魔法少女リリカルなのはViVidー人喰らいし、古の血ー 作:ダラケー
時空管理局、それは実行部隊として次元航行艦船や武装隊などの強力な戦力を有している、この世界最大の組織である。
内部は次元の海に本局を置く【海】こと次元航行部隊と次元世界ミッドチルダに本部を置く【陸】こと地上部隊に分かれており、主に受け持つ案件の違いから異なる性質を有している。
治安維持を担う軍隊や警察、そして法務執行を担う裁判所としての機能を合わせ持っており、魔導師という人材が圧倒的に少ないという事実からも、優秀な能力と本人の協力意志さえあれば、前科を持つ人間や逮捕された人間でも、短期の更生期間を経て時空管理局員として迎える事が可能となっている。
実験体ことアマゾン対策は、主にこの組織が担当しており、海と陸を統合した部隊が捜査を行っている。
そして、今日はアマゾンの対策を話し合う会議なのだが、いつもなら緊張で空気が張り積める会議室は違っていた。
理由はシグナムに抱きついたまま眠っている男の子であった。
あの後、会議に出る時間となったシグナムは男の子をベッドに戻そうとしたが、全く離れず結局この状態で会議に出席することとなった。
会議に出ないのも手だったが真面目な彼女にそれは出来なかった。
はやて「し、シグナム、その子は?」
上官で対策本部本部長兼シグナムとシャマルたちの主、【八神 はやて】が男の子を見て、聞いてきた。
シグナム「後で説明します…」
聴かれたシグナムは顔を赤くして言う。
流石の【烈火の将】の肩書を持つシグナムですからこの状況は恥ずかしいようだ。
だが、男の子はそんなのお構い無し…と言うより、完全に安心しきった顔で眠っていた。
はやて「そうか…ほな、会議を始めよか。リイン」
はやてもシグナムの今の姿に内心戸惑いながらも会議を始めることにした。
リイン「では会議を始めさせていただきます。まず…」
はやての隣にいた少女【リインフォース・ツヴァイ】こと【リイン】が会議を始めた。
リイン「っと、ここまでがアマゾンたちの特徴です。それで、今後の対策なのですが…」
リインが報告書を読みながら、話している時、「ぐううぅぅぅ」っと、お腹が鳴る音が会議室に響いた。
音が出た方を見るとシグナムにその視線が集まった。
はやて「シグナム、まさか…」
シグナム「わ、私ではありません!!」
見られたシグナムは直ぐ様否定する。
男の子「おなか…すいた…」
声を見るといつの間にか男の子が起きて、シグナムを見ていた。
はやて「お腹すいたんか?」
さっきのお腹の音が男の子から聞こえてはやてが聞くと男の子は頷いた。
どうやらお腹がすいて目を覚ましたようだ。
はやて「そうか。誰かこの子を…」
会議室にいる誰かに、はやては指示しようとするが、男の子はシグナムの制服をぎゅっと握りしめていることに気づいた。
はやて「………シグナム、その子と一緒に昼食とってき」
シグナム「な、なぜ私なんですか?」
はやて「簡単や。まだ、シグナムにしか懐いておらんからな」
聞かれたはやてが言うと、シグナムも自身の制服を男の子がギュッと握りしめていることに気づいた。
シグナム「……分かりました」
確かに、今の男の子は自身以外にまだ心を開いていないことを理解したシグナムは了承する。
はやて「会議の結果は追って連絡するから」
シグナム「はい」
男の子を降ろし、手を繋ぐと一緒に会議室を出ていったのだった。