ポケットモンスター The Rebellion of fate 作:天羽々矢
夢を見ていた。
青年の父親と母親が死に、義兄と妹と3人で密かに暮らしていた夢を。
その日、1人の青年と1人の少女が緑生い茂る森の奥地にある場所に足を運んでいた。
そこはまるでこの世にあるとは思えない程に澄んだ湖だ。
青年が大声で叫ぶと、2人の前に戦闘機のようなフォルムをした2体のドラゴンのような生物が姿を見せる。
それはこの世界で「ポケモン」と呼ばれている生物で、2体はその中でも伝説と言われている「ラティアス」と「ラティオス」だ。
2人はラティアスとラティオスが来たのを見ると、ボールの形をした物、モンスターボールを投げる。
青年のボールから出てきたのはヤモリのような姿をしたポケモン「キモリ」、少女のボールからはカラフルな羽のアゲハチョウのようなポケモン「アゲハント」だ。
2人はある日、ふとこの泉で傷つき倒れていたラティアスを見つけ手当した。その時にラティアスを探していたラティオスに誤解され襲われるもラティアスが説得するような行動をし、今のような関係にいたる。
2人とポケモン達は泉の辺で日が暮れるまで遊び、分かれる際にラティアスが少年の服を噛み、寂しそうにしていた。
それが彼らの送った日々だった。
・・・だが、ある日を境にその日々は崩壊した。
「はっ・・・はっ・・・!」
嵐の中、少年が息を切らしながら森の中を走る。
青と黒の髪、グレーのシャツと黒いジーンズを濡らしながら、豪雨の中をとにかく速く走る。
「何処だ・・・ヨゾラ・・・兄さん・・・!」
妹と兄をひたすら探し、少年は森を走る。
やがて森を抜け、大きな穴のある岬に着く。そこには1人の少女と1人の男性がいた。
少女の方は淡い茶色のグラデーションがかった赤茶色のウェーブしたロングヘア、赤いブレザー型制服風の服を着ている。男性は長い金髪、シャツもズボンも黒で、さらに黒いロングコート。
「ヨゾラ!シグレ兄さん!」
「・・・アルト」
兄と呼ばれた男性シグレは少年、アルトの方に向くがその声には全く感情が無いように聞こえた。
「よかった・・・、ヨゾラも兄さんが守ってくれたんだな!」
「・・・」
しかし少女、ヨゾラの瞳には光が無い。
「え?どうしたヨゾラ?俺と兄さんと一緒に帰ろうぜ?」
「・・・”それ”はもうヨゾラじゃない」
無言のままのヨゾラに戸惑うアルトに、シグレが呟くように冷たく言い放つ。
そしてヨゾラに顔を向ける。
「・・・アルトを排除しろ」
「・・・」
シグレの命令に等しい言葉にヨゾラは頷き、モンスターボールを2つ同時に投げる。
それから現れたのは、
「サーナ・・・」
「ライゴォォォン!!」
「サーナイトとフライゴン!?ヨゾラの手持ちじゃない!?」
「そうだ。俺が与えた」
サーナイトとフライゴンの登場に驚くアルトにシグレが冷たく言い放つ。
それを見て歯ぎしりをしたアルトはボールを構えるが、はっきり言えば今の彼の手持ちではあの2体とバトルするなど無謀に等しかった。
「(でも、迷っていられない!)頼む、キモリ!フカマル!」
「キャモモッ!」
「カフッ!」
明らかに体躯もパワーも違うが、今の彼にはバトルする他に選択肢は無かった。
兄妹で“あった”者同士のバトルが始まる。
また新作を始めてしまいました・・・。
始めに断りますが、作者はポケモンを引退した身ですので、知識の至らない部分があります。
更にこの小説執筆の際の重要案件を活動報告に挙げました。