《完結》【蒼明記・外伝】カメラ越しに映る彼女たち――― 作:雷電p
自己紹介をしましょう――――!
私の名前は、島田洋子! 由緒正しき名門校である国立女子校・音ノ木坂学院の高校2年生でありますっ!!
広報部の部長として、日々、様々なことに関して取材を行っているごく普通の女の子ですっ!!
……………以上ッ!!!
………って、おいおい早すぎだろ?!って、突っ込まれそうな感じがしますねぇ~。
そんなことを言わないでくださいよぉ~、これでも必要な事は言ったつもりなんですから~。
そもそも、私のような存在はあまり人には知られてはいけないモノなんですからね! ありとあらゆる情報を入手するためには様々な場所に行ったり来たりしなくてはいけません。 その中でも危ない場所に行くことがあれば、多くの情報を排出しているモノはすぐに足が付いてしまいます。
あまり知られていない影のような存在こそが、情報収集には有利な訳です。
言うなれば、忍びのような存在ですね。
こうした世界ではごく一般的なことですよ?
自分の情報は少なく、ただし、見つけた
ほらほら、私のことなんてどうでもいいですから、今回は特別に取材させていただいた人のことをお話ししますよ♪
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宗方 蒼一―――――
東京都在住の大学1年生。
東京生まれで東京育ちの完璧な都会っ子ってやつですね。
家族は、父母共に健在で、兄が1人いるが別居中だと………
誕生日は12月16日 身長184cm 体重71kg。
長身な体格でありながらも身体はかなり引き締まっている様子。
髪型は、眉と耳を若干隠す程度のナチュラルストレートヘア。 これは一般的ですね。
鋭い目つきをしているものの、その奥には温か味のあるやさしさが垣間見える。
それに合わせるように、一見真面目そうな正確に見えますがこれがかなり気さくな方で、よく微笑みながら話すことが多く、年上とは思えないような雰囲気を普段から醸し出しています。 そのためなのか、割と話しやすいです。
そして、こう見えても文武両道ができたそうで、勉学の方も高校時代には常に上位ランクとして君臨しており、全国レベルの学力を持ち合わせていたそうです。 運動の方もかなりできるようで、小学校時代からその才能は開花しており、野球のリトルリーグに所属していたとか。 現在は辞めているが、その高い運動技術を生かしてダンスを行っている。
文化面では、歌がすごいですねぇ~!
歌唱力が段違いで高すぎて呆気にとられてしまいますよ。 流石はμ’sの音楽指導、伊達ではないですね! そんな彼の持ち歌はかなりあるとか………
滝 明弘――――――
東京都在住の大学1年生。
こちらも東京生まれで東京育ちなんですよね。
家族は、父母と暮らす3人家族です。
誕生日は3月14日 身長179cm 体重64kg
ひょろっとした長身で蒼一さんと比べて筋肉量は少ないと見える。
髪型は、眉と耳を完全に隠したウルフカットのようで、癖っ毛のようにも見えなくもない。
終始笑っている表情しているためか人当たりがとてもいい。 そのため、明弘さんの周りには女の子がいるのですが……あれは音ノ木坂の生徒なんですよね…………
蒼一さんから女好きであると聞いてはいましたが、まさかここまでとは………
ですが、なかなかのイケメンなのでしょうか許されちゃうのですね………
そんな明弘さんはダンスがとても上手なのです。
勉学についてはからっきしなんですけどね……ですがその分、その実力は天下逸品と言っても過言ではありませんね。 蒼一さんも習っているというくらいですから、本当にすごいのだと感じています。
それでμ’sのダンス指導をやっているのですね。
と言いますか、この2人がいてようやく釣り合うといいますか、1つとなるといいますか……μ’sには絶対欠かせない存在ですね。
さてさて、早速取材してみますか…………
「それでは根掘り葉掘り聞いて行きますのでお願いしますよ~♪」
「こちらこそよろしく
……じゃなぁい!いきなり家に入って来てからすぐに取材って、ちょいと横暴すぎないか?!」
「まあまあ、いいじゃないですか~。 突撃取材も記者として当たり前の行動なんですよ?」
「四六時中、突撃ばかり喰らわれてはこっちがたまんないわ!!障壁でも作って来れないようにしてやろうか?」
「ああ、その時は武器を使って粉砕させていただきますね。 ハンマーがよろしいですか?それとも、ドリルがよろしいでしょうか?」
「さらりと、粉砕するって言い放ったよ、この子。 何? 俺にはプライベートの“プ”ですら存在しないのか? 嫌だよ、俺にも安息の一時が欲しいものだよ。………もう心の壁を全開にさせてもらうわ」
「あっ! ロンギネスの槍が御所望でしたかぁ~! わっかりました、今度から携帯させていただきますね♪」
「さらば、俺の安息の一時よ………」
「はっはっは! コイツァしてやられちまったようだなぁ兄弟! ちなみに、俺はドリルでいくぜ! なんせ男のロマンだからな!!!」
「……明弘、お前には聞いていない」
頭を抱えながら少し悩んでいるご様子。たはは……ちょっとやりすぎちゃいましたかな?
「さて、気を取り直して聞かせていただきますよ~。 手始めに、今日までの振り返りをさせていただきますね♪」
私は今日までに貯めておいた質問を書いたメモを手にして、レコーダーの準備も万全としました。 さあ、取材開始ですよ!
(ピッ――――――――)
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―――
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4月の始め――――
私たちが始業式を終えたその数日後に御二方が現れました。
臨時講師として招かれたと理事長が説明していましたが、その頃はまだ、『μ’s』は存在しないどころか、何を行うのかすら明確に決まってはいませんでした。
その頃の私たちの間に取り巻いていたのは、学院廃校の危機でした。
誰もが下向きがちになりかけていたその時、彼女が立ちあがりました――――
そう、私の友達の高坂 穂乃果です。
穂乃果はその危機に対する手段として、スクールアイドルを始めようとしたのです。
明らかに無謀な挑戦でした。 ですが、そんな彼女に友達の園田 海未と南 ことりがメンバーとなり、さらに、そこで蒼一さんたち御二方が参加したことで、軌道に乗り始めたのです。
楽曲も完成し、ダンスも仕上がり、“μ’s”という名前も生まれ、ライブの日程も決まりました。
すべては順調に進んでいくかのように思えました。
ですが、肝心のライブの方は上手くいきませんでした………
最初に行った学院内の行動でのライブでは、当初、誰も来てくれませんでした。
誰も座っていない席がたくさんあったことに、穂乃果たちは絶望したことでしょう……あの日、あの場所にいた私にですら同じような気持ちを抱いたのです。
もうダメかと思ったその時、彼が穂乃果たちの前に現れました―――――
『諦めるか、穂乃果?』
蒼一さんは、一番前に座席に座りながら彼女たちにそう言い放ちました。
不思議な感じでした。 普通ならば、「がんばれ!」とか応援の声を上げるのかと思いましたが、蒼一さんはただ問いかけるようにそう言ったのです。
するとどうでしょう。 それまで下を向いていた穂乃果たちの顔が、真っ直ぐと正面を向き始めたではないですか。
それが何とも自信にあふれた顔だったことか―――まるで、蒼一さんが乗り移ったかのような表情をしていました。
そして――――
彼女たちは歌いました――――ありったけの想いを込めて
彼女たちは踊りました――――余すことのない全力をつくして
彼女たちは笑いました――――精一杯のうれしさを表すために
そんな0から始まった彼女たちの第一歩でした。
今思えば、蒼一さんのあの言葉は隠れた応援ではなかったのでは?と思いましたが、蒼一さん自身は、『さあて、どうだろうね………?』と言ってはぐらかされてしまいました。
あのライブが行われて以降、μ’sに変化が起こりました。
相次ぐメンバーの加入。
1年生の小泉 花陽、西木野 真姫、星空 凛
3年生の矢澤 にこ、絢瀬 絵里、東條 希――――
――――と、合計9人となったメンバーは更なる一歩を踏み出したのでした。
オープンキャンパスでのライブ――――
9人となったμ’sにとっての最初となったライブでした。
この成功が大きく関わり、学院の存続の見込みが立ったということです。
次に、街で行われた野外ライブ――――
ファンに対して行った最初のライブ。
全3曲もの歌を聞けたとあって、ファンは大満足そうな表情をしておりました。
おかげでファンの数が急上昇したわけです。
そして、最近行われたアキバでのゲリラライブ―――――
A-RISEの御膝元であるアキバでのライブは若干の心配はあったものの、なかなかスリリングなものでしたね。
あの時は、確かことりちゃんと蒼一さんが作った曲を披露したんでしたっけね?
最初はできないと言っていましたが、案外やればできるものだということを再確認したんじゃないでしょうかね?
これまでの皆さまの活躍によって、今やμ’sは全国的にも知名度が高まるグループとして注目されているわけです。 いやぁ~傍から支える者にとっては嬉しいことですねぇ~。
これからの活躍に期待大ですね!!
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―――
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「――――と、まあこんなかんじですかねぇ?」
書き連ねたメモ帳を閉じて、一呼吸を開けさせてもらいますぅ~……
いやぁ~、なかなか面白い話が聞けましたねぇ~。 このおよそ3カ月もの間に、こんなにたくさんのことが積まれていただなんて、振り返ってみてようやく実感するものなのですねぇ。
「まあ、今洋子に話したのがこれまでの大まかな振り返りってヤツかな?」
「これで俺たちがどれだけ頑張ってきたのかが簡単にわかるってことよ!」
御二方の言っていることはもっともなことだ。
彼らの存在があったおかげで、現在、μ’sの知名度は全国的にも有名なものとなりつつある。 それと同時に、この音ノ木坂学院の注目度も上がっていることは確かなのだ。
しかも、今回のお話しの中では語られませんでしたが、学校を使った大々的なPVであったり、オープンキャンパスでの生徒会長の演説など、間接的ではあるものの音ノ木坂のために働きを続けていたことが、今日までの結果に繋がったのだと感じております。
それに――――今日までに起こったメンバーの心境の変化など、そうしたところにまで介入していることを聞きますと、何ともすごいお人なんだとあらためて実感させられます。
まあ、こうした質問は、おいおいメンバーに聞くことといたしますか~♪
「それでは最後に、今後の意気込みをお願い致します!」
「そうだな……まあ、まだ俺たちが目指そうとしている場所までの距離は長いものだが、これから迎える夏頃にはその場所に到達していることだろう………そして、必ず音ノ木坂学院の廃校を阻止してみせるさ……俺と明弘と、そして、μ’sがな!」
「くっくっく……そうだな、兄弟の言う通りだぜ。 俺たちはようやく歩き始めた……この行進はもう誰にも止められないぜ! 目指すは、ラブライブの頂点よ!!」
なんとも力強い言葉を最後に、この取材を終わらせた――――――――
「では、最後に一枚だけお願いしますねぇ~♪」
(カシャッ!)
〖宗方家、リビングにて撮影:宗方 蒼一と滝 明弘〗
また1つ、フィルムの中に思い出が納まった―――――――――――――
(余談)
【再生▶】
(―――ピッ――――――ジジ―――ジジジ――――――)
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―――
「すみません、蒼一さん。 ちょいと、気になるものがあるのですが………」
「ん? どうした?」
「いやぁ~、さっきからチラチラと目に入ってしまうのですが………あの和室にある、アレは本物ですか?」
「和室の方………? ああ、あれか。 見てみるか?」
「えっ?! いいんですか!!?」
「ああ、構わないさ。 ちょっと待ってくれ………」
「さあ、じっくり見てくれ。 宗方家に代々伝わる脇差だ」
「ほえぇ………私、本物を初めて見ましたよ…………」
「そりゃあそうだろうな、普通の家ではこんなものを置いているなんてありえないからな。 俺の先祖が武家の出だったから何とか今日まで残すことができたんだ」
「……失礼ですが、一般的なあの長い方の刀は………?」
「ああ、それなんだけど……戦時中に消失しちまったらしいんだよ。 幸いにも、この脇差だけは爺さんがずっと持っていたから奇跡的に無事だったわけさ」
「戦時中ですかぁ……なるほど、ある意味でお守りみたいですね」
「そうだろ? だからずっと大事にしているんだよ。 爺さんは、『何かあった時は、この刀を抜き、邪を払い、己が信念を貫き通せ』って言ってたんだよねぇ……いや、懐かしい………」
「兄弟んとこの爺様には、昔いろいろと叱られてたっけな………今でも、あの怒号が耳ん中で響くぜ………」
「あのぉ……もしかして、そのおじい様って………もうお亡くなりに………」
「あぁ、数年前にな………『宗方 政三』って言って、すごい人だったよ………」
「特に、眉間に生やしたあのシワと遠くまで聞こえたあの怒号は、名物みたいなもんだったなぁ~」
「す、すみません………なんか、暗いお話しをしてしまって………」
「いいんだよ、別に。 むしろ、昔のことを思い出して和んでいるくらいだ」
「んじゃ、退散する前に線香でもあげておきますか」
「あ! ではでは、私もさせていただきます!」
「おお、そうしてくれ。 爺さんも喜ぶだろう――――――」
(―――ジジ―――ジッ――――――――ピッ)
【停止▪】
(次回へ続く)
ドウモ、御久し振りの更新になります。
本編の方もようやく一段落が付きまして、こちらの話を進めていくことが出来るようになりました。
今回の話は、本編のおおよそとなる総集編のようなものです。
これで大まかなことをですね把握していただければと思います。
ここから数話は、このような話が続くことになりますので、よろしくお願いします。