《完結》【蒼明記・外伝】カメラ越しに映る彼女たち―――   作:雷電p

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[ 西木野総合病院・病室 ]

 

 

 あれから、2日が経ちました――――――

 

 

 眼から大量の血が流れ出た後、そのまま力尽きるかのように気を失い、そのまま病院へと搬送されていきました。 そして、そのまま緊急入院――――――

 

 幸いなことに手術をするほどのものではなかったものの、全身打撲と精神的な異常が原因で今も尚、昏睡状態が続いているようなのです。

 

 当然のことながら、彼女たちの心境は穏やかではなく、また気が狂わんばかりに泣き叫び出すのではないかと心配されました――――――

 

 

 

――――ですが、当の本人方は以前よりも落ち着いていました。

 

 泣きはしていましたが、暴れ出したり発狂したりすることもなく、蒼一さんが眠るベッドを囲んで目覚めるのをじっと待ち続けていました。 まあ、さすがに入院してからの2日間は学校もありましたから寝泊まるわけにはいきませんでしたけどね………

 

 

 そして、今日―――――

 

 週末を迎えたこの日も蒼一さんのお見舞いに来たわけです。

 

 

 ガラガラとローラーを転がして扉を開けますと、早速、先客方がそこに居座っていたようですね。

 

 

 

『すぅ――――――すぅ―――――――』

 

 

「あらあら……こんな恰好をして寝てしまっているとは………」

 

 

 まだ昼間だと言うのに、蒼一さんの周りで寝静まっているμ’sの方々が目に入ってきました。 椅子に座っている方もいれば、蒼一さんの手を握りながら眠っている方もそこにいる訳です。

 ただ、1つ共通点があるとしましたら、みなさんの肩から身体を包むブランケットのような布がかけられてあったのです。 とすると、あともう1方がこちらに来ているようなのですね…………

 

 

 そう考え込んでいましたところ、後ろから肩を軽く叩かれまして振り返るのでした。

 

 

 

「よお、来ていたのか」

 

 

 元気な姿で私に挨拶をしてくださいましたのは、明弘さんでした。 明弘さんも一旦、病院に担ぎ込まれたのですが、入院するまでのモノではなかったらしく、治療を少しばかり行って終わり今に至るのです。 それでも顔や腕には、あの時に出来てしまった傷が色濃く残ってましたが、当の本人曰く、左程問題は無いとのこと。

 そんな明弘さんもお見舞いに来ていたようなのですね。

 

 

「お元気そうでなによりです。 みなさんに羽織らせたのは、明弘さんでしたか?」

 

「おうよ! アイツら、ここに着た途端すぐに寝ちまってよぉ、しょうがねぇから病院のを借りさせてもらったってわけよ」

 

「へぇ~、お優しいのですねぇ!」

 

「ったりめぇよ! こう見えても俺は紳士だからな!」

 

 

………最後の方は、嘘っぽいですね。

 

 

 でもまあ、彼の優しさというものは、十分に伝わってきましたのでよしとしましょうか。 明弘さんに向けて少し笑いを零しましてから、蒼一さんの方に身体を向かせまして、その寝顔を拝見させていただきました。

 

 先日と変わらない無表情――――喜怒哀楽すらないその顔――――を我々に見せるだけでした。 一向に目覚める様子もないまま、あなたはいつまでそのままでいるつもりなのですか?

 問いかけても答えることが出来ないと知っていても、ほんのわずかな希望を持って彼が戻ってくることを待ち続けるのです。 それは、ここにいる全員が望んでいることなのです………

 

 

 

「うぅぅ………そう………くん………」

 

 

 寝ぼけ様に、ことりちゃんの口から蒼一さんの名前が………夢の中ではちゃんと出会えているのでしょうか? 涙を一筋流してその名を口にしたのでした。

 

 

 

「みんなちゃんと寝ていねぇようなんだ。 今だけはちゃんと寝させてやろうや…………」

 

 

 そう言えば、学校にいる間中、みなさんとても眠たそうな顔をしていましたね。 穂乃果ちゃんやことりちゃんなんて、目に薄黒いクマをつくっていましたし、心配で仕方なかったのでしょうね………

 

 

 

 蒼一さん。 みなさん、あなたのことを心配しているのですよ? もういい加減戻って来てもいい頃合いなのですよ?

 

 

 眠れる彼に対し、願いを1つ零すのでした――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

―― 

――― 

―――― 

 

 

 

[ ??? ]

 

 

 

…………………

 

……………………………

 

………………………………………

 

 

 

 

……………うっ…………うぅぅ………………

 

 

 身体中にピリピリと痺れるような痛みが走りだす。

 特に、脳に掛かる負担は大きく、眼をハッキリ開けようとすればするほど痛みは増し加わってしまう。 ただ、それが眠ってしまっていた身体にはいい薬となり、目覚めるきっかけを与えてくれたのだ。

 

 

 いっ………いつつっっっ………………

 

 

 痛みを堪え、頭を抑えながら目を開くと―――――

 

 

 

 そこはいつも見慣れているような場所ではなかった。

 

 

 目の前に見えるのは、雪のように白く、太陽のように強い光を帯びた白い空間が広がっていた。 辺りを見回しても何も見えず、色のあるモノなど何一つここにあるわけでもない。 この極端にまで虚しいこの空間に俺一人、ただ呆然と座り込んでいるほかなかった。

 

 

 

 だが、何故か始めてきたような感じがまったくしなかった。 何と言うか、久しぶりに訪れる、とても懐かしい感じが身体を疼かせる。 この感じはいつどこで………?

 

 

 

 

 

《お目覚めのようだね、少年》

 

 

「………………っ!!」

 

 

 脳に直接響く声―――男でも女でもない、幼くとも年老いてるとも言い難いこの声―――は、懐かしく感じる声に間違いなかった。

 

 

 もう一度、辺り一帯をくまなく探し当てる。 “アイツ”が……“アイツ”が今ここにいるのだと言うことを感じながら、首を振り回して探し出す。

 

 

 

《ここだ、少年》

 

 

 ハッとする気持ちで後ろを振り返ってみると、確かに“アイツ”が俺の前に立っていた。

 ローブのような白い布で全身を覆い隠し、肌となるところですら見られないように仕舞われている。 背丈は、俺とほぼ同格、ただ少しだけ高いような感じだろう。 そんな“アイツ”は、まるで喜んでいるかのような雰囲気を漂わせながら俺を見ているような気がした。

 相変わらず顔は見ることが出来ないがな…………

 

 

《こうして顔を合わせるのは、久しぶりだね。 少年》

 

「7年ぶりか……いや、最近もアンタの声を聞いているからそんなに懐かしいとは思わんがな」

 

《ふふっ、相変わらずの強気だね。 まあ、いいでしょう。 何がともあれ、キミが今日まで無事に生きてこれたことに敬意を払わなくては――――》

 

 

“無事に”だと……?

 これのどこが無事だと言えるんだ?! この7年間、どれだけ苦い想いをし続けてきたかわかるのか? 怨み、嫉妬、憎悪が俺の身体を弄び、心を抉ったのにか?! 俺の夢を2度も打ち砕かれ、挙句の果てには、親友にまで殺されかけられる思いもしたのに、何が無事だ!!

 

 

《少年。 そう自分の悪しき過去だけを思い返すものではない》

 

「好きで思い返すわけじゃないさ! アンタだって見ていたんだろう? 俺の大切に想っていた者たちが次々と変わっていく様を………」

 

 

 ありえない話だった。

 青天の霹靂とも呼べるこの地獄のような日々は、俺の心を確実に蝕んでいった。 寝ても疲れはとれず、1人を元に戻ってもまた1人のことを想うと心が休まることなど無かった。 たとえ、アイツらと肌を重ね合わせていてもだ………

 

 それは、最終的に俺自身の自我の崩壊を生じさせてしまうことに繋がってしまった………そして今度は、俺自身が変わってしまい傷付けた………

 

 

 それに目を背けることなど……出来やしない………

 

 

 

《ほぉ……では、少年。 キミは何を望むか?》

 

「望み……か………望みでも望まなくても、このまま果てても構いやしないさ………それに、俺がここにいるってことは、俺の身体が瀕死状態に陥っているからだろう? だったら、そのまま俺を誘ってしまってくれ………」

 

 

 俺に掛かる大きな負担が殺しにきた結果なのだろう。 ならば、一瞬にして消してもらいたいくらいだ………

 

 

 

《なるほど……それは実に愉快な解答だ………》

 

 

 そんな俺の答えに、【はじめ】は何かおかしそうに呟きを入れる。 おかしいことなのだろうか? 俺には到底思いもしないことなのに………

 

 

《キミがどのような詮索を行っても構わない。 だが、キミがその選択を行うことに私は困ってしまうのだ》

 

「困る? それはアンタの言う、観察が出来なくなってしまうからじゃないのか?」

 

《おやおや、確かにキミのこれまでの出来事は、キミの運命の書と私の範疇を越える“運命”を選択してくれた。 おかげで、私は飽くることなく見続けさせてもらった――――》

 

 

 やはりか………【はじめ】は最初からそうした目で俺を見続けてきた。 俺が真姫を救ったあの日から、今日に至るまでずっと………それを安全な場所で呑気に見下ろし続けていたのかと思うと、何だか無性に腹かが立ってしまって仕方なかった。

 

 

 

 

《――――だが、それは私個人としての理由に過ぎない。 あと、もう2つ、私の頭を悩ませてくれる問題があるのだよ》

 

「問題……?」

 

《そうだ。 これはキミ直接関係することでもある》

 

 

 

 そう言うと【はじめ】は、自らの手に白い光を輝かせる。 すると、その手には3つの封筒のようなモノが現れる。 宛名も何も書かれていない真っ白なモノだ。 それをまるで俺に見せつけるかのように前に出す。

 

 

《1つの問題。 それは、キミに宛てられたこの書類である。 何ともまた、友人の気まぐれでこのようなモノをわざわざ冥土から持ってきたのだよ。 やれやれ、私でもあの行動を抑えることはできないな》

 

 

 呆れたような声を出しながらも、【はじめ】はそれを俺に渡し始める。 それを手に取ると、確かにそれは封筒で、中にはそれぞれ1枚の紙が入っていた。

 

 

「読んでも構わないのか?」と、尋ねると《構わないとも。 それはキミのだからね》と快く了承してくれた。

 

 

 まず、1つ目の手紙を読み出す―――――

 

 

『久しぶりだね、蒼一くん。 和幸です。

 

 何やらキミが困っていると聞いて、この手紙を書いているところです。 私は至って変わりない。 こんな辺境の地でも、蒼一くんやことり、そして、我が愛する妻・いずみのことを片時も忘れたことは無いさ。 キミたちは変わっていないだろうか?

 聞くところによると、キミはことりを助けてくれたようだね。 ありがとう。 書面でしか書き表せないが、お礼を言わせていただきます。 それと、一瞬だけだったが、成長したキミと会話できたことを嬉しく思う。 実に善い青年に育ったものだ。 キミの父親の昔の姿と瓜二つだ。 ますます、キミにことりのことを任せたくなってしまったよ。 そして、孫の顔もみたくなってしまったよ。 まぁ、半分冗談なのだがね。

 

 最後に、私からの願いだ――――

 

―――ことりといずみを任せたよ、蒼一くん―――

 

 

 P.S.

 2人を悲しませないでくれたまえよ? 2人揃って泣き虫だからね――――

 

 

――――和幸より』

 

 

 

「っ~~~~~~~!!!」

 

 

 こ、これは一体………!!

 どうして……どうして、和幸さんの手紙が………! この書き方、この筆跡……間違いない、これは和幸さん本人の書いた手紙だ……!!

 

 

《言ったであろう? 私の友人が死の世界から持ってきたものだと………》

 

 

………ま、まさか………残りの2つも同じようなことが…………!

 

 そう思うと居ても立ってもいられなくなった俺は、尽かさずもう1つの手紙を読み出す―――――

 

 

『親愛なる、我が娘の友人 宗方 蒼一様へ

 

 はじめまして。

 私は蒼一くんの友人、矢澤 にこの父、輝明と言います。

 まったく面識のない中、突然の手紙をお許し下さい。

 私の友人が、蒼一くんが私の娘の友人であると聞き、こうして筆を執った次第です。

聞くところによりますと、私の娘と仲良くして下さっているようで、大変感激しています。 恥ずかしながら、我が娘は人付き合いが少々不器用なところがありまして、昔から友人と呼べる子がおりませんでした。 私はそれが心配でたまらなかったのですが、友人が出来る様子を見ることなく早世してしまった次第です。

 こちらの世界に来ても、それが心残りで………

 

 しかし、蒼一くんが娘の友人となってくれたと言うことを聞いた時は、ホッとしたものです。 これでようやく安心してこちらの世界に居座れるようです。

 

 どうか、今後とも我が娘のことをよろしくお願いいたします。

 

――――矢澤 輝明より』

 

 

「ッ―――――!?」

 

 

 にこの父親?! い、いや……確かに面識はないが、どうして俺のことを知っていたのだろうか? それに、にこの家に父親がいる気配が無いと思ったら………そう言うことだったのか………

 

 

 意外な人物からの手紙に少々戸惑うものの、その文面からにこのことをとても心配に想う気持ちが強く感じてきた。 そして、にこは善い父親を持っていたんだなと、心に響くモノがあった。

 

 

 

 では、最後は一体誰なのだろうか……?

 俺の知っている人からだろうか? それとも、さっきみたいに直接関わりの無い人からなのだろうか?

 

 考えることよりも行動が先んじ、最後の手紙を読み出す。

 

 その名を一目見た時、震えが止まらなかった。

 

 

 なぜなら―――――――

 

 

 

『蒼一よ、元気にしてるかの?

 

 ワシは、こっちに来てもピンピンしとるわい。

 お前さんがそっちでたくさんガンバっとるっちゅうことを聞いてな、ワシは鼻高々な気持ちになっとるわい! 流石、ワシの自慢の孫じゃ! これでまた皆に自慢できる話が増えたわい。

 しかし、無理は禁物じゃぞ。 心と身体が死んでしもうては、なんもできんからの。  じゃからの、少しは肩の力を抜いて過ごすのも1つの手じゃぞ?

 

 じゃが、もし蒼一の大切なモンを失いそうになった時は、その身を刃に己が信念を貫き通すのじゃ。 それがどんな結果を得ようとも決して後悔はするでないぞ。 後悔は己を殺す牙、己が正しいと信じた道には、必ず善き賜物が付いてくるはずじゃ。 生きておれば必ず報われる。 お前ならきっと出来ると信じておるぞ。

 

 何せ、ワシの孫じゃからな。

 

 

――――政三より』

 

 

「あっ………あぁぁ………爺さん…………っ!!」

 

 

 まさか……こんなかたちで爺さんの手紙を受け取ることになるなんて、思ってもみなかった。 もう絶対に言葉を受け取ることもできないと思っていたのに…………

 

 あぁ………爺さんの言葉が嬉しすぎて、目頭が熱くなってくるじゃないか…………ん、もう一枚入っているのか?

 

 

 そのもう一枚の方を開けてみると――――

 

 

 

『追伸

 

 蒼一はもう女はできたか? 女は良いぞ。 一緒におるだけで、生きがいになるからのぉ。 ワシの見立てじゃと、穂乃果ちゃん辺りの3人かのぉ? それとも、他の子か? まさかと思うが、幾人かを侍らせてはおらんじゃろうなぁ?

 もしそうだとしたら、覚悟するのじゃな。 まず、身体が持たんからの。

 

 まあ、それでもワシはたくさんおった方がエエんじゃけどな!』

 

 

 

 

………えぇぇ……爺さん…………

 

 もう、遅いです………

 

 8人ほど、関係を持ってしまいました……………

 

 

 

 折角、さっきの手紙で涙ぐんでいたのに、これじゃあ台無しじゃないですか…………

 

 

 けど、嬉しかった。

 この3人の言葉から勇気を貰ったような気がする。

 

 

 心が安まってきた―――――

 

 

 

 

 

《少年――――》

 

 

 その声で我に帰ると、【はじめ】がこちらを見ていた。

 それも、何か嬉しそうな声色で。

 

 

《キミに贈る、もう1つの問題だ》

 

 

【はじめ】は、そっと両手を広げると、その中から数々の色の光が飛び出て来た。 その光たちはバラバラに空中をあちこち駆け回ると、俺の胸元にやって来て止まったのだ。

 

 その光をよく見ると、9つの色の小さな光だった。

 

 

 

《これは、キミもよく知っているだろう。 “運命のかけら”それは、人の命さえも左右させてしまう、人の願望。 そして、それが9つもある。 この意味が分かるだろう?》

 

 

【はじめ】が語るその意味は、俺だって重々承知だ。

 なぜなら、俺自身がこれを扱った本人でもあるからだ。

 

 俺は、その光たちを両手でそっと包み込み、胸に当てる。

 すると、まばゆい光が俺の身体を包み込み始めた!

 

 

 聞こえる………

 

 

 みんなの声が…………

 

 

 

 

 

 その光の1つ1つが俺に語りかけてくる。

 とてもやさしくって……無邪気なその声たちが、俺の心に響いてくるのだ。

 

 

 あぁ………呼んでいる…………

 

 みんなが………アイツらが俺のことを………

 

 

 

 

 

 

 

『戻って来て――――私たちは、あなたのことを待ってい(るから)ます―――――』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――――行かなくちゃ」

 

 

 

 俺の口が自然と動きだす。

 今、俺がしなくちゃいけないこと………それがわかったような気がするから………

 

 

 

 

《もう一度、問う。 少年、キミは何を望むか?》

 

 

 その問いに、俺は迷うことが無かった―――――

 

 

 

 

 

「俺はアイツらと共に生きる―――――そして、アイツらの支えとなってやるんだ――――――!」

 

 

 

 

 

《その願い――――叶えたり―――――!!!》

 

 

 

 

 

 

 そして、俺は白い光に包まれる――――――

 

 

 この、9つの光と共に―――――――

 

 

 

 

 みんなの待つ場所へ―――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―― 

――― 

―――― 

 

 

 

 

[ 西木野総合病院・病室 ]

 

 

 病室は至って静かなままだった―――――

 

 

 何か急に変わったような出来事は何も起こらなかった。

 

 

 

 ただ、1つだけ不思議なことが起こった。

 

 

 

 風が吹いたのだ―――――

 

 

 

 それも、閉め切っていたはずのこの病室で。

 

 

 その風に、頬を撫でられたような感触を抱いた彼女たちは、ふと、目を覚ました。 目を擦り、今の時間はいつごろなのだろうか? ここはどこだろうか? そんな様々な想いを抱いて、夢から覚める。

 

 

 そんな彼女たちに、そよ風のような声が耳を通り抜ける―――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おはよう、おまえたち。 いい朝は迎えたか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その声を聞くやいなや、彼女たちの顔が一瞬にして起き上がった。 そして、その眼差しが一点に集中したのだ。

 

 

 

 

 やさしく―――――

 

 

 朗らかに―――――

 

 

 ちょっぴりはにかんだ笑みをこぼすその顔に、彼女たちは―――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

『そういち!!!!!!!!!』

 

 

 

 

 

 彼の名前を大きく泣き叫んで、その身体に抱きついたのだった――――――

 

 

 

 

 

 長い雨がようやく止んだようだ

 

 

 

 

(次回へ続く)

 




ドウモ、うp主です。


あと、2話でこの話も終わりそうです。

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