八幡とわーるどとりがー・・・八幡ってB級なんだぜ・・・? 作:ちゅんちゅん丸
ほんとはもしもシリーズの那須隊編を書こうかと思ったけど、微妙にネタが浮かばなかったので、ちょっとだけ本編に絡むお話。
12月でね、ネタが浮かばなくてね!12月関係ないな・・・・。
次回作のネタばっかり考えててなかなかこっちのネタが降って来ないのです。是非もないよネ!!
そんなこんなで番外編です。
とある日のボーダー。
俺が学生だという事を忘れそうになるくらい毎日がボーダーな昨今いかがおすごしでしょうか。
以前に少しアドバイスをしていた三雲から相談を受けた事から今回の話は始まっていた。
「あん?俺に対スナイパーのアドバイスをしてほしい?」
「はい、今度のランク戦では隊員全員がスナイパーの隊がいるので・・・」
全員スナイパーってあれか、荒船さんとこか。つかあの人アタッカーもこなせるから正確にいうとスナイパーよりのアタッカーなんだが?それならあれだ。
「いや、三雲よ、そういうのはレイジさんに聞いてないのか?」
なんで俺に聞くのさね?そう思った。たしかにある意味俺もコイツの師匠的なポジションにいると言えなくもないし、なんならコイツからも先生とか言われてる。
でもよぅ、そうじゃねぇだろぅ!?そう思ったのだが、当然それは三雲も聞いたらしい。
「はい、それを考えるのも~と言われて。いろいろ調べてるんですが。なんだかイメージがつかめなくて・・・」
そう、困ったように話す三雲。
まぁそりゃそうか。スナイパーとの対戦なんか経験がある訳もない。こいつが重度のFPSプレーヤーのわけもないし、想像しようにも出来ないんだろうな。
だが、レイジジさんの言うように俺がなんでもかんでも言うのはこいつの成長にならない。だから、俺から言うのは簡単なアドバイスにしておくか。
「スナイパーは経験がものを言うポジションだ。通常のフィールドで戦闘しつつスナイパーから逃げ切る。というのは不可能だろうな」
「はい、調べれば調べるほど今の自分では・・・」
「だな、だから相手の場所がわからない場合は、あえて撃たせるのも手だ」
俺の極論に三雲が困った顔をしている。そりゃそうだ。
「え?それだと・・・」
「ボーダーの狙撃銃は優秀だ。走っているくらいだと荒船さん達なら普通に当ててくる。だから、あえて隙を作ってそこに撃たせるんだ」
以前、一人でランク戦を戦い抜いていた時によく使った戦法だ。味方がいない俺があえてスナイパーに撃たれるように仕向ける。撃ったことで位置バレした相手を他の敵チームに落とさせる。さらにそこに俺が横ヤリを入れる。という最低な戦法を取っていた時期があった。
今思い返してもなかなかにゲスい戦い方だったかもしれん。そんな事を思い出しながら、三雲に話す。
「ランク戦は3チームで入り乱れての対戦だ。荒船さんとこだけにとらわれすぎるなよ」
「はい」
「まぁ、俺のやり方は少し特殊なやり方だな、リスクも多い。基本は宇佐美の指示に従って射線を意識だ」
「はい、ありがとうございます!」
後は自分で考えろよ、そう言ってから俺は三雲と別れる。
三雲も何かをつかんだような表情をしていたし、次のランク戦は見に行くのも有りだな。そう思っていたんだ。この時は。
「なん・・・だと・・・・!?」
三雲達のランク戦が終了した直後、俺はその結果に驚愕していた。
「まさか、三雲達が完勝するとは・・・・・」
正直びっくりである。空閑もいるし、そこそこ健闘するんじゃないかと思ってはいた。
だが、スナイパーとの戦いは経験がものを言う。空閑はともかく、三雲や雨取がいて勝機があるとは思っていなかったので、今回の結果には驚愕である。
そう思ったのは今回たまたま一緒に見ていた那須も同じで相当驚いているようだ。
「すごいわね、空閑君はもちろんだけど、三雲君も雨取ちゃんもまだ動きは固いけど、しっかりと動けているわ」
「だな」
空閑がほとんどの点を取っているものの、三雲の動きも雨取もチームとして起動し始めたばかりという割には良く動けている。
「こうしちゃいられないわ、私達も訓練しましょう!」
「そうか、まぁ頑張ってくれ」
「ええ!まかせて!」
三雲達に感化されたのか、那須が気合十分という顔で立ち上がったので、俺はひらひらと手を振って見送る体勢に入る。
すると、何を思ったのか那須が俺の手を掴んでいた。アーハン?
「行きましょう!!」
「・・・・・頑張ってくれ」
「逝きましょう!!」
何を言いたいのかは那須の目を見ればよくわかっているものの、ささやかな抵抗を試みてみた。結果、那須に握られた俺の手がミシミシと音を立て始める。
「・・・・・・逝こ?」ニコニコ
「・・・・・・はい」
いい加減にしろよ?そんな目で俺の手を握る那須に抵抗すること叶わず、俺は那須と共に訓練に臨む事にするのであった。しぶしぶ重い腰を上げた。
「ふふ、八幡君の育てた子達とランク戦するなんて、楽しみね」
「いや、弟子ってわけじゃ・・・空閑にいたっては、ファンネル抜きだとあいつのが強いぞ?」
「そうなの?ますます楽しみだわ」
「し、しょうか・・・」
どれだけ楽しみなのん?というくらいニコニコと微笑む那須。楽しみだとそう言っている言葉とは裏腹に、瞳に炎が宿っているように見えるのは気のせいだろうか?
瞳に力が籠り、さらにはとても魅力的な微笑みだが、気づいて欲しい。最初こそ普通に手を握っていただけだったのが、いつの間にかテンションが上がっていたのか抱きつきの体勢に移行している事に。
つまり、なにが言いたいのかと言うと、那須の控えめながらもしっかりと主張するお胸様がしっかりと腕に当たっていた。ふにょん、ふにょんと腕に当たる感触と、那須の爽やかな香り。もうね、ありがとうございます!
「どういたしまして」
「!?!?」
「ん?どうしたの?」
「い、いや・・・・なんでもにゃい」
ニコニコと微笑む那須の表情はとても、とっても楽しそうに俺に向いていた。
・・・つまりあれだ、俺の反応を見て楽しんだ上で、俺の思考にドンピシャで返答したという訳だ。ナニソレ怖い。
そんな感じで那須にいじられながらもランク戦ブースについた俺達。
「それじゃあ、お願いね?」
「ああ」
それからめちゃくちゃ訓練した。
「なぁ、もうそろそろやめね?」
「はぁ、はぁ、・・・・もう少しだけ、お願い」
那須と訓練することしばらく、普段なら那須の体調的にあまり長く訓練しないのだが、今日はいつも辞めるタイミングでも訓練を継続していた。
息が上がってきてもなお継続しようとする那須にそろそろやめようかと提案するが、今日の那須は気合が違っていた。
それと、息遣いがめちゃくちゃ色っぽくて、正直こっちも集中しきれないのもあって、今日はもう終わりでもいいんじゃないかなって思っていた。
ちょっと頬を染めて荒い息遣いするとか卑怯やん、そんなんチートや、チーターや!!そう思いました。こいつはもう少し自分が振りまいている魅力を自覚して、自重して欲しいものだ。
と、そんな事をつらつらと考えて何とか平静を装いつつ、いい加減那須の体調が不安なので休ませないとだな。
これで訓練のし過ぎで体調崩したとかになったら俺がくまちゃんに怒られてしまう。
「もう十分だろ?」
「まだ、大丈夫・・・・」
「つったって、もうへろへろじゃねーか」
「・・・・やるの」
ちょっとぷくぅ。と頬を膨らませて子供みたいにすねてるのが無駄にかわいいなコンチクショウ。
それでもなかなかにやめようとしない那須。まったく、しょうがない、これはあんまり使いたくないんだがなぁ・・・。
「わかった。じゃあ訓練するか。今日これで終わりにしたら今度何か言うことを聞いてやろうかと思ったんだが、しょうがない」
「あぁ・・・めまいが。もう、今日はダメね、休みましょう」
「・・・・おう」
俺の提案を聞いた瞬間、那須の手のひらクルーが発動した。
正直ビックリというかドン引きだよ。なにがそこまで那須を動かすのかわからんが、必死に訓練していたのが今の一言でこれだもの。ドン引きである。俺に何させる気だよ、怖い。
まぁそれでも、休んでくれるならこちらとしても文句はない。
「んじゃ、今度な」
「うん、絶対よ?私のお願い聞いてね?」
「あぁ、無理のない範囲で頼む」
こうしてその日は訓練を終えたが、それからの那須はことある毎に俺との訓練に励んでいた。
突然の訓練ブーストに那須隊のメンバーも心配していたが、那須が大丈夫。と言って訓練を続けていた。その瞳はどこか焦りのようなものが見えていた。
那須が訓練に励み始めて数日。
明日は那須隊、玉狛第二、鈴鳴第一のランク戦だ。
明日に備えて各チーム作戦を練っているであろうタイミングで俺は那須隊の隊室に来ていた。
「・・・・何か言いたいことは?」
「・・・・・ごめんなさい」
なぜかって?そりゃあれだ。那須に説教するために決まってる。
なぜ説教かって?そんなんもちろん那須が訓練のし過ぎで体調崩したからに決まってる。
「なぁ、俺言ったよな?体調崩すからほどほどにしとけよって。言ったよな?」
「・・・・・・・うん」
俺の詰問に那須はまたもや子供みたいにむくれながら、めちゃくちゃ間をおいてうなずいていた。やっぱり無駄にかわいいなチクショウ。
「明日はランク戦なのに、こりゃ那須抜きでやるしかないだろ?」
そういうと、那須以外の那須隊メンバーがうなずく。
「大丈夫、やるわ」
だが、那須だけはうなずかなかった。一体、何がそこまでさせるのだろうか」
「ダメだ。那須、明日は休め」
「やるわ」
俺の言葉にも那須は決してうなずかなかった。どうしても参戦する気のようだ。
「八幡君、私のお願い聞いてくれるでしょ?だから、お願い。明日はやらせて」
どうやら那須には譲れないものがあるようだ。
とても真剣な目でこちらを見つめる那須の瞳にはなにか、あせりと決意のようなものが視えた。
「どうしてもか?休んだって良いんだぞ?」
「どうしても、やらないとダメなの」
何度確認してもやると決めてしまっているようだ。こうなってしまってはもう誰にも止められないのだろう。チラッと熊谷を見ても、仕方が無い、そういった表情をしていた。
「わかった。でも、今よりも体調が悪くなっていたら問答無用で休ませるからな?明日までに少しでも休め。いいな?」
「うん、ありがとう。それと心配かけてごめんね?」
「ったく、そう思うなら明日は休んで欲しいんだが?」
「ふふ、ごめんね?それはダメ」
「はいはい、ったく、強情だな。まぁ、明日までしっかりと休めよ?」
「うん、しっかり見ててね?」
見てて、それはあれですよね?今休むのを見るじゃなくて、明日のランク戦ですよね?
そう思った俺は那須にわかった、ちゃんと見るからと頷くのだった。
「約束よ?ちゃんと・・・みて・・・・スースー」
「ふぅ、やっと寝たか。んじゃ熊谷、後頼むな」
那須が寝たのを確認した俺は熊谷に後を任せて那須隊の隊室を後にした。
ちなみに、俺が熊谷の方を見ると、颯爽と志岐と日浦を連れて隊室から出ようとしていたので必死に止めた。油断すると那須の看病を俺にやらせようとする熊谷には困ったものだ。
これ俺じゃなかったら今頃R指定入ってたからね?まったく、少しは俺の紳士力に感謝して日ごろの俺に対する扱いを優しくして欲しいものである。
そんな事をつらつらと思いながら俺は自身の隊室に戻るのであった。
翌日、ランク戦が終わったのを見届けた俺は再度那須隊の隊室を訪れていた。
隊室のドアを開けると、同時に胸に軽い衝撃がした。それと同時にふわりとここ数日毎日のように嗅いでいた香りがした。うん、この言い方は変態っぽかったな。
そんな事を考えながら視線を少し下げると俺の胸に那須が抱き付いて来ていた。
「・・・・・・」
「あー・・・・その、なんだ・・・・?」
沈黙が痛い。
どうにも少し泣いていたのかぐずぐずと小さく鼻をすするような音がするものの、那須はひたすらに俺の胸に顔をうずめて静かにしていた。
那須からただよう香りや、那須のお胸様や、やわらかいぃぃぃ!とか、そういったもろもろのあれこれはあるものの、那須がここまでランク戦にかけていたとは。
「まぁ、その、なんだ?さすが那須だな。あの状況で単独で3点とって、すげぇな」
「・・・・・・」
とりあえず、オートで動く俺の腕が那須の頭を撫でるのにまかせつつ、励ましの言葉をなげる。
那須は未だに無言で俺の胸に頭を擦りつけている。心なしかぐりぐりされているような気がするし、なんならさっきから鼻呼吸しまくっているような気がするが、気のせいだろう。
それからしばらく那須に励ましの言葉をかけ続けていた。
那須が名前で呼んでと言うので、なのは・・・じゃなくて、玲と呼んだりした。その後も那須の望むままにかわいいよ玲とか好きだよ玲とかもう俺の瞳には玲しか映らないとかこっぱずかしいセリフを言わされまくった。途中から調子に乗りだしたので、軽くチョップしておいた。
そうしてしばらくして俺の精神に甚大なダメージを受けた励ましの結果。なんとか那須の心は持ち直していた。
「んで?なんでこんな無茶したんだ?」
「・・・・・・・禁足事項です♡」
「・・・・・んで?」
「もうちょっと、反応してくれると嬉しいんだけどなぁ・・・」
何言ってんだ?と思ってごまかそうとする那須をジト目で見ていたら、それまで黙っていた日浦が口を開いた。
つまりなんだ。日浦がボーダーを去らないといけないかもしれないから、これまでで一番の成績を残そうとしていたと。
なるほど?
「ったく、それならそうと先に言え」
「・・・ごめんなさい」
めずらしく、那須が本気で反省しているようだ。ここはあれだな。これを機に俺への普段の行いを改善するチャンスかもしれん。
「志岐。まだまだランク戦で巻き返すチャンスはあるだろ?」
俺の質問に志岐がもちろんですとグッ親指を立てて来た。ったく、おまえはそんなキャラじゃねぇだろうが。
「なら、やることは1つだな」
「私と結婚する?」
「そのとおり・・・・って、んなわけねぇだろ・・・・」
「チッ・・・」
おい那須、今舌打ちしただろ?おい、なんだその顔は。熊谷も日浦も志岐もなんだその眼は。ちげぇだろ、今はそうじゃないだろ?そんな眼で見るなぁ!
「あーごほん。やる事って言ったら訓練に決まってんだろ」
「・・・・・結婚は?お付き合いを前提に結婚する?」
「それ順番おかしいだろ・・・・そもそも俺の年齢じゃまだ結婚できねぇよ」
「じゃあ8月になったらしてくれる?」
おかしい・・・なんかさっきまでと全然違う方向に話がむかってるんだが・・・。例えるならあれだ。北上と訓練しようとしたら二宮さんが出てきた感じ。ちがうな。
「そうじゃねぇ、訓練の話だ。やる気ないなら帰るぞ?」
「あぁ、ごめんね?うん。もちろん訓練よろしくお願いします」
もういいや、そう思って帰ろうとしたら那須が笑顔で抱き付きながら俺に謝って来た。
ったく、そうやってほいほいボディタッチを激しくされると俺のハートが激しくビートを刻みすぎて大変なんで控えてもらえませんかね?
そうは思うものの、こないだまでの必死な感じもないし、どことなくいつもの那須隊の空気になったようでなによりだった。
「まぁ、まずは体調を戻せ、それからだな、熊谷と日浦にも特別メニューを組んでやる。任せろ、伊達に教導隊を名乗ってねぇ。きっとお前らの力になってみせる」
俺がそう言うと、那須を含め、那須隊のメンバーが決意を込めた瞳でうなずいた。
こうして、俺と那須隊の訓練が始まったのであった。
という訳で、番外編でした。
ちょっとだけ、本編にかすりつつ、たまにはおバカな話を少なめに書いてみました。
あ、あたいにだって、まじめな話書けるんだぞう!そう思って書いた今回ですが、まぁ、筆が進まない進まない。
やはり自分にはお気楽な話が良いんだなって再認識しました。知ってたけどネ!!
次こそはもしもシリーズの那須隊編になる予定!!きっとね!!
ちなみに感想であった理想のどS那須さんはもう今の那須さんのキャラからは取り戻せないくらいのキャラ崩壊になるから、やりません!
みんなの心の中でだけ、下げずんだ目で見られながら踏んでもらって下さい。
そんなわけで、また次回よろしくですー!