠ノ之の成長っぷりが嬉しいんだよ」

「成長...? 確かに渋川や千冬さん達に鍛えられてそれなりには成長しているとは思うが、今言う事なのか?」

「違う違う...俺が言ったのは精神的な意味でさ」

 

いまいち伝わっていないようなので、言葉をさらに付け加えていく。

 

「俺はお前を身体的に強くさせる事は出来る。でもな俺がどんだけ強くても、どんだけ教えるのが上手くても、お前の精神を鍛える事は出来ない。心ってモンは自分で成長させるしかないんだ」

 

言い終わると、箒を真っ直ぐ見つめる。

 

「強くなったな篠ノ之」

 

笑顔で箒に伝える恭一

 

(うっ...嬉しい。渋川に褒められて...認められるとこんなにも嬉しいモノなのか)

 

「あっ...あの渋川....」

「なんだ?」

「その、だな...良かったら、もう少し頭を撫でてもらえないか...?」

 

上目遣いで箒はお願いする。

 

「ん? ああ、いいぞ」

 

そう言い、箒の頭を優しく撫でる。

 

「はふ......」

(渋川の手が私を優しく撫でてくれている....これは.....良いものだ.....)

 

嬉しさと恥ずかしさからか、箒の頬が少し赤くなっている。

そんな箒に対して恭一は何を思うのか。

 

(...冷静に考えたら俺何やってんだ...? ぐっ....赤くなってる篠ノ之を間近で見てると俺まで恥ずかしくなってきた)

 

自分の頬が熱くなっていくのを感じる。

 

(何だ!? 何かドキドキしてないか俺?! 病気か? 病気なのか? 本当にインフルエンザにかかっちまったのか!?)

 

このままじゃ何か分からんがイカン!!、と手を頭から離そうとするが―――

 

「やだ....」

「へっ...?」

「もう少し撫でてくれなきゃ.......やだ」

「おっおう...」

 

(なんなんだああああああああッッ!!!!! 鼓動が早くなっていってるぞ俺ええええええッッ!?)

 

「ふふっ...渋川、顔真っ赤だ」

 

はにかんでそう指摘する箒

 

「くっ...お前だって真っ赤じゃねぇか」

 

視線を逸らしながら、ぶっきらぼうに返すしかない恭一

 

「うふふ、そうだな........嫌か?」

「.....嫌じゃない」

.

.

.

―――キーンコーン...カーンコーン

 

「はっ.....!?」

「あっ....」

 

(...オイオイ..一体どんだけ撫でてたんだ俺?)

 

「...予鈴が鳴ったな」

 

残念そうに箒が言う。

 

「とっとりあえず走るぞ篠ノ之!!」

「あ、ああッッ!!」

 

2人は校舎に向かって走り出す。

 

(うわああああああああああッッッ!!!!! 私ってば何を言ってるだああああああ!!!!!)

 

ようやく自分の言動の恥ずかしさに気付き心の中でも噛む程、気を動転させる箒だった。

 

(ぬわああああああああああッッッ!!!!! 俺ってば何をやってるんだああああああ!!!!!)

 

箒とは違い最初から動揺しまくりで、当然の如く心の中でも噛む恭一だった。

 

教室に着いた2人は仲良く千冬に出席簿で叩かれた。

 

 

________________

 

 

 

HRが終わると数名が恭一の席にやって来る。

 

「やーやー1週間ぶりだねぇ渋川君!」

「おう、相変わらず元気そうで何よりだ相川さん」

「そう言えば、渋川さんはあの噂をご存知かしら?」

 

清香と話していると、静寐も入ってきた。

 

「んー? 噂?」

 

首を傾げる恭一に

 

「しぶちーは知らないと思うよー? 今日まで学校休んでたんだから」

 

ピョコンと顔を出して、そう指摘する本音

 

「なんだなんだ? 何か面白そうなネタか?」

 

皆の雰囲気からちょっぴりワクワクしている。

 

「いやぁ...私達女子にとっては盛り上がれるネタではあるかなぁ」

 

ウシシ、と笑いながら癒子もやって来る。

 

「まぁ噂はとりあえず置いといて。聞いたよー渋川君?」

「何をかね? 谷本君」

 

そう聞き返す恭一にニヤリと笑い

 

「今朝もペプシを買っちゃったんだってぇ?」

 

「「「 ブハッッ!! 」」」

 

「貴様、何故知っている?!」

 

癒子の言葉に清香達は吹き出し、恭一は立ち上がって抗議する。

 

「渋川君っていっつもペプシ買ってキレてるよねー」

「広間で渋川君の怒った声がしたら理由はだいたいペプシだもんね」

「うふふ...ペプシは強敵のようですね、渋川さん」

 

ペプシ祭りで盛り上がってる中、恭一は今朝の事を思い返す。

 

(何故だ...あの時、確かに俺以外は居なかったはず.....誰かが見てただと? そんなバカな。俺が気付かないワケがねぇ...まさかこの学園には伝説の忍者が存在しているのか...?)

 

そんな時、恭一とのほほんとした本音の眼が合った。

にっこりと微笑む本音に首を傾げる。

そのまま本音は大きく息を吸うと―――

 

「スゥー...おんどれえええええええええええええッッッ!!!!!!!!!!」

 

今朝の恭一を完璧に真似る本音の姿だった。

 

「「「あっはっはっはっ!!!!!!」」」

 

「テメェかあああああああッッ!!!! このミュータントタートルズが!!!!!!」

「下水道には住んでないよーぅ」

 

恭一の手から逃れるとスルスルと女子の群れに逃げられてしまった。

 

「くっ...のほほんさんめ。ここぞと云う時は全然のほほんとしないのがニクニクしいな」

.

.

.

恭一達が自販機の件で盛り上がっている中セシリアは箒と話していた。

 

「もうあの噂は耳にしていますか? 箒さん」

「何の話だ?」

「今度行われる学年別トーナメントで優勝した方は男子生徒と交際出来るという話が出ていますのよ?」

「......なに?」

 

(男子生徒...という事は渋川と一夏の2人という事になるが...)

 

「何故そんな話が出てきたんだ?」

「さぁ? IS学園は一夏さんと恭一さんが在籍していると言っても、女子校と変わりませんからね」

 

その一言で理解できた。

結局はあの2人を玩具にして楽しんでいるという訳だ。

 

「ふふふ...ま、まぁそんな信憑性の感じられない噂に惑わされる私ではございませんが、優勝は私が貰いますわ!!!!!」

「...思いっきり惑わされてるじゃないか」

 

セシリアの様子に苦笑いしてしまう。

 

「あら? 箒さんは恭一さんを優勝した人に取られてしまっても宜しいのですか?」

「アイツがそんな事で言い寄られて簡単に付き合うような男だと思うか?」

 

その言葉にセシリアは想像してみる。

 

「...無いですわね。むしろ睨んで怯えさす絵が浮かびますわ」

「そもそも、アイツを好きになる奴なんて私を含めても極僅かだろう」

「恥じらいも無くあっさり自分を含める箒さんに私はビックリですわ」

 

そんなやり取りをしていると千冬と真耶が教室に入ってくる。

 

「お前ら席に着け。授業を始めるぞ」

 

 

________________

 

 

放課後になり、箒は恭一の席に近寄る。

 

「今日からまたよろしく頼む渋川」

「おう! んじゃ着替え終わったら第2アリーナでな」

 

そう言って恭一は教室から出て行くが、今朝からずっと感じていた視線に目を向ける。

 

「.........」

 

視線の先にはシャルロットがジッとこちらを見ていた。

 

「......ふっ」

「ッッ!?」

 

恭一が鼻で笑うと顔を歪ませたが、すぐに元に戻すと一夏の方へ歩いて行った。

 

(俺の前に立つ時、お前はただのクラスメイトか? それとも俺を脅かす最愛の友か?)

 

 

―――願わくば、後者であってほしい

 

 

________________

 

 

 

「そう言えば、結局篠ノ之はトーナメントのパートナーは決まったのか?」

「ああ。私は本音と組む事になったよ」

「...タートルズだもんな」

「は?」

「いやこっちの話だ」

 

鍛錬しながら箒も同じ内容を恭一に聞いてみる。

 

「そういうお前は誰か決まったのか?」

「うーん...ランダムに任せてみるのも面白いかなって思ってるよ」

「ふっ...お前らしいな」

 

そんな2人にアリーナの入口から声が聞こえてきた。

 

「第3アリーナで専用機持ちの子が2人の専用機持ちの子と模擬戦してるって!!」

「え? 1vs1じゃないの?」

「どうも1人で2人を同時に相手してるみたいだよ?」

 

その言葉に恭一はピクリと反応する。

 

「...気になるのか? 渋川」

「ああ、少しな。休憩がてらにちっと見に行ってみるか?」

「いいだろう」

 

恭一はワクワクしながら箒と共に第3アリーナへと向って行った。

 

 





なにおめぇ皆の箒ちゃんとイチャこらしてんだよぉ(威嚇)

のほほんさんほど融通が利くキャラはそうはいない(断言)

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