魔法少女リリカルなのはViVidー人喰らいし、古の血ー   作:ダラケー

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懐かしき思い出
hunting 78


その日、リュイはシグナムと管理局の本部に来ていた。

 

子供を連れているシグナムに男性・女性職員の視線が注がれ、その視線はリュイにも向けられていた。

 

実は管理局内でリュイのことが噂になっており、あの凛々しく、ガードの硬いシグナムに子供が出来たというので一目見ようと集まってきていたのだ。

 

リュイ「……………」

 

視線を向けられてあまり人に慣れていないリュイは不安になってシグナムの服を強く握る。

 

シグナム「大丈夫だ。私が付いている」

 

強く握ってきたリュイにシグナムは微笑みながらそういう。

 

リュイ「うん…」

 

微笑んだシグナムに言われたが、まだ不安な様子でリュイは頷く。

 

シグナムがリュイを連れてきた理由は前にリュイがアマゾンマンション事件で使用したバイク【ジャングレイダー】のことが分かったらしいのだ。

 

受け付けでリュイの入管許可証を貰ったシグナムは時空管理局の魔導師たちが演習する演習場に来ていた。

 

リュイ「ひろい…」

 

だだっ広い演習場を目の当たりにてリュイは少し興奮していた。

 

マリエル「シグナム隊長、お疲れ様です」

 

ショートカットで、緑色の髪の色で、メガネを掛け、局員の制服の上に白衣を着た女性【マリエル・アテンザ】(愛称:マリー)が来た。

 

マリエル「その子がリュイくんですね。こんにわ」

 

リュイを見つけてマリエルは屈んで挨拶する。

 

リュイ「こ、こん…にち…わ……」

 

シグナムに隠れつつリュイはマリエルに挨拶する。

 

マリエル「うーん、少し警戒されてますよね?」

 

シグナムに隠れて挨拶したリュイを見てマリエルは聞く。

 

シグナム「おそらく。金髪ではないが白衣の部分で警戒しているのでは…?」

 

シグナムも確証は持っている訳ではないので絶対とは言い切れない感じに言う。

 

マリエル「あー、やっぱり…話を聞いた時から白衣(これ)は不味いかな~っとは思ってたんですけどね。でもここで少しでも目立たないと今後出番が、ブツブツ…」

 

シグナム「な、なんの話だ?」

 

少しメタい話を出してきたマリエルにシグナムは少し引き気味になる。

 

シグナム「そ、それより!主はやてから例の物の解析に協力してほしいと連絡があったのだが」

 

話題を変えようとシグナムは今日ここに来た理由を言う。

 

マリエル「あぁ!はい、そうなんです!こっちに用意してますから見てください!!」

 

用事を思い出したマリエルは2人を演習場からほどなく離れたシャッターが閉まった倉庫のような場所に案内した。

 

案内したマリエルは倉庫のシャッターを上げて開いた。

 

倉庫の中には1台のバイクが置かれていた。

 

リュイ「しぐまま…この…ばいく…」

 

置かれていたバイクにリュイは見覚えがあった。

 

シグナム「覚えていたか。そうだ、リュイが乗ってきた物だ」

 

バイク―女王アリアマゾンを頂点とした大多数のアリアマゾンのよる『アマゾンマンション事件』にて潜入したシグナムとヴィータの元へ駆けつける為にリュイが乗ってきたバイクである。

 

マリエル「とりあえず、名称としてジャングレイダーって呼んでます。それでリュイくん、このジャングレイダーはリュイくんにしか動かせないみたいなの。だから少しだけこれに乗ってくれないかな?」

 

そう言ってマリエルはお願いする。

 

リュイ「うん…いい…よ…」

 

お願いされてリュイは断る理由もないので了承した。

 

マリエル「ありがとう!じゃあ、さっそく乗ってもらっていいかな?」

 

リュイ「うん…」

 

マリエルに言われてリュイはシグナムから離れるとジャングレイダーの前まで近づいた。

 

リュイ「…………」

 

ジャングレイダーを前にしてリュイは少し不安になった。

 

理由は最初に乗った時、一瞬だけ電気が走って痛い思いをしたからだ。

 

事件解決後に取りに来たときはハンドルではなく、後ろから押す感じで持ってきたのだ。

 

そんな怖さがある中で、恐る恐るリュイはジャングレイダーのハンドルを握った。

 

ハンドルを握っても電気は走らず、痛みは無かった。

 

リュイ「……」

 

痛みが無いと分かるとリュイは跨ってバイクに乗った。

 

マリエル「じゃあ、動かしてみて」

 

リュイが乗ったのを見てマリエルが言うとリュイは頷いてジャングレイダーのハンドルを捻った。

 

すると"ブオォォン"っとエンジンが掛かる音がした。

 

シグナム「掛かった!?」

 

自分たちではエンジンすら掛からなかったジャングレイダーがリュイが動かすとエンジンが掛かったことに驚く。

 

マリエル「凄い、すごいよ、リュイくん!」

 

少し興奮気味に喜んでマリエルは言う。

 

リュイ「そう…かな…?」

 

興奮しているマリエルにリュイは不思議そうな顔をして言う。

 

マリエル「うん!そうだよ!!」

 

不思議そうな顔をしているリュイにマリエルは言う。

 

マリエル「じゃあ、この広場をぐるりと一周してきてくれるかな」

 

リュイ「うん…」

 

マリエルに言われてリュイはそのままジャングレイダーを動かそうとした時だった。

 

シグナム「リュイ、ヘルメットを被っておけ。怪我でもしたら大変だ」

 

そう言ってシグナムは子供サイズのヘルメットを手渡してきた。

 

リュイ「ありがと…しぐまま…」

 

ヘルメットを受け取って被るとリュイはジャングレイダーを動かした。

 

リュイ「いってきます…」

 

シグナムとマリエルの2人に言うとジャングレイダーを走らせて演習場を走り始めた。

 

シグナム「しっかりと動いているな」

 

マリエル「えぇ。正常に…」

 

走り始めたジャングレイダーを見て2人は言う。

 

シグナム「どうしてリュイだけが動かせるんだ?」

 

様々な方法でジャングレイダーを動かそうとはしたがエンジンすら掛からなかったのにリュイが乗ると動き始めたのが不思議でシグナムは聞く。

 

マリエル「これはあくまで私の仮説なんですが…ジャングレイダーはもうリュイくんしか動かせないと思います」

 

シグナム「リュイだけが?」

 

マリエル「はい。リュイくんの証言だと触ったときに一瞬だけ痛かったとか。恐らくそれが持ち主を登録するもので、それ以外の人間が扱えないように生体ロックが掛かってるんだと思います」

 

ジャングレイダーがリュイ以外に動かせないことをマリエルは彼女なりの推測を言う。

 

シグナム「仮にそうだとして…誰があんなものを……」

 

マリエル「さあ、流石にそこまでは…解体も碌にできなかったので…」

 

誰がなんのためにジャングレイダーを作ったのか、その疑問が残ることになった。

 

しかし、それどころではないことがすぐに起きた。

 

理由はリュイがジャングレイダーで爆走している最中にバランスを崩して転倒してしまったのだ。

 

「「あ…」」

 

転倒したリュイの姿を見て驚愕した。

 

マリエル「り…」

 

シグナム「リュイィィィィィィィィィィーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!」

 

マリエルが動こうとした瞬間にシグナムが人間ならざる猛ダッシュで転倒したリュイの元へ向かった。

 

マリエル「はやっ!?」

 

人間ならざる猛ダッシュしたシグナムを見てマリエルは驚くのだった。

 

シグナム「リュイ、無事…!!」

 

数分で到着するハズだったのを数秒でリュイの元へ到着したシグナムが見たのは地面に倒れて眠っているリュイの姿だった。

 

シグナム「ね、寝ているだと?」

 

寝ているリュイにシグナムは少し呆れてしまった。

 

シグナム(だが、怪我は無いようだな。良かった)

 

奇跡的に怪我が無いことに嬉しさを感じながらシグナムはリュイを背負っておんぶした。

 

シグナム(しかし何故リュイが急に?まるで変身した反動のような…)

 

おんぶしたシグナムは眠ってしまったリュイを見て新たな疑問を浮かべながらマリエルの方へ歩いていくのだった。




シグナムにおんぶされて眠っているリュイはある夢を見ていた。

今みたいにビルやコンクリートでできた建物が無く、草や木が多く残っている木々が生い茂る自然が残されている森。

そんな森の中をリュイは黄金の体で、赤い鬣をした馬に同じく黄金の鎧を纏った人物と乗っていた。

馬は他の馬とは比べ物にならないほど速く、疾風の如く、その鬣をなびかせながらリュイと鎧の人物を乗せたまま森を抜けて、草原を疾走する。

リュイはその人物のことを知らない。

だがどことなく安心感があり、今の八神家のような感覚がした。

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