八幡とわーるどとりがー・・・八幡ってB級なんだぜ・・・? 作:ちゅんちゅん丸
今話で通算50話、まだまだ書きたいことはありますが、話数的にキリが良いのでここで一応の完結としたいと思います。
いろいろ書きたいことがまだまだあって、正直まだまだ楽勝で書けそうではあるのですが・・・というよりもランク戦も終わってなければ、原作入りすらしていませんからね・・・そりゃ書けるのです・・・しかし、いろいろとありまして、今回はこれにて完としたいと思います。
そんなこんなで駆け足の20話です!
ー ボーダー 比企谷隊 隊室 -
わいわい、きゃぁきゃぁとにぎやかに話をしている友人達をみて思う。
「随分と人が増えたなぁ・・・・」シミジミ
まるで縁側に座りながらお茶をすする老人のような雰囲気でそうつぶやく。わいわいと話す女性陣と離れた場所で床に座りながらみかんの箱にお茶とお茶請けを置きながら我が隊室の現在を見ながらふと物思いにふける。思えばここ数か月で随分と様変わりしたものである。
始まりは俺と小町だけであった。
先の大規模侵攻で死んでしまった親の分も俺は小町を守る、そのことだけを考えてボーダーに入り、小町もまた自分の出来ることをと共にボーダーに入ってくれた。
しばらく、俺の世界は小町だけであった。小町さえいれば良いと思っていた。
そんな俺達の環境が変わったのはたしかB級に上がってすぐ、小町の友達紹介として那須隊を紹介されたころだったか・・・・
それまでは誰に師事してもらうこともせず1人で訓練をして何とかB級になっていた。だがさすがに防衛任務も1人でするわけにもいかなかったため、どこかの隊と合同でやらなければと考えていたときのことだった。
「お兄ちゃん、友達を紹介するよ!!」
「こんにちは、那須隊隊長の那須玲です」
小町の紹介から自己紹介をした那須の花のような笑顔にしばらく見とれていたのは今でも鮮明に覚えている。
それからというもの小町のクラスメイトである日浦経由で那須、熊谷と仲良くなり、なんだかんだでよく訓練をするようにもなっていた。あの頃の那須はまだ普通に優しくて可憐な美少女だった、あのころは・・・・。
小町しかいない俺の世界に那須玲という新しい要素が加り、そこから俺の生活は激変していった。
同じ学年として、綾辻や三上、氷見、宇佐美、小南や出水、米屋と俺の世界は一気に広がっていった。
嘘や欺瞞を嫌う俺に対して裏の無い笑顔で話しかけてきてくれるこいつらに少しずつではあるが俺も信頼を寄せるようになっていた。
それから「長いです、そろそろ現実逃避は辞めてこちらを向いてください」・・・・はい。
最終回らしく過去を振り返りながら現実逃避をしていたのがばれていたらしい、俺のモノローグに強引に割り込んできた大井は俺の頬に両手を添えて強引に顔の向きを変えさせる。そして俺の視界には大井の顔が超至近で・・・・・うひゃぁ~///なにこの娘めっちゃ可愛すぎじゃないですかね?////あまりの近さに俺の顔が熱をもつ、きっと今の俺の顔は真っ赤だろう。
顔を抑えられている俺と大井の視線が絡み合う・・・・金縛りにあったように動けなくなり大井を見る俺とジトッとした視線を向ける大井。少し顔を動かせば唇と唇が触れ合いそうになる・・・そんなぱっと見だとキスする5秒前な感じの俺達。・・・もちろんそんなラブコメ的なことは無いのだが。
「さて、八幡さん、先ほどまでの私達の話を聞いていましたか?」
超至近距離でジト目を向けていたスーパー美少女大井たんが俺に問いかけてくる。そんなのもちろん聞いているわけがない・・・なぜなら最初の議題が今後の俺の調教プランについてだったのだから・・・だが、そこはこの俺、比企谷八幡である。
「おう、もちろん聞いてたぞ、俺の天使枠についてだよな?小町を中心に北上、滝本さん、電、最近だとひゃみさんも天使枠に入れてもいいかなって思っているんだが、どうだろう?」
「・・・・なんで私がいないんですか?」
「うん?大井は我が隊の女神だからなぁ・・・可愛らしい天使ってよりも美しい女神みたいな?あ、でもそれを言うなら滝本さんもか?」
悩みどころである・・・・ついでに言うと大井はたまに堕天するから油断できないのだ。俺のつぶやきに大井が慌てた様子で手を放し顔を赤くして怒り出していた。
「め、女神って・・・///って、違います!全然違います!!まったく話を聞いてませんでしたね!?」
「はい、すみません・・・」
八幡反省・・・。しかし考えても見て欲しい、何が楽しくて女性陣がきゃいきゃいと話してる俺の調教プランについてくそまじめに聞いていなければならないんだ?当然現実逃避したくもなるだろう?
つかさ、ホント言うとね?逃げようとしました。・・・ええ、もちろん捕まりましたがなにか?今もしっかりと首輪が付けられて逃げられないようになっていますが?・・・・ぐすん。
「まったく、これだから八幡さんはダメなんです!ダメダメのダメ幡です!」
「ダメ幡て・・・」
まったくもう!と腕を組みその豊満な胸を俺に強調しながらぷりぷりと可愛らしく怒る大井。至近距離でそれされると視線がついつい行ってしまう・・・・・・素晴らしいの一言につきますな。
しかし信じられるか?この娘こんな可愛く怒るくせにそれに触れると激おこして容赦無く拷問レベルの訓練を俺にさせたりボロ雑巾のように働かせるんだぜ?ただのテレ隠しで。びっくりだよね?
「もう!しかたがないですね!これからの事を話していたんです!!」
「そうなのか・・・ん?俺の調教プランじゃなくて?」
「それはもう終わりました!今は今後の事についてです!」
今後の事と言われてもな・・・・A級を目指すってやつか?なんだかんだでA級が射程圏に入ってきたんだよな~正直無理だろって思ってたがまさか俺たちがここまで善戦することが出来るとは・・・・そんなことを考えながら大井にわかったとうなずく。
「わかった、それならまじめに考えないとだな」
表情を引き締めてキリッと決め顔で俺は言った。
「はい、私達八幡更生委員会の今後を決める大事な話し合いです」
俺の真剣さが伝わったのか大井も表情を引き締めてうなずく。そして大井は俺に右手を差し出してくる、はて?と思いながらも俺はその手を取った、いわゆる握手の状態だ。そしてカシャンと俺の手に手錠が掛けられた・・・・・・うん?
あれー?あれー?と考えている間にも俺の拘束は強化されていく・・・あれー?
「では、そろそろまた逃げ出しそうだった八幡さんの拘束も強化したことですし、今後の話を始めます」
俺の拘束に満足したのかひとつうなずき真剣な表情で話し始める大井、あ、これ絶対やばい奴や、俺は今すぐにでも逃げたくなっていた・・・無理だけど。
「では今後の事ですが、八幡さんについてです。さすがに無秩序、というわけにもいきませんので今後のアクションについてですが、最終的には八幡さんの意思次第になりますが、人数が人数なので公平にアタックできるようにしたいと考えています」
その後もどんどん話が進んで行くデートの順番やら協定やら色仕掛けの可否やら・・・・これってもしかして・・・
いやいや、そんな馬鹿な話があるわけがないよね・・・・どんどんヒートアップしていく女性陣の話を楽しそうに聞いていた小町をちょいちょいと呼ぶ、
「な、なあ?小町さんや?これってなんの話なんだ?」
「うん?これはあれだよ!ハーレムだよ!やったねお兄ちゃん!こんなにお義姉ちゃん候補がいっぱいになるなんて小町的にポイント高いよ!!」
「・・・・今後の調教の話とかじゃなく?」
「ハーレムだよ!ハーレム!!さすがだよ!お兄ちゃん♪」
「ハーレムてそんなアホな事言ったら海の藻屑にされちゃうぞ?・・・大井に、俺が。」
またまたー、と俺は確認するが、小町はマジマジ、とちょっと真剣に応えてくる。・・・え、マジなん?
「んなことあるわけないだろ・・・・俺だぞ?」
「ん~まぁお兄ちゃんには確かに信じられないかもだけど・・・でも嫌いな人の為にここまでは普通しないよ?好きな人、大事な人だと思うからみんなお兄ちゃんの為にこうして集まってるんだからさ?」
まぁ、最近はちょっとやりすぎかな~って思うけどね?といたずらッ娘な小町らしい笑顔を浮かべながら俺に伝えてくる。
「・・・・・・・そ、そうか////」
少なからず好意を持たれている、という小町の話に俺の顔はさらに熱を持つ・・・これなんて言えば良いんだよぅ・・・こんなこと今まで経験無いからわからん・・・ほんと逃げたい・・・恥ずか死しそうだよぅ・・・
それから大井や厚生委員会のみんなが白熱した議論をする中で俺はひたすら小町にからかわれたり、那須と大井にひたすら超至近距離で絡まれたりして終始顔が真っ赤であった。
そんなこんなで厚生委員会の会議が終わり、今度は比企谷隊の話になっていた。信じられるか?ここまでこいつら俺の調教プランやらなんやらに1時間以上費やしてんだぜ?
ようやく拘束から解放された俺がそんな事実に愕然としていると、おもむろに綾辻と那須が話し出す。
「そういえば、残り試合数も少なくなって来たけど、今シーズン本当に比企谷隊A級になれそうだね?」
「トップと5点差2位と3点差だっけ?本当にあとちょっとだね?」
そう、なんと比企谷隊は現在3位である・・・超かろうじてだが、5位までほぼ点数が団子なのでいつでもひっくり変えるような点数だし、二宮さんとカゲさんのとこもいるから正直きついっちゃきつい。だが、確かにA級が視野に入ってきていた。
「もう少しです、もう少しで固定給が!北上さんの為にも勝たないとですよ!八幡さん!!」
「お、おう・・・そうだな・・・」
フンス!と気合を入れている大井。俺的にはまぁ正直きついかなーとか思ってるが、そんな俺のテンションに目ざとく気づいたのか、大井がかわいく怒りだしていた。
「もうっ!そんなことではダメですっ!ダメ幡です!」
「そうだよ!もっとテンションあげなよ!お兄ちゃん!!」
「そうは言ってもだな・・・」
ちょめって両手でバッテンを作りながら大井と小町がもっとテンション上げろよ!と励ましてくる。いやいや、それ俺のキャラじゃないだろ・・・・
「う~ん、なんかご褒美上げようか?」
人差し指を頬に当てながら綾辻が提案する、ご、ご褒美ですか・・・・ゴクリンコ・・・・美少女のご褒美とか・・・
「お兄ちゃん、キモイ」「八幡さん、気持ち悪いです」
いろいろと想像していたのがばれていたのか、小町と大井に睨まれる・・・・・・悪くない。そう思ってしまった俺はもういろいろとダメなのだろうか・・・いやいや、まだいける、マイケル。
そんなやり取りをしていると、今度は那須が参加してきた。
「ふふ、じゃあ比企谷隊がA級に上がったら、ご褒美にみんなで八幡君にご奉仕するね?」
「「「「!!!!」」」」」
颯爽と話に加わった那須の提案に他の女性陣が驚いているが、そんなことお構いなしに那須は話を続けていく
「そうね・・・みんなでメイド服を着て八幡君にご奉仕するわ」
あ、もちろんあんまりエッチなのは無しね?と付け足しながら那須が微笑みつつ提案する。あ、あんまりってことはちょっとは・・・・・ゴクリンコ・・・・
那須と大井、綾辻に滝本さんがメイド服姿で俺をお出迎えしているところを想像してみる・・・・うん、控えめに言っても天国じゃないかな・・・小町と北上も・・・うん可愛いな。八幡やる気出てきた。
「よし、それで行こう。あ、ちなみに大井と那須、滝本さんと綾辻はロングスカートのメイド服な、きゃぴきゃぴしたのはダメだぞ?」
それでおかえりなさいませ、旦那様って言ってもらったり、その場でおもむろにくるんってターンっしてスカートをふわってしてもらったり、紅茶を入れてもらったりする。うんうん、とても素晴らしいと思います。
途端にやる気になった俺に大井や小町、綾辻の視線は冷たくなる、はっ!そんなの気にしてらんないね!だいたいなんで俺がメイド服着せられてるのにこいつらが着てないんだよ?絶対こいつらの方が似合うのに・・・以前から納得がいかなかった扱いだっただけに那須の提案は俺にとっても悪くないものだった。
「あ、ちなみにA級になれなかったらしばらくは八幡君にはみんなのメイドさんとしてご奉仕してもらうからね?」
続く那須の宣言に俺は愕然とする・・・さ、さすがは俺をいじることにかけては一流の那須だぜ・・・まさに上げて落とすってやつである。
ここ最近の不満であった俺だけメイド服という理不尽を解消できると見せかけてのこれである。いくらA級が射程に入ったとはいえ、はっきり言って未だ厳しい戦いであることには変わりないのに・・・・
「まじか・・・・」
「大丈夫、勝てばいいんだから、がんばってね?ご主人様?」
いつの間にかすぐ近くに着ていた那須が、俺の手を取っていた、那須の手は少し冷たいけど、でも女の子らしく小さくて、すべすべで思わず俺のお胸がドキンコしてしまう。
「あ、あぁ・・・・まぁ頑張っては見るが・・・」
そんな煮え切らない俺の返答では満足しなかったのか、俺の手をとっている方とは別の手で俺のあごに手を添えて上を向かされる・・・あれ?これってあごクイってやつ?顔をあげた先には那須の顔がすぐ近くにあり、思わず俺の顔がまたまた真っ赤になる、今日は赤面してばかりだなぁ・・・・そんな俺に微笑を向けながら那須は魔法の言葉を告げる。
「必ず勝ってね?私のご主人様?」
「は、はい・・・////」
イケメンオーラの那須のイケメンスキル、あごクイにより、それはもう真っ赤に染まっているヒロイン(俺)は思わずはいと答えてしまうのであった、俺ってばマジちょろインである。最近の那須のブームはイケメンスキルで俺をからかう事らしい・・・心臓に悪いブームである。
「だ、ダメですっ!那須お姉さまには渡しません!!八幡さんは私と北上さんのです!」
ダメですー!と言いながら那須と俺を引きはがした大井が俺に抱き付きながら那須に威嚇をする。
ちょっ!ちょいちょいちょいちょい!!・・・当たってる!当たってるぅ!!大井のたわわが!ぐにょんって思いっきり当たってるから!
なんかいつの間にか俺の所有権の話になってるし!?ナニコレ!?
わいわい、きゃあきゃあとその後も八幡の所有権を主張する大井と那須とそれに便乗した更生委員会のメンバー達による騒動はその後もしばらく続くのであった・・・・
それからしばらく経ちようやく騒動が落ちついた頃、騒ぎ疲れたメンバーは眠ってしまっていた。おいおい、ここで寝んのかよ・・・・俺も眠いんだけど?さすがにここで寝るわけにも行かないな・・・保健室いくか?とかそんな事を考えていると、小町がおもむろに俺の隣に座りながら頭を撫でてー♪とおねだりしてきた。可愛いやつめと思ったらそのまま話かけてくる。
「ねぇ?お兄ちゃん?」
「なんだ?」
「お母さんたちが死んじゃった時は悲しかったけどさ、小町、ここに来れて良かったよ」
気持ちよさそうに撫でられている小町が話す事に俺はそうか、と答える。
「毎日任務とかで大変だけど、茜ちゃんと一緒に頑張ったり、北上さんと大井さんとひふみさんと一緒に防衛任務したり・・・」
俺も防衛任務やってるんだけどね?さりげなく俺をハブにした妹に苦笑して、そんな気持ちを込めながら少し強めにくしゃくしゃっとすると小町も楽しそうにキャー♪と笑っている。あぁそうだ、俺はこの小町のひまわりのような笑顔が守りたかったんだ。
「八幡更生委員会を大井さんが作るって言ったときは思わず笑ったよ♪」
まったく、あれにはほんとにびびったもんだ・・・最初は冗談かと思ったら本気だったしな。
「あれはひどかったな・・・・」
「まぁお兄ちゃんの自業自得だけどね?」
ニシシって笑う小町の頭をこのやろっともう一度くしゃくしゃする、キャーキャー言ってる小町がやっぱり楽しそうで・・・・
「それからいっぱい、いっぱい笑って、話して、小町ね?ボーダーに入って良かったよ。お兄ちゃんありがとね?」
そう言いながら微笑む小町は本当に、本当にうれしそうで・・・・
「あぁ・・・どういたしましてだ。俺はお兄ちゃんだからな」
「うわー、この人偉そうだなぁー」
「まぁ、その、・・・なんだ、小町もありがとな、いつも助かってる//」
「どういたしましてだよ、お兄ちゃん♪なんたって小町は妹だからね♪」
そう微笑む小町の笑顔を見て、俺の心が軽くなっていくのを感じていた。
小町を守る、それだけを考えていた頃の俺にはきっと今の小町の笑顔は守れなかっただろう、ネイバーから守るだけではきっとこの笑顔は守れなかった。
那須や大井、北上や滝本さん、更生委員会のメンバーがいて、ボーダーのみんなが居たからこそ守れた笑顔なのだ。そう考えると皆には本当に頭が上がらないな。まぁ、もう少し俺に優しくしてもらいたいものだが・・・
この笑顔とボーダーのみんなを守れるようもっと強くなろう。とりあえずはA級になってみんなのメイド服を堪能しつつ、小町に笑ってもらおう。それはきっととても楽しくて、幸せな時間になるだろうとそう思うのであった。
というわけで20話でした、最後かなり駆け足だし、登場人物増やせなかったけど・・・キリの良いところで終わらせるのって難しいですよね・・・せめてランク戦は終わらせたかったかもですね・・・ドンマイ自分。ほんと中途半端なとこで終わってすみませんでした。
まぁ、一応完結扱いの気分ですが、またテンションが上がったらその後の話を書くかもです。原作入りさせたい・・・その時はまた立ち寄ってもらえればと思います。
それでは最後に、那須さんにいじめられたいという自分の思いから始まったこの話をここまで読んで頂きありがとうございました!
ちょいちょい暴走してしまったり、わけわからんことも多々していましたが、それでも根気良くつきあって頂きありがとうございました!