Another story of your name(10/31をもちまして完結) 作:宮水 三葉(cv:こう)
でも、「君の名は。」において10月4日はまさにキーを握っている、というか一番好きなシーンなんです。
そんな特別な日なので、かきたくなったので流れに身を任せて・・・いっちゃおう
※なお、特別番なので、設定は本編のままです。アナザーストーリーとは無関係です
。
長いです、ごめんなさい
ついに時は来た
昨日までは序章の序章で
飛ばし読みでいいから
こっからが僕だよ・・・・・
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俺は走る。
あいつのために走る。
走りたいんじゃない。
走りたくないんじゃない。
運命(さだめ)に走らされているんだ。
あいつを、俺は、俺は守るんだ。
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・・・彗星が降ってくると三年前、
俺はマンションの屋上から眺めた。
「美しい」
この一言に尽きる、そんな眺めだった。
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なぜ、俺は走っているのだろう。
夕日が傾いて、糸守湖を朱色に染める。
町中が夜を迎える準備をしている。
俺が今いるのはたぶん、この地球でない、どこかだ。
そんな気がする。
周りの景色だけが 俺の心を慰めた。
いや、 慰めているのは、俺の方かもしれない。
ふと、気づく。
ここはどこだっけ。
橙色の組紐で髪を結った少女。
俺は、その少女を追っている。
なのに、
それなのに。
《 まだこの世界は 僕を飼いならしてたいみたいだ
望み通りいいだろう 美しくもがくよ 》
もがくと、強い意志で決めたのに。
時のかくれんぼなんて、もうしたくないのに。
・・・思っていることを口にするしかなかった。
届くはずもない、誰かに、俺は尋ねるしかなかった。
『君の、名前は―――。』
世界の端っこまで消えることなく、届いてほしかった。
今できることは、ひたすたに走ることなんだ。
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眼の前に浮かび上がる彗星。
いつからか、追い続けた橙色の組紐。
マイケルを踊りたくなる、あのカラダ。
忘れちゃいけないなにかが、あそこにはある。
ダメだ、忘れちゃだめだ。
諦めちゃだめだ。
胸が痛い。
その髪、瞳、、。
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3年前のあの時、
誰かが、忘れちゃいけない誰かが、俺のところに来た気がする。
むしゃくしゃする。思い出しそうで思い出せない。
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「お姉ちゃん、変やよ」
「おやあんた、三葉やないな」
「嫁入り前の娘が」
「○○、おはよう」
「病院で診てもらいなさい」
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限界、や・・・
俺のカラダがそう言っている。
でも、、俺には、それより重要なことがある。
あいつの、あのひとの、なまえ・・・
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俺には、小さいころよく遊んでくれる人がいなかった。
よく、原っぱに一人で行って寝そべったり、昆虫採集をしたり、時には夜を明かした。
あの頃に、何か、特別なものを見つけた気がする。
「クローバー、なんやっけな。」
レアなものだった。見つけてほしい、と言わんばかりの輝きをなぜか放ったクローバーだった。
「みつばのクローバー・・・。」
少しずつ、脳が動き始める
「みつば・・・」
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そして、ついに時は来た。
『君の名前は、忘れちゃいけない君の名前は、みつは!!』
どうしてだろう、涙が頬を伝う。
走っているのになぜか、涙が顔にこびりついているような気がした。
俺が走っているのは、三葉を守るためなんやよ。
三葉は今日も闘ってるんや。なんでいつも忘れてまうのやろ・・・
いつの間にか変な飛騨弁が身についた。
走って、走って。
倒れそうになっても、俺は導かれるようにして走った。
今、やめたら、消えてしまうような気がした。
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『糸守町 総合病院』
最近できたばかりだと聞いた。
ここに来るなんて思ってもいなかった。
203号室です、と言われ、耐えきれず走った。
バーン。
ドアを開けた。
あまり元気がなさそうな顔でこちらを見つめてきた。
「三葉、来たぞ…。大変やったよ、お前、遠くにいるから。」
つい、口にしてしまった。
病人の前でこれを言うのはどうかと思った。
後悔してるまもなく、三葉はこういった。
『私、もっと遠くに行きそうなの。いままで、ありがとう・・・』
こいつは何を言ってるんだ。
ちょっと、三葉・・・と言いかけて気づいた。
顔が、真っ赤だ。カラダから、熱気を感じる。
見たくもない、彼女の姿がそこにはある。
俺は、何を。
何をしてやればいいんだ・・・。
もう、治らないと知っている。
ならば最後にこれくらい言わせてほしい。
『俺の名前は瀧。三葉、・・・その、、好きだ』
彼女は、うん、とうなずいて、それきり反応はなかった。
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俺は泣き続けた。
何時間も、泣いた。。
それでも止まらない。
彼女の笑顔が、
のんきな姿が
あのかわいらしい声が、瞳が、髪が
俺は、ずっと
「となりにいてほしかった・・・」
ああ、だめだ。考えすぎちゃだめだ。
顔を上げる。
ふいに、組紐が光る。
何かを、特別な何かを、ひと時感じた。
あの感覚が甦る。
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やり直す、これしかない。
男のプライドなんてもんは捨てちまえ。
俺の人生なんてもはやどうでもよかった。
あいつに生きていてほしかった。
そして、俺は静かに三葉の唇に自分に唇を当てた。
つめたかった。
彼女のぬくもりはどこへ行ったのだろう。
俺は強く、これ以上ないほどの感情をこめて願う。
「もう少しだけでいいから一緒にいたかった。」
「だから・・・だから・・・」
「もう一度だけ、やり直せるなら。」
ただひたすらに愛を伝えるしかなかった。
産霊を信じるしかなかった。
いつか消えてなくなる君のすべてを
この眼に焼き付けておきたかった。
俺らは、つながっているんだ
心もカラダも。
全ては、三葉がいてくれたから、生きていける。
いつからかそう思うようになった。
だからこそ。
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運命は、すべてをお見通しだったようだ。
日付が戻っている。
隣には、ちゃんと三葉がいる。
俺はこれ以上ない幸せを感じて、ついうっかり抱き着いた
「三葉、三葉がいる・・・!!」
「うわぁぁ!?」
三葉は跳ね起き、しかし、状況を把握すると、このっ変態っ!!とあの声で言ってきた。
手の届かない幸せを、二人でつかんだんだ
これから先もずっと、二人で一緒にいような。
ふたりならきっと、どんな困難でも乗り越えられる。
《そんな世界を二人で 一生いや何章でも 生き抜いていこう。》
一話完結型をはじめて書きました。
長くなってしまい、申し訳ないです。映画見ていない方もわかりづらくてすいません。
自分の中では良い出来だったと思っています。
そして、ここまで読んでくださり本当にありがとうございます。
コメント、お待ちしております。
それでは、また、次のアナストでお会いしましょう!!