ただの旅人と愉快な仲間達が異世界から来るそうですよ   作:神崎優

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第三十一話 ある日の雨の日

黒十香の事件から一週間が経った今日この頃、

 

「・・・今日も雨か・・・」

 

「どうした琴理、雨嫌いなのか?」

 

「いや、そうじゃないわ」

 

「ならなんでだ?・・・チェック」

 

「ここ最近雨が多いな、と思ってただけよ」

 

「確かに士道も洗濯物が乾かないって悩んでたな」

 

「それは悩ましい悩みね」

 

「悩みじゃん・・・チェックメイト」

 

「だっー!また負けた!」

 

「・・・あんた達なにしてんのよ?」

 

「「チェス」」

 

「これで十戦八勝二敗でユウの勝ちか」

 

「ヤマト弱くね?」

 

「神のいたずらか・・・」

 

「悪魔の罠でもねぇよ」

 

「くそっ!俺にも何か能力があれば!」

 

「ちゃんとあるじゃん」

 

「他だよ!」

 

「着けられるけど?」

 

「着けて!」

 

「そんじゃあ、」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

話をしよう。これは先程の話から二分後だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「下らねぇので尺とるなよ」

 

「ほんとな」

 

「で?能力決まったの?」

 

「あぁ、ヤマトには≪完全演算処理能力≫をあげることにしたわ」

 

「・・・なんなのその能力」

 

「簡単に言えば、スーパーコンピューター」

 

「それは分かってるわよ」

 

「これで頭脳戦でかつる!」

 

「なら、ヴィテと対戦だな」

 

「すいません、調子に乗りました」

 

「そういえばユウ様」

 

「ん?」

 

「一人この世界に来ますよ」

 

「「「「「「は?」」」」」」

 

その言葉と同じタイミングでユウ達が居るリビングの扉が開かれ、

 

「久しぶりー!」

 

「「「誰?」」」

 

「酷いよ!」

 

「「「誰?」」」

 

「二回目!?」

 

「えっと・・・どなたですか?」

 

「あぁ!忘れてた!・・・どうも速翔 (はやとび) (しゅん)と言います!」

 

まるで狼がモチーフのような天然パーマのスッキリしたような顔立ちの黒いジャケットと黒いジーンズを履いた青年が現れたので少し面白くしてみた。

 

「知り合いか?」

 

「一応な」

 

「ユウ君酷いよ」

 

「それよりも隼。

どうやってこっちに来たんだ?」

 

「そこの人に連れてきてもらった」

 

「・・・」ジッー

 

「・・・」サッ

 

「ヴィテ逃げるな!」

 

「さよなら~♪」バタン

 

「・・・外に逃げたな」

 

「これからよろしく!」

 

「・・・まぁ、よろしくな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そういやさ、士道よ」

 

「ん?どうした?」

 

「少し空間弄ってトレーニングルーム作ったから」

 

「はぁ!?」

 

「いやさ、やっぱり体動かさないと鈍っちゃうんだよ」

 

「でも勝手に作らないでほしいな」

 

「琴理から聞いたけど、精霊達あまり霊力を消費しないからこれでストレス発散みたいに出来ればいいかなと」

 

「・・・なら、いいか」

 

「ありがとな」

 

「別にいいよ、少し驚いただけだから」

 

とまぁ、なんか完全に打ち解けた感じで士道と話し合ってたんだよ。

そしたら、そこにアンがやって来てさ?

 

「兄様~!!!」

 

「うわぁ!?どうした!?なんで半泣きなんだよ!!」

 

「あ、悪魔が家にいるよー!!!」

 

「悪魔?」

 

「・・・まさか!」

 

ん?

士道は何か感づいているみたいだな。

悪魔ってなんなんだよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「こんな雨の日にお外に出られないから士道(ダーリン)のお家に遊びに来たのに今ラタトスクにいるから私かなーり寂しいので七罪(なつみ)ちゃんを可愛がって待っていようかとデュフフフ・・・」

 

「ちょ!美九(みく)離して!私は四糸乃の所に行くんだって!って、地味に服を脱がそうとするな!私への当てつけか!てか、二亜(にあ)!あんた私を助けなさいよ!ソファで優雅にのんびり本なんか読んでんじゃねぇ!!」

 

「仕方ないじゃないか、士道(少年)がなんか大変な事になって私達もそれで彼を守るために集められたんだよ?私としては大切な恩義があるからわざわざ大変な漫画の連載を止めてまでこちらに来てるんだから暇なのよ。だったらやることは本を読むしかないじゃん」

 

「士道早く帰ってきて~!!!!」

 

「「・・・・・・・・・」」

 

・・・アンが怖がってた理由が分かった。

あの美九とかいうどっかのアイドルのような雰囲気の奴の頭の中を見てみたけど、スゲェピンク色だったよ。

・・・ガチ百合じゃねぇか!!

アンが怖がる筈だわそりゃあ。

アンあぁいうの苦手だからな本人はこんなのなのに。

後、なんかその美九に捕まってる緑色のボサボサ髪の橙色の服を着ている少女が暴れてるその隣のソファでオタク感満載の灰色のショートヘアーの眼鏡女子が本を読んでた。

なんというカオス。

 

「それよりも士道。

あの三人精霊か?」

 

「あ、あぁそうだ」

 

「・・・世の中変な奴等しかいないな」

 

「・・・うん」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後士道が帰ってきてることが七罪にバレてこっちに逃げてきた時、同時にアンが見つかって、美九の目がマジでヤバい眼になってた。

・・・今度からアンの事少し気にかけようかな?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やっぱりユウ様は色んな世界を渡り歩いてますから環境になれるのは早いですね」

 

ヴィテは一人で薄暗い路地裏を歩いていた。

外は大降りの雨なのだがそんなことお構いなしでその場で立ちながら考え事をしていた。

箱庭でもそうだったが、ユウ様は甘い。

誰かの為にその力を使い、自分の為に戦い続ける。

そして一緒に歩もうとする。

とても甘く━━━━とても優しい。

・・・私と会ったときもそうだった。

殺す為だけに私は命令で戦争を始めた。

沢山の人達・・・生き物達を殺して殺して殺し尽くした。

そんな中、あの人()に出会った。

あのときの戦いを今でも鮮明に思い出せる。

これは過去を見ているのでは無い。

私自身の大切な記憶を思い出しているのだ。

あのときは、私の方が強かった。

あの人達は手も足も出なかった。

それでも守りたい者達の為に何度でも立ち上がり、何度でも打ち倒され、何度でも私に向かってきた。

初めてだった。

こんなにも殺したくない(・・・・・・)と思ったのは。

でも止められなかった。

止める事が出来なかった。

止めてしまったら、きっと殺されると思ったから。

だから何度でも何度でも何度でも何度でも何度でも何度でも何度でも何度でも何度でも何度でも・・・・・・。

・・・それでもあの人達は皆と生きたいと願っていたから。

・・・私では得られなかった幸せ・・・。

そしてとうとう私は敗れた。

圧倒的に私の方が有利だった。

でも、あの人達は勝った。

ここが私の最後だと思った。

ここで死ぬのだと覚悟した。

悔いはなかった。

自分は死ぬべきだと自覚していたから。

それでもユウ様は手を差し伸ばしてきた。

それでもあの人(・・・)は、私の側に居続けてくれた。

嬉しかった。

殺す為に生まれてきた私を受け入れてくれた。

私の赤黒く染まった世界を、真っ白な世界に変えてくれた。

私に・・・居場所(・・・)をくれた。

 

「嬉しかった・・・。

あのとき私は変われた。

ようやく自分がしたいことがハッキリと作ることが出来た」

 

だから今度は、私が恩返しをする番だ。

ユウ様の甘さが世界を救うように。

ユウ様の優しさが世界を変えるように。

だからロウウィ様、零様、ヤマト様、レオン様、ミーレス様、そして今日来られた隼様。

あの人達もユウ様の作ろうとしてる世界を手伝ってくれている人達だ。

・・・手を伸ばせば、どこにいる誰でも手を繋ぐ事が出来る。

自分は一人じゃないと教えてくれる。

そんな世界を今度は私も作る。

ユウ様と・・・あの人(・・・)と共に。

どれだけの困難が襲ってくるか分からない。

どれだけ未来が見えたとしてもそれはただの結果論だ。

確定した未来などある筈がない。

それを信じない者達の手によって私は作られた。

ただの少女だった私を、殺人鬼に変えた。

それによって私も未来は変わらないとずっと考えてきた。

それでも変えた(・・・)

確定した未来をあの人達は変えてしまった。

ならば、その可能性があるのなら。

私は何度でも何度でも何度でも何度でも何度でも何度でも何度でも何度でも何度でも何度でも・・・。

未来を守ってみせる。

皆が笑って幸せに生きていける世界を。

どれだけ傲慢なのか自分でも分かってる。

そんなの出来る筈が無いと私も以前は決めつけてしまっていた。

でも、作った(・・・)人が居た。

なら、変えられる。

そんな人達と一緒に歩んでいけば、きっと・・・。

 

「・・・そろそろ帰りましょう」

 

流石に帰らないとユウ様は心配しますからね。

私の【未来監視】は、あくまで能力だ。

使用しなければ、当然過去も未来も見えない。

だからこそだろう。

自分の胸から鮮血が出てきたのに気付かなかったのは。

 

「・・・え?」

 

何が起こったか、そんなことを頭の中で整理した時には、体が重くなっていた。

私は後ろから刺された(・・・・)

心臓を一突きされたのだ。

ゆっくりとその刃を抜かれた時、私は力無く水溜まりに倒れた。

今は夜なので、辺りは暗くなっており、私が倒れた水溜まりには暗くだけど、赤い液体が流れていることが分かった。

ちゃんと分かる。

これは━━私の血なんだと。

口の中が鉄の味でいっぱいだ。

これ・・・ちょっと・・・まずいかな?

 

「こ・・・ま・・・し・・・・・・か・き・・ま・」

 

何を言ってるのかまるで聞こえない。

私を刺した人は、すぐさまその場から離れた。

誰なのか後で調べれば誰なのか分かるが、ユウ様に迷惑はかけられない。

自分でなんとかしよう。

そう決めたのだが、瞼が凄く重く感じてきた。

残念なことに、こうした大量出血の時には体力の関係上能力が使えない。

・・・何も出来ない。

 

「・・・はは・・・わた・・しの・・・つめ・・・た・・・い・・・な・・・」

 

雨が冷たい。

体が冷たい。

心が冷たい。

全部冷たい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あぁ・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

冷たくて・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

心地いい・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

でも・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

寂しいな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~???~

 

 

 

 

「・・・ヴィテ(・・・)?」

 





「何時からこの小説はシリアス満載に変化したんだ!?」

「ほとんどボケだけだったのに」

「今回半分以上シリアスだよな」

「もうヒロイン枠ヴィテで良くね?」

「後は俺がロウウィ殺しとくからよ!」

「殺られるかよ!」

「俺の初登場って・・・」

「ドンマイ」


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