MADMAX Fury of ArmoredCore -V-alhalla   作:ティーラ

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こちらは外伝となります。本編の続編ではございません。また今作では『ACfA』要素を多く含んでいますので、あらかじめご注意ください。
しかし、この外伝は本編との深い関わりと強いメッセージ性を持っていますので温かく見守っていただけると幸いです。

それでは、MADへ変貌する直前の世界をご堪能ください。




外伝 Remember -Memories of the past-
開幕 「For HERO.For Smile」


 

 

 

 

 終わった。

 

 

 

 

 

 機体中破、暁の夕焼けに照らされる残壊した六機のネクスト。至る部位からスパークを引き起こし直立状態で沈黙するステイシス、アンビエント、フィードバック、レイテルパラッシュ。レールガンによって貫かれた大きな穴が三ヵ所、そのうちのひとつはコックピットを確実に貫通されたリザ。心臓を射抜いたが如く再起不能にさせた決定打が。

 

 そして眼前のネクスト。胴部に一発、コアパーツのコックピット部を若干逸らせての撃墜。再起不能。

 

 たった一機だけを残して、この戦いは終わった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お前には山ほど説教がある。楽しみに待っていろよ?」

 

 甘い考えかもしれない。だがまだ間に合う、間に合わせたい。

 

 約一億人分の命という負い切れないほどの責任はきちんと受けさせてもらう。だが、今のお前にならまだやり直せるチャンスはある。まだ間に合う、いや間に合わせてやる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…おい、聞こえているんだろ……?」

 

 甘い考え。反対する者もいるはずだ。同じリンクスとして恥ずべきことだと、死を持って罰しようとするかもしれない。だがこれは私の責任でもある。チャンスをあげたい。お前はただ道を間違えただけさ。私がこの手でもう一度。お前のためにも、私のためにも。再びリンクスとして生かせてあげたい。

 

 

 だから…。

 

 

 頼む……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なあ…返事したらどうなんだ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 半年後………。

 

 昼。コジマ粒子による汚染がまだない澄んだ青空の下。ガレキと化したビル・住宅群に挟まれたコンクリート道を一人歩く女。ビニールに包まれた花束を大事に手にし、誰一人見当たらない大通りでレザーパンプスの靴音を響かせ歩む。

 灰にまみれたドラム缶。そのたき火台から新聞の燃えカスが風に舞わされ、地に落ちる。

 

 

 

『第二次リンクス戦争勃発!?

 被害増大!汚染拡大か!!?』

 

 

 

 着いた先は病院。午後十二時過ぎの陽気な風が玄関前に彩られた芝生の遊歩道を揺らす。どこかで付いたであろう灰を払い、スーツのしわを伸ばす。

 

 両開き扉には『COLLARED』と印刷文字が記されている。金色で装飾された文字は汚れや劣化などで書体が荒んでいる。文字に触れるとEDが人指し指に張り付きそのまま剥がれてしまう。親指と人差し指で擦るとボロボロと崩れ、『COLLAR』と残された文字だけが表記される。

 リンクス管理機構カラード(COLLARED)によって建てられた隣接病棟…だったここはただの病院、『ただの首輪』。いっそのこと、名前を全部かき消してしまった方がいいかもしれない。カラードである必要もないし、ここはカラードの病院だと名乗る必要もない。カラードはもうなくなってしまったのだから。

 

 ドアノブを握り手前に引く。

 

 

 

「い、いってぇぇ!痛ってえよぉぉ!!」

「ママぁ…ママあああぁぁ!!」

「血圧低下ッ!すぐにオペの準備を!!」

「チクショウ…チクショウ…」

「なぁお医者さんよぉ。メシもってねえか」

「次は俺だ!俺が治療を受けるんだッッ」

「退きやがれクソがッッ!!」

「い、医療器具が足りてないんです」

「次回の物資補給が未定だと!?」

「冗談じゃないわよまったく!」

「ここで野垂れ死ねってか!!?」

「脈拍停止!カウンターショック急いでッ!」

 

 ここは病院かと疑ってしまうほどの別世界が広がっていた。タイル床は血と脱脂綿と包帯の切れ端でその清潔さを失い、世話だたしく動き回る看護婦と医師の白衣は鮮血で染まりきっている。エントランスの椅子に腰掛ける病人、待合広場の冷たい床でもがく重軽傷者。苦痛で嘆き叫び、死に悲しむ人間で溢れかえっている。

 総合受付前に設置された巨大モニターには生放送中の午後のニュース。よく病院にあるような、椅子が何個も繋がったような横長ソファーに座る家族連れや怪我人たち。モニターに釘付けで微動だにせず凝視しているそれらは丸で魂が抜けたかのように底知れない虚空を感じる。

 

 黙ったまま、じっと…。

 

《――一週間前から始まったローゼンタール社抗議デモについての続報です》

 

 ある単語を耳にした女は足を止め、モニターを見やる。黒のライン柄が入った白のバックステージという無個性なスタジオにたたずむ男性ニュースキャスター。感情のない機械的な声調で今日起きた出来事をモニターの前にいるであろう視聴者に伝えている。

 モニターの映像は変わり、ある都市上空からの映像に切り変わった。ヘリコプターからの映像には黒煙があがり、炎々と燃え広がる高層ビル群。いくつもの車や住宅が爆発・倒壊し、弾けるような銃声がくぐもった爆発音に包まれながら聞こえている。この状況を女性アナウンサーが説明する。

 

《はい!こちらはローゼンタール本社上空です。デモの参加者は現在確認されているだけでも一千万人以上と――》

 

 カメラは人ごみの一部をズームアップし『戦争反対イマスグヤメロ』、『給料あげろ!!』、『私達は実験材料(オモチャ)じゃない』といったプラカードやデモ参加者を映し出す。

 

「ここだけじゃないのね」

「どこも一緒さ」

「もう戦争は避けられない、イヤな時代に生まれちまったな」

 

 ギャラリーの反応は人それぞれ。その光景を高みの見物…とまでは言わないが、今自分たちと同じような境遇にいることに安堵し共感している者。どこへ行っても同じなのだと、世界のどこへ行っても戦争が起きているのだと改めて悲嘆に暮れる者。これを俗に世紀末の到来と吐き捨てて未来永劫幸せだった世界はやってこないのだと呆然とする者と様々。

 

 

 ローゼンタールももうお終いか。財閥グループでありながら軍事企業としての顔があったにしては、まぁ十分頑張った方かもしれない。

 第二次リンクス戦争(・・・・・・・・・)の影響は確かに大きかった。

 

 

 カメラがズームアウトしアングルが少し遠ざかった群衆を移し出した刹那、場面が閃光。

 病院にいる三十以上もの視聴者が一驚し声をあげる。

 

 

 やはりか。

 

 

《ごご、ご覧ください!ノーマルACです!武装したノーマル型ACがデモ隊に向けて発砲していますッ!このようなことがあってよろしいのでしょうか!これはもはやむ…無差別攻撃ですぅ!》

 

 女性アナウンサーが必死になって状況を説明する。まさかの事態に対処しきれず、落ち着かない口調が目立ち始める。カメラマンも動揺しているのか、ノーマルACがキャノン砲を撃っているらしいのだが映像のブレが酷くなる一方。

 

「ちょっと…なんで撃ってるのよッ」

「こりゃあ……ひでえなぁ…」

「市民に向けて発砲だなんて」

「パパ…ぼくたちもああなるの?」

「ひどい…こんなの酷すぎるわよ」

 

 だが報道を極める者にとってこれは絶好のネタ。女性アナは咳払いをひとつし深呼吸。淡々とした口調で状況説明に戻る。カメラの手ブレが収まり落ち着いた手つきでのズームアップ、惨劇を撮り続ける。

 

「局の連中もこんなん撮るのかね」

「こーゆー輩は人の不幸をカネにするもんさ」

「所詮カネ、カネ、カネだまったく」

「う、うぅぅ…」

 

 長い砲塔から発射された質量砲はオレンジ色の弾道を描き、着弾爆発。硝煙と血しぶきが舞う爆心地が続々と形成され、デモ隊は散り散りになって逃げ惑う。四方八方から放たれる速射弾が二十、三十人もの体をバラバラに引き裂く。

 子供に見せないよう目を隠す母親。青ざめた顔つきで見つめる父親。カッと見開いた目に惨劇を焼き付ける老夫婦。口元を手で覆い吐かないよう努力している看護婦。しかめた顔でモニターを見つめる頭に包帯を巻きつけた男性兵士。

 

 

 カネも地位も…ローゼンタールの象徴たるものすべてを無くしたが故に、躍起になったか。つくづく諦めの悪いカネ持ちだったな。

 

《たった今避難命令が出されました!私たちもこれから避難いたします》

 

 ズームアップされたカメラ映像には、ノーマルACが局のヘリコプターを視認している。その時四角い長方形型ミサイルランチャーがこちらに向けられる。

 

《おい!まずいんじゃねえか!!?》

 

 ミサイル発射を確認。カメラマンはズームを戻し、女性アナウンサーを映す。

 

《おいヤベぇって!ヤバいって!!》

 

 カメラマンの声が聞こえていないのか、女性アナはイヤーマフを耳に押し付ける。

 

《何?何が?よく聞こえないっ!》

 

 ミサイルは一直線にヘリコプターへ。

 

《アレだよ!アレ!ミサイルだよッ!!》

 

 カメラマンはやってくるミサイルを指さす。

 

《みさいる…!!?ミサ――》

 

 着弾、ノイズ――。

 

 視聴者は再び一驚し声をあげる。

 

 

 

 しばらくノイズが走った直後。

《えー…只今…再び回線が繋がり次第続報をいたします――》

 

「やられたかのか…」

「そんな…」

「おいアレ…リンクスじゃねえのか」

「報道も直に縛られるな」

「こりゃあ物価も高くなる一方だな」

 

 デモ隊鎮圧のニュースの話題とは裏腹、『リンクス』という単語を耳にする。

 

「ほらぁアレだよアレ…リンクスだッ」

「しかもただのリンクスじゃねぇ…一億人殺しを倒したっていう!」

「おいおいおいマジかよ本物かよ!」

 

 

 気づかれないだろうと思っていたのだが。

 用を済ませて早々に切り上げよう。

 

 

 受付にいる看護婦に許可証を見せ「予約していた私だ、リンクスの――」と投げた途端「わかりました、少々お待ちを」とだけ。誰も通らない暗がりの通路へ消えていった。

 

 

「人類種の天敵とやらを倒してさぞご満悦だろうな。えぇ?リンクスちゃんよ…?」

 

 

 

 女はその声に後ろを振り向く。

 

 気に障ったわけではない。『リンクス』に続き『人類種の天敵』というワードに行動が止まっただけ。

 

 

 

「お姉さん……」

 

 誰かが裾を掴み、女の足を制する。見下ろすと潤んだ子供の目と交差する。決して物乞いや救いの目はしていない。まだ生きている、命がある目に何かを賞賛してあげたいという気持ちがふつふつと湧き上がる。

 女はスーツのポケットから手のひらサイズのパンと五百ミリリットルの水を取り出し、女児に与える。

 

「今日は寒くなる。食べておきな」

 

「ありがとー。お姉さ――」

「ソイツに近寄るなッッ!!!」

 

 突然の叱責に女児はビクッと肩をすくめる。男児が止めに入り大の字で庇う様に、兄と妹なのだろうと考察する。兄は妹を後ろへと促し対峙する。

 

「お前らのせいで世界はどうなったか知ってるのか!!」

 

「わ…私はただ…」女が説明しようとするも。

 

「リッチランド。聞き覚えあるよな」

 

 リッチランド。GA社が襲撃したアルゼブラ領の農場プラント。過去にそこでコジマ兵器を用いての戦闘があった円形耕作地群。

 

「お前らのせいで…食べ物が汚染された。それどころか、統合企業連盟はこれを隠蔽していたんだぞ!?」

 

 薄い上着を脱ぎ出した兄は、その体を院内にいる大勢に晒す。

 

「コジマ!?コジマ汚染だァァ!!!」

 

 院内のすべての人間が兄妹から遠ざかる。右の上半身が黒く壊死しており、淡い緑色を帯びた皮膚が如何に危険であるかを物語る。

 

「僕たちの家族はめちゃくちゃだ。食べ物を汚染させたリンクスも…汚染したことを隠蔽した企業連も!みんな大ッ嫌いだ!!」

 

 シン、と静まり返る院内。

 

「・・・・・」

 

「セレン様、こちらです」

 

 看護婦の小さな声で我に返り、通路を歩こうとしたが…。

 

「ここにパンと水を置いておく」

 

 受付机にパンと水を乗せ、足早に立ち去る。

 

 

 

 歩を進めていると、後頭部に柔らかな衝撃を感じ取る。下を向くと先ほど置いていったパンが地にあり、来た道を振り返ると涙ぐんだ男児がいた。彼が投げたのか、はたまた野次馬が投げたのかは実際見ていなかったし知る由もない。お見舞い用の花に汚れなかったのが幸いだ。

 

 

 リンクスであることを恥じたことはない。寧ろ誇りである。だが私たちがこれまでカネのために戦ってきたことに変わりはない。その舞台の後で苦しむ人間だっていることは理解していた。

 そう、所詮この世はカネ。生きるためのカネを手に入れるならば、生きるためなら誰だって必死になる。これを違うと断言して異論を唱える者もいるはずである。しかし、そうでもしなければ生きていけないリンクスのような強大で非力な人間がいたのだ。リンクスだけではない。レイヴンだってそうだった。

 

 誰もが生きるために戦っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ソールの音だけが不気味に響く通路を通り抜けるとVIP専用病室にたどり着く。足を止めノックを……。

 

 私にはそんな資格はない。()いた種は刈り取り、除去した。だが火種は導火線を点火させ戦争の火蓋を切らせてしまった。「貴方のせいではない」、「これは憎き殺戮者と虐殺者が自ら招いたこと」、「自業自得」。リンクスや企業からは励ましの言葉を贈られ、アイツ(・・・)は見事に『人類種の天敵』と名づけられた。

 

 企業連はこの責任をカラードに負わせ、リンクス管理機構カラードは強制解体。首輪の外れたリンクスたちは企業の所有物・切り札となるべく、リンクスの争奪戦が企業間で始まった。その後均衡が崩れた企業連は企業同士で争い、戦火を広げていく。リンクスはそれぞれの企業で集結され戦わせた。

 第二次リンクス戦争。欲望しかない戦争、醜い戦争と報じられ戦争は終結。インテリオル・ユニオンとトーラスが未だ健在。オーメル・サイエンス・テクノロジーが半壊し、グローバル・アーマメンツ社とローゼンタールはほぼ壊滅。BFF、アルゼブラは一跡形もなく消滅した。結果…残っているリンクスは私とこの病室の中にいる人たちだけ。

 

 

 私にはそんな資格はない。会う資格など……。

 

 だが会わなければならない。彼らには夢や目的を持ってリンクスになった。そのためだけに戦ってきたのに、彼らの夢を私は奪ってしまった。私には夢を奪った責任がある。

 

 恐る恐る手の甲を近づけノックする。緊張からか力んだノックが二回。自身が思っていたよりも鈍く叩いたことに驚き、スライドドアにノックした痕を確認してしまう。

 

「あ、は、は~い。どうぞ入ってくださいっ」

 

 と若さ一杯の女性の声。

 

「おおおオレが隠すから…大丈夫大丈夫ッ、バッチリだぜ」

 

 続けて男性の声。たどたどしい、それでいてハキハキとしない相変わらずな口調に苦笑する女。

 

 

 ドアはガラガラと音を立ててスライドする。

 先ほどの受付と一変して実に暖かい、一般的な病室という病室に息を飲む。開放した窓からは暖かい風と太陽光。薄いカーテンを通しゆらゆらと揺れる中、ゆったりとしたピアノの音楽が穏やかな眠気を誘う。ベッドのサイドテーブルに直立しているラジオからそれが聞こえる。辛気臭い病室を明るく変えていく工夫がそこかしこに施されていた。

 その病床に横たわる三人。テンポの良いリズミカルな心電針が生命の維持を分かりやすく捉える。

 

「ごめんなさい…操縦のしすぎだって。でも体はまだまだ動くってのにね」

 

 緑の髪、翠の目をした女。メイ・グリンフィールドは微笑を交え話す。

 

「バカだよなぁ。ヒーローになりたくて頑張ってきたのに、結局このザマだぜ」

 

 ヒーローに憧れる男。ダン・モロ

 

 そして、未だ意識不明の男性。彼は友以上の存在を無くした一匹狼。

 

「すまない…私がもっと早く気づいていればこんなことには…。まさかBFFが早々に壊滅するとは思わなくて…」

 

「気にしないでくださいセレンさん。そんなに、落ち込まないで?同じ、リンクス、じゃ…ないですか」

 

 俯き加減で語る女に優しく励ますメイ。しきりにしゃべったことによって呼吸が荒げ、額からは薄く汗がにじんでいる。目の奥に光る命は弱弱しく、頬は痩せこけ目にはうっすらとクマが出来ている。必死に隠そうとしていたらしく、顔やベットのあちこちに肌色のフェイスパウダーがまぶされている。

 

 腕を後ろに組みながら寝そべるダンは気の進まない様子で口を開いた。

 

「にしても人類種の天敵…か。まぁある意味カッコイイ名前だよな」

「ちょっと!」

「そのせいでオレらリンクスは戦場で引っ張りだこなんだぜ?それでどうよこのザマは?まったく…ヤになっちまうぜ」

 

「……すまなかった

 

 小さな謝罪の言葉の先は静寂、何もない。そこで緑の女性は何か思いついたように話し出す。

 

「ラジオで聞きました。有沢重工がやられた…とか」

 

 女は頷く。

 

「アリサワさんは…」

 

 女は小さく首を振る。

 

「GAも…全滅、ですね。」

 

 あまりに落胆するメイを見てダンは元気づけようと試行しながら話す。

 

「な、なぁ…そんなに落ち込むことじゃ――」

 

 こんな時、もし自分がこの立場であったなら…。そんな気弱な自分が見えてしまった男性は次の言葉が出なくなってしまう。

 

「リンクスもアタシ達だけ。アタシ…何のために戦ってきたんだろ。ホント…なんで…なんで、こんな……」

 

 そんな言葉に男も口を閉ざし、ラジオからのリクエストミュージックが流れ続ける。優しいゆったりとしたピアノ演奏に合わせ女性ボーカルがビブラートを奏でる。

 

「お花か、そりゃ?」

 

 花束を目にしたダンはメイに興味を持たせようと話題を変える。

 

「あ?…あぁ。大したものではないが」

 

 と、セレンは花束をメイに託す。

 

 大したものではない(・・・・・・・・・)というものがどれほどのものか。入院お見舞いの花にふさわしいかと訊かれれば、正直微妙である。二種類の花を顔いっぱいに近づき花の香りをくすぐらせる。若々しい幻想的でコロンのような香りが豊かな笑顔を作らせる。

 

「適当にお任せを頼んでおいた。とはいっても二つしかなかった。農場プラントで栽培していたあまりものだ。悪いが花に関しては疎いのでな、有難く思え」

 

「これは…ミムラスね。ミムラス……?」

 

 疑問符を浮かべた翠の瞳をセレンに向ける。

 

「な、なんだ?本当に知らんぞっ」

 

 メイがほほ笑む。きっと自分たちのことを思って買ってきてくれたに違いないと。ミムラスの花言葉は……。

 

あの人(・・・)にしてきたように、アタシ達にもこのような手厚い歓迎してくれるんですね。何から何まで…ありがとうございます」

 

「私は――…」

 

 

 

 

「――ユニオンの広報に知り合いがいて…空いた病室を貸してやっただけだ。それ以外は何もしていない。さっさと治せ、いろいろとカネがかかる。」

 

 

 

 

 死にぞこないのリンクスを助けて…何になる。彼らは、私たち傭兵はこんなところで死んでいいはずがない。

 

 蒔いた種の影響は完全に刈り取ることはできなかった。私のせいでこの戦争が始まってしまった。彼らリンクスは自ら望んで戦場へ赴き散っていった。この病室にいる三人のリンクスは負傷・即死するどころかあの激戦を掻い潜って生き延びてきた。

 そんな三人に待ち受けていた未来が…人体壊死化、感覚麻痺、血中コジマ濃度の上昇。これが、こんなのが彼らの結末なのか?きっと私のせいだ。そう…私のせいに決まってる。

 

 メイとダンはお見舞いの花束を嗅ぎ合っている。

 

「こっちの花はえっとぉ…ハイビスカスだっ!そうだ、それは知ってるぞっ!」

「そりゃあモチロンだぜ!なんていったって俺はヒーローなんだからッ!」

「ヒーローと花は関係ないでしょう??」

「う、いやぁ…それは、そのぉ…な?」

「まったく…ハイビスカスの花言葉わね――」

 

 

 

 悲しくないのだろうか…。

 いずれ…『死が最後にやってくる』。

 

 

 

「そうそうッその花言葉も知ってたぜ?」

「本当ぉ??じゃ、ミムラスは?」

「み、みィ!?み、ミムラスはぁ……」

 

 

 

 それは認め難くもある。だが受け入れなければならない。彼らに待ち受ける最期を見届けなければ。私は耐えられるだろうか、

 

 

 

「――さん?…セレンさんっ?」

 

 自失の念からふと戻ったセレンはメイの顔を見やる。心配そうな顔つきでセレンの表情をうかがっている。「大丈夫だ」と軽くあしらうとメイは安心そうに豊かな笑顔に戻った。

 

「お花ありがとうございますねっ」

 

「けどよぉ、ウチの病院って花の入院お見舞いはダメだったよな?」

「えっ」

 

 突拍子もない発言が飛び交った。

 

「生花でのお見舞い品は細菌を持ち込んでしまう可能性があるんですって。衛生面を考慮しての対応だそうですよ」

 

 

 

 

「知らな…かったぁ」

 

 

 

 

 硬直しポロッと本音が出てしまう。そんな情景が面白可笑しく見えた二人は思わず吹き出して笑う。

 

「せ、セレンさんん!そその反応は、はは、卑怯で」

 

「アンタってミッションじゃ声しか聞いたことなかったけど、実際会ってみればおもしれ~なハハハはッ――!!?」

 

 セレンの鋭い眼光をダンに浴びせる。これでも現役のリンクスであることにかわりはない。幾戦もの修羅場を生き抜いてきたその知識・技術のひとつをダンは体験している。冷徹で冷酷、殺意むき出しの目は陽気でマイペースなダン・モロを再起不能にさせた。

 

「でもセレンさんは、間違っていませんよ?病室から見、る変化のない景色…なんか見たって…面白くないもの。おか、げで元気が……出ましたよ?」

 

 リンクスには似つかわしくない行動だったと改めて実感し顔を赤らめるセレン。

 努力はしてきた。ああ、してきたさ。同じリンクスとして見舞いの一つや二つどうってことない。そのために花の知識の一つや二つ勉強したさ………軽くな。

 

 

 

《――抗議内容は…オイッ!!…『TYPEシリーズの製造中止と過剰動員の具体的な説明要求』となっており…いいから早く読めッッ!!……あ、えっと…え?》

 

《き、きき…緊急報道!緊急報道ですッ!!》

 

《統治企業連盟から公式導入されたアサルト・セルがたった今ッ…えー…反体制組織連合によって奪取されたとのことです》

 

「アサルト・セルがァ!!?」

「そんな!?」

 

 アナウンサーの顔は見えなくてもその焦りはひしひしと伝わってくる。そして遂にローゼンタールだけでなく、ヤツラも動き出したか。

 

「テルミドール無き今、ORCA旅団ももはや壊滅状態。リリアナの生き残りと手を組んだ話はどうやら本当だったらしいな」

 

《現在確認された情報によりますと、市街への無差別攻撃が行われているとのことです!予想到達範囲は旧GAエリアとコロニー・オーメルとのこと、範囲内にいる市民はなるべく早く…できるだけ遠い場所へ避難してください!繰り返し――》

 

 セレンは存外な対処に鼻で笑う。

 

「ハッ、今更どう逃げろと。まぁ私達がいるコロニー・ユニオンは範囲外らしい。心配することはないさ」

 

「ですけど…あたしならまだできますっ」

「そうだッ!オレたちならまだやれる!」

「お願いですセレンさんっ!」

「なぁ頼むって!この通~り――」

 

「さっさと治せと言っただろうッッ!!!」

 

 

 

「これ以上の面倒事は嫌いだ。それに……」

 

「それに?」

 

「もうリンクスを死なせたくない。夢や希望を持って戦ったリンクスを…殺したくない。ここにいれば助かる、夢も希望もある。なのにお前らときたら自ら死に急ごうとする。なんで、何故なんだ。何のために戦ってきたのか、それを忘れた私には!…分からない」

 

「…はい」

「わーったよ、ったく」

 

 リンクスとしての使命は全うしたいという思いは確かだ。今の二人に言えることはこれぐらいしかない。今の体調を良くして、それから考えればいい。二人にはそれぐらいの時間はあるのと思わせたい。

 

 

 ピーッピーッピーッ。セレンの持つ端末から連絡。

 

「私だ……分かった……すぐ行く」そう言って、セレンは交信を切る。

 

「依頼か?」

 

「エサになって欲しい、だそうだ。明日また来る。ゆっくり療治してろ」

 

 セレンは吐き捨てるかのように早々退室していった。メイはセレンの無事を祈るしかなかった。一方、ダンはセレンが出て行ったスライドドアを凝視していた。

 

「オレは夢を忘れたわけじゃ、ないぜ…セレン・ヘイズ」

 

「どうしたの?」

 

「いや、オレさ――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 深夜。

 インテリオル・ユニオン広報部門前――。

 

「あっセレンさん!ミッションお疲れ様です」

「その名で呼ぶな」

「では日系の――」

「それも同様だ」

「ではなんと呼べばよろしいのです?」

「好きにしろ」

「何が不満なんです?それに相応しい報酬は差し上げたはずですが?」

「部屋はどこだ。私は疲れてる」

 

 はいはいと誘導を再開する。ユニオン広報部門を抜けるとこじんまりとした一人部屋。モニター、ベッド、低いテーブル、カーテンで閉めきった窓が一つ。

 

「明日になったら呼び起こせ。用がある」

 

「ユニオンは貴方を高く評価しています、私個人としても。だから一人で悩まないでください」

 

 マリー=セシール・キャンデロロ。ユニオン陣営を担当する仲介人だが、発言した内容は仲介人らしからぬものだった。

 

「勝手にしろ」

 

「…何か用件がございましたら連絡を。それでは」

 

「…マリー」

 

 あとにしかけたところの呼びかけで足を止め振り返るマリー。

 

「すまない……ありがとう」

 

 感謝と謝罪。その言葉の意味がどうしても分かってしまう。マリーはそれがどうしても仕方なく思い、手を差し伸べようとするもセレンは優しく拒否する。セレン・ヘイズがセレン・ヘイズでなくしたのは、あの人道外れたミッションであった。

 『アルテリア・カーパルス占拠』。「いつも通りで、優しく、何気ない口調で説明し、報酬金額を提示しろ」。そう命令された時のあのセレンの顔を忘れることない。歯を食いしばりながら握り拳を作り、悔しさと後悔と悲哀の感情を注ぎ込んだ偽りの依頼。

 

「私にはこれぐらいしかできません。所詮私は企業と傭兵の間に立つ仲介人に過ぎませんよーだ。あといい加減、仕事以外で敬語はナシでいいですよ。それでは」

 

 セレンはいつしかセレン自身を殺してしまう。そんな絶望がマリーの頭を過ぎったが一振に首を振り仕事へ戻っていった。

 

 

 

 

 

 

 

「疲れた」

 

 心身ともに脱力しきった体をベッドに預け横たわる。ニュースを見ようとベッドの片隅に置いてあったモニターリモコンを手にしONにする。薄暗い部屋で唯一の明かり、モニターの映像が仄かに部屋を照らす。

 政治、金銭問題、新兵器開発についてといった話題が流れている。チャンネルを変えると、討論番組が報道されれる。

 

《では今日起きた事件の詳細についてですが…如何でしょうか?》

 

《このネク…機体はどう見ても市街地を、その…ルト・セルの砲撃から市街地を庇っているように見えますね》

 

 集中できない。

 

《しかしですよッ!?なんの武器も持たずにアサル………に突っ込んでいく馬鹿がどこに…ます!?》

 

《新たな…マ汚染…害拡大を防…め現在…四散した装甲片の…収を急いで…とのことで…》

 

 飲み込まれゆく眠気に耐えられない。頭にニュースの内容が入らず、ぼうっと意識が薄れていく。ついにはモニターを付けっぱなしに落ちていった。

 

 

 

 

 

《回収された装甲片とエンブレムから、今事件に確認されたネクスト機体は青と橙そして白を主としたカラーリングで構成されているのではないかと推測され―――》

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 翌日、一報が入った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 セレブリティ・アッシュが消えた。

 

 

 カラードが管理していたネクスト機体のひとつ。セレブリティ・アッシュがネクスト格納庫から消えたとのことだった。続報でセレブリティ・アッシュが大破したとのことだった。

 

 続けてダン・モロが死んだ、のことだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ダンさんが…亡くなりました」

 

「聞いている」

 

「・・・・・」

 

 雨。どしゃ降りの雨がざあざあと音を為して降り続けている。メイの隣の病床がガランと何もなかったかのように片付けられている。誰もしゃべらない病室でメイが口を開く。

 

「セレンさん言ってましたよね?何のために戦っているのかって」

 

 セレンはそれを黙って聞く。

 

「彼はヒーローになりたいって言っていました。ヒーローになりたくて戦っているんだって」

 

「・・・・・」

 

「いつもだったら敵前逃亡だったり、引き腰で戦ったり。リンクスなのにカッコ悪くって。でもこんな時に限って…ズルイんだから」

 

「・・・・・」

 

「止めようとは思ってたんですよ?けれど、ダンさんの思いに負けてしまいました。だから…」

 

「行かせてあげたと。なるほどな」

 

「怒らないであげてっ」

 

 セレンに詰め寄る涙目のメイ。機器からの心拍音が早くなる。音の間隔が早くなるにつれメイの目がしらに涙が。

 分かってはいた、自覚はしていたらしい。自分にはあとどれほどの時間が残されているのか。ダン・モロも、メイ・グリンフィールドも。

 

「ねえっ、ダンは…ダン・モロはヒーローになれましたよね?」

 

「知っているだろう。あの後市街地がどうなったか――」

 

 

ヒーローになれたって!!!」

 

 

「お願いです…言ってくださいセレンさん。お願い……あの人は最()の最()まで…ヒーローだったって…」

 

 翠は涙で充血し、溢れんばかりに涙を落とす。

 

「お願い…お願い…おねが――」

 

 

 

 

 ――血涙。鼻血。

 

 

「――メイ、血が…」

 

 

「い?……ガ、ぐッ!!?」

「メイッッ!!?」

 

 迸る吐血。口から、鼻から。手で押さえても抑えきれない赤の濁流が真っ白の患者着とベッドが血で染める。苦痛でさえも声に出ないほどの量が体外へ流れていく。赤黒い血流がメイの命そのもののような。心拍数音が早く早く変貌、危機迫ることだとはすぐに理解できる。

 

「おい誰か…誰か!誰か来てくれ!!」

 

 セレンの声に反応した医者と数名の看護婦がスライドドアを開け病室に入る。あっと度肝を抜かれたような表情を露わにし病室の出入り口から先へは進まないでいる。

 

「セレンさん近づかないで!!は、離れてください!」

 

 男性医師が緊迫した顔でセレンに忠告する。何故か?それは至極簡単、リンクスだから。コジマ粒子を纏った汚い人間だから。

 

「そうしたら貴方もコジマ汚染してしまいますよ!!?」

 

 関係ない。リンクス一人守れないでリンクスと名乗る者などいない。それなら…医者なら医者らしく医療器具を持ってくるなりオペの準備をするなり、さっさと動ってんだ。

 

「このようなところでスタッフを危険に晒したくはありませんッ」

 

 それが医者からの見解か?これがお前らの答えか?人一人救おうとしない医者などどこにいるか。

 

「キサマぁ…貴様らそれでも医者か――」

 

「セレンさ、セレンさ…ん」

 

 ぐちゃぐちゃになったメイは苦悶よりも願望に近い何かを訴える。涙なのか血涙なのか、カオスな状況下でもメイはセレンに訴え詰め寄る。泣きながら、吐血しながら。命を削りながら。

 

お願い(・・・)…」

 

「ああ…そうだ」

 

「アイツは…ダン・モロは(まさ)しく、ヒーローだ」

 

 

 

 

「――そう、ですよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ダンさんは…ヒーローなんです…よ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「カッコ悪く…て…無邪気…で……臆病で…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アタシだけ…の………ヒー……ロー…………………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おい。メイ!メイ・グリンフィールド!グリンフィールドォ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 夢だったヒーローになるために―-。

 笑顔を届けるために――。

 

 二人は…死んだ。

 

 

 冷たくなりつつある笑顔いっぱいな亡骸を強く抱き、静かに…静かに……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 泣き叫んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 昼。

 

 

「そうか。二人とも死んじまったか」

 

「・・・・・」

 

「そんな泣くなよ、お前らしくもねぇ」

 

「黙れ」

 

「お前の後輩に見られたら何て言うだろうなぁ」

 

「黙れ」

 

「お見舞いありがとな。花は…俺がやっておくよ」

 

 ダンとメイがいた病床の間、サイドテーブルにはラジオと花瓶。ミムラスもハイビスカスも朽ち果てた。花々はすっかり萎れ、色を失った花弁だけが茶色く散らされている。

 

「いい、私がやる。責任もって(・・・・・)…」

 

 テーブルに散らばる花弁を集め手ですくい上げ、ゴミ箱へ落とす。

 

 自分で買っておいてなんだが…つくづく最低だな私は。二人の運命もこの花の運命も私が見届ける結末になるとは。いつかこうなるのではないかと思ってはいた。だが実際、予想していた現実を受け入れるのはそう容易いものではないのだな。

 

 セレンはふとベッドに目をやる。新しく変えられたシーツの上に二枚の花弁が寄り添っている。ミムラスとハイビスカス。鮮やかだった色彩は失われても私は覚えている。これだけはどうしてもゴミ箱へ行かせる運命にはしたくない。そんな思いが込み上げてくる。

 

 窓を開けると午後十二時過ぎの陽気な風が病室を巡る。あの二人を逝かせてしまった時を想起させるには十分なほどに。茶色に萎んで落ちた花弁をそっと手に拾い、ふっと優しく吹く。

 陽気な風に乗って外へ。自由になれたかのように舞い上がり、空高く消えていく。

 

 

 

 

「俺たち…何のために戦ってきたんだろうな…ウィンディー」

 

 

 

 ロイ・ザーランドが寂しく呟く。

 

 

 

 

 

 

 




どうもです、ティーラです。

今回は外伝でした。本編を楽しみにしていた方々、申し訳ございませんでした。

ACfAをご存じでない方には「ん?」となるかもしれません。
ACfAをご存じの方はきっと「何故殺した!言えッ!!」となるかも。
MADの世界へはそれ相応のカオスが必要となる(戒め)

えー、次回は本編を進めていきますので大丈夫大丈夫。
フロム脳とMADMAX脳を用意して待っていてくださいね?

それでは最高の一日をっ!

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