野蛮な男の生きる道(第3話までリメイク済)   作:さいしん

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昨日、原作取材のためにクソ台らしいと
敬遠してたISのスロットを打ったゾ
もちろん、収穫はあるゾ

・セシリアの声が思ってたより高かった
・箒だけズバ抜けて歌が上手いと思った(小並感)

以上。
取材費は4万円になります。
ふざけんな!!!!!(迫真)

大人しくアニメを観れば良かった。いやマジで


第10話 語り合い

私はこれまでの事を全て目の前の少年に話した。

 

篠ノ之束という理解されない己が存在。

ISへの想い。

そして白騎士事件。

世界の変貌。

 

私が語り終えるまでキョー君はただ目を閉じ、聴きに徹していたようだった。

 

「...これで、束さんのお話は全部だよ」

 

恭一に聞いてもらいたくて束は全てを話した。

しかし、言葉にしていくうちに何故か一抹の不安を感じていた。

 

 

自分がこれまで進んできた道を束は後悔していない。

己が興味を惹かれない者に対する排他的思考。

ISを認めさせるために友人の織斑千冬に頼んで起こした、壮大なマッチポンプ。

 

---白騎士事件

 

 

後悔はしていない...していないはず....。

それなのに、どうして身体が震えてるの...?

 

今まで人間関係を疎かにしていたツケであろう。

自分と恭一の心的間隔から来る感情を把握出来ずに居た。

 

束のそんな思考を恭一の声が遮る。

 

「...感慨深い」

「え?」

「人間が違うと、ここまで行動も考えも変わるもんなのか」

「な。何を言ってるのキョー君?束さん分かんないよ」

 

「姉ちゃんは子供ン時、他人に理解されない程、超越した自分に恐怖を感じた事はあったかい?」

「...あるわけないよ。束さんは天才だもん。そもそも凡人共に束さんが理解出来るはずが無いんだ」

 

(ちーちゃんは別だけどね)

 

「ははっ...そういう考えもあったんだなぁ」

「...キョー君?」

 

「姉ちゃん...俺は堪らなく怖かったよ。自分の異常性が...自分の『圧倒的な身体』が」

 

母に捨てられる前の事を恭一は思い出していた。

 

「...ライオンと素手で圧倒してたもんね。そう考えたらキョー君も凡人共と一線を画する存在だね!」

 

自分の事のように誇らしげに言ってくる束に

 

(俺もこれくらい割り切れてたら母さんに捨てられる事は無かったのかな...)

 

どこか寂しそうな目をする恭一。

 

「まぁ昔は昔!俺だって今じゃ自分のこの強さを誇りに思ってるからなっ」

「あったり前だよっっ♪」

「しかし...白騎士事件かぁ...」

 

嬉しそうに頷いていた束の頬が少し牽くついた。

 

白騎士事件とは---

 

各国のシステムがハッキングされ、日本を2341発のミサイルが襲った。

しかし、白銀のISを纏った者によって全て無力化された。

この突如現れた英雄により、ISの有能性が世界に証明された瞬間である。

 

だが、これは全て篠ノ之束と織斑千冬の2人による自作自演であった。

ISを嘲笑された束がハッキングをかけ、唯一の友人である千冬に頼み込み、ミサイルを迎撃させたいわゆるマッチポンプだった。

 

「自作自演か..しっかしわっかんねぇな...」

「それは...」

 

ちーちゃんにも言われた。

こんな事をしていったい何になるんだって。

 

俯いて束は黙り込んでしまった。

 

実際、この事件を機にISは『究極の機動兵器』として認識され、束の夢である『翼』としてのISは彼方に消え去ってしまった。

 

自業自得---この言葉が束の頭を横切る。

 

「分かった!なーんでイマイチ姉ちゃんに魅力を感じれないか分かったぜ!!」

「えっ...きゅ、急になんの話?」

「あのなぁ俺からすりゃどうでも良いんだよ。姉ちゃんが何を思ってンな事をしたかなんて」

「そ、そうなの?」

「姉ちゃんがした事だ。先憂後楽するのも姉ちゃんの自由さ。だがな姉ちゃん...いや」

 

 

---お前...随分とつまんねぇ眼してんな?

 

 

束の嫌いな下卑た顔がそこには在った。

 

 

「...どういう事かなキョー君?」

 

出来るだけ穏やかな声で尋ねる。

 

「おいおい自覚無しとか重症すぎンぞ?言ってたじゃねぇか。ISは夢で翼なんだって。

兵器なんかじゃ無いって」

「そうだよ...でも、もうッッ」

「でもって言うんじゃねぇ!!戦おうともしてない奴が言うんじゃねぇよ!!!!」

「っ...そっそれはっ..」

「おい凡愚...お前は天才なんかじゃない。ただの粋がった半端モンなんだよ」

「...るさい」

「あぁ?聞こえねぇなぁ声までクソ雑魚ナメクジかぁ?」

「うるさいうるさいうるさいうるさいッッ!!!!!私を...私を否定するなあああああああああああッッッ!!!!!!!」

 

---頭が真っ白だった。

 

私はやっと自分を理解してくれる存在に出会えた。

でも、そう思っていた存在は真っ向から私を否定した。

 

---頭が真っ白だった。

 

私は私を否定した存在に向かって全力で走った。

何のために?

 

---殺すために。

 

 

「がああああああああああああッッッ!!!!!!」

 

抉り取ってやった...彼の心臓を---

 

しかし---

 

「いい...ああ..かなり良い。左拳にここまで乗せてこれるのか---」

 

---心臓を抉り取っただって?

 

とんでもない、私の突き出した拳はしっかりと握られていた。

 

「アンタを否定したい俺。そんな俺を否定したいアンタ...戦う理由なんざ関係ねぇ、勝ったモンが正義だッッ!!!」

 

 

 " 天災 " と " 武狂者 " の意地をかけた死闘が幕を開けた---

 

 

________________

 

 

 

---篠ノ之束は驚愕していた。

 

初代ブリュンヒルデを勝ち取った織斑千冬よりも強いとされている、自分と互角に戦う10歳の子供に。

では無く、このなし崩し的な形で行われている死闘を楽しんでいる自分に。

 

痛い...恭一を殴りつける拳が...

痛い...問答無用に蹴り込まれるお腹が...

 

なのにッッ!!!!!

 

「あはっ..あははははッッ!!!!!」

 

楽しいっ!こんなにも!!何で?分かんないっ!!!

もう何でもいいや!!、今はこの瞬間を目一杯---

.

.

.

数十分?数時間?永遠とも言える瞬間を堪能していた2人---

 

天災と武狂者は同時に倒れ込む。

 

---楽しい時間は終わりを迎えた

 

 

「はーっ...はーっ..いっいたた...」

「ふぅ...大丈夫かい?姉ちゃん」

「これが大丈夫に見える~?超絶プリチーな束さんの顔が見るも無残な事になってるんだよ~...」

トホホ...と嘆く束に

 

「何言ってんのさ。今の姉ちゃん程美しいモンなんて無いだろ」

「うげっ..キョー君てば、そっち系なの?束さんはそっちの趣味は無いかなぁ」

「ちげーちげー、ほれ鏡だ」

 

そう言って投げてきた鏡で自分の腫れ上がった顔を見てみる---

 

「...あれ?なんで?」

「良い顔してんじゃねぇか姉ちゃん。今日会った中で最高の顔だ」

「ええ...何で束さんこんな笑顔なんだよ~?そっちの趣味は無いはずなのに」

「なにアホな事言ってんだ...楽しかったろ?」

「...うん。楽しかった」

「言っとくが、戦いのみを楽しんだのは俺だけだからな?」

「えっ?」

「やっぱ気づいて無かったな...どうだい?己が意地を貫こうとすんのも中々楽しいもんだろ?」

「あっ...」

 

そうだ、そうだったんだ...。

私は今まで目を背けてきた、逃げていた---

勝手に拗ねて、勝手に絶望して自分の殻に閉じこもっていた---

 

「うん...とってもきもちいい..」

 

「『強さ』は絶対であり『力』は自分を貫き通す術」

「なぁに、キョー君の座右の銘?」

「まっそんなトコだ」

「...『強さ』は絶対であり『力』は自分を貫き通す術、か。良い言葉だねっ」

「付け加えるなら、俺を否定して良いのは俺より強い奴だけだ」

「わーぉ、キョー君ってば唯我独尊だねぃ♪」

「俺は慈愛ある神でもなけりゃ聖人君子でも無いんだ。強い奴に殺されるまでは好き勝手に生きてやるさ」

「...それも意地?」

「おう!」

 

眩しい笑顔で応える恭一。

 

「そっか...束さんも貫いてみようかな..」

「好きにすりゃ良いさ。姉ちゃんを否定出来るのは、姉ちゃんより強い奴だけだ」

「ふふふ、それじゃあ宇宙最強である束さんは、永遠に好き勝手生きられるってワケだね!な・ん・た・っ・て!宇宙最強だからね♪」

 

「あ゛?」

 

「んん?なにかな機械にブブられた自称地上最強くぅん?」

「おいおい、脳味噌パープキンなのか?耄碌すんには早すぎんだろクソ兎が」

 

「「..........」」

 

「「あはっはははははっ!!」」

 

2人の波長が完全に重なった瞬間である。

 

「キョー君、私ね...宇宙へ行きたい。この夢は..ううん、この意地を貫き通すよ」

「そうか」

「ね、一緒に行かない?」

「...宇宙か。宇宙にゃ強い奴はいんのかな?」

「どうなんだろうね、分かんない。でも、分かんないからこそ楽しい事もある...そう思える私にしてくれて、ありがとねキョー君」

 

「別に...」

 

フイッと顔を背ける恭一に意地の悪い笑みを浮かべる束。

 

「もしかして照れてるのかなぁ?ねぇねぇ?ああっ?!やっぱり赤くなってるよキョー君っ!!」

「じゃかましゃあああああああッッ!!!」

 

追いかけっこをはじめる2人、仲良しである。

 

「あ、そうだ。キョー君モチロン今から束さんに付いてきてくれるよね?」

「ん?もういきなり宇宙へ行けんのか?」

「さすがの束さんでもそれは無理だよ~、というか何をすれば良いか全く分かんない!

だから一緒に考えてキョー君!」

 

吹っ切れたように笑顔で話す束。

 

 

その言葉に瞑目する恭一。

 

---前世からの武神を引きずった今日までの旅

 

強くなるために武にのみ生きた軌跡。

その歩みもここで終わりだ。

 

これからは己が楽しく生きるために強くなっていこう---

 

『九鬼恭一』だった者は今この瞬間、名実共に『渋川恭一』となり、第2の人生を歩み始めたのだ。

 

「ああ、付いて行こう!姉ちゃん、俺は全力全開でこの世界を楽しんでやるからなッッ!!」

「おおっ、何だか分かんないけど束さんだって楽しんでやるんだからねッ♪」

 

 

---これは恭一がIS学園へ入学する5年前の話である。

 




天災が大天災に進化した!

武狂者がただの狂者に進化した!

やったぜ。

人類の未来は明るい(白目)

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