《完結》【蒼明記・外伝】カメラ越しに映る彼女たち――― 作:雷電p
休日の朝方――――――
真姫たち音ノ木坂に通う生徒たちは、基本的にはこの日は休日となっている。 昨日も休日だったのだが、μ’sの練習を行うことになっていたらしく、全員居ることを確認したわけではないが学校に登校していたようだ。
だが、今日は打って変わっての休日を設けた。
理由は言うまでもない―――――真姫と花陽のことだ――――――
午後に立て続けに起こった2人の暴走、それを止めるために俺は奔走したと言ってもいい。 また、花陽に関しては、明弘と凛にも協力してもらってやっと解決したという件があったからだ。
当然、他にも影響が出ているメンバーがいるだろうと明弘と相談してから推測したわけで、今日は止めるべきなのだということを決めたわけだ。
グループトークでしようするあの掲示板アプリにそれを書きこむと、瞬時に全員の既読の反応が現れる。
それだけならばまだよかった…………
その次の瞬間に俺宛の個人メッセージが大量に流れ込むという異例の事態に陥る。
送信元は……………
穂乃果――――――
ことり―――――――
にこ―――――――
―――――この3人からだった。
短文のような言葉を大量に羅列させ、通知バイブが終始鳴り止むことが無い状態に頭が痛くなる。
その内容を見ると、全員が揃って同じようなことを書き綴っている――――――『明日、一緒にあそぼ――――』―――――そんな言葉が、数十もの通知として羅列された時は背筋が凍る。 そして、俺が既読するとすぐに反応を示してまた言葉を羅列させてくる。 それも3人ともだ……………
俺は全員に対して、『遊ぶことはできない、また今度な――――』と打ち返す。 今日は予定が入っているから仕方が無かったのだ。 だが、彼女たちはその理由を知ろうと、これも何度も通知してくる。
さすがに、我慢も限界でこの通知を切ることにしてしまう。
こんな某携帯電話の着信を基にしたホラー映画のワンシーンのようなことが何度も続いてしまうようでは、こちらの身がまったく持たない。 それに、下手に返事をしてしまえば彼女たちを強く刺激させてしまうのだ。 ここは慎重にしていかなくてはいけないのだ。
それじゃあ、俺は今どこに居るのかって―――――?
そんな俺は、事前に連絡を取っておいたアイツの家に行こうとしていた。 渦中の人間………ではない、今のところどういう立場に居るのか怪しいアイツを見抜かなくちゃいけなかった。
(ピンポーン♪)
「ハーイ♪」
アイツの家の戸口に立ちインターホンを鳴らすとすぐに反応を示してくれた。
そして、すぐに扉の鍵を開けて顔を出す。
「やあ―――――――――希」
「おはよう、蒼一♪ なんや、ずいぶん早いなぁ~♪」
―
――
―――
――――
[ 東條家・リビング ]
「蒼一がウチに来るんは久しぶりやなぁ~」
「ホントだな………俺が大学に入った時以来かな?」
「そうやなぁ………あん時はホンマに大変やったなぁ………♪」
そう、何気ない言葉を交わしながら家の中に入り、リビングのイスに座る。 テーブルの上には、すでにお茶の入ったカップと僅かながらの菓子が置いてあった。 まるで、
希も俺と対称のイスに座ると、俺の顔をまじまじと見ながら微笑んでいた。
「早速だが、希には聞きたいことがたくさんあるんだ。 聞いても構わないか?」
「ええよ。 ウチは蒼一に合わせるから、何でも言ってな?」
と、お茶をすすりながら返答してくる。
「それじゃあ、尽かさず聞かせてもらうぞ―――――?」
そうして、俺は希にいくつもの質問をするのだった―――――――――
―
――
―――
――――
[ 宗方家・リビング ]
「それじゃあ、弘くん! 行ってくるにゃぁ!!」
「おいおい、本当にお前たちで大丈夫かよ?」
「平気だにゃ! 凛たちの家はここら結構近いところにあるんだし、すぐに済ませるよ!」
「私も……昨日は急に泊まることになっちゃったからお母さんたちが心配していると思うんだ。 だから、少し顔を見せないといけない気がするの…………」
「そうか………兄弟には、あまり外出するなと言われているんだがなぁ…………よし、分かった。 そんじゃあ、早く済ませておけよ?」
「うん! 分かったよ! それじゃあ、行ってくるね♪」
そう俺に言い残すと、凛と花陽は自分の家に帰って行くのだった。 一時的な帰省は許されるもんじゃないかな? まあ、兄弟と話し合った中では、今のところ目立ったような行動をしているヤツってのは、花陽以外いなかったって言うしよ、どうにかなるんじゃあないかぁ?
そんで、俺は事の成り行きってことで、真姫と一緒に居ることになったわけだ。
しっかし、昨日の話を聞いて、俺はびっくらこいたねぇ! まさか、真姫が兄弟と一つ屋根の下での同棲生活とは………ハッハッハッハ!!! 兄弟もやるじゃねぇかぁ!! しかも、もう2週間くらいになるだってぇ~? 何そのうらやまけしからん生活、血涙がダラダラ流れ出てしまうほどに羨ましすぎるぞコンチクショォォォォ!!!!
俺だって、美少女とそんな生活をしたいと思っているさ………
けど!! 現実って2次元の妄想とはそんなに甘くないのよ!! そこまで行く付くのにどこまでの時間と労力が必要だと思うのさ! かの落とし神だって、そんなところまで行ったというケース何かないんだぞ!!
まあ、それでもとりあえず俺の目の付けた美少女達には片っ端からアピールはしているんだけどね! 千里の道も一歩からだもんね! 俺、頑張るぞぉぉぉ!!!
「なに廊下で唸っているのよ……意味分かんないわよ…………」
冷静沈着かつ的確な指摘をしてくる真姫。
ちょっとそんな変な人を見る目でこっちを見るだなんて…………真姫よ………それは御褒美か何かなのでしょうか………?
ふふっ………どうやら俺はすでに、変な人だったようだな…………
そんなことを思う、18の夏であった―――――――――
「もう、そんなところでぼぉーっとしないで、早く蒼一から頼まれたことをやってよ!」
「へいへーい………」
俺をあしらうことが上手になってきたものだ。
ちなみに、兄弟から頼まれていることと言っても、ただの家事をやることだ。
掃除、洗濯、料理………と主婦が一般的にやるよな作業を俺たち二人でこなすというわけだ。 仕方ないことさ、何やかんやで昨日は俺もここで寝泊まりしちまったからその分の仕事もしなくちゃいけないのはわかる。 働かざる者食うべからずだからな、ちゃんと貢献しなくちゃならないもんだ。
洗濯物…………ハッ………! もしや、それって………合法的に真姫たちの下着を見ることが出来るということですね? ヒャッハ―!!
何だか、俺のテンション上がってきたぁぁぁぁ!!!!!
「ああ、私と花陽たちの洗濯物は私がやっておくから、明弘は自分たちのをやって」
「あ………うん……………」
知ってた。
あぁ、分かっていたさ……分かっていたとも………けど、それでも夢は抱いても構わないだろう………?
ちょっとだけ、哀愁が漂って来ちまったようだな…………
やる気がダウンした俺はソファーに座りこみ、せっせと働く真姫を横目に何かを閃く。
「しっかし、真姫も何やかんやで型にハマってきたんじゃないのか?」
「なんのことかしら?」
「んにゃ……一介のお嬢様が、こんな庶民的な暮らしをし始めて、尚且つ、どっかの旦那様のために働く妻みたいなことをしているからさ、何となく思っちまったわけよ」
「つ……つつつ妻って…………!!!? あ、あああ明弘、そ、そそそそそんなこと………!!!」
何かがボンっと爆発するかのような音が鳴ったかのように思えると、真姫は急に顔をトマトみたいに真っ赤にさせやがったわ。 開いた口が塞がらない――――というのは変か? だが、実際そんな感じに口を開いているから言葉としては間違ってはいないはずだ。
ちょっとからかうだけだったのに、まさかここまで過剰に反応するとはな…………
「まあ、俺が今の真姫の姿を見ても前とは似ても似つかないって感じだな。 なんと言うか……そう、何か女としての魅力が上がったってヤツか? 兄弟と一緒に過ごしたことで、女として目覚めてきたんじゃねぇの?」
「そ、そんなことは//////// ………………あるかも……………」
「…………あるんかい…………」
「だ、だって! 蒼一って、とっても素敵じゃない………! 頭がよくって、スタイルもよくって、やさしいし…………それに、私を助けてくれた恩人だし…………もうそれだけで嬉しいし、蒼一のために何かしたいって思っているわ!」
「あー………何だか、惚気話を聞いているみたいだわー………畜生、兄弟が羨ましいぜ…………!」
「………でも、私には分からないことがあるわ。 どうして、蒼一が人を愛せないのか………私にはさっぱりよ………明弘は何か知ってるの?」
「むっ……! 兄弟がそんなことを言い始めたのか…………そうか…………」
真姫の口からそんな言葉が出てくるとは思ってもみなかったが………真姫が蒼一とそういう関係になっているのであれば話すのも当然のことか……………
「そうだな………俺は、蒼一に何があったのか、すべてを知っている。 すべてを知っているが………俺からは話せないな」
「ど、どうして……?!」
「ソイツは、お前次第ってことさ。 真姫が蒼一とどんな関係になりたいのか何て、俺には関係の無いことだ。 そう言う意味では、俺は蒼一が今抱えている問題について干渉するようなことはしないつもり………いや、俺じゃあ治せないと思っているのさ」
「どういうことよ………?」
「蒼一が求めているのは、『愛』だ! そんじゃそこらの友情とかで固められたような愛なんかじゃ、蒼一を助けることなんか出来っこないのさ。 だから、真姫が………いや、真姫たちが蒼一にたっぷり『愛』を注いでやって助けてやってもらいたいのさ。 まあ、そこまで行きつくのに時間と労力が伴うんだけどな」
「……………………」
黙っちまったか……まあ、当然だろうよ。 このことに関してだけは、生半可な考えと行動でやってもらいたくはないからな。 本当に出来るヤツだけに、覚悟のあるヤツだけがブチ当たって蒼一を助けてやってほしいんだ。 俺なんかじゃなくってさ……………
というか、出来ることならば………
「………わかったわ、明弘。 私には、もうその覚悟も出来てるし、私1人だけで立ち向かおうとは思わないわ。 私と花陽………今は2人だけど、今度は私たちで蒼一を助けてあげるの!」
「ほぉ、それは良い覚悟じゃんか! しかし、花陽もかぁ…………ますます、俺が考えている解決策に向かっているじゃんかよ、兄弟…………」
「………? 何か言ったかしら?」
「いいや、別に…………そんじゃあ、真姫にだけ蒼一を助けるためのヒントを教えてやんよ」
「いいの!?」
「ヒントだけならな………核心は、お前達次第さ」
何でだろうな、真姫のこの意識の高さに圧倒されちまったのか、心が動かされちまったようだ。 俺も蒼一がいつまでもあのままでいてもらいたくないし、アイツが追い求めていたあの果てしない夢をもう一度実現させてやるためには、この通過点は必要なのだ。 だから、不器用ながらもアイツのために助けてやるんだよ。
「いいか、まずはだな……………」
そう切り出して真姫に話をし始めようとした。
(ピンポーン♪)
すると、誰かがこの家に来たみたいだ。 仕方ない、俺が出てやるか…………
「話はまた後な」と言って、俺は玄関の方に向かって行ったのだった。
―
――
―――
――――
「かーよちん! 早く行こうよ!」
「ま、待ってよ、凛ちゃぁ~ん………」
先を歩く凛を追いかける花陽。 μ’sの練習を行い続けているからと言っても、凛の体力との差は未だに生じており、その後を追いかけるのに必死になる。
「ほら、凛の手を掴んで♪」
「………うん♪」
花陽の様子を見て何か思ったのだろう。 凛は、花陽のところに来て手を差し伸べたのだ。 花陽はそれを見ては掴んで、凛に応える。 そして、2人は嬉しそうな表情で歩くのだった。
すでに2人はそれぞれの自宅に戻って家族に事情を話していた。 ただし、今回の件について話したわけではない。 1泊することになった経緯を事実から異なるかたちで伝えたのだ。
そう、彼女たちは自分たちが『蒼一の家に泊まった』ということを一言も話さなかったのだ。 代わりに話したのは、『真姫の家に泊めてもらった』ということだ。 さすがに、そう言った話をするとなると返って問題となるため、そういうことにしたのだった。
ちなみに、そう提案させたのは明弘である。
だが、そのおかげでそれぞれの親は納得して彼女たちを送り出したのである。 ただこの嘘がいつまで通用するかは定かではないようだ…………
「ねえ、凛ちゃん」
「なあに、かよちん?」
「凛ちゃんは、蒼一にぃのこと………好き………?」
「うん、大好きだよ! 凛もね、かよちんと同じで蒼くんのことをおにいちゃんみたいに思ってるんだ♪」
「えっ………? あ、うん………そうだよね、本当のおにいちゃんみたいに思っちゃうよね………?」
「だよねだよね! 凛も蒼くんみたいなおにいちゃんが欲しいなぁ~」
花陽は、凛に対して感じていた疑問を確かめるためにこの質問を投げかけてみた。 そしたら、こうした返しが来たので、内心驚きながらもホッとしていた。 それは凛が蒼一に対してそれ以上の感情を抱いているのではないかと言う微かな憶測が過っていたからだった。 だが、凛のその反応を見る限りではそうでもないようなのだ。
逆に言ってしまえば、花陽はすでにそのような感情を抱き、蒼一とあのような行為に至ったのである。 彼女の中では、蒼一は自分の兄以上の存在となりつつあったのである。
だから彼女はホッとしてしまったのだ。 もし同じようであるとすれば、凛も自分と同じようになってしまうのではないかと感じてしまったからだ。
「かよちんも蒼くんのことが好きなの?」
「………うん! 私も蒼一にぃのことが大好きだよ♪」
頬を赤く染めて語ったその言葉に秘められた想いは、凛には決して伝わらないだろう。 これは、彼女と彼にしか伝わらないヒミツのやり取りだからだ。
そして、2人は手を繋いで彼の家へと戻って行くのだった―――――――
ザッ――――――!
―
――
―――
――――
[ 東條家・リビング ]
「―――――といった感じで終わりやね♪」
「いろいろとツッコミたいところはあったが………まあ、何となく抱いていた疑問も解消された感じがするわ」
希と話を始めてから四半刻が過ぎた頃―――――そのすべての話をし終えたところだった。
まず、話し始めたことは――――――俺と真姫との同棲は知っているのかと言うこと。
その答えは、Yesだ。
なんと、俺たちがそうしているということは、アキバでのライブ以前からすでに気が付いていたそうで、おもしろそうだったから誰にも言わないでいたそうだという。 知っていたからこそ、あの時、俺に真姫が俺の家に行っているということを言えたのである。
次に―――――花陽がどうしてああなってしまったのかと言う原因を知っているかと言うこと。
その答えもYesだった。
希の口から第一声に飛び出てきたのが、ことりの名前だった。 どうやら、ことりの誘導によって花陽をあのように変えてしまったのだという。 また、さらに恐ろしいことに、にこもまたその影響を受けてしまっているとのこと。 あの時、にこが執拗に絡んできたのは、ことりによる何かがあったからなのだという。
次に―――――希から見て他に怪しいのは誰かと言うこと。
その答えはこうだ。
まず、穂乃果だ。
アイツはことりと一緒に行動していたために一番影響を強く受けているほか、元々、俺に執着しているところがあるため確定だという。
次は、絵里。
希の親友だからというわけなのだろうか、その変化が色濃く出てきているというのだ。 出来ることならば、今会うことを控えた方がいいと言われてしまう。
そして、海未。
一見、まともそうに見えがちだが、海未もまたことりに影響されており、共に行動をとっているのだという。 ただ、他のメンバーよりも意識が低いため、説得で何とかなるのではないかと言う。
そして、最後に聞いた質問――――――希は、俺の味方か?
その問いに対して、希は――――――
「あたりまえやん! ウチは蒼一の味方やで!」と言ってくれたのだった。
そう言った感じで、この時間を無駄にすることなく自分でも納得のいくような回答を得られることが出来たのだ。 しかし、洋子が今どこに居るのかは分からないのだという。
ただ、少し時間をくれれば希が持つスピリチュアルパワーで発見してみせると言うのだが…………信憑性は定かとも言えない…………ある程度の期待だけはしておくことにする。
「そんで、蒼一はこれからどうするん?」
「そうだな………1人1人を説得して行くしかないだろ? こう言うことは、渦中の人間が出ていかないと解決できない気がしてならんのだ」
「そうなんか? ………せや! そんなら、最初はにこっちのところに行った方がええと思おうんよ」
「にこか? そりゃまたどうしてだ?」
「ことりちゃんの影響を受けとるっちゅうことやったから、花陽ちゃんと同じで効き目がしっかりとしとらんところがあるんやないかって思うんよ」
「なるほど………それじゃあ、早速にこのところに行ってみるか」
椅子から立ち上がると、俺はそのまま玄関の方に向かう。
その途中に明らかに希の部屋らしき扉があったので、ちょっぴりだけ覗こうと手を伸ばしてみた。 だが、そのては希によってしっかりと押さえられてしまい、見ることが出来なかった。 「女の子の部屋を見ようとするなんて、アカンよ♪」と言ってくるのだが、お前さんは俺の部屋を見ただろうにと言いたくなるのを抑えて玄関に向かい、外に出ようとした。
その直前に、希からこんなことを聞かされる――――――
「にこっちのところに行くんやったら、早めに行った方がええで。 早せんと間に合わなくなっちゃうで?」
とても意味深に聞こえたその言葉に疑問を抱かせると、希は続けて言う―――――
「にこっちは影響をあまり強くは受け取らんけど、行動力だけは高い方やで。 せやから、もしかしたら家におらんかもしれへんよ?」
その一言を聞いた瞬間、何だか肩が震えだすような寒気を感じてしまうのだった―――――――
―
――
―――
――――
[ 宗方家・玄関 ]
玄関に誰かが来たみたいだから、その確認のために俺はその戸口を開けようとしていた。
「はいは~い、ちょっち待ってくださいよ~」
陽気な声で、まあ適当に返事をする。 相手が誰だとうとこんな感じで応えるのが俺のやり方なので、悪くは言わんでくれよ?
そして、扉を開けてみると―――――――
「あら、明弘じゃないの?」
「おう! にこじゃねぇか!」
黒髪ツインテールが特徴的なにこが玄関に立っていたのだった。
はて? どうしてここに居るのだろうか? という疑問が自然とわき出てくる。
「何か用事か?」と聞いてみると、「ええ、ちょっとした用事でこっちに来ただけよ………」と言って家に上がろうとしていた。 少し様子でも見るかと、考えてにこを観察しようかと思ってそのまま上げさせようとする。 とりあえず俺は、このことを真姫に伝えるために、リビングの方に振り向く――――――
ぞっ―――――――!!
すると、背中に突き刺さるかのような冷たい空気を感じてしまう。
一体何が!? と振り向きざまに感じていると、そこには―――――――――
―
――
―――
――――
「は~な~よ~ちゃぁ~ん~?」
一方こちらでも、凛と花陽に迫る者があった。
自分が呼ばれた言葉を耳にすると、彼女は体を強張らせてしまう。 凛も急に恐ろしくなると、顔を青くし始める。
2人は恐る恐る後ろを振り返ってみると、彼女たちがよく知る人物がそこに立っていた―――――
「ほ、ほのか………ちゃん…………?」
「うん、そうだよ………は・な・よ・ちゃ・ん♪」
ギロリとした目で彼女たちを睨みつけると、口を大きく裂いた不気味な笑顔をする穂乃果の姿がそこにあったのだ―――――!
つまり、同時に2人の人物が行動を始めてしまったのである―――――――
【監視番号:32】
【再生▶】
(ピッ!)
『――――そうだよ、穂乃果ちゃん。 うまくやってね♪』
(ピッ!)
『うふふふ…………にこちゃんにも、穂乃果ちゃんにも連絡入れたことだし………これまでは、ことりの思い描いている通りになっているみたいだね』
『花陽ちゃんには約束通りにオシオキをしなくっちゃね♪』
『だって、最後の最後までしくじっちゃったんだから…………しょうがないよね?』
『うふふふふ…………どうなるか楽しみだなぁ~♪』
『あっ! そろそろ来る頃かな…………あっ、来た来たぁ~♪』
『待っていたよぉ――――――――――
――――――――え~り~ちゃぁ~ん♪』
(プツン)
【停止▪】
(次回へ続く)
どうも、うp主です。
同時に行動を起こし始める2人。
次回はどのような展開になるのでしょうか?ご期待ください。