ただの旅人と愉快な仲間達が異世界から来るそうですよ   作:神崎優

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第二十三話 旅立ち

~???~

 

「・・・礼を言わせて貰うぞヴィテよ」

 

「それはどうも」

 

「お主がいなければ今頃どうなっておったか」

 

「白夜叉様は何も出来ませんでしたしね」

 

「うぐっ・・・それを言われたら反論出来んな」

 

「ですがユウ様の手助けが出来ましたから大丈夫です」

 

「・・・少し聞きたいことがある」

 

ここで白夜叉は、常に疑問に思っていたことを問い詰めてみる。

もし、これが本当なのだとしたら、このヴィテと戦わなくてはいけなくなる。

それほどまでに不可解な疑問をヴィテにぶつけてみた。

 

「お主は・・・知っていたのか?こうなる未来を」

 

「・・・白夜叉様に会う前から、と言えば宜しいですか?」

 

「っ!・・・お主は知ってて黙っていたのか」

 

「仕方ないのです。

本来私はこちらの世界に干渉してはいけないのです。

実際に干渉出来るのは、ユウ様とユウ様が連れてきた者達だけなのです」

 

「お主は、違うのか?」

 

「私は少し特殊な方法でこちらに移動して来たのです。

元々ユウ様にも内緒ですからね」

 

「・・・この事ユウは、気付いてると思うか?」

 

「気付いてると思いますよ。

あの人は、そういう小細工が効きませんからね」

 

「・・・」

 

「ともかく・・・ご協力ありがとうございました」

 

そのヴィテの金色の瞳は、じっと白夜叉の方を向いていたが、白夜叉は分かっていた。

その目が向いているのは、自分では無い。

その目に写るは、一つの運命そのものを写していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さぁ~ってと!聖杯回収したからそろそろ別の世界に移動しなきゃな!」

 

因みに俺は、荷造りはとっくに済ませた。

だって俺の時空間移動(ワームホール)を使えば、俺の荷物を別空間に移動させて簡単に片付けられるからだ。

つくづく便利な能力だこれ。

他の五人も今荷造りの真っ最中だ。

まぁ時間がかかるだろうな。

そうこうしてる内にノーネームの基地の中から黒ウサギが出てきた。

・・・まぁそうなるよな。

 

「・・・本当に行ってしまうのですか?」

 

「仕方ないだろ?これは最初の約束なんだからな」

 

「そうですか・・・寂しくなりますね」

 

「聖杯を回収したからこの世界は正常な歴史を辿るようになる。

もう心配は要らない」

 

「そうじゃありません!ユウさん達とお別れしなくてはいけないことです・・・」

 

「黒ウサギ・・・」

 

「・・・絶対に泣きませんからね!仲間の旅立ちを精一杯笑顔で見送るのも大切な事です!!」

 

そう言っている黒ウサギの目には涙を流して赤くなっている場所もあった。

恐らくここに来るまでの道のりでも泣いていたのだろう。

そりゃそうだ我慢なんて出来るわけがない。

彼女は、ノーネームが崩壊したとき仲間達がバラバラに行方不明になってしまったのだから、必然的に心が悲しんでいるのだろう。

・・・流石にこのままにした状態で旅立つ訳にはいかんよな。

 

「黒ウサギ、知ってるか?【平行世界】と【時空世界】と【虚空世界】の三つを」

 

「へっ?・・・し、知りませんけど」

 

「涙拭きながらよく聞いとけ。

この三つの世界は、三つとも一緒だが三つとも別々(・・)なんだよ」

 

「ど、どういう意味ですか?」

 

「まず【平行世界】・・・【立体交差平行世界論】は分かるよな?」

 

【立体交差平行世界論】が分からない人は、簡単に分かる取って置きの方法がある!

・・・

・・・

・・・

・・・ググってくれれば一瞬だ。←他人任せ

 

「えぇ、分かります。

でもそれがどうしたのですか?」

 

「十六夜・飛鳥・耀の三人は、【平行世界】から来たという認識は分かるな?」

 

「分かりますがいったい何を仰りたいのですか?」

 

「俺達六人は、【平行世界】じゃない【時空世界】から来たんだ」

 

「は?・・・」

 

「【時空世界】というのは、名前の通り、時間と空間が色々とごっちゃ混ぜになってる世界だ。

その世界に正しい時間と空間は存在しないんだよ」

 

「? それでは【平行世界】と変わらないのでは?」

 

「いや変わるんだ。

例えば時間を行き来出来て、空間を行き来出来ない奴がいるとする。

そいつは、それで運命がどのように転がるか分かるようになる」

 

「な、何でですか!?」

 

「そいつは、時間の干渉を受けないからだ」

 

「へ?え??」

 

「時間とは、その生物が生きていたという証を示してくれるものだ。

空間とは、その生物の人生を残させてくれる場所になるのものさ。

時間と空間・・・その二つが合わさる事で、その生物の【生きた歴史】に変化するのさ」

 

「は、はぁ・・・」

 

「なら時間も空間も越えられる生物はいったいどうなるのか(・・・・・・)分かるか?」

 

「え?えっと・・・」

 

「分からないならいいよ。

その生物は、生きていた証(・・・・・・)その場所(・・・・)も捨ててしまった者になるのさ。

そして何も残らない・・・そんな【運命】になってしまうのさ」

 

「そ、それじゃ時空間移動(ワームホール)のギフトを持っているユウさんは!」

 

「まぁ・・・そうなる。

俺が何をしようが居なくなれば(・・・・・・)それは消えてなくなる」

 

「そ、そんなの!悲しすぎます!!」

 

「いやいや。

実はそこまで不幸ばっかじゃないんだよ」

 

「ふぇ?」

 

「この聖杯は恐らく【平行世界(・・・・)】のじゃない。

【時空世界】か【虚空世界】から来たものだ。

それによりこの世界は【平行時空世界】に変化したのさ」

 

「な、何ですかそれは?」

 

「簡潔にすれば【時空がごっちゃ混ぜになった平行世界】さ」

 

「ますます訳が分からなくなりました」

 

「まだ分からないのか?

つまりは、俺みたいなもん(・・・・・・・)だよ」

 

「???」

 

「・・・あらゆる干渉を受けないということだ」

 

「ならそうと早く、」

 

その時彼女は気付いたのだ。

彼と同じということは、先程の説明通りに並べていくと基盤が無い状態になるのだ。

それは、彼のような状況と同一視出来る世界ということになる。

それが導く答えとは、

 

「ユウさんが生きた証は、この世界では残るのですか(・・・・・・)!!?」

 

「そういうことだよ。

そして俺は、知ってる場所に移動出来る」

 

「ま、まさか・・・」

 

「・・・またいつでも会いに【来れる】のさ黒ウサギ」

 

「あ、ううぅ・・・ぐすっ・・・」

 

「・・・泣くなよ黒ウサギ。

旅立つ仲間には笑顔で見送るんだろ?」

 

「はいっ・・・はいっ!

その通りでございますユウさん!」

 

「・・・最後になるが【虚空世界】についてだ」

 

「ぐすっ・・・はいっ・・・なんでしょうか」

 

「これは何もかもが【虚無】の世界なんだ。

大地は白く濁った土塊に変化し、空は黒い瘴気に染まっている。

生命の息吹や生命の鼓動すらも消え去ってしまった穢れた世界さ。

まさにこの世の終わりのような光景だよ」

 

「そこには・・・だれも?」

 

「・・・生存している生き物なんていない。

全ての種が絶滅してしまってるのさ」

 

「・・・寂しい世界ですね」

 

「俺は、そんな世界にしたくないから・・・今旅をしているのさ」

 

「ユウさん・・・」

 

そうこうしてる内に基地からロウウィ達五人とノーネームのジン=ラッセル・十六夜・飛鳥・耀が来ていた。

ようやく荷造りが終わったのかあの五人。

 

「いつでも行けるぞ」

 

「了解」

 

「だが待てよユウ」

 

「ん?」

 

いきなり十六夜が呼び止めてきた。

いったい何が残っているとでも?

 

「最後のギフト教えろや」

 

「・・・あぁ~」

 

そういやペスト達からギフト暴かれた後、話してなかったな~。

いや、知られたくないなら話さなくていいよな。

 

「そうよ。

聞きたいわ」

 

「聞かせてほしい」

 

「黒ウサギにも聞かせてください!」

 

満場一致かよ!

クソッタレが絶対に言わんからな。

とか言っても結局のところ俺自身が甘いから話すことになるんだけどな。

 

「分かった分かった!だが条件として十六夜にしか言わん!!」

 

「「「ケチー!!」」」

 

「ほっとけ!」

 

まぁそれから十六夜にしか話さなかったよ。

ん?黒ウサギの耳はどうしたか?

・・・塞いだよ?物理的に。

 

「ハッハッハ!!成る程な!そりゃあお前最強(・・)だぜ!そうかそうか!!」

 

「十六夜君!私達にも教えなさい!」

 

「いいや、これは教えられねぇ」

 

「自分達で解いてみろ。

それもギフトゲームには必要な経験さ」

 

「でもほぼノーヒントなのよ」

 

「う~ん・・・なら一つだけヒントをやろう」

 

「「「!!!???」」」

 

そう言うとユウはこの場にいる全員に指を指し、こう叫んだのだ。

それは、

 

この場の全員が持ってる(・・・・・・・・・・・)

 

と、答えたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いや!分かりませんよ!!」

 

「これが俺から贈る【ギフトゲーム】さ!

頑張って解いてみろよガキども!」

 

そう言って別世界へのゲートを作ると、

 

「ほいっとな」

 

いきなりユウが魔方陣を展開したのだ。

そしてそこから人影が現れる。

それは先日のギフトゲームで死闘を繰り広げた強敵(ユウ達にとってはそうでもない)の姿が写っていた。

そう。

そこには魔王――ペストが居たのだ。

 

「「「ペスト!?」」」

 

「ここは?・・・」

 

「ういっす」

 

「・・・なんであんたがいるのよ」

 

「俺が喚んだから」

 

「・・・私は消滅したはず」

 

「お前が破ったギフトの【始終】で喚び出した」

 

「・・・何のために」

 

「連れてくために」

 

「はぁ?」

 

「お前が聖杯使ったからお前自身が特異点になったんだよ。

お前が出ていかなきゃ【虚空世界】が生まれてしまう」

 

「・・・私には関係な「てか連れてくから」い、って人の話は最後まで!」

 

言い終わる前にユウのギフトで転送されていた。

・・・こういうとき便利だね!

そしてユウ達は、自分達の仲間に笑顔でこう言い切った。

 

 

 

 

「「「「「「また会おうみんな!!」」」」」」

 

 

 

 

 

 




やった!第三部完!!

・・・んまぁ、ボケはほっといて。

このあとはキャラ設定やパラレルストーリーとか出していきたいと思いますよ。

それでは皆さん!
番外編にて!

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