ただの旅人と愉快な仲間達が異世界から来るそうですよ 作:神崎優
「ふざけてるだろうな」
「学校ネタ・・・不意に出る修学旅行・・・道が分からず迷子・・・うっ、頭が!」
「お前は何を言ってるんだ」
「ふあぁ~・・・よく寝たわー」
お前寝る必要ねぇだろ、だって?
残念なことに俺は戦闘で消耗したら、流石に休まないと回復しないんだ。
・・・まぁ寝るのは好きだからあんまり困ってないんだけどな。
今何時だ~・・・・・・午前六時か、まぁまぁな時間だな。
この時間帯で誰か起きてるか?
起きてなければ、住まわせてもらってるから朝ごはん作らないといけないな。
「誰かいるか~、って士道起きてたのか」
「ん? ユウか」
「士道早起きだったんだな」
「あんな妹二人居たら・・・な?」
「・・・優しい兄貴だな士道は」
でも、やろうと思ってた朝ごはんの準備はもう終わってるようだな。
しかもご丁寧に四人分――俺のも含めた食器が並んでいた。
よっぽど世話やきなんだな士道は。
「朝ごはん、パンでも良かったか?」
「俺は基本大体のものは食うぞ」
「じゃあ先に食べててくれ、その内琴里と真那が起きてくるだろ」
「おう」
焼きたてのパンに瞬間移動で取り寄せた特製ジャムを塗りつけていき、パンの端っこから食べていく。
皆はパン食うとき、どっから食べていくんだ?
俺はこんな感じに食べていくぞ。
士道に淹れてもらったお茶を飲みながら、パンを食べ続けていく。
もう軽く三枚目である。
そのとき上からドタドタ、という足音が聞こえてきた。
どうやら起きてきたようだな、と思いながらお茶を啜り―
「おっはよーなのだー!お兄ちゃん!」
「ブフゥー!!!?」
噴き出した。
それは盛大に。
降りてきた正体は琴里である。
だが、俺の知ってる琴里とは天と地の違いがあった。
唯一違う点は、髪を結んでいるリボンの色が黒から白に変わってることだけだが。
「うわぁ!?どうしたのいきなり吹き出して?」
「お前誰だ!ほんとに琴里か!?」
「琴里なのだー!」
「マジかよ士道!」
「あ、あぁ、そうだぞ」
「マジカル!!」
あの鬼の形相の黒琴里とこんな天使のような無邪気な白琴里が同一人物だと!?
・・・わけがわからないよ。
「琴里さんはリボンを付け替えてスイッチを切り換えてるのですよ」
「真那おはよ~、ってスイッチの切り換え?」
「えぇそうよ」
いつの間にか、リボンを白から黒に付け替えていた琴里が仁王立ちしていた。
「・・・わけがわからないよ」
「知らないわよ」
「ほら、二人とも急げー、学校に遅れるぞ」
「はいはい」
「分かりました兄様」
「・・・世の中不思議しかないな」
「それでは転校生を紹介します・・・どうぞー」
「・・・ユウ=クレメンズ。
気軽にユウって呼んでくれ」
「絶撃 零だ。
これからよろしく」
「レオンハートだ。
俺の事も気軽にレオンって呼んでくれ」
・・・何故だ?なぜこうなった?
「それではユウさんは、士道さんの隣の席に、零さんとレオンさんは廊下側の席二つに座ってください」
「「「ういっす」」」
俺は、ゴロゴロしようとしてたのに琴里に連行されて、この学校に転校した。
・・・ラタトスクの仕業か!?
強引に転校生にするって・・・なんだこの権力。
隣のクラスにはロウウィ、ヤマト、ミーレスが転校したけど、いつの間に?
「お前の妹恐すぎなんだけど」ボソッ
「・・・すまん」ボソッ
・・・なんか疲れたわこれからこうなると知ったら。
「それではSHRを終了します」
先生が教室から出て、ようやく落ち着ける。
幸い転校してきたのが男だった為あまり質問責めにはされなかったな。
「・・・少しいい?」
「ん?・・・えっと、
確かミーレスと戦った精霊だったな。
元人間だって言ってたけど、精霊って皆元々人間だったのか?
「貴方の席を交換して」
「はぁ?」
確かに俺の席は窓際の一番後ろだから、色々とコソコソ出来そうだけど、コイツの目なんか嫌な予感がする。
「理由は?」
「士道の隣だから」
アラマシゴクマットウナヘントウ。
「ズルいぞ鳶一 折紙!!」
「
ん? コイツ俺と戦った奴だな。
士道・・・お前ハーレム作ろうとしてんの?
「士道どうすりゃいい?」
「え?えっと・・・」
「「うぅ~ん?」」
決まりそうにないなこりゃ。
でも、少し安心した。
元人間だって言っても、やっぱり本質は人間なんだな。
・・・だとすると、この世界の聖杯の誘発点は――
「精霊・・・」
「ユウ?どうした?」
「・・・いや、なんでもない」
士道に少しだけ誤魔化した。
だがその瞬間感じ取った。
━━━明確な殺意を。
「!!」
急いで外を見る。
その予感は嫌な形で的中してしまった。
「クソッ、マズいことになった」
「どうしたユウ」
「窓の外を見ろ!そして逃げろ!」
窓の外にいたもの・・・。
その姿を士道はよく知っている。
真っ黒い影に覆われていており、よく見えないが手に持っていた剣は見える。
それは――
「
「聖杯が送ってきた刺客だ!逃げなきゃ斬られるぞ!」
鏖殺公を持った黒い人は、その剣を天高く掲げ、
「―ッ!」
校舎を両断した。
「・・・あっぶねぇ~危機一髪」
よく見ると両断された校舎は無く、代わりに空を飛んでいたユウが現れた。
あの瞬間、斬撃を瞬間移動させた後、認識阻害を自身にかけ、ここに現れたのだ。
「・・・どうやら対象さえ消せれば、他は障害にしかならないってことか」
「・・・」
「だんまり・・・いや、喋れないのか」
ユウは、自身の右腰にペストをふっ飛ばした時に携えていた刀剣を取りだし、
「・・・いや、やっぱりこの世界のルールに従うか」
再びそれを仕舞い、今度は右手を上に掲げる。
「・・・《
一瞬、右手が光り、そこについていたのは。
腕の白い装甲が付き、手に向かって伸びている直剣と肩に向かって突き出しているような形の短剣、装甲部分に天使が羽を天高く広げるような形の第一の羽、羽を真横に伸ばし広げた形の第二の羽、羽を斜め下に広げた形の第三の羽、第一の羽と鏡あわせのように反対方向を向いている第四の羽がついていた。
その姿は、まさに天使の武器と言えるものであった。
「これでお互いにフェアだ
━━━始めようか、
「ユウ様私の戦いの続きは書かないのですか?」
「ヴィテが特殊な戦い方するからでしょうが!」
「そんなことしてませんけど?」
「前回の戦い方まだ能力全然分かってない人が見たら、キン○リ使ってるようにしか見えねぇんだぞ」
「キ○クリじゃありません、キ○○・ク○○ゾンです」
「アウト!アウトだからぁ!!」