ただの旅人と愉快な仲間達が異世界から来るそうですよ 作:神崎優
「聖杯・・・とは何ですか?」
「あぁー・・・なんて説明すればいいのやら」
「とりあえず色んな願いが叶う杯だと思えばいいぞ」
「な!?それは凄いギフトですよ!」
「「ギフトじゃあねぇ」」
「てことはこの世界以外のも聖杯が絡んでるのか」
「これはグランd「それ以上はいけない」・・・」
「貴方達ほんとにお笑いコミュニティじゃないの?」
「「「絡んできてる時点で貴女も同類です」」」
「・・・まぁいいわ、すぐに殺してあげる」
ペストは、その身に取り込んだ聖杯の力を使い、自身の肉体を変化させた。
それはユウにとってついさっき戦った相手と同じ気配になったのだ。
「ペスト・・・お前神格を!?」
「えぇ・・・これで私は貴方も殺せるわ」
「・・・」
ユウは黙って少し考えた結果、
「黒ウサギ」
「は、はい!!」
「お前確か箱庭の貴族だったよな?」
「そ、そうですが・・・」
「てことは、幾つかある
「えっ?・・・! 成る程!ってかなんで知ってるのですか!?」
「白夜叉から聞いた」
「白夜叉様ぁぁぁ!!?」
「まぁ早くしてくれ」
「分かりました分かりましたよ!ではでは皆様を
黒ウサギがギフトカードを持つと、それから光が発し全員の目が見えるようになったときにその景色は一変していた。
何故ならそこはさっきまでいた都市ではなく、月の表面に立っていたのだ。
「これで黒死病は使えないし、
「え?」
「零」
「ん?」
「やれ」
「おうともよ!」
その返事を合図に零が手を動かすと、ペストの周りに金色の波紋が現れ、そこからペストの動きを封じるように鎖が巻きついたのだ。
「これこそが【天の鎖】だ!」
「神仏を取り押さえる鎖とかチートだろ」
「神格も神仏と一緒だしな」
「貴方達ふざけるな!こんな鎖!」
「ムダムダァ!何せユウでも千切れないからな!」
「仕方ないだろ!・・・まぁいいや。
トドメ指すぞ!」
そして人外六人がそれぞれペストを取り囲むように移動し、
「そうだ黒ウサギ」
「こ、今度は何ですか!?」
「・・・
「・・・え?」
「さぁ!やるぞお前ら!」
「・・・やるか」
ロウウィは紅い槍を取り出した。
しかし、その槍はあの【怨呪槍 レガリア】では無かった。
持ち手は似ているが先端の穂先の形状が違っていた。
渦巻き状にうねり捲っていて、その先端が二叉槍の形状になっている。
その槍の先が狙うはただの一点。
その一点に向かっていく血塗られた聖槍。
「・・・【断罪槍 ロンギヌス】」
その槍は、一言で簡単に言えば、神殺しの槍なのである。
「さっさとトドメ指すか・・・
零は魔力を集め、その手に武器を複製する。
その左手にはドリル状の剣が握られていた。
その剣を赤い矢に変化させていた。
「【
「さ~ってと!やっと必殺技が撃てるぞ!」
そう言い、ヤマトは右手にハンドガンを持ち、懐から黒い銃弾を取り出した。
実はこの銃弾は特殊な方法で作られているのだ。
誰が作ったかっだって?
そんなのユウに決まってるじゃないか。
「【
ヤマトはその銃弾をハンドガンの中に装填した。
この銃弾の特殊能力は、射撃/投擲、等で能力を発揮する性能の武器の力を弾に込め、活用するという能力なのだ。
そう。それは詰まるところ
例え、神殺しの武器であってもだ。
「【
「神殺しなら任せとけ!!」
レオンは、虚空から専用武器[クロノスの鎌]を召喚し、それを大きく振りかぶるように構える。
元々死神なのに今更神殺しの武器を持って任せろと言われてもなんだかな~、と思われてしまうだろうがあまり関係ないので言わないようにしよう。
「この鎌は刈り取った者の魂を裁く!!
【ジェノサイド・リーパー】!!」
「・・・技名とか言わなきゃ駄目かな?」
そうなんかメタ発言をしているが気にしないでおこう。
だがそういうミーレスは、既に撃てる体勢をとっていたようだ。
ペストへと照準を合わせ、その右手にはレオンから貰った鉛玉を親指で弾くように置き構える。
そしてミーレスは、更にギフトを使い、四枚の歯車を斜線状に真っ直ぐ並べたのだ。
「これで加速させるか。
・・・撃つよ【
「ユウさん!帝釈天様に何か!?」
「いや?とりあえず見てろ」
そう言うと何処から取り出したのか分からないがユウの右腰に一本の剣の形をした刀を取り付けていた。
そしてその剣から一つの光が出て、ユウの右手でその輝きを増し、一つの槍に変化していた。
それは、黄金に輝く
太陽の栄光をも獲得し、その輝きをより増したもの。
あらゆる障害をはね除け、その一撃を貫かんとするもの。
その手に握られているは、戦いを収める光とならん。
「その槍は!!?」
「太陽の主権を得し雷槍よ!煌天の敵を穿つものよ!
今ここに!不倶戴天たるものを貫かん!!
【
「くっ!なんなのよこの鎖!全く外れないじゃない!」
その頃ペストは【天の鎖】を外すのに、苦労していた。
何故外れないかというと、この鎖は神を封じ込め弱体化させるための道具なのだ。
聖杯の力を使って、神格を得てしまったせいでこのように封じ込まれてしまったのだ。
そうこうしてる内に六方向からユウ達の攻撃が飛んで来たが、生憎鎖で身動きが取れない状況になっているのだ。
つまり、ペストに防御手段は無いのだ。
「ぐっ!?うぅぅぅ!!?」
あまりの一撃に一瞬意識が飛びかけたが、このまま食らっていれば体が吹き飛んでしまうのだ。
しかし、まだペストには秘策が残っていたのだ。
そう。自分にはまだ聖杯が残っている。
聖杯があればいくらでも復活は出来るのだ。
そう思い聖杯を取り出そうとするが、ここでペストはあることに気付いたのだ。
自分の体内にあったはずの
「な、何で!?」
「ごめんね~?私が回収しちゃったからさ」
「!!」
そこにいたのは、自分と殆ど同じようなギフトを持っているユウ=クレメンズの妹。
「アン=クレメンズ!!」
「じゃあね?また
ペストは必死に手を伸ばした。
そうしなければ、こんな自分に着いてきてくれたあの二人に申し訳がたたないのだ。
どうしても・・・あの二人を・・・裏切りたくない。
そう願いながらアンの持つ聖杯に手が触れる瞬間、
ペストの体は無惨にも粉々に消滅していった。
それは儚くも気高く、力強く生きようとした一つの生き物としての輝きである。
「それぞれが皆必殺技を疲労していたな」
「一番のチート誰なんだろ?」
「「「「ユウに決まってる」」」」
「ナニイッテンダ!プジャケルナ!!」