LIBERAL TAIL   作:タマタ

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第09話: 動き出した竜

 ギルドの壁や屋根など所々に穴が空き、風が通り抜けていく。中は傷だらけのギルドのメンバー達がいた。色々と愚痴や言い訳を叫んでいる。

「痛て…」

「ちくしょぉ!」

「納得いかねぇぜ…」

「リーナが誘拐された。俺達は…ギルドの一人も…守れやしねぇのかよ……クソッたれ!!!」

 と言って机を蹴飛ばした。すると、そこに、奥の部屋から頭に包帯を巻いたナツが出て来た。

「リーナが誘拐…されたのか…?」

「あ…あぁ…。マグノリアの住民がそう言ってやがった…」

 このなんとも、苦しい空気が増している。沈黙が流れた。

 

 

「な…なにココ!?」

 リーナは高く聳え立つ遺跡の上で丈夫そうな蔓に体を縛られていた。何故か、力が抜けていく。気づけば、魔力がどんどんと吸われていた。

「やっと気づいたか…」

「なによコレ!!放してよ!!!」

「クハハハッ!テメェはこれから、魔道兵器の動力として働いてもらうぞ!!!」

 リーナの魔力はある大きな魔水晶(ラクリマ)に集結していた。既に膨大な魔力が吸われてしまっていた。

「ふざけないで!!こんな物…うぅ!!」

「おっと…!暴れんじゃねぇぞ……」

 と、言って男はそのリーナを縛り付ける蔓を強く乱暴に締め付けた。

「ああぁぁあっ!!!」

 全身が締め付けられ、苦しそうにリーナは悲鳴を上げた。

 

 

 

ピクッ

 

 ナツが一瞬だけ、震えた。そして、床だけをじっと見つめている。

「リーナの声が…聞こえたぞ…」

 そう呟いた。

 近くにいたハッピーがその言葉に問いかける。

「…ナツ?」

 急にナツは包帯を強引に振り解き、投げ捨てる。そして、机を叩き、席を立った。その姿を見て、グレイが叫んだ。

「オイ…!ナツ!!テメェ…行く気じゃ…」

「ハッピー……飛べるか?」

 ナツの真顔にハッピーも真顔で答える。ナツは本気だ。

「あい!!!」

「行くぞ!!」

 ナツが正面出入り口に向かって走る。その姿を見て、ギルドのメンバーが叫ぶ。

「オイ、ナツ!!勝手に一人で行くんじゃねー!!」

「これだから、餓鬼はよォォ!!!」

 ナツはどんなに言われようと走った。その襟をハッピーが掴む。そして、リーナの元へと飛んで行った。

 あっという間に小さくなって空に消えた。

「あの馬鹿…」

 誰かが、そう呟いた。

 

 

「うぅ…あぁッ!!…こんな…こと…して…なにする……つもり?」

 蔓に縛られ、身動きが取れず、息苦しいリーナはそう言った。魔力が吸われていき、やがて、もがく気力さえ無くなってしまった。

 男の顔は恐怖にあふれた、悪人の顔になっていた。

「立場をわきまえてもらおうか。テメェは捕虜だ。テメェに目的を言う理由はねぇ。テメェはただ魔力を魔水晶(ラクリマ)に吸われればいいんだよ…」

 リーナは一つ、今、やっと気づいた。

(なんで…あたしの魔力が多いってことが知られてるの!?)

「ちっ、魔力の吸力が遅ぇな…。テメェの魔力はそんなんじゃねぇだろぅ?天の魔力を持っている、リーナ…」

「な、なんでソレを!!?」

「んなことどうだっていいだろうがよ!!少し黙っていてもらおうか!!!」

 と、叫んで男は更にぐっと蔓を縛り付け、リーナを苦しませた。リーナは最後にまた大きな心の声で救助を叫んだ。

(あたしはここにいる!!!助けてっ!!!)

 

 空を一定のスピードで飛ぶ、蒼い空に重なる白い立派な翼が生えた青いネコと桜色の髪に、白色の竜の様な鱗のマフラーを着た男がいた。それぞれの体の一部に同じ紋章が刻まれている。

「まただ…。リーナの声が聞こえたぞ…」

「オイラも聞こえたよ。…そういえば、ナツ。リーナの場所、分かるの?」

「あ、えっと~…どこだっけなぁ……」

 誤魔化そうとしたとにかく、惚けたナツだが、分かっていないということが丸分かりだ。

「知らなかったんだ…」

 ハッピーは呆れ顔で言った。

「勘で行くぞ!!!ハッピー!!!」

 真顔でそう言われると、どうもややこしいのでハッピーは気のない返事をした。

「あ、あい…!」

 ハッピーはこの先がちょっと心配になるのだった。

 

 

* * *

 

 

 高く聳え立つ遺跡。その一つ頂上にいるのは一人の男と蔓に縛られる少女。少女の方はかなりの疲労が体に負担を与え、既に俯いて口を開きもしない。

 男は段に座り、ずっとその時を待っている。

「…きっと……」

「あ?」

 リーナが急に言い出した言葉に目を向ける。耳を傾け、小さな声をはっきりと聞いた。

「きっと、妖精の尻尾(フェアリーテイル)が来てくれる…」

「クハハッ!まだ信じてんのかよ…。笑えるなぁ…。テメェの仲間は重症だ…。来れるはずがねぇ…くだらん妄想だな…」

「絶対、来るよ!!!来てくれるモン!!!」

「根拠はあるのか?あぁ?」

「あるよ。だって、妖精の尻尾(フェアリーテイル)は私の…家族だから!!」

 

 

「ナツ!!あれっ!!!」

 ハッピーがずっと向こうに続く果てしない空を見て言った。

 ナツもその動作に続く様にずっと向こうを見た。そこには、あの要塞らしき影が見える。その真下には高く聳え立つ薄暗い影が見えた。

「全速力だ!!!ハッピー!!!」

「あいさー!!」

 ハッピーはめいいっぱいに魔力を振り絞り、全力で向かった。

 風の抵抗が大いに増し、髪が逆立つ。目を開けているのもかなり厳しい状況の中ナツはあの要塞を見つめ続けた。雲を裂き、雲に大きな穴を空けた。そして、ハッピーとナツはあの巨大な要塞を目の当たりにする。

「ハッピー!!俺を放してくれ!!!」

「あ、あいぃ!!」

 ハッピーは戸惑いながらもすぐさま、手を離した。

 ナツの足裏から炎が噴き出す。その反動でナツの速度は増す。そして、要塞に激突した。

「うぉおおおぉおおおおっ!!!」

 要塞と激突したナツの勢いはどんどんと増していき、やがて、要塞にヒビが入った。

 そして、黒く焦げ始め、次第に割れる音が聞こえ始めた。最後だ、そう確信したナツは思い切り炎を噴き出した。

 

ドッゴォオオオオオオオオオン!!!

 

 要塞の壁はぶち破られ、破片が内側に飛び散る。要塞に降り立ったナツの前に既に大勢の部下達がぞろぞろと待ち構えていた。

 足を肩幅より少し広めに開き、右肩の紋章を見せつけるように右腕を前に出し、下げていた顔を上げた。

妖精の尻尾(フェアリーテイル)だぁぁああああッ!!!!」

 と、叫んだ。

「リーナを返せぇぇえええええっ!!!」

 ナツはそう言いながら両拳を打ち付けた。その拳の前には赤い魔法陣が現れる。

 体を後ろに向かって大きく反り、息を思いっきり吸った。その分だけ体の体積が膨らんだような気がする。

「火竜の咆哮っ!!!!」

 前に全身を押し倒し、炎を噴き出す。炎の塊は竜のブレスとなり、大勢の部下達を吹き飛ばし、焼き焦がせた。一気に半分くらいが戦闘不能になる。

「怯むなっ!!!!かかれぇぇぇええっ!!!」

「まだまだァ!!!火竜の鉄拳!!!」

 右腕を横から大きく振って、また大勢に人を横薙ぎに払った。更にそこから両腕を後ろの上らへんで構えた。

「火竜の翼撃!!!」

 両腕は火竜の翼と化し、多数の部下を撃退する。暴れ回るナツの姿は怒り狂った、そんな表情だった。

 あっという間に人影はなくなり、倒れているだけの無惨な姿へと急変した。

 

 

『た、大変です!!!ラグード様っ!!』

 魔水晶(ラクリマ)から聞こえる声に気が付き、魔水晶(ラクリマ)に映されている部下の顔に話しかけた。

「なんだ?鬱陶しい…」

『すいません。それよりも妖精の尻尾(フェアリーテイル)の奴等…奴が来ました!!!桜色の髪に白色の竜鱗のマフラーをきた少年と青いネコが一匹です!!!』

「なんだと…?」

『既に要塞に入り込み、中で暴れ回っています!!!』

 魔水晶から聞こえるそのつつましい口調とは全く反対の言葉に腹を立て、ついに頭にきたらしい。

五つの矛盾(ファイブウェルド)はなにをしている!!?さっさとその餓鬼をくたばらせろ!!!」

『はっ』 

 その言葉を境に会話は終わった。

「ナツとハッピーだ!」

 リーナが喜びながらそう言うと、ラグードは怒り狂った表情でリーナを見つめた。

「どこまでオレの邪魔をすれば気が済むんだ!!!妖精の尻尾(フェアリーテイル)!!!!」

 そう怒声を叫び、ラグードは一度、吐息と吸息を何度も繰り返してから、また座った。

 

 

「そういえば、ナツ…。なんで酔わないの?」

「はっ!そう言えば…うぷっ、気持ち悪っ…!」

「それ想像しただけだよね…」

「やっぱ、無理…降りるか…ハッピー…」

 すると、

火竜(サラマンダー)…!!!そこまでだ!!」

「アァ?」

 ナツが振り返れば、またあの男がいた。ラルド。

「なんだ…。またテメェか…」

火竜(サラマンダー)…テメェとだけは決着つけたいんでなあ。本気で行くゼェ!!!」

「燃えて来たぞ!!!」

 いつの間にか酔いが消えていたナツは炎を手に纏い、構えた。




難しいな…。本当に小説は難しいです。ところで…僕は情報を掴むのが遅いのか分かりませんが、いつごろになると、フェアリーテイルのアニメは再開されるのでしょうか…。なるべく早くなって欲しいんですが、今だに再放送を見ているだけなので…思わず催促しようになります。そのうちまた始まるというのはご存知ですが、いつか…となるとまだわかりません。いつぐらいかなぁ…♪

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