野蛮な男の生きる道(第3話までリメイク済)   作:さいしん

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はい超えた! 今、完全にしぶちー作者の器量を超えちゃったよ!

もう知らん、オリジナル入れちゃうもんね!






第35話 そうだ、フランスへ逝こう!

「キョー君!!!!!! 会いたかったよーっ!!! さぁお待ちかねのハグタイムの時間だよ!!!!!! 束さんの魅惑的なこのボディぐはッッ」

 

ガツンッッ

 

「やめんかこの痴れ者がッッ!!!!!」

「ううっ...ちーちゃんがぶったよ~....キョー君頭痛いのナデナデして?」

「へいへい...」

 

場所はIS学園の僻地にある小汚いプレハブ小屋

 

―――ここに世界最強の3人が集っていた。

 

「それで...恭一。束までここに居るんだ。何やら大事な話があるんだな?」

 

巫山戯てはいるが、千冬は恭一と束からただならぬ気配を感じ取っていた。

 

「ああ...デュノア社の事で少し話がしたいんです」

 

恭一は今日あった事の顛末を千冬に話す。

 

「...話の内容は分かった。だが、お前が何故介入する必要がある?」

「それそれっ!! 束が聞いてもキョ-君教えてくれないんだもん」

 

千冬と束は、何故無関係の恭一が関わろうとするのかが気になっていた。

 

「......言いたくない」

 

フイッと背ける恭一の顔は少し赤かった。

 

(女の胸を揉んだからその代償に...なんて言えるかっ)

 

「「...........」」

 

最強2人は勘違う。

 

「まさか...フランスの小娘に惚れたのではあるまいな?」

「ありえないよねーキョー君は束さんの旦那様なんだから」

「あ゛ぁ? 私の旦那になる男だ。ウサ耳年増は引っ込んでろ」

「はぁ? 女子力皆無の怪力女が何言ってんの? 寝言をほざくにはまだ早いよ?」

 

世界最強の言い合いに誰が首を突っ込めるというのか。

 

「うるせーぞアホ共。それにデュノアなんざカス程興味ねぇよ」

 

恭一は何というか、別格だった。

 

「それで...デュノア社について調べてきてくれたかい?」

「まっかせてー! クーちゃんが数時間で作ってくれました!」

 

そう言い、資料を手渡される。

 

「クロエには後でお礼を言わないとな...しかし、なるほど。これなら付け入る隙はありそうだ」

 

クロエに感謝しながら資料に目を通す。

 

「このデュノア夫妻はゴミだな。資料だけでも虫唾が走る」

 

娘を道具のためだけに拾い上げた実の父。

同じく自分の欲望以外まるで興味の無い典型的な女性至上主義な母。

この2人がこれまで犯してきた所業に目を通すと、千冬は苦々しい顔で毒吐いた。

 

「フランスの糞餓鬼はまだ運は良い方だねー、デュノア社の大半の社員がこの子に対して同情的だよ」

「....『マッシュ・シルバーバーグ』『オデッサ・シルバーバーグ』兄妹か。この2人がデュノア夫妻を除けば、デュノア社のトップだな」

 

束の言葉に恭一も資料を通し、2人の存在に目を付けた。

 

「この兄妹もデュノアの待遇には最後まで反対してたようだな。結局、社長命令と社員の生活を理由に意見を却下されてしまったみたいだが...」

 

千冬も内部情報に目を通しながら呟く。

 

「...........」

 

資料を読み終えた恭一は瞑目する。

そんな恭一を千冬と束はただ、見守る。

 

 

「デュノア社に殴り込みに行く。姉ちゃん、出してくれ」

「........分かったよー」

「おい...本気で言っているのか? 腐ってもデュノア社は大企業だぞ? 1人で行くなど、死にに逝くようなモンだぞ!?」

 

恭一と束の言葉が本気である事が分かってしまった故に、千冬は焦って停める。

 

「だってよ姉ちゃん? 俺死ぬと思う?」

「んー...単身で乗り込む...普通に死んじゃうかもねぇ」

 

「「あっはっはっはっは!!」」

 

大爆笑の束と恭一

 

「なっ...何で笑っていられる!?」

「むっふっふ~...束さんはキョー君と5年も居たんだよ? ここじゃあキョー君は大分大人しく過ごしてるみたいだねぇ。こんな事、日常茶飯事だったよ?」

 

「なっ........」

 

束のまるで動じていない言動に言葉を失ってしまう。

 

「...ここでは常に受けて立つ立場だったからな」

 

そう言うと恭一は空にハイキックをかます。

 

「久々に挑戦者の気分だぜ」

 

ようやく興が乗ってきた恭一だった。

 

「はぁ....言っておくが、死んだら許さんからな? 閻魔大王を倒してでもお前をこの世へ連れて帰ってやる」

「くっくっ...今の千冬さんなら裸足で逃げ出すでしょうよ」

「むむむ...中々に良い雰囲気っぽい」

 

3人は暫くたわいのない話で盛り上がった。

今から命を賭けに行く者との会話とはとても思えない、くだらない話で笑いあった。

 

「俺はインフルエンザという事にでもしておいて下さい。3日もあれば帰ってきますんで」

「....篠ノ之には何も言わなくて良いのか?」

 

ピクッ

 

千冬の言葉に束が反応する。

 

「アイツは...アイツにはこっちの世界は暗すぎる。俺は少なからずデュノア夫妻を殺しに行くんです。俺は...篠ノ之が悲しがる顔を見たくない」

「そうか...ならばこっちの事は私に任せておけ。更識と私でフォローしておく」

 

2、3言葉を交わすと、挙一は束の乗ってきた人参型ロケットへ乗り込む。

 

 

「...っ.......恭一!!」

「ん? んんんっっ?!」

 

千冬の声に後ろを振り向くと...

 

 

「んっ........」

 

 

―――口づけをされていた。

 

「◇□△▽○♂♀~~~~~~~?!?!?!?!!」

 

束の声にならない声

 

「ちっ...千冬さん?」

 

さすがにそっち方面に疎い恭一も何をされたか理解する。

 

「...しょっ...勝利のおまじないだ! 私の唇を捧げたんだ、帰ってこんと許さんからな!!」

 

顔を真っ赤にさせて言う千冬に

 

「...ああ、行ってきます千冬さん」

「おう、暴れてこい恭一」

 

「ちーちゃんコロスちーちゃんコロスちーちゃんコロスちーちゃんコロスちーちゃんコロスちーちゃんコロスちーちゃんコロスちーちゃんコロスちーちゃんコロスちーちゃんコロスちーちゃんコロス.....」

 

運転操作しながら呪詛を吐き続ける束を見て恭一は思う。

 

...そっとしておこう。

 

 

________________

 

 

 

『お前みたいに何も苦労せずにヘラヘラ生きてる奴には俺やシャルルみたいな人間の気持ちは分からないんだろうな!!!!!!!』

 

お前はあるのか...母親に殺された事が

お前はあるのか...目の前で母親の亡骸を見た事が

お前はあるのか...5歳のガキが生きるために泣きながら虫を食った事が

お前は.......。

 

「.......感傷か。自分の不幸自慢を振り撒く程ダセーこたぁねぇよなぁ」

「んー? キョー君何か言ったぁ?」

「いいや、何でもないよ姉ちゃん。そろそろ着くかい?」

「うん...本当に良いんだね? 束さんはゲートシステムのハッキングと電波ジャック以外手を出さないで...」

 

心配そうに恭一を見る束

 

「十分さ、この喧嘩は単なる俺の我侭だ」

.

.

.

デュノア社本部前―――

 

「フィリップ・デュノア、エレン・デュノアにマッシュ、オデッサ兄妹も居るよ」

 

首を回しながら息を吐く。

 

「そうか...んじゃ行ってくる」

「行ってらっしゃい!」

 

今から何処か遊びに行ってくる、そんなやり取りを束とし終えた恭一はデュノア社の扉を正面から入っていった。

 

「.....死んじゃやだよ、キョー君.....」

 

 

________________

 

 

 

正面ルームに入ると、恭一は受付嬢に話しかける。

 

「やぁ...社長夫妻はいるかい?」

「...どう云ったご用件でしょうか?」

「なぁに...プチッと殺しに来たんだ」

「はぁ...? 何言ってるのボウヤ? バカな事言ってないで出て行かないと、怖い人達呼んじゃうわよぉ?」

 

受付嬢の反応は至極真っ当である。

どこの馬の骨かも分からない15歳の子供の言う事など、いちいち真に受けている暇など無いのだ。

 

「それは困る...」

「でしょ? さっさとおウチに帰りなさい」

 

 

バゴォォォォォンッッ!!!!!!!

 

 

恭一と受付嬢を隔てていたカウンターが粉々に飛び散る。

上から勢い良く振り下ろした恭一の踵によって。

 

「なっ.....」

「きゃあああああああああああッッ!!!!」

 

もう1人の受付嬢が悲鳴を上げ、騒ぎを聞きつけた警備員が3人やって来る。

 

(警棒のみ...ナメてるねぇ!!)

 

瞬時に1人の間合いに入るや人中に一本拳をおみまいし、そのまま胸ぐらを掴むと2人の方へ投げ飛ばす。

 

「「うわっ」」

 

反応しきれず、倒れ込む2人の警備員の喉に足刀を食らわし、意識を狩る。

 

「ふぅ.....」

 

瞬く間に3人を制圧した恭一はボロボロになったカウンターで縮こまっている受付嬢の元へ近寄る。

 

「ひっ....」

「こ、殺さないで...」

 

「勘違いしなくて良いって。さっきも言ったろ? 俺が用事あんのは社長夫妻、あとはシルバーバーグ兄妹さ」

 

そう言ってから内線で継せる。

 

「しゃっ...社長...おっお客様がお見えになっております」

「何だと? 今日はアポは無かったはずだが」

 

あっ

 

受話器を奪い取る

 

「もすもすひねもすぅ~社長さんデースかぁ?」

「...何だ貴様は?」

「あんたを殺しに来た不届き者デース。もう逃げられませんヨーウ」

 

ブツンッ

 

恭一がそう言うと、デュノア社の全てのゲートが閉まり、回線が繋がらなくなった。

 

(束さんがやってくれたようだな...これで後顧の憂いは絶った)

 

『社長夫妻の部屋もロックしたよ~、これであの2人は逃げらんないねぇ』

 

「怖がらせてすまんな姉ちゃん達。俺は適当に暴れてっから死にたくなけりゃ、マッシュ氏を呼んで来い」

「あっ...あわわ」

「さっさといかんかッッッ!!!!!!!!」

 

「ひっひいいいいいいいいいいいっっ」

 

恭一の咆哮で誰も居なり、肩をゆっくり回す。

 

 

―――さぁて...暴れるぜえええええええええッッッ!!!!!!!!

 

 

________________

 

 

 

もう何人落としたか...大手企業とは云え、増援が呼べない以上生身の警備員は粗方倒した恭一

 

「.....ここは?」

 

適当に歩いて行くと、IS学園にあるアリーナに似た場所に出てきた。

 

「なるほど...ここでラファール・リヴァイヴの検査を行ったりしてんのか」

 

中央まで歩みながら恭一は呟く

 

「その通りですよ...狼藉者」

 

男の声に振り向くと、周りにはラファール・リヴァイヴを纏った者が10数人配置されていた。

 

「アンタがマッシュ・シルバーバーグさんかい?」

「ええ、そうです。貴方は見た処、アジア人のようですが? それもまだ幼い」

「...歳は15、日本人さ」

 

この状況にもまるで焦りを見せない少年にマッシュは興味を示すが、罪は罪である。

 

「貴方の思惑は分かりますよ。デュノア社は世界に誇る企業です。何者かに頼まれ、騒動を起こすのが目的か、はたまたデータを盗みに来た命知らずか...今の世界はISを中心に回っていますからね」

 

悲しそうな顔で述べるマッシュ

 

「しかし、こんな時代に武器も持たず、正面から堂々と突破してきた度胸はお見事です。大人しく縛に就きなさい。今ならまだ悪いようにはさせませんよ?」

 

マッシュが本心で語っている事が恭一にも伝わった、が―――

 

―――ふっ

 

「縛に就けだと? 喧嘩は始まったばっかだ。野暮な事を言うもんじゃねぇぜ? マッシュさん」

 

「喧嘩...ですか?」

 

あくまで不敵な態度を崩さない恭一とますます興味を抱くマッシュ

 

 

「デュノア夫妻がアイツの未来を閉ざすと云うのならこれしかねぇ...一人対一国の大喧嘩だッッッ!!」

 

 

(社長...アイツ...日本の少年....ッッ)

 

「君は...まさかッッ......」

 

(彼は『織斑一夏』なのか? しかし、それならISを展開するはず)

 

「くっ...彼を捕らえなさい! 決して死なせてはいけませんよっっ!! それと、君はオデッサを至急呼んできてくださいッッ!!!!」

 

「「「「「 はっ!! 」」」」」

 

マッシュの指示が終わると、待機していたラファールが恭一に猛スピードで向かってくる。

 

恭一は自然体で迎え撃つ...筈も無く、自らラファールの密集地帯へ突っ込んでいく。

 

キィィ...........ン

 

その時、恭一の身に付けていた打鉄の待機状態であるブレスレットが微かに震えた気がした。

 

(ラファール・リヴァイヴ...心臓がガラ空きの時点でカモなんだよ!!!!)

 

恭一を掴もうとする腕を潜り抜け、心臓を狙い打つ。

 

―――富田流 " 金剛 "

 

「ぐっ...」

「がっ......」

 

1人目を懐に潜り込みながら、右拳で『金剛』を放ち、瞬間左後方に半回転を加え2人目の心臓に向かって肘での『金剛』を放つ。

 

バタッ ドタッ

 

後ろから恭一を両腕で捕まえようとするが、上空へ躱しサマーソルトの要領で相手の後頭部への足刀刈り...から大地への踏み付け

 

「あがっ.....」

 

食らった者は意識は保てたが、絶対防御が発動し大きくシールドが削られていた。

武器を一切使用させず、出来るだけ怪我を与えずに捕まえようとしている事を含めても異常な光景だった。

 

(何故生身の拳や蹴りでISを纏った者を気絶させる事が出来る!? 彼は何者だ!? いや、そもそもアレは本当に『織斑一夏』なのか!?)

 

ISを展開せずに戦いを挑む少年にマッシュは戦慄を覚える。

 

 

ドギャンッッッ!!!!!!!

 

 

耳を劈く爆音がそこにいる者達を震わせた。

 

 

________________

 

 

 

「これは一体、なんの騒ぎかしら? 兄様」

「やっと来たか、オデッサ」

 

オデッサと呼ばれた者は恭一の姿を確認する。

 

「...なるほど、確かに一致するわ。貴方、2人目のIS起動者でしょ?」

 

(2人目...やはり織斑一夏では無かったのか...いや待て2人目だと?)

 

「お初にお目にかかる、自分は『渋川恭一』と申す。アンタの言う通り2人目だよ」

 

息を整えながらオデッサの問いに応える恭一の周りには、6人のISを纏った女性が倒れていた。

 

「手の空いた者は、彼女達を医務室に連れて行きなさい。この少年は私と兄様で話をつける」

 

「「「「「 はっ!! 」」」」」

.

.

.

「改めて自己紹介させてもらおうかしら、私は『オデッサ・シルバーバーグ』。デュノア社副社長の秘書を務めているわ」

「私は『マッシュ・シルバーバーグ』。ここの副社長をさせてもらっています」

 

「俺は『渋川恭一』だ。まぁ...IS学園の生徒だな」

 

簡単に紹介を終えると、マッシュがまずは口を開く。

 

「さて、もう一度聞かせてくれないか? 君の目的は何なんだ?」

「デュノアの親を殺す。んでアンタ達にデュノア社を乗っ取ってもらいてぇ」

 

そこでオデッサも口を挟む。

 

「そんな事言われて私達がすんなり納得するとでも?」

「そもそも、それをして君に何の得があるというんだい?」

 

マッシュの疑問にオデッサが勘ぐる。

 

「あっ...もしかしてシャルロットちゃんに惚れたとか?」

「.......めんどくせぇけど、全部話しちまうか...」

.

.

.

「ぶううううううッッ!!!! あっはっはっははははは!!!!!!!!」

「ぷっくく...笑いすぎですよ、オデッサ」

「だって、だって兄様聞いた!? おっぱい触ったからって! シャルロットちゃんのおっぱいってデュノア社と事を構える程、貴重なモノだったのね!?」

 

ツボに入ったのか、ゲラゲラと笑い転げるオデッサ

 

「ちっ...だから言いたくなかったんだよ」

 

不貞腐れる恭一に笑いかけるマッシュ

 

「いやはや...たったそれだけのために、単身で乗り込んで来ますか。世の中には私達の知らない大馬鹿がまだいるみたいですね」

 

「それで...どうだ? 俺に協力する気はあるか?」

「確かに、君の言う通り私達部下の大半は社長夫妻のやり方に不満を持っています。ですが....」

 

マッシュが言葉を詰まらせてしまう。

 

「綺麗事だけじゃ...生きていけないのよ。私達は弱い人間よ。だから社長の指示に従ってシャルロットちゃんを利用する事しか出来ない。多くの社員を路頭に迷わせる訳にはいかないのよ」

 

下唇を噛み締めながら、悔しそうに話すオデッサ

 

そんな2人に恭一はポケットからチップを取り出しマッシュに向けて投げた。

 

「...これは?」

「これまで以上にISの汎用性を高める事を可能にするデータが入っている」

 

「「なっ....」」

 

「すぐに確認させるわ!」

 

オデッサはそう言うと足早にそこから去って行く。

 

「君は...ISの適正値で前人未到の『F』判定を叩き出したそうだね?」

「...そのおかげで皆が俺を出来損ない呼ばわりさ」

 

そう笑顔で話す姿にマッシュは『渋川恭一』という存在を理解し始めていた。

 

「君のそのブレスレットは...ISの待機状態だね?」

「ああ、打鉄が入ってるよ」

「どうして、さっき身に纏わなかったんだい?」

 

マッシュはずっと疑問に思っていた事を聞いてみた。

 

「俺は喧嘩をしに来たんだ。ISは喧嘩の道具じゃねぇ...空を翔ける翼なんだ」

「翼...か。果たして、今の時代に君と同じ考えを持つ者が何人いるかな」

 

ISは『力の象徴』、この思想が蔓延している中で恭一のようなISに対する認識は間違いなく少数であろう。

 

 

________________

 

 

 

「あら、随分仲良くなったみたいね」

「戻ったかい、オデッサ。それでデータの方はどうだった?」

 

マッシュの問いにオデッサは満足気に頷く。

 

「これなら、デュノア社が倒産するような事態は免れるわね。礼を言わせてもらうわ恭一君?」

「いや...本題はここからだろ?」

 

恭一の雰囲気が変わり、オデッサも引き込まれるように変わる。

 

「ええ、そうね。これならシャルロットちゃんは男のフリもしなくていいし、スパイじみた事もしないでよくなった....でも―――」

 

「デュノア夫妻がこれで満足する訳が無い。味をしめるやもっと要求してくる可能性だって考えられる」

 

2人の言葉にマッシュも続く。

 

「デュノア社は救われるが、シャルロットさんは未だ救われる訳では無い...」

 

重苦しい雰囲気が流れる。

 

「そのために君は社長夫妻を殺すのね? シャルロットちゃんの呪縛を完全に解き放つために―――」

「そんなカッコいいモンかよ。気に入らねぇから唯、潰す。あの2人が生きてる限り、デュノアもウジウジしたまんまで鬱陶しいったらねぇんだよ」

 

恭一の言葉に2人は瞑目する。

 

「...なら貴方の覚悟を示してもらうわ、恭一君」

「....聞こう」

 

オデッサの言葉に先を促す。

 

「私達、デュノア社員の未来は貴方に貰ったデータのおかげでもう安泰が約束されたわ。わざわざ殺人を担ぐ危険なんて、私も兄様も必要無いのよ。むしろ今一番ベストな方法は、貴方を用済みとして殺す事よね」

 

「オデッサ......」

 

妹の言葉に顔を強ばらせるマッシュ

中央まで歩いて行ったオデッサは『ラファール・リヴァイヴ・全身装甲型』を纏った。

 

「ふふふ...久しぶりね、ISを纏うのも」

 

指をクイッと恭一に向けるオデッサ

 

「安心しなさい、武器は一切装備していないわ。貴方はどうする? 打鉄を纏う?」

「はっ...いい口上だ。勝負を知ってるなオデッサさん」

 

当然と言わんばかり、生身で中央へ近づいて行く。

 

「あったり前でしょ? だってシャルロットちゃんを鍛え上げたのは私なんだから」

 

そう言い、オデッサは拳を前に出す。

オデッサの意図に気づいた恭一も同じく出された拳に軽く触れさせる。

 

「俺は俺を貫かせてもらう...アンタ達にはデュノアの正式な後ろ盾になってもらうぜ!!」

「貴方には本当に感謝している....それでも殺す気でいくから、貴方も遠慮無く掛かってきなさい!!」

 

 

恭一の意地を懸けた喧嘩が今、始まる―――

 

 





なんだこれは...(唖然)
もう開き直るしかないね、このまま突っ走らせちゃうからね(宣言)


ちなみにしぶちーと対峙してる2人の兄妹は別作品のキャラです。
こっちの世界に来てもらいました。


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