東方天邪録 転生したら天邪鬼 作:トイレの紙が無い時の絶望を司る神
今回はマリオRPGから、『森のキノコにご用心』を聞きながら見ると、作者とお揃いになります。
「.....完全に迷った」
俺は今、瘴気と魔力が溢れる『魔法の森』という場所に来ていた。
来た理由はいつも通り観光だ。
人里に向かう途中の行商人さんから話を聞いて来た。
その行商人さんは俺がお礼として無事人里に送り届けた。
さて、話を戻す。
魔法の森に来たのはいいのだが、同じような景色と面白そうなキノコ達に目を奪われ、森の奥までズンズン進んでしまった。
話によると、この魔法の森にはたまーに人里で人形劇を行う人形遣いの少女が居るらしい。
その少女は、善心からこの迷った人間を案内して返すというらしい。
が、しかし。この森に来て(体感だが)2刻.....つまり、4時間が経とうとしている。
一向にその少女は現れない。その少女と話すのも目標の一つだったのだが.......。
え?飛べばいいって?俺がいる魔法の森の奥深い所は、木が大きく育っており、見上げれば木の枝が交差して天井を作っているのだ。
つまり、空への逃げ道がない。
暗いし。明かりは光るキノコが点在しているため、それが照明のような役割をしている。
無理やり壊すのも頂けない。
木の枝を折ってしまえば、そこから病気になったりする。
あまり気にするようなことじゃないかもしれないが、話に聞く少女に迷惑がかかるかもしれない。
「さて.....どうしたもんかなー」
近くに人が居ないため、普通に喋れる。
こういうのも久しぶりだな。
いつもはルーミアちゃんやチルノちゃん、大妖精ちゃんや正邪ちゃんが居るから、普段の喋り方があの変な風なのになっている。
「......まぁ、いっか。とにかく歩こう。さすれば道は開けるだろうな」
あり?また喋り方が......。
つまり、誰かが近くにいるということだ。
そう考えていると、
「あら、こんな奥深くに何か用かしら?」
後ろから女性の声がした。
「迷ってあんな奥に入り込むなんて。貴方、結構度胸があるのね」
迷ったことを伝えたら、「なら付いてきなさい」と言われ、付いて行ったら家に案内された。
疲れているのがわかったのか、「お茶でも出すわ」と世話を焼いてくれた。
いい子じゃん。気遣いができて。
それとこの子、魔法使いらしい。
「貴方が居た場所はね?森の瘴気が強すぎて魔法使いでも半端者なら倒れるくらいにキツイ場所だったのよ?現に私もあそこに長時間居座るのは辛いものがあるし......」
注意喚起だろうか。
嬉しいね。人に気遣ってもらえるのって。
俺の周りには俺を超人扱いする奴らしか居ないからな.....。
『俺なら何があっても大丈夫』って思ってるのだろうか。心配をしろ心配を。
俺は元とはいえ普通の人間だぞ。
「で?なんで貴方はあそこで平気だったの?見たところ普通の人間にしか見えないわよ?」
ありゃ、そこに行き着くか。
「この姿は仮のものでな。とある事情から人間の姿の方が都合がいいのだ」
「それって指名手配とか?」
「まさか」
「じゃあなに?夜逃げかしら?」
「私が借金をするように見えるか?」
「そう?人は見かけによらないものね。あら失礼。人間じゃなかったかしら?」
何この子。凄い突っ込んでくる。
やっぱり魔法使いというのは好奇心旺盛なのか?
好奇心は猫をも殺すということわざくらい知ってそうだが......。
「自己紹介が遅れたな。私は天邪鬼の天鬼だ」
「.....どっかで聞いたわね。貴方、もしかして本当に指名手配犯?」
「人聞きの悪いことを言わないでもらおう」
え?なに?俺って結構有名なの?
「シャンハーイ」「ホ、ホウラーイ......」
ん?何この子達.....。人形?
「その子達はシャンハイとホウライ。言うなれば、私の家族よ」
人形遣いだからか。自分の意思を持った人形か。
表情も豊かだし、性格も違う。
シャンハイは人懐っこい。ホウライは人見知り。
こういうのは失礼かもしれないが、よく出来ている。
可愛いね。俺はシャンハイとその後に隠れているホウライを撫でてあげた。
「シャンハーイ♪」「ホウラーイ.....♪」
気持ちよさそうに目を細めてくれた。
良かった良かった。
「珍しいわね。シャンハイはともかく、ホウライが初見の人に懐くなんて」
やっぱり人見知りなのか。
その後少し雑談した後、俺は帰路に着いた。
迷ったせいで思った以上に時間が経ってしまったな。
チルノ達がお腹を空かせてそうだ。
まぁお土産を出せばなんとかなる。
今回のお土産は少女.....アリスちゃんに食べられるキノコを貰った。
これは今日の晩御飯だな。
またもや幼女(人形)に懐かれる主人公。
作者の趣味が透けて見えますね......。