魔法少女リリカルなのはViVidー人喰らいし、古の血ー   作:ダラケー

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その日、シグナムは困り果てていた。

 

シグナム「リュイ…いい加減に離してくれないか?」

 

リュイ「い…や…」

 

シグナムの足に抱きついて今にも泣きそうな声で嫌がる。

 

シグナム「仕事に遅れるから離してくれ」

 

リュイ「やぁ~…」

 

シグナム(な、なんなんだ今日に限って!?リュイが頑なに嫌がるとは!?)

 

頑なにシグナムが仕事へ行くのを嫌がるリュイに困惑する。

 

はやて「しゃーない。シグナム、今日は仕事を休みいや」

 

シグナム「し、しかし…」

 

はやて「リュイの顔、見てみ」

 

断ろうとしたシグナムにはやては言う。

 

言われてリュイを見ると不安な表情でシグナムを見ている顔が映った。

 

はやて「こないな不安な顔したリュイは初めてや。こんな時こそ母親であるシグナムがおらんとあかん」

 

シグナム「ですが…」

 

はやて「これは夜天の書の主兼八神家当主(的な立場)の命令や!」

 

シグナム「うっ……」

 

ビシッと言われてまじめな性格のシグナムは従わざるを得なかった。

 

結局、シグナム以外の面々が仕事へ出かけ行き、シグナムはリュイと留守番することになった。

 

リュイ「………」

 

リビングにてリュイはシグナムに抱き着いたまま動こうとしなかった。

 

シグナム「どうしたんだ、リュイ?」

 

抱き着かれたままのシグナムはリュイに聞く。

 

ここまで不安な表情をするリュイは確かに初めてだ。

 

あのアマゾンと戦闘中に何かあったのかとシグナムは感じていた。

 

リュイ「……」

 

だが、リュイは答えようとはしなかった。

 

いや、答えたくないのか唇を固く閉ざしていた。

 

シグナム「……答えたくないならそれでいい。だが、答えてくれないと私が逆に不安になる…リュイがもしかしたら大きな病気になっているかもしれない、誰かに脅されているかもしれない、とな」

 

今、シグナムが言った言葉はリュイを心の底から心配している本当のことである。

 

リュイ「………あの…とき…」

 

シグナムに言われてリュイはようやく口を開いた。

 

リュイ「あの…とき…しぐまま…いった…ぼくを…ものあつかい…しないって…でも…ここが…すごく…もやもや…するの…だから……」

 

胸を抑えてリュイは泣きそうになりながら言う。

 

"胸がモヤモヤする"、それはリュイの心が何かしらの不安を抱えてしまっていることはシグナムでも分かった。

 

どう言えばいいのか考えるが言葉が見つからないシグナム。

 

ただシグナムはリュイがこうなった理由は想像がついていた。

 

シグナム(恐らくあのツバメ型のアマゾンに何か言われて心が揺らいでしまっているのだろう)

 

そう思ったシグナムはリュイの頭を優しく撫でた。

 

シグナムに撫でられてリュイは顔を上げるがまだ不安があるようだ。

 

シグナム「そう不安な顔をするな。リュイ、ツバメ型のアマゾンの住処に捕まっていた時、食われそうになった女の子を助けただろ?」

 

リュイ「うん…」

 

シグナム「あの子がお前に"ありがとう"っと言っていた。それはお前が少なくともあの子に信頼してくれた証だ。それだけでも分かっていてくれ」

 

ツバメアマゾンの事件でリュイが変身できな状況でありながら果敢にも食われそうになった女の子をかばったこととその女の子が事件後にお礼を言っていたことを言う。

 

シグナム「それに大丈夫だ。例え、世界中がお前を嫌っても…私だけは母として絶対に守り抜いて見せる。だからそれまで人間を信じていてくれないか?」

 

精一杯に考えてシグナムはリュイに言う。

 

リュイ「しぐ…まま…」

 

シグナムに言われてリュイは少し不安が消えてそう言った。

 

母親という存在に人は安心を感じるもの、リュイも母として慕っているシグナムが味方でいてくれるということが分かって安心したのだ。

 

リュイ「すー…すー…」

 

安心しきったリュイはシグナムにしがみついたまま眠ってしまった。

 

色々と自分なりに考えたりして疲れてしまったのだろう。

 

シグナム「リュイ…」

 

眠っているリュイを見てシグナムは微笑んでいた。

 

その時シグナムは思っていた、"リュイがこんな風に不安もないまま穏やかに育ってくれればいいのに"っと…。

 

それが叶わぬとは分かってはいたが、自身に目覚め始めた母性がそう訴えていたのだった。


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