攻殻機動隊 -北端の亡霊-   作:変わり種

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第14話

「ほら、さっさと起きろ!朝だ」

 

しわがれた声で怒鳴りながら、小太りの男が廊下中を駆け回る。同時に大音量で天井のスピーカーからヴァイオリンの旋律が響き渡った。聞いている限りではクラシック音楽のようだが、サイトーにはこれが何の曲なのか分からない。同じような旋律を繰り返したかと思えば、妙なところで転調する。まるで素人が作曲したのではないかと思ってしまうような曲だった。

 

「何だよ、五月蝿えなぁ…」

 

呻きながらベッドから起き上がる男たちは、口々に悪態をつきつつも着替えを始めた。外はまだ暗く、東の空が淡い紺色に染まってきた程度である。時刻にすればまだ6時も回っていないだろう。

 

サイトーはさっと着替えを終え、ベッドを降りた。相変わらず粗末なつくりの居室は断熱も最悪なようで、窓には結露した水が凍りついている。室温は下手をすれば氷点下に近かった。それでも、そんな生活にはもう慣れっこなのか、ルームメイトはぐっすりと熟睡していたようだったが。もちろんサイトーもまったく眠れなかったわけではないが、寝心地は言うまでもなく、疲労感だけが溜まる一方だった。早く慣れておく必要があるだろう。

 

初日からいきなり問題行動を起こした強面の男は、無言で身支度を整えると一足先に出ていった。恐る恐るその様子を見ていたほかの2人も、点呼に遅れないように慌てて部屋を飛び出していく。サイトーもそれに続いた。

 

一日の生活リズムというのは、ほぼ固定されているようだった。毎朝5時45分起床、6時より点呼。その後、朝食ののち7時から12時まで労働訓練し、昼食を挟んでさらに13時から17時まで午後の労働を行う。内容としてはネジなどの機械部品の加工の他、しばしばコンピュータ実習と称して事務処理の練習もあった。もっとも、今の時代なら小学校で習う程度のレベルだが。

 

あと必ず行われるのが、“祈りの時間”というものだろう。朝の点呼、昼の点呼、夕方の終業時の1日3回、必ず全員を集めて10分間の祈りを捧げるのだ。詳しいことは実際にやってみなければ分からないものの、タイムスケジュールを見る限りでは特に怪しげなものは見当たらない。

 

廊下を抜けたサイトーは他の男たちとともに外に出る。というのも、一度に全員が入り切るホールといった類の建物がないからだ。真冬の北海道の早朝は寒さを通り過ぎてもはや痛みを覚える程で、出てきた男たちはみな小刻みに震えて縮こまっている。

 

既に宿舎の前には数十人ほどが集まっており、寸分違わずに整列している。既にここで生活している人間たちだろう。到着した昨日は接触する機会がそもそもなかったため、どんな印象か確かめることはできなかったが、いま見る限りでは特におかしな様子は見られない。

 

「点呼!」

 

決められた白装束に身を包み、初日に出迎えをしていた雪だるま男が声を張り上げる。元軍人が多いのもあって、それに答える声もわりあいビシッとした威勢の良いものだった。やがてサイトーの順番が来ると、周りと同様に大きくはっきりと番号を答える。こんなことをするのは何年ぶりの事だろうか。思わず懐かしさすら覚えてしまう。

 

だがもちろん、悠長に感傷に浸っている暇はない。点呼が終わるとすぐに始まるのが祈りの時間だった。数人の付添人を伴って姿を現したのは、一見すると温厚そうな男。肉付きの良いふっくらとした顔には銀縁眼鏡を掛け、髪は短く切り揃えられている。細い独特の目つきだが、そのせいか表情が読み取りづらく何を考えているのか分からない不気味さもあった。

 

「では皆さん、目を閉じましょう」

 

付添人の指示のもと、祈りが始まる。一斉に座り込み、脚を組んで目を閉じる男たち。入ったばかりのサイトーを入れた数人も見よう見真似で祈り始める。といっても、キリスト教のように何か祈りの詞があるわけではない。1人1人が目を閉じて耳を澄まし、心を開いて己の内で祈りを捧げるのだ。

 

闇が支配する世界の中、かすかな風の音と自分の息遣いだけが耳に入る。奇妙な静寂はしばらく続き、自分がどこにいるのか分からないような感覚にもとらわれる。それでもサイトーは警戒だけは怠ることはなかった。常に意識を集中させ、周りに注意を払う。

 

やがて5分ほどで祈りは終わり、“導師”と呼ばれた男は神に感謝を告げると一日の平穏を願う。思っていたような怪しい雰囲気もなく、“祈りの時間”は無事に終わった。この後は朝食を取ったのち、4時間の労働訓練。自由に動けるのは終業後の夕方以降になると思われる。

 

まあ、入って2、3日の内は目立つ動きは避けた方が良いだろう。現状では特に怪しいところはないとはいえ、万が一のことがないとは言えないのだ。まずはこの生活リズムを体に叩き込み、慣れておかなければならない。建物の構造も単純とはいえ、ある程度確認した方が後々役に立つ。

 

一団は解散し、各々の宿舎へと戻っていく。東の空はようやく赤く染まり始め、眩い朝焼けの光が凍り付いた夜空を徐々に溶かしていくように感じられた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ノックののち部屋に入ると、マホガニーのデスクに向かった荒巻課長が捜査資料に目を通しているところだった。

 

「まあ、かけてくれ」

 

言われるがまま、トグサとバトーは正面のソファに腰を掛ける。課長は一段落つけると資料を置き、さっそく本題に入る。

 

「例の武田氏の件だが、中々厄介なことが分かってきてな。結論から言うと、6課はやはり正規の流れでなく秘密裏に武田氏の警護を担当していたらしい。当然、外交部にもそういう話は回ってきておらんそうだ。現役のアジア局長ですら、何も知らなかったようだからな」

 

「身内にまで黙っているってことは、余程の隠しておきたい事情があるってことですか。これは、本人に一度聴取した方が良いんじゃないですかね」

 

そう話したトグサだったが、課長は答えないままだった。その様子にすぐに彼が言わんとしていることを理解したバトーは、ぼそっと呟く。

 

「そこで、問題があったわけだな」

 

無言のまま頷いた荒巻課長は、神妙な面持ちのまま手元の端末を操作すると壁面の中型モニターにいくつかの画像を表示する。

 

「今から44分前の武田邸の様子だ。カメラ虫を使って遠距離から撮影したものだ」

 

画像には西洋風の立派な門構えの豪邸が映し出されている。3階建てで車庫は2つあり、規則正しく敷かれたベルギーレンガが品の良いアクセントになっていた。屋敷を取り囲むように生える西洋芝はほのかに薄茶色の部分もあるものの、この時期でもまだ青々とした緑を保っている。こまめな手入れの賜物だろう。

 

屋敷の窓に目をやるとレースのカーテンが閉められていて、中の様子を窺うことはできなかった。だが、早くもバトーは2階の窓に映る人影に気づく。シルエットからすると男、それもあの高さだと180cmはあるだろう。

 

画像がその窓を中心に拡大される。最初は荒いドット画像だったが、間もなく再読み込みによりドットが細かく分割され、解像度の高い滑らかな画像に変換される。相変わらずシルエットなのは変わらないが、窓際に近づき外を一瞥しているあたり、明らかに屋外に注意を向けているのが見て取れる。

 

「当該時刻、宅配業者が屋敷を訪ねている。受け取ったのは普段から屋敷で働いている家政婦だそうだ。だが、彼女以外にあの屋敷で働いている人間はおらん。住んでいる人間も、武田氏本人だけだ」

 

「つまり、あの長身の男は普通ならいるはずのねえ3人目ってことか」

 

「それだけではない」

 

画像が切り替わる。アングルから察するに、電柱の上から撮られたものだろう。映っているのは武田邸の正門からその100m先の信号のない十字路にかけての道路だった。余程の高級住宅地なのか、歩道にはベージュ色のブロックが敷かれ、花壇まで整えられている。丁寧に切り揃えられた生垣が両側に広がり、緑の壁を形作る中、わずかに十字路から顔を出して駐められているのはシルバーのバンだった。サイドウィンドウにはいずれもスモークフィルムが張られ、車内の様子を窺うことはできない。

 

「6課か。いかにも、って感じの警備だな」

 

「ですが課長、6課が武田邸を警備しているのは当然ですよね。現に襲撃事件も起こっているわけですから、警備を強化しているのは当然かと」

 

疑問に思ったトグサが口を開く。これまで秘密裏とはいえ武田氏を警護していた6課が彼の自宅近辺を固めていることは、何ら不自然なことではないからだ。

 

「その通りだ。だが、外からの脅威だけでなく、内も見張っているとしたらどうだ」

 

「どういうことです?」

 

課長の放った言葉の意味をトグサは最初、理解できなかった。そんな彼に代わって、バトーはすぐに課長が言わんとしていることを察し、訊き返す。

 

「つまり軟禁ってことか、課長」

 

「そうだ。実際、例の襲撃事件後に彼が自宅に戻ってから一度も外出した痕跡がない。買い物や来客なども全て家政婦が対応しているそうだ」

 

「本人の安全確保のための措置という可能性は?」

 

「ないわけではない。もっとも、外部との通信回線を盗聴しながら警備する必要性があればだがな。固定電話、電脳用無線通信の両回線で、6課が傍受、盗聴している痕跡が見つかっている。十中八九、武田氏は軟禁状態に置かれているとみて、間違いはないだろう」

 

「なるほど。警護対象を軟禁しちまうとは、穏やかではなさそうだな」

 

ふっと軽く笑みを漏らしながら、バトーが返す。トグサもやっと事態が飲み込めたのか、神妙な面持ちで課長を見つめていた。

 

「そこでだ。お前たち2人には、何らかの形で武田氏に接触し、事情を確かめてもらいたい。場合によっては、9課で武田氏を保護することも視野に入れている。ただし、できる限りいまの段階では荒事は起こすな。分かったな」

 

「了解」

 

2人は引き締まった声でそう答えた。久々に面白そうな仕事が回ってきたとバトーが感じる一方で、トグサは6課絡みの大仕事に緊張が抑えられない。心臓が軽く脈打ち、冷汗が腋を伝って何とも不快だった。

 

そのまま課長室を出ると、トグサは思わずため息を漏らしてしまう。

 

「なんだ、まさか不安なのか?6課のやり合うのが」

 

「別に、そんなんじゃないさ」

 

「ま、いざとなったら骨ぐらいは俺が拾ってやるからな」

 

バトーのきつい冗談にむっとするトグサ。確かに不安がないと言ったら嘘になってしまうだろう。何せ相手は同じ日本の政府機関であり、プロである。自分が一つドジを踏んだだけでも、それが9課の命取りになってしまう可能性もなくはないのだ。

 

そんな任務になぜ課長は自分を任命したのだろう。トグサの頭に一つの疑問が浮かんできた。最も考えられるのは適性ではないだろうか。今回の任務では張り込みが主になる。そこで自分の刑事時代の経験を活かせるかもしれない。それに義体化率の高いバトーのようなメンバーだけでは、表に出ただけで警戒されてしまう恐れもある。

 

そんなことを薄々考えていると、唐突にバトーが口を開く。

 

「それにしても、お前もだいぶ成長したもんだ」

 

「ん、どういうことだ?」

 

「入ったばかりの頃は()()()()だったのが、だいぶ一人前らしく仕事できるようになったじゃねえか。今度の仕事にあたったのも、それだけ課長の信頼を得ているってことだろ」

 

はっとしたトグサ。バトーの口からそんなことが聞けるとは思ってもいなかったのだ。いままで自分は皆の足ばかりを引っ張っていると思い込んでいたが、必ずしもそうではないという。そういう言葉が聞けるだけで、素直に嬉しかった。

 

「ま、まだまだだけどな。だいたい、マテバ持ってる奴なんか当てにはできねえし」

 

「マテバのことはいいだろ、別に…」

 

2人はそのまま軽い言葉を交わしながら、エレベーターの中へ乗り込んでいった。トグサの緊張は、いつの間にかすっかり消え去っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

街路樹に止まっていたスズメの群れが車のエンジン音にさっと一斉に飛び立った。隅々まで整備された道路には大きな花壇が、歩道と車道を分け隔てるようにつくられていた。もっとも、真冬のこの時期では枯草しか残っておらず、土も乾き切って固く締まっている。トグサはぼんやりとそんな過ぎゆく景色を眺めていたが、看板を見てふと我に返る。

 

『桜が丘2丁目』

 

ここは武田氏が邸宅を構える高級住宅街の一角。車を運転するバトーは私服姿で、過度に辺りを見回すことはせず何気ない様子で気楽にハンドルを握っていた。一方のトグサは軽く息を吸い込むと、背もたれからやや体を引き起こしてサイドウィンドウから横の通りを一瞥した。

 

停められている車両はない。

 

武田邸まであと2ブロック。相手が6課となると、事前のブリーフィングで知らされていた警戒車両以外にも、要員を配置している可能性もある。周辺の警備状況をまとめるに越したことはなかった。もっとも、初っ端から相手に感づかれる訳にもいかないので、できることは最小限度に限られる。

 

車は時速20キロ程度のゆっくりとしたスピードで路地を進んでいた。間もなく、目の前に写真で見た門が見えてくる。

 

「屋敷の前に車はなし。門は閉鎖中、車は2台ともガレージか…」

 

今まさに通り過ぎたのが、武田邸であった。車はそのまま横通りに入ることはせずに、直進して住宅街の奥へと進んでいく。近くの十字路にはシルバーのバンが路駐されていた。報告通りスモークフィルムがバックウィンドウとサイドウィンドウの両方に張られ、中の様子を窺うことはできない。

 

ちょうど、通りかかったジョギング中の中年男性が怪訝な様子でじろじろとバンを見つめていた。もちろん、特に何かするというわけでもなく、男性は首をかしげながら通り過ぎていくだけだ。

 

しかし、近所の人間があの様子で不審に感じているあたり、何日もずっとあそこに停め置かれているということか容易に想像できる。そのうち、警察に通報されかねないことから、明日にはバンの位置は変わると考えて良さそうだ。

 

「にしても、6課はなぜ武田氏を軟禁するんだ?ついこの間までは行事に出席したり、日常生活をこなしていたのに」

 

「ま、考えられるのは単純に勝手に外に出られると“都合”が悪くなった、とかだろうな」

 

トグサの疑問に、バトーが答える。まだトグサはあまり納得していない様子だ。

 

「都合ね…。それだけで元身内とはいえ一個人を軟禁するなんてリスクがあり過ぎると思うんだがな」

 

「それだけの価値があるってことなんだろ、武田って爺さんの持つ情報には。ほら、降りるぞ」

 

バトーはそう言うとエンジンを止め、シートベルトを外す。車はいつの間にか武田邸から離れた3階建てのアパートの前に停められていた。高級住宅の立ち並ぶ区画から少し離れたとはいえ、まだ周りは普通の街並みよりは立派な住宅が立ち並んでいる。元来た方向を振り返ると、武田邸は住宅地となっている小高い丘のかなり上の方に見えた。直線距離にして500メートルはあるだろう。

 

荷物を持って内階段を上がると、3階の一番奥の部屋に2人は入った。1LDKという事もあってリビングは広く、10帖近くある。フローリングも新しく、キッチンには最新型の電磁調理器が備えられ、普通に住む分にはなかなか贅沢な環境だった。

 

「なんか税金の無駄遣いだ、って言われそうな部屋だな…」

 

「仕方ねえだろ、周りに適当な建物ねえんだから。それともお前だけ1人で24時間外で見張ってるか?」

 

「遠慮しとくよ」

 

2人はそんな話をしながらも、機材を出してカーテンを閉め、着々と準備を整える。通信傍受用の高感度アンテナや高指向性マイクなど、少し大掛かりな装備もあった。それでも、1時間もしないうちにアパートの一室は監視部屋に様変わりし、窓際の三脚に備えられた望遠鏡は武田邸をしっかりと捉えていた。

 

おおむね態勢は整った。とりあえず今日一日はこれらの装備を駆使して敵状把握に努めるかほかないだろう。まず確かめなければならないのは武田氏の状態。まさかということはないと思われるが、一応確認する必要はあった。それが分かればあとは抜け道を見つけ、何としてでも本人に接触しなければならない。

 

もっとも、6課が軟禁しているいまの状況では接触できる手段は大幅に限られることになるが。直接出向くのは論外として、セボットを使うにしろ敷地内には妨害電波が発信されている可能性が高く、屋敷に近づいた時点で制御できなくなるのがオチだろう。

 

「調べたら武田氏、紙の新聞契約しているんだな」

 

そんな中、トグサが口を開く。手元にはあらかじめ本部で調べておいた武田氏の個人データが表示されている。その中には、電気・ガス・水道といったライフラインの契約情報のほか、テレビや新聞といったメディアのものも記載されていた。

 

「これくらいの世代にはよくあることじゃねえか。若い奴に脳ミソ弄られるが嫌で電脳直結してない爺さんがいるくらいだからな」

 

「まあ、たしかに」

 

電子化が進んだ現代では、紙で新聞を取る人間はかなり珍しい存在となっていた。そもそもネットの普及でニュースなどは電脳から簡単に確認でき、さらに文字情報だけでなく動画といった視覚情報も得ることができる。もはや新聞はネットニュースと統合し、ほぼ消滅しかけているメディアの代表例だった。それでも完全には廃れないのは、このようにネットが普及する以前から親しんでいる人々の存在が大きい。

 

「で、新聞がどうかしたのか?まさか新聞屋を装うとか思いついたんじゃねえだろうな?」

 

「違うって。新聞を使うのは同じだけど、俺が思いついたのはその…、中身を使うというか…」

 

トグサは言い淀みながらも、話を続ける。

 

「新聞の中に6課には気づかれないように何かメッセージを埋め込めれば良んじゃないか?さすがに連中も、新聞の中を注意深く読み漁ることはしないだろうし」

 

「まあ、たしかに気づかれることはねえだろうな。だが、情報の流れは一方向だ。たとえ武田氏がメッセージに気づいたとしても、応答する方法がねえ。それに、そこで武田氏が先走って下手な真似をしたら元も子もなくなるぞ」

 

バトーの指摘に、トグサは返すことができなかった。武田氏がメッセージを受け取ったとしても、肝心の返信をこちらが受け取れなければ意味がない。新聞を使うこと自体には問題はないものの、復路をどのようにして確立するか。そこが問題であった。

 

いかにして抜け道を見つけるか。これまで様々な状況下で作戦を行ってきたバトーにとっても、今回のようなシチュエーションはほとんど初めてに近かった。監視側に気づかれないように軟禁下の人間とコミュニケーションを取る方法。しかも、確立した手段は数日または複数回に渡る使用にも堪えうるものでなければならない。そうでなければ詳細な情報は得られない上、万が一9課で武田氏を保護するとなった場合にも作戦の支障となってしまうのだ。

 

ひとまず今日は監視に集中し、情報を集められるだけ集めるしかない。本格的な対応を考えるのは、明日以降になるだろう。だが、いたずらに事態を長引かせるわけにもいかなかった。工作員や例のテロリストの動きなど、不安要因は無数にあるのだ。

 

2人はそれぞれ思考を巡らせつつ、持ち場につくと監視任務を始めた。

 




2018/11/1 一部加筆修正

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