八幡とわーるどとりがー・・・八幡ってB級なんだぜ・・・?   作:ちゅんちゅん丸

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こんばんわ。お久しぶりです。

番外編5話をお送りいたします。
それと、一か月もあいてすみませんでした。

ちょっとね、引っ越ししてたんす。サーセン。
やっとこさ落ち着いたので、元のペースで書いてきます。
といってもぼちぼちネタが無くなるのですが。

とりま100話までは書きますので宜しくお願いします。


比企谷隊の番外編5 もしもシリーズ

ー もしもシリーズ -

 

「ふぅ・・・うまい。やはりマッカンはイイ・・・・」

 

今日も今日とてマッカンタイム。

俺の所属する部隊の隊長はこういう不健康そうな飲料物とかにめちゃくちゃ厳しい。見つかったら激おこ。

自分も変なこだわりがあるくせに、俺のこのマッカンに対して滅茶苦茶厳しく制限してくるのだ。

だから俺は怖い鬼の居ぬ間に至福のひと時を過ごすよういなっていた。

 

「あぁ・・・この甘さ。コーヒーに練乳が入っているのではなく、練乳にコーヒーを入れてるような甘さ。人生の苦さに比べてこの甘さ・・・たまらないぜ」

 

もう、マッカンと結婚したいレベル。おぉ、マッカンよもっと俺を甘やかしておくれ・・・。

 

「だいたいあれだ。うちの隊長は厳しすぎんだよな・・・・意味不明なこだわりを見せたり、むやみやたらにしごいてきたり、意味不明なこだわりがあったり、スーツスーツ言ってきたり」

「ほぅ・・・・」

 

至福のマッカンタイムを過ごして愚痴っていたが、地獄の底から響くような、おそろしい響きの声が聞こえた。

あわ、あわわわわ・・・!!

 

「あわ、あわわわわ・・・・・」

 

俺があわわ・・とビクビクしながら声の方をゆっくりと振り返ると、あら不思議。とてもスーツの似合う、イケメンな二宮さんが、「おま、殺すよ?」と言わんばかりの眼光で睨んできていた。

いやーー!さっきの愚痴絶対聞いていたやつですねー!!

 

「比企谷・・・・さっきのは、良く聞こえなかったんだが・・・・うちの隊長が、なんだ?」

 

怒ってる!ちょう怒ってるよ!!激おこ!ひえぇぇぇ!!

 

「いや、あの、しょの・・・・」

「なぁ、比企谷、なんて言ったんだ?殺してやるから、正直に言え」

 

殺さないでぇぇぇーーーー!!いやぁぁあーーー!!

 

「いや、しょ・・・その、あれです。えぇと、スーツへのこだわりとか?強くなるための努力を惜しまないところとか、厳しすぎるところが、その、ストイックでかっこいい・・・な、と?」

「・・・・・」

 

だめか・・・?!さすがにこんな見え透いたヨイショじゃ無理か!?やはり俺は二宮さんに殺される運命線から逃れられないのか!?

 

「ふん、それならそうと言え」

「すみま・・・あれ?」

 

とっさに謝ろうとした俺だが、先ほどまでの絶望的な空気が霧散していた。

あれー?と思う俺をよそに、二宮さんはなにやらまんざらでもない顔で語り出していた。

 

「お前にもようやくスーツの良さがわかってきたようだな。だいたい他の奴らの隊服はその、なんだ、コスプレみたいじゃないか。男ならスーツだろう」

「で・・・で・・・デスヨネ!!!」

 

とっさに全力でうなずいた。正直むしろ俺達のほうこそコスプレっぽくなってますけどね。とか正直に応えそうになるのを必死にこらえて盛大に、全力で頷いておく。ここで正直に答えたらせっかく変わった空気がさらに変貌して地獄へまっしぐらだからな。

 

「そうだろう。男ならスーツだ」

「デスヨネ!!」

「強くなるために技術を磨く、当然だろう」

「デスヨネ!!!」

「めんどくせぇな、とりあえずヨイショしとこう。とか思ってるだろう?」

「デスヨネ!!・・・・・ッハ!!!」

 

二宮さんのミスリードに見事に騙されてしまった!

二宮さんはいい度胸してんじゃねぇかと言わんばかりに指の骨をパキパキ鳴らしながら俺に詰め寄って来ていた。

 

「いい度胸だ。今日は特別厳しくしごいてやろう。どうだ、うれしいだろう?」

「・・・・た、たすけて、ください・・・・・」

「はは、どうした、嬉しすぎて涙が止まらないのか?」

「い、いや・・・・ごめ・・・なさい」

 

とても楽しそうに見える微笑みを浮かべた(眼が笑ってない)二宮さんに襟首をつかまれた俺。

必死に逃げようとするものの、生身の俺とトリオン体の二宮さんでは力が違う。ずるずる、ドナドナとランク戦ブースへと引きずられて行ってしまう。

必死に涙を流しながら愛すべき隊員である犬飼や辻(どうやら二宮さんと一緒にいたらしい)に助けを求めるも、諦めろと言わんばかりに首を横に振られてしまう。ノォー―!!

 

「いやぁ、ホントウチの隊長は比企谷ちゃん好きだよねぇ~」

 

にこにこと裏切り者の元愛すべき隊員がなにやらつぶやいていたが、ただひたすらに助けを求める俺には聞こえてなかった。

 

「い、いやぁぁぁぁーーーーーー!!!」

 

それからめちゃくちゃ訓練した。んで、二宮さんがめちゃくちゃハッスルしていた。

 

 

 

 

 

 

数時間後

 

ボロ雑巾の方があつかいがいいんじゃないかと思うくらいボロボロにされた俺はさらなる窮地に追いやられていた。なぜか二宮さんと太刀川さんと一緒に。

 

「おい、比企谷、お前がいけ」

「待って下さい、ここはまず太刀川さんでしょう!?そもそも俺は巻き込まれただけですし!」

 

変態アタッカーナンバーワンの太刀川さんに生贄にされそうになるが、そもそも始まりは太刀川さんなのだ。全力で回避に専念するが、敵は太刀川さんだけではなかった。

 

「だまれ。比企谷、逝け」

「おい、いま明らかに死ぬほうの逝くっていったよね?」

「噛んだだけだ。良いから死ね」

「ストレートになった!?」

「だまれ」

「ひどい!?」

 

と我が隊の隊長であるスーツバカの二宮さんからも生贄に捧げられようとしていた。

味方がいない現状で、俺の目の前に鎮座しているものに目を向ける。

 

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・・

 

と謎のオーラを放つ物体が目の前に鎮座していた。

あまりの威圧感に俺は喉がカラカラになってしまう。

そんな俺に、心配するかのような声が掛けられた。

 

「大丈夫?比企谷君。お腹がすいてるのね、さぁ、遠慮しないでどうぞ?」

 

ニコニコと微笑みながら俺に死刑宣告をしてくるのはボーダーA級部隊の隊長である加古さんだった。

女神かと言いたくなるような微笑みで俺に地獄行き宣言をしてくるあたりに一定の層に人気が出そうであるが、今の俺には恐怖の対象であった。

なにせ、今俺の前には皿に山盛りに盛られた何かがあるのだから。加古さん曰く、『新鮮なカキとレバーのモールモッド風チャーハン、ストロベリー味』だ。

始まりから終わりまでツッコミどころしか無い作成者曰くチャーハンを前にした俺には絶望しかなかった。

ちなみに太刀川さんの前には最後がチョコレートになった物と、二宮さんの前にはモールモットの部分がバムスターなったメロン味のチャーハンがあった。どれも絶望の未来しか見えないし、それぞれ何かがはみ出していた。

 

「さぁ3人共どうぞ?熱いうちに食べてちょうだい?」

 

ニコニコと微笑む加古さんに俺達は覚悟を決めるしかなかった。

太刀川さんの方をチラリと見ると覚悟完了と顔に書かれていた。・・・・死ぬ気の表情だ。覚悟を決めるのが早すぎなイカ?

まじか、と思い今度は二宮さんの方を見ると、決意を込めた瞳で俺を見てゆっくりと頷いていた。共に逝こう。そう言っているような気がした。嫌です。

 

左右の2人から覚悟を決めろ、同時に逝くぞという空気をヒシヒシと感じる。俺の決意待ちなのだろう。

だが、一つ言わせて欲しい。

左右からお前待ちだという空気を出されているが、そもそも最初に声を掛けられたのは太刀川さんなのだ。

たまたま加古さんに捕まった太刀川さんが、道連れの為に二宮さんを捕まえた。そうしたら今度は二宮さんに道連れにされたのが俺なのだ。まったくもって巻き込み事故も甚だしい。

 

だが、そんな事を思っても目の前の微笑みの女神加古さんを前にして言う訳にはいかず。俺もまた決意を固めるのであった。

 

「「「い、いただきます」」」

「はい、どぉぞ?」

 

神妙な顔で自称チャーハン(仮)を食べる俺達。

口に入れた瞬間に広がる新鮮なカキの風味が口に広がると同時に、ストロベリーの味も負けじと広がっていく。

あまりの意味不明さに俺の全身が震えているのがわかる。

さらに、それだけではなく、後から口の中に鉄分の味が追従してきた。なんなのこの料理・・・・。

 

横をそれぞれ見ると二宮さんも太刀川さんも無表情でスプーンを動かしている。すげぇ・・・職人芸のようだ。こんな職人にはなりたくないけど。

 

「どうかしら?」

「あぁ、独特の風味だが、わるくない。お前らしいチャーハンだな」

「そうだな、この組み合わせは考えた事が無かった。なんかモールモットの足っぽいのがあるのに正直驚いたがな」

 

加古さんの質問に二宮さんと太刀川さんが答えている。

つか、さりげなく明言を避けてるあたりに2人の気遣いが伺える。そんな場面を見て、俺は涙が出そうになる。

だが、加古さんはそんな玉虫色の返答では満足しなかったようだ。ちょっとムスッとした表情で再度問いかけていた。

 

「あらそう?それで?おいしい?」

「「・・・・・・うまいよ」」

 

ブワッ!と思わず涙が溢れそうになってしまう。

笑顔の加古さんに真実を告げる事が出来なかった2人は、ニコリと歪んだ微笑みを浮かべて答えていた。あんたら、ほんまもんの漢や!!

 

「ふふ、良かったわ。それで?比企谷君はどうかしら?あまり進んでないみたいだけど、もしかして苦手なものでも入っていた?」

 

2人の返答に満足した加古さんは今度は俺に問いかけてくるが、その内容は俺を気づかうようで、それを聞いた二宮さんと太刀川さんがなにぃ!?という表情でこちらを見つめて来ていた。

そんな加古さんの問いかけを聞いて俺は考えてしまう。

このタイミングがすべてじゃない・・ここはおいしいです。そういうのが正解なのだろう。でも、今しか出来ない事、ここでしかできないこともある。今だよ俺・・・・今なんだ。原作の世界線で平塚先生にそう言われた気がした。

 

「そうっすね、せっかく作ってもらったのに申し訳ないです。自分、貝類とか苦手で・・・」

「あら、そうなの?ごめんなさい。トマトだけじゃなかったのね・・」

「え、ええ・・・」

 

それじゃあ仕方ないわね、少し待ってね、新しいのを作ってくるわ。そう言って俺の前に会ったチャーハンを回収しキッチンに戻っていく加古さん。きっと野生児黒江がおいしく食べてくれるのだろう。今度あいつに会ったら優しくしてやろう。そう思った。

だが、俺達の戦いはまだこれからだ。俺は決心をすると二宮さんの前に置かれたチャーハンにスプーンを伸ばしていく。

 

「比企谷・・・?」

「手伝いますよ・・・・隊長」

「フン、いいだろう。俺についてこい」

 

バトルものでありがちな雰囲気を出しながら俺と二宮さんは共同戦線を組んで強敵を突き崩していく。

敵は強大だった。二宮さんが必死に削ろうとし、そこに俺が援護に入ってもなお、圧倒的なオーラを放ち続けていた。

だが、これでもボーダーナンバーワンシューターの二宮さんとその弟子である俺が組んで取りこぼすことなどある訳もなく。そう時間もかからずに見事に皿の上にある強敵は消えていた。

 

やるじゃないか、比企谷。そんな表情を向けてくる二宮さんに俺もニヒルに笑みを返す。

なんだか二宮さんと距離が近づいた。そんな気がした。

 

「なぁ、そっちが終わったならこっちも手伝ってくれ・・・」

「死ね」

「お断りします」

 

完勝した俺達を太刀川さんが羨ましそうに見るが、二宮さんと俺は即答しておいた。太刀川さんは無表情になりながら食べることにしたようだ。当然である。

 

そんなやり取りをしていると、加古さんが戻って来ていた。その手には、どう見ても普通のチャーハンがあった。

 

「お待たせ。ごめんなさいね。今度は海鮮じゃなくて、お肉にしてみたわ。良く考えて見れば、比企谷君くらいの子にはこっちの方がいいわよね?今度から比企谷君にはこっち系で作っていくわ」

「あ、ありがとうございます!頂きます」

 

そのチャーハンは筆舌に尽くしがたいほどに美味しかった。

今まで食べた中でも最高のうまさを誇るそれに、俺のスプーンは加速していく。

 

「ほぅ、うまそうだな」

 

もりもり食べていると、二宮さんがこちらを見ていた。ので、俺は手を止めて二宮さんに問いかけた。

 

「そうですね、俺はこっちの方が好きみたいです。二宮さんも食べてみますか?」

「あぁ」

 

そんなやりとりをし、俺はスプーンにすくったチャーハンを二宮さんにどうぞ、と言いながら差し出した。

 

差し出されたチャーハンを口に含んだ二宮さんはおいしそうに咀嚼していた。2人でうまい、うまいと微笑みあう。さっきまでの地獄が嘘のようだった。

 

「うむ、うまいな」

「でしょう?」

 

そんなやりとりをする俺達に加古さんは楽しそうに微笑みながら見つめていた。

 

 

 

 

ー 数日後 ー

 

なぜか俺が二宮さんにチャーハンを食べさせて楽しそうにしている画像やら動画が拡散され、ボーダーに所属する腐ったオペレーター達が大興奮していたり、それに不機嫌になった二宮さんにボロボロにされた俺がいたのはまた別の話である。

 

 

 

 

 

 




という訳で、番外編5話、もしも八幡が二宮隊だったら編でした。

意外とこのシリーズが書きづらい事に気づいたのは引っ越ししながらネタを考えていた時でした。

本文はパソコンで書くので、ネット環境が整うまで更新できなかったんですよ・・・。感想とかはスマホでポチポチ出来るけど、長文はスマホで書く気になれなくて・・・・ほんとサーセン。

という訳で、ネタに苦しんだり、新しいシリーズを考えたりした一か月でした。
残り数話ですが、次回はそんな間を開けませんので宜しくお願いします!

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