野蛮な男の生きる道(第3話までリメイク済)   作:さいしん

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バトルあり!
エロあり!
ギャグあり!

王道をいく『ハートフルラブコメディー』

ここに開幕を宣言するッッ!!!!




第14話 初めての学園生活すたーと

女、女、女、女

見渡す限り女だらけの学園に教室---

 

1人目の男はこの状況に困惑し縮こまっている。

2人目の男は前世の幼稚園以来の学園という事もあり、無表情を保っているが、内心ウッキウキだった。

 

「皆さーん、揃いましたね?それじゃあHRを始めますよー」

 

ここ数日間で聞き慣れた声がした。

 

「私は副担任の山田真耶です。これから一年よろしくお願いしますね」

 

「「「「.......」」」」

 

何故無反応?

そう思う恭一にふと真耶の視線が止まる。

 

よろしく、の意味を込めて恭一は軽く頭を下げた。

 

それだけでも、余程嬉しかったのか真耶はハッキリと笑顔になった。

.

.

.

クラス只今自己紹介の真っ最中である、が---

 

「織斑君...織斑君?織斑一夏君!」

「はっ、はい!?」

 

考え事でもしていたのか反応が遅れていたようだ。

 

「次は織斑君の番ですよ」

 

そう言われ一夏は慌てて立ち上がり

 

「織斑一夏です。よろしくお願いします」

 

「「「「.........」」」」

 

やはり周りは無反応、というよりも期待が篭った視線と沈黙、と現すのが正解か。

 

(うーむ...俺も自己紹介なんてした事ないからなぁ。織斑のを参考にさせてもらうか)

 

そんな恭一の考えとは裏腹に

 

「...以上です!」

 

織斑一夏の自己紹介は名前だけで終わった。

 

---ガツンッッ

 

いきなり現れた最強により頭を叩かれる一夏。

 

「げえっ!関羽!?」

 

一夏の会心のボケ(?)に対しても周りはまるで無反応だった。

 

(関羽か...まずは呂布と戦ってみてぇな)

 

恭一だけはちゃんと反応していた。

反応した内容は少しアレだが。

 

「誰が三国志の英雄か、馬鹿者」

 

呆れた口調で律儀に返す千冬に

 

「あっ千冬姉!」

「学園では織斑先生と呼べ」

 

ドゴッと殴られ再びうずくまる一夏。

 

千冬は教卓に立つと、着席している生徒を見渡す。

 

「諸君、私が貴様らの担任である織斑千冬だ。まずはこの一年でヒヨっ子共にISの全てを理解させる。逆らっても構わんが、私の言うことは絶対に聞け。いいな?」

 

(最初っから飛ばしてんなぁ千冬さん)

 

そんな事を恭一が思っていると

 

「きゃああああああ!!!素敵ぃ!本物の千冬様をこの目で見られるなんて!」

「私、お姉様に憧れてこの学園に北九州から来ました!!」

「あの千冬様にご指導いただけるなんて嬉しくて死んじゃいそう!」

「私、お姉さまの命令なら何でも聞きます!」

 

(ん?今何でもって...)

 

「...はぁ。毎年毎年、よくもこれだけの馬鹿者共がたくさん集まるものだ。ある意味感心させられる。それとも何か?私のクラスにだけ馬鹿共を集中させるように仕組んでいるのか?」

 

ウンザリしたように吐き捨てる千冬だったが、その言葉すらも少女達に取っては甘露なのか

 

「きゃあああああっ!お姉様!もっと叱って!!」

「でも時には優しい笑顔で甘く囁いて!」

「そしてつけあがらないように毎晩調教してえええええええええええ!!!!」

 

「......黙れ」

 

「「「「「「ひゃっ....」」」」」」

 

千冬は殺気を込め、短く一言呟いただけだった。

それでも入学したての生徒達には効果が抜群のようで一瞬で皆、気圧されてしまった。

その中には一夏や千冬を知る篠ノ之箒、そしてイギリス代表候補生のセシリア・オルコットも含まれていた。

 

そんな中、恭一だけが

 

---千冬さんの殺気は心地良いなぁ

 

惚けていた。

 

「で、挨拶もまともにで出来ないのかお前は?」

「いや千冬姉、俺は」

 

---バコッ!

 

「何度も言わせるな、織斑先生だ。公私を弁えろ」

 

2人のやり取りからクラスの生徒達がザワつき始める。

 

「織斑君ってもしかして千冬様の弟?」

「それじゃあ、ISを動かせるって言うのも納得かも」

「でも、もう一人の方は?」

 

訝しげに恭一を見てくる女子達。

 

「きょ..ゴホンッ、渋川お前も自己紹介しろ。このままでは他の生徒が気になって授業に身が入らん」

 

(今、絶対恭一って言いかけたぞこの人)

 

「自己紹介...分かりました」

 

そう、言い恭一は立ち上がると

 

「渋川恭一だ。2人目のIS起動者という事で、何かしら自分に含むとこもあるだろうが、1年間よろしく頼むよ」

「ふむ...渋川、お前は趣味とか好きなモノとか無いのか?」

 

座ろうとした渋川に担任からの待ったコールが

 

「趣味...そうですね、サバイバルが趣味だと言って良いのかもしれません。好きなモノは...」

 

少し間を空け、千冬と視線を絡ませる恭一

 

「...強いヤツです」

「ふっ..そうか、座れ」

「はい」

 

恭一の答えに満足したのか切り上げる千冬。

 

(公私を弁えるつもりあんのかあの人...)

 

恭一が座ってからの周りの反応はマチマチだった。

未だに一夏の方に視線を送っている者。

俺を見て興味を失くす者。

千冬お姉様に色々聞かれたからか、嫉妬で睨んでくる者。

 

(少なくとも好意の視線は零、当然と言えば当然か)

 

織斑一夏は千冬の血縁者という事で、学園の大半にもすんなり受け入れられるだろう。

しかし、恭一は違う。

まさしく、ポッと出の存在。

ドコの馬の骨かも分からぬ存在。

 

女性至上が支持される理由のIS神話。

女性にのみ許された絶対的強さ。

男では絶対に起動させる事など不可能。

故に女性が強い。

これからは正に『女の時代』

女性の明日は未来永劫、栄光に導かれる。

 

それに待ったをかける可能性を秘めた男が現れた『渋川恭一』

 

IS学園の大半の生徒から敵愾心を持たれても仕方の無い環境であった。

理不尽極まりない、常人なら泣き叫ぶであろうこの状況。

その事をしっかり理解している恭一は

 

---早く誰か襲って来ないかなぁ

 

やっぱりウキウキしていた。

 

 

________________

 

 

 

「........」

 

ジィー

 

「ん?」

 

サッ

 

「.............」

 

ジィーーーーー

 

「んん?」

 

ササッ

 

(何がしたいんだコイツら...)

 

さすがの恭一も周りの態度に辟易していた。

話しかけてくるのでも無く、観察してくる視線の山。

なのにこちらが視線を向けると直様、顔を背ける。

視線を下ろすと、またもや好奇の視線が始まる。

 

イライライライライラ

 

織斑の席を見てみると黒髪のポニーテルの子と話して共に教室から出て行った。

 

そのポニーテールの少女こそ篠ノ之箒であり、篠ノ之束の妹なのだが、束から特に知らされてなかったので恭一は気にも留めなかった、と言うより

 

イライライライライラ

 

イラつきが勝っていた。

 

「ちょっとよろしくて?」

「あ゛ぁ?」

 

唐突に声を掛けられさすがに嫌な反応をしてしまったか、と反省し相手を見る恭一。

 

「まぁ!なんですのその間の抜けたお言葉!この私に声を掛けられただけでも名誉ある事でしてよ!それ相応の態度があるのではなくって?」

 

そう言い、何やら尊大なポーズをとっている少女。

 

整った顔に、綺麗にロールされた金髪、透き通るような白い肌。

碧い瞳がさらに彼女を美しくさせていた。

 

「すまないな、少しイラついてたんだ。気に障ったのなら謝るよ」

「ふんっ...これだから下賤な輩は困りますわ」

 

(コイツも飛ばしてんなぁ)

 

恭一は今、明らかに侮辱されたのだがこの状況を嬉々として受け入れていた。

 

「それで、俺に何のようかな?えっと...名前なんだっけ?」

「なっ...私を知らないですって!?このセシリア・オルコットを?イギリス代表候補生にして、入試主席のこの私を!?」

「すまんな」

「きぃぃぃぃッッ!!!馬鹿にしているでしょう貴方!?」

「すまんな」

「あっ、貴方ねぇ!!」

「すまんな」

 

そこで予鈴がなり

 

「また来ますわ!!」

 

そう言い残してセシリアは自分の席へ戻って行った。

 

いかにも腹を立てている様子のセシリアに対し恭一は---?

 

(アレだな、癒し系だったな)

 

セシリアのおかげ(?)で荒んだ心が癒されたようだった。

 

 

________________

 

 

ここまで、つつがなく授業が進行されていた。

 

「織斑君、ここまでで何か解からないところはありますか?」

「あ、えっと」

「解らないところがあったら訊いてくださいね。何せ私は先生なのですから!」

 

胸を張って言う真耶に対し

 

「先生!」

「はい、織斑君!」

「ほとんど全部わかりません!!」

 

その答えにさすがに唖然としたのか

 

「ぜ、全部...ですか?」

 

(んん?勉強して来なかったのかアイツ)

 

恭一は織斑一夏という存在を見極めようとしていた。

 

「えっと...今の段階で解らないって言う人が居れば、手を挙げて貰って良いですか?」

 

誰も挙げない。

束の地獄教室の成果により、恭一も今のところ理解出来ていたので挙げない。

 

「渋川君は大丈夫ですか?」

「はい、今のところは問題ないです」

「えぇっ!?」

 

驚いたような声をあげる一夏に対し、恭一は未だ見極めあぐねていた。

 

(何故驚く。ここは束姉ちゃん曰く基礎中の基礎のはず。それすら分からんって事は学んでこなかったんじゃねぇか?)

 

恭一はさらに思案する。

 

(男性というだけで無理やり入学させられた事への反骨心から敢えて学ばない事で己を主張する猛者か。それとも、ただ何も考えず流されるまま生きる凡愚か)

 

恭一にとって当然、前者であってほしいと思った。

前世から含め、初めての友達が出来るかもしれないんだ。

 

つまらん奴であってくれるな----ッッ!!

 

「織斑、入学前に渡された参考書は読んだのか?」

 

見かねた千冬が一夏に声をかける。

 

「古い電話帳と思って捨てました」

 

ドゴッ!

 

「ぐっ...」

 

(わ・ざ・と! わ・ざ・と!)

 

今この教室で、何故か最も興奮している恭一。

 

「必読と書いてあっただろうが馬鹿者が。後で再発行してやるから一週間以内に覚えろ。いいな?」

「いっ...いやさすがに1週間であの厚さは」

「やれ」

「....はい、やります」

 

項垂れる一夏と同時に恭一も項垂れた。

 

(天然凡愚じゃないか.....)

.

.

.

「少し良いか?」

「ん?ああ凡..織斑君か、何の用だ?」

「たった2人の男なんだ、仲良くやろうぜ恭一」

 

(何故、ファーストコンタクトで名前呼びなんだ?いや其れが普通なのか?)

 

「ああ、よろしく頼むよ織斑君」

「固いなぁ、一夏でいいって」

「まっ...それは追々な」

 

不満そうな一夏だったが、そこにさらに不満そうな顔をした者が現れた。

 

「ちょっとよろしくて?」

 

セシリア・オルコットだった。

 

 

________________

 

 

 

「そう! エリートなのですわ!」

 

恭一と一夏はセシリアの自慢を長々と聞かされていた。

 

「本来なら私のような選ばれた人間とはクラスを同じくする事だけでも奇跡なのでしてよ。その現実を理解していただけたかしら?」

「そうか。それはラッキーだ」

 

棒読みな一夏の反応に対し

 

「...馬鹿にしていますの?」

 

頬をピクつかせるセシリアであったが

 

「すまんな」

 

恭一の一言でキレた。

 

「きぃぃぃぃ!!!貴方、先程からそれしか言ってないないじゃありませんか!?」

 

くってかかるセシリアだったが、あくまで無表情で接する恭一。

 

「すまんな」

 

「くうううううううッッ!!!!だ、大体あなた方よくこの学園に入れましたわね。世界で2人だけの男性起動者と聞いてましたが、知性も礼儀もまるで無し。ほとほと期待外れですわね」

 

わざとらしくため息をつくセシリアは、さらにヒートアップしていく。

 

「まぁでも、私は優秀ですから貴方達の様な人にも優しくしてあげますわ。ISの事なら泣いて頭を下げれば教えて差し上げてもよろしくってよ?な・に・せ、私は教官を倒す程のエリートなのですから!」

 

貴婦人よろしくなポーズを取るが

 

「あれか?ISを動かして戦うってやつ?」

 

そこに一夏が待ったをかけた。

 

「ええ、そうですわよ?」

「あれ?俺も倒したぞそれ」

「....え?」

 

予想もしていなかったのか、一夏の答えに固まるセシリア。

恭一もそれを聞いて目を細める。

 

(もしかして天才型なのか?)

 

「わ、私だけと聞きましたが」

「女子ではってオチじゃないのか?」

 

プルプル小刻みに震え出す...。

怒りからなのか、自分だけだと思っていた事への羞恥からなのか。

 

「そ、そっちのあなた!貴方も教官を倒したって言いますの!?」

「........いや、あっさり負けた。それはもう見事に」

「ふ、ふん!所詮男なんてその程度でしょうね!!」

 

この状況下で恭一が嘘をついた事を見破れ、と言う方が酷であろう

 

見下せる相手を見つけたのか。

一夏をスルーし、恭一に矛先を向ける。

 

男に恨みでもあるのか。

恭一を格下として見下したがるセシリアを察知し、さらに揶揄出来る要素をわざと投下する恭一。

 

「むりむり。まだ皆知らんだろうけど俺なんて世界初のIS適正値『F』だぜ?だーれにも勝てんよ」

 

それを聞くとセシリアだけで無く、盗み聞きしていた周りのクラスメイトまで爆笑した。

 

「おーほっほっほ!!やはり男は下賤ですのね!最低の『D』ランクですら今まで存在しなかったですのに、それを飛び越して『F』などと!呆れを通り越して不憫に思いますわぁ!」

「ねぇ聞いた?渋川くん適正値『F』なんだってさ」

「どーせ、男なんてそんなモンでしょ?」

 

侮蔑と嘲笑の渦が巻く、まともな感性の持ち主なら目を背けたがるような空間。

鈍感な一夏はまるで気づいていなかったが、今まで盗み見ていた篠ノ之箒はこの雰囲気に嫌気をさしたようで、窓の方へ顔を向けた。

 

(織斑は...まぁいいやまだまだこれからだ)

 

恭一は知らない。

一夏は決して、恭一の思っているように倒した訳では無い事を。

突っ込んできた相手を避けたら壁に激突して終了。

さすがにこれを実力で倒したと言われても唸ってしまう。

この事を知っていたら、これを倒した発言した一夏は恭一の中で凡愚が確定していただろう。

 

しかし、今は織斑一夏では無く---

 

(それよりも---セシリア・オルコットか...中々いいなァ)

 

 

---誰も歪みに気付かない。

もしもこの場に束やクロエ、千冬がいれば背筋が恐ろしく凍ったであろう。

 

なにせ、鬼の顔をした者が嗤っていたのだから---

 




恭一くんの評価一覧

織斑一夏:凡愚?天才型?要見極め時間

セシリア・オルコット:もっと絡んできてくれよぉ!!

良かったなセシリア(白目)

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