《完結》【蒼明記・外伝】カメラ越しに映る彼女たち――― 作:雷電p
エンドロール
どうも、みなさん。 うp主こと雷電pです。
ここまで、長く読んでくださりありがとうございました。
今作品である『【蒼明記・外伝】カメラ越しに映る彼女たち―――』は、2017年09月11日(月) 21:00 を持ちまして、全77話という丁度良い話数で無事完結することが出来ました。
みなさんの応援もあって、ここまでやって来れました。
改めて、感謝したします。
さて、思えばこの話を創ろうとしたきっかけは、ちょうど1年も前のことでした。
その時、本編である『蒼明記』の第1章が終わった頃に、ユーザーさんから『ヤンデレは書かないのですか?』と質問されたことがすべての始まりでした。
当時の自分は、やろうと思えばできなくはないな、と思っており、すぐさま制作に取り掛かったものです。 大まかな各キャラのヤンデレ度、種類、特徴など、ありとあらゆる情報を仕入れては、構想し続けました。 その際に、ハーメルン内のみならず、数多くの“ヤンデレ”と銘打つ作品は片っ端から観て、読んでと勉強したものです。
そして、ようやく物語の概要が出来あがったわけです。
当初は今作のような内容ではなく、血で血を争うような、かなり殺伐とした濃厚シリアスのオリジナルラブライブ!作品としてありました。
しかし、自分で読み返していくうちに、これではいけないと思って破棄してしまい、一からやり直したわけです。 と言うのも、当初の内容が、自分が読んでいた同じ二次創作モノと類似しすぎていました。 自分は前から言いました通り、かなり捻くれた作家なわけで、他のと類似するような作品だけは書きたくないとしてこの英断を下しました。
結果、『蒼明記』の延長線上にある物語として描き綴るようになりました。
『蒼明記』の主人公・宗方 蒼一をμ'sが奪い合うと言う有り触れた展開で、そこから完全に自分のオリジナルな展開を用意していくこととなります。 そして、御存じのとおりの展開となりました。
今この時に、当初のプロットを確認しますと、「今とは全く違うじゃないかッ!!!」と言ったことが多々あって………今回、この場を借りましたのは、こうしたボツとなってしまった展開、設定などを余すことなく書き綴り終えたいと思っているからです。
では、続きを――――――
○【構成概要】
当初から『蒼明記』の間話として設けた内容で、恋愛的感情を取り入れさせ、尚且つ人間の欲望を全面的に出そうとしていました。 そうした意味では、本編の夏合宿前に始められたのは間違っていないと思ってます。
と言うのも、メンバーがお互いのことを知って然程時間がたっていないこと、親密とは言えない間柄であること、メンバー全員に恋愛事情が出来上がっていることなど、不和が生じやすい要素がちょうどよいことになっていたのが始めやすかったというもの。 故に、よい感じに始められやすかったです。
序章では、彼に対する気持ちを知るうえでは十分なものでした。
Folder1では、早速変貌し始めた彼女たちの様子を描きました。
これにより、物語が大きく始動していくわけです。 ただ、主人公である洋子がすぐにいなくなるという、どこぞのWのガン○ムの自爆みたいな感覚がありました(笑)
Folder2では、いなくなってしまった洋子の代わりに、他のキャラの視点を借りることになります。 当初、メンバー全員の心情を書こうと思ってましたが、真姫だけになってしまったのは実に嘆かわしいこと。 もっと描きたかった……
真姫を最初の攻略相手にしたのは、全員がこうなってしまったキッカケでもありますし、メインヒロインとしようか悩んでいたからです。 全体を通してみると、真姫の彼に対する思いというのは強く、もうお前が隣でイイよとうp主がなげやりになるほどだったとか………
おかげで、真姫の強さを見せることができましたし、うp主が真姫のことをさらに好きになったので結果オーライです()
花陽の登場は予定通りでした。 真姫と同じ1年で真姫が絶望するキッカケとなったということですぐに登場させました。 ここで、1年生を集結させたかったこと、蒼一の味方が現状ではどのくらいいるのかを知るのに重要なところでした。
それと、ハーレム確定であることを示唆させるためでもありました。
Folder3では、にこの更正の他に大きな転換点でもありました。
絵里の登場とことりとの交錯が歯車を過剰なまでに回転させていきます。 事実上、この2人による抗争というかたちで物語は進み、最終的に決別というかたちで終わりました。
これで、ヤンデレ側に共闘するモノはいなくなり、個々人たちの争いへと発展させていきます。
Folder4は、物語の集結を目指したモノです。
幼馴染たちと絵里が蒼一との間に生じていた過去を振り返りながらの感情のぶつけ合いが色濃く出ました。 この時ほど腕に力を込めたことはありませんでした。 私が持てる感性・語彙・精力などすべてを出し尽くしました。
この話で今後の方針が定まってしまったと言っても過言ではありませんでした。
そして、最後となりましたFolder5。
これはいい意味でも悪い意味でも作り出した最後の話でした。
真の首謀者である希の計略を示させました。 ここまで散らしていた要素がようやくここに出したというわけです。 このまま希の計略通りになると思いきや、蒼一の暴走で打ち破られました。
蒼一がこうなってしまったのは、彼女たちの憎悪を一気に背負ったことと同時に、自身に降りかかった過去が大きな原因であったと言うことをここで出しました。 いつか書こうと思ってましたが、まさかここで書くとは思っていませんでした。 しかし、ここで書いたのは、彼女たちを真に更正させるには大きな要素となりました。 これを知ったうえで、彼女たちは彼のことを本当に知ることなるのです。
そして、彼と彼女たちは晴れて想い人同士となったわけです。
last Folderは、序章と同じような書き方で締め括られました。
最終的に、この物語は"洋子の視点"で語られたものであるということ。 それが淡々と綴られたモノだったということ。
そして、意味深なモノを漂わせて締めさせていただきました。
○【当初との差異】
・当初のプロット内では、恋愛描写など一切ありませんでした。
それは、別にヤンデレを更生するのに恋愛的な要素を入れる必要はある? という素朴の疑問から生じました。 ということは、つまり『蒼明記』においての真姫との関係もなかったという内容です。
実際、『蒼明記』においても真姫との関係は平行線のままにさせるつもりでした。 しかし、大きく変更せざるを得なくなったのは、何を隠そう自分の捻くれによるもので、「真姫とイチャイチャさせたいでござる」という気持ちが強かったために、平行線を重ねてしまったわけです。 それが原因で、当初のプロットはボツとなり、設定のみが引き継がれていきました。
(まあ、エロいシーンも描きたかったのもあるんで……)
・次は、更生させる順番です。
【完成版】
真→花→に→海→穂→絵→こ→希
という順番が結果で、
【ボツ案】
真→花→に→海→穂→こ→絵
といった感じでした。
絵里とことりの順番が違うのは、ここはめっちゃ悩んでました。 どちらが最後になっても大丈夫だと思ってましたが、最終的には、どちらが蒼一に対する愛が強いかという面で考えたら、ことりの強烈な愛情には仕方ないと思い、現在に至ります。
【ボツ案】では、病まないのが、凛の他に希が加えられてました。
凛が病まない理由は知っての通りでしょうが、希が病まない理由として、蒼一の全面的なサポートに就かせるというのが良いかと思ってました。 そして、サポートしているなかで、互いに気持ちが惹かれていくという感じでした。 ぶっちゃけ、個人的にはこっちのが好きだったりするのです。(希推し故に…)
ボツにした理由は、希の奥底の一面が見れてないのはマズイということ。 もし、【ボツ案】通りに物語を進めてしまえば、更生後の恋愛の中で、赤裸々な自分を見せてしまった他7人と比べたら劣ってしまうようになってしまうと思ったからです。 そこから第二のヤンデレ物語が発生しても困りますし………
あと、裏ボスのように扱えたら物語的にもおもしろいと思ったからです(ゲーム脳)
・最後は、ラスト(締めくくり)です。
ここの案だけいくつも考えてしまいました。
まず、
【完成版】
これは知ってのとおりですね。
【案1】
蒼一が暴走した時に止めるメンバーがいない。
これは、希に捕えられるのが、絵里と真姫となっていた時に生じる話でした。 蒼一の暴走を明弘が収めた後、次に暴走してしまうのが彼女たちとして、それを蒼一が命をかけて再度更生させようとする無茶なヤツです。
これから、『蒼一dead√』or『障害を抱える√』の2種になっているのが………
【案2】
これは、μ'sが再度ヤンデレ化して、蒼一が命をかけた場合の話。
①再度暴走してしまった彼女たちを見て絶望した蒼一が、彼女たちの目の前で、腹を掻っ捌き内臓をむき出しにして首筋を掻き切るというdead end。 当然のことながら、彼女たちは壊れてしまいます。(絶対にやりたくないヤツです)
……ただし、これには続きがあって、すべてはトリックで蒼一は死んでいなかったというパターンがある。 そこで彼女たちを責めながらも受け入れようとする蒼一の姿が見られるというヤツ。
②蒼一の運命を変える能力を持って、彼女たちのその病みを無理やり直そうとするパターン。 ただし、身体に過度な負荷を負わせてしまい。 昏睡状態が続いてしまうor身体の一部機能がマヒしてしまうというヤツ。
【案3】
※自主規制――――――絶対にお見せできない内容である。
と言った感じの終わり方があったみたいで、今作で選んだのは、中でもかなり良いものだったと思います。
皆さんはどう感じたかは、お任せいたします。
○裏話
・第2話で、蒼一の爺さんの話が出てきたのですが、あれのモデルはウチの爺ちゃんで、既に故人ですが今でもその印象は強いためにそのままトレースさせました。 ちなみに、ウチの爺ちゃんは、ガチの軍人で当時陸軍の中尉としてアジア各地に回っていたそうで、しかも、硫黄島部隊の最後の生き残りで、人体実験にもされて、広島の原爆に直面したという色々あり過ぎな爺ちゃんでした。
その形見として、先祖代々伝わる脇差があります。(こちらも、海未編にて登場)
長刀は………戦時中の広島で…………
・蒼一たちの写真を売るということをしていた洋子ですが、あれのモデルは、『バカテス』のムッツリーニ商会です。 分かる人には分かる。
・ことりのマカロンの件ですが、あれは、『信長のシェフ』で実際に使われたヤツです。信長公がそれを食して卒倒しそうになったところを主人公が、塩水で解毒させて体調を元に戻させるということをそのまま使いました。
実際、ナツメグは過度な摂取を行うと死んでしまうとか………
・明弘と蒼一との闘いで、明弘のあの闘い方はすでにクロスした作品内に登場するキャラの闘い方と同じなので、気になる方は……
・ぶっちゃけますと、Folder3が終了したときからエタリ始めてまして、やる気がまったく起きなくなっていました。 それ故、海未編では1ヶ月も構成に要してしまいました。 次の穂乃果編は、1話直前にプロットが完成して完成させました。 さらに悪いことに、絵里編のプロットが白紙のままで、執筆時は終始即興的に綴るという荒業をしてしまっていました。
そんな血を吐くかもしれないことばかりやり続けたため今になって反動が………
etc………
○この物語で伝えたかったこと
彼女たちをヤンデレ化させたのは、ただヤンデレが見たかったという単純な考えではなく、今作では、人の持つ心の闇について深く触れるためにそうさせたわけです。 欲望のためなら手段を選ばないという黒い部分を晒すことで、人とはこういう生き物であるということを表現させたかった。
弱く・醜く・卑劣・邪悪など、人間には数えきれないほどの悪しき心を持っているということを考えてもらいたかった。(それが文章としてうまく伝わっているかどうかですが………)
そして弱い人には、常に誰かに支えてもらいたいと言う孤独を抱く。 さらには、悪行を行った人ほど強く感じる。
だから、蒼一が彼女たちの支えとなるというわけなのだ。 言うなれば、蒼一の立ち位置と言うのは、贖罪・身代わりと言ったものでしょうか。 彼女たちが生み出し、背負うことになてしまった罪を肩代わりするということをしたのが彼である、と私は考えております。 しかし、背負うにはかなりの負荷が必要だった故に、彼は肉体的・精神的な苦痛を過剰なまでに受けることとなったわけですが…………
それが彼の暴走に繋がったわけです。
多分、自分がこう考えた内容と言うのは、世間的には受け入れ難いものでしょう。
皆さんが求めているヤンデレとは『自分を狂おしいほどの愛情で包み込んでくれる』『自分のために何があっても尽くしてくれる』と言ったような、一見涙ぐましく働く少女たちの姿を求めているのではないでしょうか? 自分自身をここまで愛してくれる、ってのは現在の世の中では難しいことですからね。 しかも、ハーレムときた。 これに男は黙っていられんでしょう。
二次元でそれを求めても……いいよね?
私自身もこのコンセプトは嫌いではありません。 むしろ、好きと公言しても構わないものですが、自分が執筆したいのはそういうのではなかったのです。 人間の弱さ、醜さを追求することこそ人間であって人間であるということを見つけたかった、ただそんな理由のためだけに描くことこそ自分に合っていると感じた次第です。
そんな自分善がりですから、受け入れてと言っても受け入れることは難しいだろうと感じておりました。 私から見てもかなり高いハードルからのスタートを要求させていますから、付いていく人はどれだけ大変だっただろうかと、今でも感じています。 それに関しては、申し訳ございません、としか言いようがありません。
同時に、これが私であるということも承知していただきたい。
○最後に……
今回のμ'sがヤンデレ化したというお話はこれにておしまいになります。 そして、ようやく本編を再開させることが出来ます。
というか、半年間もほっぽり投げてしまうとは遺憾の意である()
さっさと第一期を終わらせてラブライブに出場させなくてはならない、そんな現状です。 私自身もこの半年もの間、描くことをずっと耐えてましたのでこうして描くことができると考えると、嬉しくてたまりません。
未だに登場させていないキャラやオリジナルキャラ、そして、クロスすることが絶対にありえないだろうと思われていた
そして、他の作家さんとクロスもしてみたかったり………(チラッ
まあ、そこはおいおい考えるとして、現状をどうするかですね。
現在、この連続投稿のしまくりで自身の執筆回路が逝ってしまいまして、現在修復作業に取り掛かっています。 来週あたりには、投稿を再開できるように身体と相談してみますが、どうなることやら………
そんな私の作品ですが、よろしくお願いいたします!
○感謝ッ………圧倒的、感謝ッ………!!
本当の最後に、これまで私の作品を読んでくださった方々に感謝します。
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かみら.さん
(2017/09/16 16:00時点)
みなさん、ありがとうございました!!!!
これにて、私のハーメルン内における第二の作品『【蒼明記・外伝】カメラ越しに映る彼女たち―――』は現時点においては完結させていただきます。
では、また廻り逢える時まで―――――――
作者:雷電pより
あの日からどのくらいの日が経ったのだろう?
いつもと変わらない日々が待っているものだと思っていた。
何気ない日常の話題でアイツらとの会話に花を咲かせるものだと思っていた。
アイツらと共に爽快な汗を流し、練習を積み重ねていることで成長していることを実感するものだと思っていた。
何気ない平凡な日常が俺たちの事を待っているものだと錯覚していた。
そう――――
夜空のような漆黒の雲に覆われた空を見上げたあの日――――――すべてが始まった
霧のように立ち込め出した狂気が彼女たちに摂り付く。 その狂気こそが彼女たちの関係を雷のように無残に引き裂いた。 それまで、互いに腹の底から笑い合うほどの仲が、一瞬にして、腸が煮え繰り返るような憎悪を示して互いを傷つけ合った――――――たったひとつの欲望のために
彼女たちの想いが交差する。
『―――あなたは私からの愛に逃げている。 自分には応えられないからと言って………だから、一緒にいる私のことが目障りに思うのでしょ!?』
大切なものに裏切られ、彼のことすら疑ってしまった彼女―――――
『――――私はおにいちゃんと一緒にいたいだけなのにどうしてみんなで私のことを止めようとするの!? ――――私にはおにいちゃんが必要なの!おにいちゃん以外あり得ないの!!それを私の前から取り去らないでよ!!!』
愛しい人の姿を忘れ、欲望のために親友ですら傷つけようとしてしまった彼女―――――
『―――アイドル?―――μ’s? ―――あんなのどうでもいいわ……今の私には蒼一がいればいいの―――もし私の邪魔をするなら………この手で消してあげるわ――――』
自らの信念を見失い、盲目に大切な者たちを薙ぎ払おうとした彼女―――――
『――――私は強くなりました!あなたを護ることが出来るほどに強くなったのです!!だから、あなたはずっと私のそばにいて安心していてくださいよ!!』
忌まわしき過去に囚われ、狂気を身にまとった彼女―――――
『――――うるさい!! 私の蒼君を語るな!! お前なんか………蒼君じゃない!!!』
親友の裏切りで心を閉ざし、愛しい人を殺めようとした彼女―――――
『――――私がやってきたことは決して無駄なんかじゃない!! あなたを私のモノとすることで私は完璧になれる! すべてを超越することができる!!』
思い通りに行かないことに嫌気がさし、独り善がりに狂気へと落ちていった彼女―――――
『――――みんなのため……? みんなって誰のコト? μ’sって何のコト? それって、私から蒼くんを奪い取ろうとするヤツらのことだよね………!』
すべてに絶望し、ありとあらゆるものを消し去ろうとした彼女―――――
『―――――私が欲しいのは、蒼一とえりちだけ。 あとは、み~んないなくなっちゃえばいいの♪』
絶望が彼女を覆い隠し、独り善がりな世界を作りだそうとした彼女―――――
いずれも8人の彼女たちの口から出た、心にまとわりつく憎悪に満ちた言葉だ。 俺を水底の闇へと突き落とし、内側から殺そうとした。
閉ざされた扉をただ眺めながら、俺の身体は幾つもの黒い腕に抱かれ、絡まれて、ただ沈んでいくだけだった。
息苦しい………身体の中に憎悪と言う水が呼吸すらできないほどに含まされる。 もがいても、抗っても、涙を流しても、それは悪魔のような笑みを浮かべて襲い掛かってくる。
いずれ、この腕のように俺の身体も黒く汚れてしまうのだろうと……虚ろな瞳が曇天を見上げる
希望の星などどこにもない………
諦めかけていたその時、救いの手が差し伸べられた―――――
『――――凛はかよちんのことも、真姫ちゃんのことも大好きだにゃ……凛の大切な親友だにゃ………だから、凛の大好きな人同士が傷つけあうところなんて見たくないんだにゃ……!!』
大切な友達、親友を助けるために立ち上がった彼女―――――
『あなたたちは一体何をやっているのですか!! あなたたちの大切な人が大変なことになっていると言うのに、何いざこざを起こしているのですか!!』
責任を抱きながらも全力を尽くして立ち向かう彼女―――――
そして、
『来いよ、兄弟…………そして、もう終わらせようぜ、悪夢なんてもう見飽きただろう? 現実戻って、アイツらの胸ん中に飛び込んで、誰もが羨むハーレムエンドを飾って見せやがれ、コノヤロォォォォォォ!!!!!』
すべてを知りつつも尚、身を削って俺を取り戻そうとしたアイツ―――――
あぁ…………
みんなの勇気が俺を解放させてくれた………
そして、俺は―――――――――――
「――――ふう。 アイツらがいなくなったと思ったら、何だか急にウチが寂しくなっちまったな」
「ついこの間、ここにアイツらがいてくれていたんだよな――――」
「まったく、アイツらもモノ好きだな。 こんな面倒な男の事を好きになるだなんてさ――――」
「けど、それは俺も同じか―――――」
「アイツらなんて――――面倒で、おっちょこちょいで、堅物で、気が利かなくって、我儘で、言うことを聞かなくって、貪欲で――――」
「そして、溺れてしまうくらいに愛してくれるんだからさ―――――」
「――――っと、それじゃあ、行くとしますか」
きぃぃぃ……………
扉はもう、自分で開けることが出来る――――――
「――――っ!! 今日は目が眩むほどの快晴だな―――――!!」
外に一歩出た瞬間、世界は元通りになる――――
「それじゃあ――――――」
「―――――またな――――――」
Last songs
『空の境界』より
kalafina/『君が光に変えて行く』