八幡とわーるどとりがー・・・八幡ってB級なんだぜ・・・? 作:ちゅんちゅん丸
あれですね、きよひーを出したら、槍きよひーのガチャが始まったことに驚いてしまいました。狙ったわけじゃないんです。
そして、当然のように10連を回すと、あら不思議、槍きよひーじゃないディスカァー!
年単位での自分のきよひーへの愛が通じた瞬間でした。うれぴー。
どうやら書いたら出るというあの都市伝説はそれなりに信用できるものなのか、と思った昨今でした。
それでは今回。暴走します。今回はまじめ路線は少なめ、久々に八幡が泣く系です。てへ!
ー 基地南西部 -
「ヒビ入ってるくせに硬いわね」
新型の頭部に双月の片方で攻撃した小南だが、新型の頭部は非常に硬く、通常の攻撃ではダメージがはいらず、そんな強固な装甲に対して小南は特に何も思う事のないと言わんばかりに無表情だった。
比企谷隊が相対していた時は基本的に関節部や耳等から削っていき、そこから北上の一撃で沈める、という流れをとっていたが、小南の場合は単純だった。
「ま、だからどうってことはないけどね」
そうつぶやくと同時に両手に持っていた双月を接続した小南は大きく振りかぶったその巨大な斧を新型の胴体にすさまじい勢いで叩き込んでいた。
するとこれまでの攻撃で鉄壁を誇っていた新型の胴体はあっさりと両断されてしまう。
これこそが、玉狛のオリジナルトリガー、双月の真の姿だった。ちなみにガンダム要素が皆無な事に八幡が不思議がっていたのは別の話。ガンダムネタは比企谷隊だけなのであった。
(私達が関節やらを狙って動きを阻害して北上さんの一撃につなげて沈めていた新型をあんなにあっさり倒すなんて・・・こちらも負けてられませんね!)
小南の一撃に対抗心を燃やす大井は、ハウンドで行動を阻害した新型に一気に肉薄し、足の関節部を両手に展開したスコーピオンで破壊して行動を阻害する。
「北上さん!」
「ほいさっ!」
そして、大井が新型から離脱した瞬間、通常射撃モードの北上のビームキャノンが新型の頭部に炸裂して、行動不能に追いやっていた。
「ふふ、やるじゃない」
「ありがとうございます。私達も負けられませんから」
大井と北上の連携にニヤリと笑う小南に、大井も微笑み返す。
「あと2体だよー!」
「ええ!さっさと片付けるわよ!」
「はいっ!」
あっさりと2体が倒されたことに動揺しているのか、やや及び腰になっているように見えなくもない新型に大井と北上、小南が襲い掛かっていく。もはや殲滅は時間の問題であった。
それから2分後・・・・多少の抵抗があったものの、新型を倒した小南と北上、大井は新型内にあるキューブを回収していた。
「よし、木虎さんとC級のトリオンキューブの回収を完了しました」
回収後、小南はレイジと烏丸の援護に戻り、トリオン残量が少なくなってきていた北上と大井はそのままC級の護衛の為にひふみ、小町、三雲と合流していた。
『よし、よくやった。それじゃあ木虎達のキューブは・・・・ふぉぉぉぉぉ!!!あっぶねぇーーーー!!!』
「お兄ちゃん!?大丈夫!?」
『おぅ大丈夫だ・・・・炎がな、あっつ!あっつぃ!!大丈夫だ!あ、あのーもしもし?自分はそんな珍妙な名前じゃありません。自分は比企谷です、なので人違いですごめんなさい。・・・・んで、なんだっけ?』
大丈夫、ダイジョウブと連呼したり、よくわからない事を言っている八幡にむしろ不安が増幅されていく大井達であったが、ひふみのヴェーダから送られてくる情報でもすぐに危険になる、という感じでもなかったことに安堵する。むしろ画面上では非常に愛らしく、綺麗な少女に追いかけられているようにも見えて、若干ムスっとした気にもなっていた。周辺を炎の蛇がうごめいていなければ戦闘中には見えなかっただろう。
「こちらの新型は掃討して、現在人型2体と玉狛が交戦中。私達はどうしますか?そちらに加勢しますか?」
『是非頼む、むしろ代わってくれ・・・と言いたいが、こっちは何とかする。それよりも・・・・あっつい!!なにこの娘怖い!つか人の話聞いて!?俺はそんな珍妙な名前の人じゃないっての!!・・・あー、それよりもあれだ、他の人型は!?どうなってる?」
「戦術マップによると、東部の人型ネイバーに風間さんがベイルアウトさせられました。現在付近の隊員は新型に対応し、人型は放置するとのことです。南部の人型には、現時点でB級が5人やられました。現在東さん以下複数のB級隊員が包囲していますが、こちらも撃破は難航しているそうです。また、それにより東部、南部共に新型への対応が遅れてしまっているようです」
さすがにひふみがしゃべるには荷が重い内容の為、大井が報告をする。その間にも八幡があっつ!とかひぇぇ!とか人違いだからぁ!とか言っているのが聞こえていたが、とても気になるのを鋼の精神で我慢して報告していた。
文字通り熱烈なおっかけがポップしていてとても気になるのだが、我慢する。我慢なのだ。
「大井お義姉ちゃん、さっすがー・・・」
そんな大井を小町がキラキラした目で見ていたが、大井はそのまま報告を続けていた。でも内心ではめっちゃ気になっていた。なにやら八幡にとんでもない貞操の危機が迫っている気がしてならなかったがぐっと我慢していた。その貞操、守りたい・・・・。
「こちらは人型2体が居るとはいえ、付近のトリオン兵は大分削っているので、このままそちらに合流する事も可能ですが?」
むしろ行きますよ?貞操を守るのは私の仕事です。という心の声は出さないでおいた。
『ファンネルが燃やされるぅ――!?いや、こっちは大丈夫だ。・・・たぶん。むしろこのネイバーは広域殲滅型だから包囲すると被害が拡大しそうだ。それよりも、トリオン切れ狙った方が良さそうだしな。攻撃しても何しても燃やされるしで・・・・・・・はぁ、ファンネルも、アステロイドもバイパーも燃やされるってまじブラックトリガー理不尽』
その言葉通り、先ほどからヴェーダから送られてくる映像では、敵の炎の蛇を回避した八幡がファンネルを飛ばすも、ブレードモードによる攻撃も、射撃モードによる攻撃も、シールドモードによる防御もすべて炎に飲み込まれて無効化されていた。その都度、泣きそうになりながらも必死にファンネルを再構成して戦闘を継続している八幡の姿があった。
『だから、小町とひふみ先輩はトリオンキューブを持って本部に行ってくれ。まずは救助が最優先だ。東部の人型が本部周辺に来ているみたいだから、うまい事忍田さんか誰かに押し付けつつ、援護してやってくれ。大井と北上は南部の援護だ。人型の対応で新型が抑えきれていないから援護に入ってくれ』
「では、南西部は玉狛に?」
『あぁ、雨取の護衛が減るのはあれだが、どうも迅さんの予知だとその方がいいみたいだ。どーどー・・・。ステイ、ステェェイ!燃える、燃えちゃう!?』
必死に声掛けしている八幡の声に、少々不安になる大井だが、たしかに戦術マップに映る戦局は南部が大分不利になってきているのが見えていた。C級の反応もいくつか消滅している事をヴェーダの戦術AIが知らせてきていた。このまま手をこまねいていたら被害が拡大してしまうのは目に見えていた。
『こっちはこっちで何とかする。だからそっちも頼んだ』
「わかりました」
「りょうかいであります!」
「は~い」
「わか・・・・った!」
そして、比企谷隊の戦争は、それぞれの戦場へと移っていく。
ー 八幡SIDE -
「はぁ・・・・はぁ・・・・」
まじで、まじで!まじでなにあれ!?なんなん!?ブラックトリガーってみんなあんな理不尽な性能なのかよ!!
つか、ブラックトリガーもそうだけど、あの娘も怖い!!
「うふふ・・・鬼ごっこですか?安珍様?わかりました、わたくし清姫が見事捕まえてみせます!うふふ」
何が怖いって、ハイライトが仕事してないし、さっきから珍妙な名前で呼んでくるし、違う人だって言ってるのに。わかってますとか言いながら炎の蛇をばんばん飛ばしてくるしでマジ怖い。
「ファァァンンネルゥゥゥゥゥ!!!!」
必死になりながらファンネルを飛ばすも、先ほどからジュッ!とか、ジュワァッ!とか言いながら一瞬で燃やされて、まったくこちらの攻撃は届かないのが現状だ。
ちょっとおいしそうな音に聞こえなくもないが、マジ理不尽。
遠距離から攻撃しても巨大な炎の蛇が少女の周りを守るようにしているため、届く前にその炎に飲み込まれてしまう。ファンネルをブレードモードで攻撃しようとしても同様に炎に飲み込まれてしまうとかマジ詰んでる。
当然、俺自身が突っ込めば、一瞬で灰になってしまうだろう。ベイルアウト機能を削除している現状ではマジで死ぬ未来しか見えない。しかも、万が一炎を何とかしても、あの少女に近づくのになんとなく身の危険を感じてしまうという・・・・。
幸いにも、機動力ではこちらが上のようなので、一定距離を保ちながらこちらに注意を惹きつけることで、周りの被害を抑えつつ、何とか戦闘っぽい感じには出来ているが、残念ながら残りのトリオン量的に、このままではじり貧になってしまうので、そろそろ何とかしないとなのだが・・・・。
そんな事を考えている間も目の前の少女、清姫さん?はにこやかに微笑みながら攻撃を繰り出してくる。
「愛!!」
「華麗に回避!!」
炎により髪の毛がちょっと燃えたけど、華麗に回避だ。華麗なのだ。
「して!!!」
「残像だ」
ファンネルが8割燃えたけど、2割残ってる。残像だと、目の錯覚だと信じたい。
「まーーーーす!!!」
「ぐわぁぁぁぁぁ!!」
し、しまったぁぁ!!突然のなぞの愛の告白?に俺の童貞紳士のセンシティブなハートが!つまり何が言いたいかと言うと、動揺して、つまずいて、こけた!
八幡ピンチ!なぜか命の危険より貞操の危機を感じてるのがあれだが、どっちにしろピンチ!!
「うふふ・・鬼ごっこは終わりですの?わたくしとっても楽しかったのですが、少し疲れてしまいましたわ・・・・ふぅ」
ふぅ・・・と可愛らしくため息をつく少女。でも怖い。立ち上がる事も出来ずにそのまま後ろにずるずると後退していく俺・・・・あ、あわわわ、や、やばい。
「も、もちつこう!まずはもちつくんだ!」
まずは俺が落ち着けとセルフで突っ込んでしまう。相変わらず仕事しない口だが、それとは逆に俺の脳は全力で仕事している。なにか、なにか無いのか!?
「おもちつきですか?わかりましたわ。わたくし、後で愛をこめて安珍様のためにお作りしますね?ですから、ね?ね?・・・ね?」
は、話が通じた!?と一瞬思ったものの、その直後。少女の背後から炎の蛇がその口を開け、まるで捕食するかのように俺に近づいて来ていた。えぇぇぇーーーー!?
「大丈夫です、わたくしがずっとそばにいますので、ですので手と足は・・・不要ですよね?」
にっこりと微笑む少女。全然大丈夫じゃないんですけどーーー!!手と足とか言ってるけど、これ絶対まるのみする気だ―――!!
炎の蛇がそのまま俺を飲み込もうとしたその刹那、涼やかな声が聞こえた。
「そんな事はさせないよ・・・」
そしてその声と共に大量のバイパーとメテオラが炎の蛇に殺到する。
突然の攻撃によりわずかに蛇の動きが膠着し、そのわずかな瞬間に俺は炎の蛇から退避に成功していた。
「お待たせ、八幡君・・・大丈夫だった?」
「那須・・・・・」
そう、退避に成功していた。成功していたのだ・・・・・那須のお姫様抱っこによって。
あいも変わらず配役がおかしいんじゃあないかと言いたくなる。なんというイケメン力なのだろうか、たぶん数値化したら53万くらいありそう。那須パイセンマジイケメン。
そしてまたもやお姫様抱っこされる俺。おそらく数値的にはヒロイン力8万くらい。地味に高くて泣きそう。もしかしたらボーダーで最もお姫様抱っこされてるのは俺かもしれん。
おもわず現実逃避気味にそんな事を考えてしまう俺だが、そんな事は気にせずに俺に微笑んでくる那須に思わず顔を真っ赤に染めてしまう。そして「だ、大丈夫、大丈夫だから降ろしてぇ・・・」としか言えない俺。まじ配役ミスである。
ふう、と、とりあえず、今のは無かった事にしよう。それに那須が来てくれたのは正直ありがたい。機動力のある那須となら、あの少女もなんとか攻略できるかもしれん。
そんな事を考えていた俺だが、なにやらおかしな空気が流れていることに気づく。はて・・・?
「あらあら、うふふふふふ・・・・、安珍様?その女性はなんですか?わたくしと言うものがありながら、うわき、ですか?」
いやいや、うわきとかそれ以前に人違いですから!と突っ込もうとしたが、それは出来なかった。なぜなら那須が思いっきり俺の肩をつかんだから。思わず、ギギギ・・・と那須の方を振り向くと、すごく怖い笑顔でこちらを見ていた。ひぃぃぃ!
「ふふふ・・・八幡くん?どういう事かな?かな?大井さんや綾辻さんとかならともかく。あの娘はなにかな?なんで私がうわきとか言われてるのかな?不思議だね?不思議だよねぇ?」
いつのまにやら那須のハイライトが仕事しなくなってらっしゃる!?えぇ!?
「あらあら、うふふ・・・わたくしの安珍様にそれ以上触れないでくださいまし?」
「ふふふ・・・何を言ってるのかな?八幡君は私のだよ?」
違う!違うよ!?俺は俺のだから!もしくは小町の!だからその所有権の主張は間違ってるよ!?そう言いたいものの、俺の口はまったく仕事をしてくれない・・・・。
いや、まぁ、小町なら喜んで所有権を譲渡しそうではあるけどさぁ・・・・ぐすん。
「あらあら・・・・・」
「ふふふ・・・・・・」
いつの間にか俺は完全放置でなぜか睨みあう少女と那須。
知らぬ間に俺の所有権を懸けた戦いが始まろうとしていた。これからわたし、どうなっちゃうのぉ~~!?
という訳で、戦争編20話でした。
きよひー暴走は次回までです、次回からはまたマジメ気味な感じに戻ります。
ちなみに現時点での残存トリオンは八幡30%、北上25%、大井50%、小町70%、ひふみ60%です。
小町は基本近接なのとひふみの護衛がメインのため、トリオン消費がもっとも少ないです。北上、八幡はメイン火力の為、トリオン消費がぱないです。大井は近~中距離とたまにガードとバランスよく戦闘しているため、戦果のわりに残存量多め。むしろ八幡と北上の試作トリガーの燃費が悪すぎるという感じです。ひふみはひたすらにヴェーダの維持で消費してます。
そして、次回、本格的に比企谷隊と人型ネイバーの戦いが始まります。