神様なんかいない世界で   作:元大盗賊

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第13話 力

 

 

「それじゃあ、説明していくね」

 

「おう、よろしく頼む!」

 

 更衣室にてシャルルと俺はISでの訓練をする前に学年別トーナメントに向け、シャルル先生による専用機対策講座を受けていた。

 

「まず、ボーデヴィッヒさんのISだね。彼女のISは、黒雨(シュバルツェア・レーゲン)。ドイツの第三世代IS。特に注意したいのが…」

 

「AICってやつだよな、確か」

 

「うん。第三世代兵器のAIC、正式名称はアクティブ・イナーシャル・キャンセラー。対象を任意に停止させるとてつもない能力だよ」

 

「ああ、いくら何でも反則すぎる武器だよなぁ。何でも停止させるなんて」

 

「そうだね。でも、これは一対一だと強力な力を発揮するけれど今回のトーナメントはツーマンセル。ペアでの試合だときちんと対策は出来るからうまくはいかないと思うよ。一夏はどう対策すればいいかわかる?」

 

「うーん、ペアでの対戦……。もしかして、停止させられていない人に助けてもらうとかか?」

 

「そう!AICは誰それ問わず対象にはできるけれど、対象物は一つだけ。もし使われた時には、援護に回ることを徹底したいね。相手は対象に集中していないといけないから、チャンスになる」

 

「にしても今回のトーナメントは個人から変更されて助かったわ。そうじゃないとあいつが優勝しちまう。特に俺なんか雪片Ⅱ型のみだと勝ち目がないわ」

 

「ほんと、変更になって助かったね。もちろん、黒雨には他にも注意知るべきところはあるよ。レールカノンやプラズマ手刀、ワイヤーブレード。軍属のIS操縦者だから射撃や格闘の能力は高いからAICばかりに注目して油断しちゃだめだよ。この中だと、ワイヤーブレードには要注意。攻撃用途も豊富だし射程も広いから気を付けてね」

 

「ああ、わかっている」

 

 ふと前に起きた模擬戦、そしてセシリアと鈴の事を思い出し、思わず拳を強く握りしめる。

 

「次に、二組のハーゼンバインさんだね。彼女のISは…」

 

「サンドロックだよな」

 

「あれ?一夏、知っていたの?」

 

「まあな。前に模擬戦を見たことがあってさ」

 

「へぇ…。ああ、話を進めていくね。彼女が使うのは第二世代の更に初期に開発されたIS。今じゃあ博物館に収容される骨董品のレベルに近いけれど、第三世代ISの武器の実験機として改修されているよ。サンドロックの武装としては、サブマシンガンに肩部ミサイル、バルカン。そして何より注意しておきたいのが、ヒートショーテル」

 

「あれだろ?投げ飛ばすと、追いかけてくるやつ」

 

 鈴との試合をすぐに思い出す。赤くなった刀身が音を鳴り響かせて鈴へ向かっていた映像が容易に思い出せた。

 

「うん。このヒートショーテルは投擲武器としても使えるのだけれど、こっちが本来の使い方といっても過言ではないね。これこそが第三世代ISのデータ収集のために作られた武器だよ。対象とした敵に対して、高速回転して追尾してくる。単純に追ってくるだけじゃなくて、操縦者の意志によって動くのがまた肝だね」

 

「まじかよ…。自分が考えるように動かせられるなんて、なんかセシリアのBT兵器みたいだな」

 

「そうだね、そんな感じ。このヒートショーテルの投擲にさえ気を付ければ後は大丈夫かな。肩部ミサイルの威力はBT兵器のミサイル並ではあるけれど、BT程誘導性能は無いし下手なことしなければ当たらないよ。これもそうだけど、ヒートショーテル以外の武装は改修されていないから古いまま。訓練機に備え付けられているものと同等くらいかもね。後は乗り手の腕次第だね」

 

「あの人の試合を見たことがあるのだが、ハーゼンバインは鈴と、代表候補生とほぼ同等の実力はあると思う。武器の性能はそれほどでもないようだが、気を付けるよ」

 

 こうして、俺らは強敵になるであろうISの特徴を理解したうえで主に連携についての訓練をして来る日に備えていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「一戦目で当たるとはな。待つ手間が省けたというものだ」

 

 左前前方にいる少佐は黒雨を身にまとい、前方にいる織斑へ挑発をする。

 

 

 試合が始まるまで2分を切ったところか。初戦で少佐と私のペアの対戦相手は、奇しくも少佐が憎む相手がいる織斑、シャルルペアであった。お互いにピットから飛び降り、あらかじめ決められている所定の位置に私たちは今いる。

 

「それは何よりだ…。ふ、俺も同じ気持ちだぜ」

 

 アリーナ内では見渡す限り白がトレードマークのIS学園の制服で覆いつくされ、ガヤガヤと少しだけ話し声が聞こえる中、オープンチャンネルで話しかけた少佐へ織斑がいつもの見せる柔和でなく、少佐を睨み付けるように攻撃的な目をして答える。

 

 試合開始時間まで5秒を切り、スタジアムに投影されたタイマーが鈍い音を立ててカウントダウンし始め、アリーナ内の緊張感を高める。

 

 

「「叩きのめす!」」

 

 少佐と織斑がそう叫び、試合が開始された。

 

 

 

 開幕直後、織斑は雪片Ⅱ型を手に持つとまるで自分の気持ちを少佐へとぶつけるかのように、猛スピードで突撃してきた。だが、その単調な攻撃を許すはずもなく少佐は右手を織斑のいる方向にかざして、AICを発動させる。

 

 慣性を停止させるエネルギー波を放ったそれは、急速にお互いの距離を縮めようとした織斑の動きを止める。

 私は肩部ミサイルをコールした。

 

「開幕直後の先制攻撃。随分と分かりやすいな」

 

「そりゃどうも。以心伝心で何よりだ…」

 

 チャンネルを介さず、二人は互いに睨み合う。

 

 私は少佐の右側へ旋回し、織斑へと照準を付ける。

 

「ならば、次にすることも…!」

 

 少佐は右肩のレールカノンを展開させて狙いを定める。

 それを見た私はすかさず、肩部ミサイルを発射させた。

 

 

「!」

 

「させない!」

 

 だが織斑の後方から来ていたリヴァイヴが私たちの攻撃を許さなかった。

 左手にもつアサルトライフルが作り出す弾幕にミサイルが爆散する。そして、右手に持つアサルトカノンを無防備な少佐に向け、鉛玉を送り込む。

 

「くっ!」

 

 少佐はリヴァイヴからの攻撃を二発ほど食らった後、AICを解除。すぐさま、射線から退くように左右へ動き私とは反対側の方向へ後退する。

 

 それを逃がすはずもなく、リヴァイヴは左手に持つアサルトライフルも使い、少佐へ弾幕を張り、白式から遠ざけた。

 

 

 

 私の事をのけ者にするか、良いだろう。

 

 

 

 距離を詰めて手にヒートショーテルをコール。それを少佐の相手をしているリヴァイヴへと投擲した。

 

 私の攻撃に気づいたのか、両手から銃弾を飛ばすのをやめ、上空へ急速上昇した後に射線上から横へずれる。

 

 投擲物はターゲットを追い切れず、そのまま何もない空間へ飛んでいく。だが、私がいる。

 リヴァイヴへなおも近づき、再びヒートショーテルをコール。今度はやつへ斬りかかった。

 

 リヴァイヴは右手のアサルトカノンから近接ブレードを噂に聞く高速切替(ラピッド・スイッチ)で私の斬撃へ対応した。

 

 両手に持つヒートショーテルをリヴァイヴは近接ブレード一本だけで対応できなくなり、左手のアサルトライフルを撃つ。

 

 被弾は避けたいため、左手にある付属の盾で防御し、頭部バルカンで牽制しながら後退し距離を空ける。

 

 ふと通信が入る。

 

「そいつは任せる。予定通り私がやつを」

 

「了解です」

 

 ふとハイパーセンサで後方の地上を確認すると、プラズマ手刀を発生させた少佐が白式へと斬りつけていた。

 

 

 

 

 

 私たちの立てた作戦はこうだ。

 少佐が白式を、私がリヴァイヴを相手に一対一の勝負に仕掛ける。そして、私がリヴァイヴの相手をしている間に少佐が白式を倒し、ニ対一の状況を作り出す。私はリヴァイヴが少佐の邪魔をしないようにすることが今回の役割だ。

 

「タイマンを張るつもりだろうけど!」

 

 リヴァイヴはいつの間にか、両手にショットガンを持ち替え私へ散弾を放つ。

 

 私の手前で拡散する鉛玉がシールドエネルギーを削りに行く。

 距離を離すため、コールしたマシンガンで応戦しながら距離を置く。

 

 だが、リヴァイヴとの距離は遠のくことはなかった。

 右手に近接ブレードを呼び出したリヴァイヴが散弾を放ちながら近づいてきた。

 

「相手が僕で悪かったね!」

 

 左手にだけヒートショーテルをコール。相手の斬撃を受け止めた。

 

「さあ、どうでしょうか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 彼女がそう僕に言い、互いに持つ銃器を相手のISへと向ける。

 

 いつものように左手のショットガン(レイン・オブ・サタディ)でダメージを与えようとした時だった。

 

 彼女がバルカンと右手に持つマシンガンでレイン・オブ・サタディへと攻撃してきた。

 

 威力の低いマシンガンの攻撃を覚悟して散弾を放とうとしたが、すぐに左手に持つ物を放し後退する。ISの防御性は進化しても武器の耐久性は変わらない。

 

 レイン・オブ・サタディが爆発を起こし、僕のいたところが砂煙に覆われる。

 すぐにアサルトライフル(ヴェント)アサルトカノン(ガルム)をコール。

 

 すると、ハイパーセンサに熱源反応。目の前から空気を切り裂くように音を立てて、ヒートショーテルが向かってきていた。

 

 これをヴェントとガルムで対応。僕の所へ向かってきていた刃はその場で爆発を起こした。そして、一夏へ援護に回るためISの反応があった所へ多めに弾を送りこみ、彼の所へ向う。

 

 一夏が丁度、ボーデヴィッヒとの格闘戦が劣勢であったので、すぐさまガルムで阻止する。

 

 ペア戦であることを忘れていたのか、被弾したことに驚いた表情をする彼女は後退した。

 

「助太刀するよ。一夏」

 

「助かる。ハーゼンバインは?」

 

「彼女は一旦無視しよう。思っていたより簡単に排除できなかった」

 

 右手に持つヴェントを放り投げ、マシンガンをコールする。

 

 データ上では、さほど強くはない印象であったので僕の『砂漠の逃げ水(ミラージュ・デ・デザート)』で楽に対処し、ニ対一の状況を作り出せると思っていたが、どうやら大きな勘違いをしていたようだった。とにかく、一夏がやられないように援護を…。

 

「わかった。なら俺はこれで…!」

 

 一夏は、そう言うと零落白夜を発動させた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 近づけない。

 散弾を回避してリヴァイヴへ睨み付ける。

 

 近づこうものならショットガンによる弾幕で切りかかることすらままならない。かといってヒートショーテルを投擲すると、相手へ到達する前に撃ち落とされてしまう。

 

 マシンガンの弾をリヴァイヴへ送りつけるが、多少の被弾は覚悟で少佐へ攻撃を加えていった。

 

 先程格闘戦を仕掛けていたように近づかなくなったことも私がますます攻撃しにくい状況を作り出す。

 

 何とかこちらへ注意を向けようとマシンガンで応戦していると、ふとリヴァイヴが私に背中を見せた。

 

 すぐさまリヴァイヴへ近づきヒートショーテルをコールする。

 

 急に爆発音が近くから聞こえてきた。ハイパーセンサから黒雨のレールカノンが使用不可という情報が飛び込んでくる。そんなことはどうでもいい。

 

 リヴァイヴの驚く顔が視界情報として私に伝わってくる。

 

 

 

 当然だよね。

 

 

 

 左手の武器をコールするが遅い。

 ヒートショーテルで交互に、斬りつけ絶対防御を無理矢理発動させる。

 ひるんだところで、左脚でリヴァイヴを蹴り上げる。

 

 

 

 だって、こんな魅力的な私がいるというのに。

 

 

 

 持っていたヒートショーテルを投擲。リヴァイヴは左手にあるシールドで防御するが熱を伴った刃はそのまま回転し続ける。

 

 

 

 私の事を見てくれないのだから。

 

 

 

 コールしたマシンガンでリヴァイヴに向けて発砲。

 撃ちだされた弾丸はリヴァイヴの装甲に突き刺さり、それは回転する刃にも当り爆発を起こした。

 

 リヴァイヴは悲鳴を上げ、爆風によって後方に飛ばされる。

 だが体勢は崩さなかった。すぐに私の方を向いていた。

 

 

 

 私の気持ちを分からせてあげる。

 

 

 

 再びヒートショーテルをコール。すぐさまリヴァイヴへ放り投げた。

 直線的にまっすぐ進むそれはリヴァイヴへ近づくが、射線上からすぐ左へ急速旋回して回避した。

 

 

 

 これでいい。

 マシンガンをコール。私の方へ向かってくるリヴァイヴに発砲した。

 

 リヴァイヴは臆することなく左手の盾を前にいつもより早く突貫してきた。

 

 後方へ下がりながらマシンガンを撃つが、逆に距離が縮まるばかりだ。やはり()()()操ることには負担がかかる。頭が痛い。身体の感覚が段々と遠のく。

 

「まだ使いたくなかったけれど!」

 

 ふとリヴァイヴの左手にある盾から煙が上がり盾の部分がパージされた。そこには、杭のようなものが見えていた。

 

 盾を構え、マシンガンで攻撃する私へそのまま密着するようにリヴァイヴは体を寄せてきた。

 

「しばらく眠っていてね!」

 

 突き出してきた左手を盾で押し返そうとするが、それはすき間を通り抜け私の体へと近づける。

 

 

 それは唐突だった。

 腹部にとてつもない衝撃が伝わってきた。経験したことのない力に身体がその痛みによって支配される感覚が私を襲う。

 

 気が付くと地面に叩きつけられていた私は上空を見上げるとデュノアが左手に持つ盾殺し(シールド・ピアース)を掲げ私へ突撃する。

 

「これで!」

 

 何かが聞こえると、今度は胸のあたりにまたしても耐え難い衝撃が私の体に走る。後ろから何かが砕ける音がすると、目の前が暗くなり何も聞こえなくなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 粗方予想はついていた。

 ハーゼンバインへリヴァイヴが私を邪魔しないようには頼んだが、力には差があった。片やフランス代表候補生、片や候補生になりきれなかったテストパイロット。IS(もの)の差もあるが技量にも違いがあった。

 

 合間に邪魔をしてくることには正直腹立たしいものもあった。だが、今更ながら味方のミスをどうこう言っても仕方がない。

 

 

 

 リヴァイヴから受けた銃弾はレールカノンに直撃。

 すぐさま使用不可の文字が私に伝わってきた。それだけではなく、マシンガンによる弾幕にシールドエネルギーも減少し、目の前にいるこいつからは離れざるを得なかった。

 

 私がひるんだところを狙ってやつは、私に斬りかかる。集中力が途切れ、AICを使うこともままならなく疲弊していた私に零落白夜が襲い掛かろうとした時だった。

 

「ぐぁっ!?」

 

 やつが急に視界から外れる。見ると、高速回転するヒートショーテルがやつの左側から切り刻んでいた。

 

 流れ弾だろうか。だがちょうどいい援護だ。

 

 

「残念だったな」

 

 ワイヤーブレードを射出。ショーテルごとやつを叩きつける。

 ひるんだところで急速接近。プラズマ手刀を展開させ、やつの腹へ向けて刺突した。

 

 情けない声を上げて、あいつは地面に叩きつけられた。

 残りエネルギーのも残りわずか。勝利を確信した私は、すぐさま地面にいるやつに向かって最後の一撃を放とうと突撃した。

 

 だが、それはできなかった。

 

 橙色の物体が私にぶつかってきた。

 いきなりの事に驚くがすぐさま地面に手をつき体勢を立て直す。もう少しで倒せたところを、あの第二世代型(アンティーク)め。

 

「まだ終わっていないよ!」

 

 すると、第二世代型はマシンガンをこちらに向けて発砲しながら高速で近づいてきた。

 

瞬時加速(イグニッション・ブースト)だと!?」

 

 瞬時加速(イグニッション・ブースト)。使ったことがないというデータを見ていた私に虚を衝かされた。

 

「今初めて使ったからね!」

 

「まさか、この戦いで覚えたとでもいうのか!」

 

 狼狽する私に弾丸が降り注ぎ、シールドエネルギーが削られていく。これ以上ダメージを蓄積させるわけにはいかない。

 

「しかし、私のAIC(停止結界)の前では無力も当然!」

 

 右手を掲げ、AICを作り出そうとした時だった。脇腹にいくつもの衝撃が走る。目の前には、第二世代型はおりこれ以上銃器を扱うISはハーゼンバイン(バディ)しかいないはず。

 

 ハイパーセンサで確認し、視線を巡らせる。すると、あろうことかあいつがアサルトライフルを持って発砲していたのだ。

 

「この、死にぞこないがぁぁぁ!」

 

 

 

 怒りに身を任せ、ワイヤーブレードを射出。あいつへ一撃を放つ。よろめいたやつに追撃をしようとしたが、それをする必要はなかった。

 

「これ以上は!」

 

 ハーゼンバインがあいつへバルカンを撃ちながら近づきヒートショーテルを交差させあいつの胴体に挟み斬りを放っていた。

 

 

 冷静になり、前方の第二世代型に視線を戻すと、私の所へ再び急速接近してきた。

 

「よそ見はいけないよ。この距離なら外さない!」

 

 第二世代型の左に装備されてあったはずの盾の部分には、盾はなくその代わりに第二世代型最強と呼ばれる武器があった。

 

「シールド・ピアースだと!?」

 

 私の頭に驚愕の色が浮かぶとは裏腹にこいつは顔に笑みを浮かべていた。そう、まるで勝利を確信しているような。

 

 

 

「がぁ!!」

 

 衝撃によって押し出された杭が黒雨の装甲に刺さり、絶対防御を発動させる。そして、その衝撃は私の体にも伝わってきた。口から変に空気が押し出されてきた。

 身体の内部だけではその衝撃は収まらず、そのまま後方にあった壁に飛ばされた。

 

 新たに伝わる別の痛みに苦悶していると第二世代型は再び私の所へと向かってきた。

 次々と打ち出される杭に私の体は悲鳴を上げる。

 

 どんどんと減っていくシールドエネルギーと警告音を聞きながら私の意識は遠のいていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 私は、負けられない!負けるわけにはいかない!こんな…こんなところで…

 

『願うか…汝…より強い力を欲するか…』

 

 ふと私に問いかけてくるものがいた。それが何なのかは全く分からなかった。だが、私にはやることがある。やつを…織斑一夏を完膚なきまでに叩きのめすこと。私の憧れで目標である教官を汚すもの。

 強く、凛々しく、堂々としている私の教官を優しく微笑み、どこか気恥ずかしそうな表情に変えるあいつを…認められない。認めるわけにはいかない!

 

 だが、今の私にはそのような力はなかった。あの男を動かなくなるまで徹底的に痛めつけ、壊さないといけない。そのために私には…必要だった。

 

 

 

 

 

「寄こせ力を…ゆるいなき最強を…!この私に!」

 

 力が、何でもいい。あいつを倒せられるなら何でもいい。その力をくれるのであれば何でも受け入れる。だから、答えた。私の奥底でうごめく何かに。

 

 そして、何かは私に答えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『そうか。君は面白い人間だね。僕は面白いのは大好きだよ。良いよ、手伝ってあげようじゃないか』

 

 ()()()()()()()は軽快に言う。

 

『さあ、僕を楽しませて。なんせ、久しぶりだからさ。楽しくないのは、嫌いだよ』

 

 

 

 

 






原作をとりあえず第二巻まで読んでみました。




それでわかったことは、一夏が思っていた以上に爺臭いという…(´・ω・`)

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