魔法少女リリカルなのはViVidー人喰らいし、古の血ー 作:ダラケー
ワタルに連れられてシグナムはバクラがオーナーをしているクラブバー『LUPO』に来ていた。
ワタル「マスター、いるか?」
店内に入ったワタルはバクラを呼ぶ。
バクラ「何だ?まだ店は開けてないぞ」
店の奥から現れたバクラはワタルの後ろにいるシグナムを見て言う。
ワタル「あの子供の母親だ」
バクラ「……ついてきな」
ワタルからシグナムがリュイの母親だと聞くとバクラは2人を二階に案内した。
シグナム「リュイ!!」
二階に案内されて部屋に入るなりベッドの上に寝かされているリュイを見てシグナムは駆け寄る。
バクラ「体を蝕んでいた毒は完全に取り除いた。だが、まだ意識は戻ってない」
今のリュイの状態をバクラは言う。
シグナム「リュイを助けてくれて感謝する」
ワタル「そう言うな。俺は守りし者として当然のことをしただけだ」
礼を言われ、ワタルは腕を組んでそう言う。
シグナム「そう言えば聞きたかったのだが…お前はまさか…魔戎騎士なのか?」
ワタル「何故それを…」
"魔戒騎士"かとシグナムに聞かれてワタルは少し警戒する。
シグナム「勘違いしないでくれ。私は一度その話を聞いただけだ」
ワタル「どういう…」
ウルバ『まさかお姉さん…闇の書の守護プログラム?』
シグナムの言葉にワタルは頭の中が混乱したが、ウルバが聞いてきた。
シグナム「そうだ」
ワタル「なに?」
シグナム「今は夜天の魔導書だが…」
ワタル「守護プログラムが何で子供の世話なんてしているんだ?」
闇の書のことは魔戎騎士や魔戎法師の間でも最大級の危険物対象なのだからワタルもある程度は知っていたがリュイとの関係を聞いてみる。
シグナム「それは…」
ワタルに聞かれてシグナムは話した、リュイと出会ったことや世話をすることになったことを…。
ワタル「なるほどな。悪い組織から救出して養子にしたと言うことか」
シグナム「そうなる」
ワタルの確認にシグナムは言う。
シグナム「ではリュイを連れ帰っていいか?主はやてたちが心配しているだろうだから」
バクラ「そうだな。そうしてくれるとこっちは助かる」
シグナム「では…」
バクラから許可を貰い、リュイを抱えるシグナム。
シグナム「いつかこの礼は必ず」
ワタル「気にするな」
シグナムに言われてワタルは言う。
シグナム「世話になった」
頭を下げてシグナムはLUPOを出て行った。
バクラ「まさかあの闇の書が夜天の魔導書になっていたとわな」
帰っていくシグナムを二階から見て言うバクラ。
ワタル「その主と守護プログラム…いや、ヴォルケンリッター四騎士は時空管理局で活躍中らしいからな」
バクラ「世の中分かんねぇもんだな」
ワタル「だな」
少し可笑しくなって笑う二人だった。
リュイ「ん…」
自身の体に感じる温もりで、リュイは目を覚ました。
シグナム「気が付いたか。リュイ」
リュイ「しぐ…まま…!!」
シグナムを見るなりリュイは暴れて逃げようとする。
シグナム「離さないぞ、リュイ」
リュイ「……」
離してくれそうにないシグナムを見てリュイは暴れるのをやめた。
シグナム「どうして勝手にいなくなったりした?」
リュイ「……」
シグナムに聞かれてリュイは何も言わなかった。
シグナム「ヴィヴィオのことか?」
リュイ「うん…」
シグナムに言われてリュイは頷いた。
ヴィヴィオのように怖がってしまい敬遠をした目は初めてだったからだ。
シグナム「ヴィヴィオたちに言っていなかった私たちも悪い。だがリュイ、これだけは分かっていて欲しい」
リュイ「?」
シグナム「例えお前がどんな姿であろうとヴィヴィオたちはお前を受け入れてくれるハズだ」
リュイ「そう…かな…」
少し不安がって言うリュイ。
シグナム「大丈夫だ。私も一緒に行ってやるから」
リュイ「うん…びびおたち…しんじる…」
シグナム「あぁ。そうだ」
リュイの言葉を聞いてシグナムは優しく微笑んで言うのだった。