ただの旅人と愉快な仲間達が異世界から来るそうですよ   作:神崎優

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第十八話 聖十字の槍

「それではこれより“造物主達の決闘”決勝戦を始めます!!」

 

うおおー!!、と周りの観客席から大歓声が聴こえてくる。

今どんな状況かと言うと、まぁ簡単に言えばこのギフトゲームの観戦をしているのだ。

理由は三つある。

一つ、黒ウサギに謝るために耀・ロウウィ・ヤマトがこのギフトゲームで勝ち、優勝しようとしている。

二つ、あの後全員でこの大会に参加しているコミュニティ―特に“ラッテンフェンガー”について警戒しているからだ。

十六夜が名探偵顔負けの推理とジン=ラッセルの知識のおかげでラッテンフェンガーは、“ハーメルンの笛吹き”と繋がりがあるかもしれないという事が分かったからだ。

ハーメルンの笛吹きは魔王のコミュニティだったんらしいんだ。

なんか壊滅したみたいなんだけど、警戒に越したことはないとの事である。

三つ目は、例えハーメルンの笛吹きのメンバーじゃなかったとしてもすぐに動けるように観客席にいるのだ。

それに俺はサウザンドアイズのメンバー(仮)だから出なきゃならなかったからな。

クレープまた食いたかった。

 

「ロウウィとヤマト大丈夫かね?」

 

「ロウウィは死んでも平気だ」

 

「そういやレオン」

 

「どったの?」

 

「なんか怪しい気配を感じるから魔王が来たら飛鳥(・・)を連れて一目散に向かえ」

 

「お?なんで飛鳥を?」

 

「どういう事かしら?」

 

「なんとなくだ」

 

「なんとなくってどういう事よ?」

 

「了解!」

 

「いいんだ!?」

 

・・・さてと、向こうの十六夜と白夜叉を止めようかな?

あの温泉のとき、俺達は風呂から上がって、牛乳飲んでたりとか卓球してたりしてたら、十六夜がやって来てその後女性陣が上がって来て、十六夜が白夜叉みたいに変態発言をし、その後十六夜と白夜叉が共感の証しとして手を握ってたから今回もなんか始めるかもしれんからそうなる前に抑えないといけない。

 

「そういや白夜叉」

 

「なんじゃ?」

 

十六夜が手に持っていた双眼鏡を眼から離し、また持ち手が付いてる双眼鏡を離した白夜叉もそれに答える。

・・・黒ウサギのスカートの下覗く気満々だなこの二人。

 

「黒ウサギのギフト―“絶対に見えそうで見えない”ていうギフトを付けたんだってな?チラリズムかよ趣味が古すぎだぜ」

 

・・・え!?黒ウサギそんなギフトを持ってたの!?

通りで最初に会ったとき空中で一回転したときスカートの下が見えなかったわけだ!

キメラである俺ですら見せない程の力があるのかそのギフト!?

やべぇ!使えそうで今思えば俺全く使えなかったわ!

 

「ふん・・・お主程の者が真の芸術の魅力に気付かんのか

幻滅じゃな」

 

「何?」

 

「いや、スカートの下を覗く芸術の魅力なんて分からんわ」

 

だいたいの人がその筈である。

・・・え?皆そうだよね?

まさか違うの!?

 

「真の芸術とはそれすなわち未知なる物への飽くなき探究心!

それを追い求める未知の想像力!

つまり真の芸術とは何物よりも勝る尽きること無き欲望!

その正体は、己が宇宙の中にある!!」

 

「己が宇宙の中に・・・だと!?」

 

「なんか哲学みたいな事言ってる!?」

 

「そう!それは乙女のスカートの中とて同じ事!

・・・見えてしまえば下品な下着達も、見えなければ芸術だ!!」

 

「見えなければ・・・芸術か!!」

 

「なん・・・だと!?」

 

た、確かにそんな方向性の芸術があっても可笑しくはない。

俺も何か作るときはその芸術性を求めたりするが、まさかこのような芸術を導き出せる人物が存在するとは!

 

「共に見届けようじゃないか。

この世に奇跡が起こる瞬間を!」

 

「白夜叉・・・!」

 

「ふっ・・・俺は今日お前の事を始めて上司で良かったと思えるぜ。

俺に新しい芸術を教えてくれたからな」

 

「ならば上司として命令しよう!共に見届けるぞこの奇跡を!!」

 

「おうよ!!」

 

そう言葉が合図となり、十六夜と白夜叉は双眼鏡を装備し、俺は瞬間移動で取り出した望遠鏡を構えた。

その時間僅か0.1秒というビックリな速さである。

 

「えっと・・・」

 

「見るな、馬鹿が移る」

 

後ろにいるマンドラの横にいるのが、サラマンドラのリーダーにして、北の階級支配者(フロアマスター)であるサンドラだ。

なんかマンドラの妹らしい。

ジン=ラッセルとはよく一緒に遊んだりしてたらしい。

こんな年で魔王と戦うのか・・・頑張って勝たないとな。

 

「さてと、そろそろ試合が始まるな」

 

「頑張って応援するか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ほんとにごめん。本当は私が出なきゃいけなかったのに」

 

「俺達からお願いしたんだから当然だよ」

 

「気にしなくていいって」

 

「うん・・・頑張って来てね」

 

「「任せろ」」

 

・・・さてと、レオンがやったように俺も自己紹介しておくか。

俺はロウウィ。

とにかくこんな状況だが簡単に説明は済ませておこうと思う長くなるだろうし。

俺達は、黒ウサギに捕まった後耀がこのギフトゲームに参加したいと聞いて、「耀が見つけて、俺達が手に入れる・・・つまり三人で手に入れた物だ」と言いくるめてこんなことにしてしまったのだ。

ていうか、零・レオン・ミーレスが戦闘してるのに、俺達だけ全く戦闘シーン出てないのはなんか悔しかったからである。

メタいな充分に。

 

「まぁいいか・・・頑張るか」

 

「任せとけ」

 

そうして俺達は黒ウサギがいるステージまで歩いていった。

黒ウサギがいるところまで上った瞬間、

 

「ヤッフゥゥゥゥ!!!」

 

「「うわあぁぁぁ!!?」」

 

いきなり巨大なカボチャの顔が目の前に現れて二人は腰を抜かして大きく尻餅をついた。

 

「アッハッハ!見ろよジャック!ノーネームの奴等がビビって腰を抜かしてやがるぜ」

 

「お前なんでカボチャの頭してんの?」

 

「フォッホッホ!申し遅れました。私はジャックと申します」

 

「ジャック・・・ジャック・オー・ランタンか!」

 

「え!?あのジャック!?」

 

「えぇ多分あなた様方の想像通りだと思いますよ」

 

「無視すんなよ!」

 

「アーシャ落ち着きなさい」

 

どうやらこの青い髪のツインテールの少女はアーシャというらしい。

弄りがいがありそうだ。

 

「そ、それでは白夜叉様よりゲーム開始の宣言をしてもらいましょう!」

 

「うむ!・・・皆のもの!黒ウサギのスカートを覗きたいかー!!」

 

「ウオォォォォ!!!」

 

「何故そうなるんですか!!?」

 

「ドンマイ黒ウサギ」

 

恐らく隣にいるユウも笑ってるだろうな。

面白い事があればノル奴だからな。

 

「さてと、気をとり直してゲームを始めよう」

 

白夜叉がパンパン、と手拍子を起こした瞬間、ロウウィ達が立っていたステージから植物が生えてきた。

 

「うおぉ!?」

 

「す、スゲェ!ユウでもこんなこと出来ねぇぞ」

 

「ノーネームがはしゃいでらぁ」

 

「アーシャ悪口は言わないでください。ゲームとは皆が楽しむから喜ばれるのですよ」

 

「うっ・・・」

 

そして植物の成長が止まりきったとき、恐らく地上からかなり離れた場所まで上がったと思われる場所に上がったと思う。

 

「ルールは簡単!この木から脱出した者のチームの勝ちだ!・・・それでは開始っ!!」

 

白夜叉の合図を引き金となり、ゲームが開始された。

 

「さぁ勝負だノーネームの奴等!」

 

「自己紹介しないのか?俺はロウウィだ」

 

「俺はヤマトだ」

 

「ほう・・・ノーネームの癖によくわかるな。この私は天才な・・・」

 

アーシャが言い終わる瞬間、

 

「よし行くぞヤマト」

 

「あいよ」

 

ヤマトが足をジェットエンジン付きのキャタピラーに変化させ、ロウウィはそれに乗って遠くに走っていってしまった。

 

「あのやろう共!行くぞジャック!!」

 

「えぇ!彼等は地上から行くようだ。空中で移動出来る私たちの方が有利です」

 

「炎で足止めする!」

 

アーシャがロウウィ達に炎を発生させるが、炎が自然に消えて(・・・・・・)二人は平気な顔で炎から出てきた。

 

「何!?」

 

「面白いギフトをお持ちのようですね」

 

「やっぱロウウィの加熱処理変なところで役に立つな」

 

「知らんよ」

 

俺の“加熱処理”は、熱を加え、処理を施す事が出来る。

それは熱を熱くする事も冷たくする事も出来る。

炎とは熱い熱から発生しているだけだ。

つまりは逆の事を行えば炎が消える。

それを利用して炎の海から出てきたのだ。

 

「くっ!・・・すまないジャックさん(・・・・・・)

 

「分かりました。ならば私は彼等の足止めを。アーシャは先を行きなさい」

 

「・・・ヤマト俺は降りる」

 

「ロウウィ?」

 

「二手に別れてくる。なら先に行ってこい」

 

「・・・了解」

 

ロウウィはそのままヤマトから飛び降りて、ヤマトはそのまま先に行ってしまった。

 

「まさか一対一でお相手してくれるとは」

 

「まぁね」

 

「ならこの炎を受けなさい!」

 

ジャックは手に持っているランタンから炎を発射してロウウィに命中させる。

 

(こんな程度・・・っ!?)

 

ロウウィは異変に気付いた。

自分の体に付着した炎が熱を抑えても消えないのだ。

このままでは確かに服が燃えたりしないが空気は別である。

炎が燃えるには空気が必要である。

熱を抑えても空気が燃え続ければ酸素を補給出来なくなる。

つまり息が出来なくなるのだ。

 

「私の炎は地獄の炎!その程度では決して消えたりはしない!」

 

「・・・なら」

 

刹那・・・まさに一瞬の出来事であった。

炎の渦を一閃―たったの一振りで全ての炎を薙ぎ払ったのだ。

その中心にいた人物――ロウウィの手には、一本の槍が存在した。

血塗られたかのように赤い紅い穂先までも真っ赤に染まった十字型の刃の槍を右手に持っていた。

 

「そのような槍を持っていたのですね」

 

「ユウと似た感じだな。本来のギフトカードに記載されてない力だ」

 

「ユウ・・・白夜叉様の部下になった者ですか。

これはこれはかなりの強敵に出会えたようだ」

 

「・・・行くぞ【怨呪槍 レガリア】」

 

二人が構えた瞬間、

 

「試合終了ー!!この勝負引き分け!」

 

「「ありゃ?」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やっちゃったぜ☆」

 

「ほんとになにやってんだよ」

 

「アーシャなにがあったのです?」

 

「同時に脱出しちゃったんだよ!くっそー!!」

 

「あはは・・・」

 

試合が終わり皆が休憩しているその時、空から黒い羊皮紙が舞い降りてきたのだ。

 

「ま、魔王がきたぞぉー!!!」

 

 

 




「白夜叉のあの台詞は原作を少し混ぜてオリジナルでやってみたんだがどうなんだろ」

「聞くなよ」

「俺の槍が出てきたな」

「オレタタカッテナイ」

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