LIBERAL TAIL   作:タマタ

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空の運命編
第05話: 鎧の魔導士


 蒼い大空。

 流れる雲。

 輝く太陽。

 囀る鳥声。

 上がる煙。

 そこに、超巨大な銀の塊。飛行船。それは、鉄によって造られた飛行船であった。ゆっくりと空を旅し、飛行船は邪魔する雲を裂いて進む。

「天の魔力持つ者…リーナ…。作戦決行だ!」

 その不気味な笑い声はその要塞に広がって聞こえた。

 

 

 ここはマグノリアの街。そして、魔導士ギルド、妖精の尻尾。いつも通り騒音が鳴り響くギルド。

「エルザが返って来た!!」

「オレ…帰るわ…」

 ロキが急にギルドを出た。その後、緋色の髪をしたエルザが巨大で立派な怪物の角を背負うというかまぁ、ここは持ってにしておこう。

 エルザがそのまま、大きな角で地響きを立て、床に落とすと、訊いた。

「マスターはおられるか?」

「おかえり!!マスター定例会よ。一週間くらいになるみたいよ」

「やけに遅いのだな」

「なにか大きなことでも起こったのかしらね」

「そうか。ナツとグレイはいるか…。頼みたいことがある」

「グレイとナツならここよ?」

 ミラジェーンはナツとグレイがいる場を指さした。エルザはその方向へ行きながら、「すまない」とだけ言い残し、歩いて行った。

エルザと向き合う、ナツとグレイに緊張が迸る。会話をしているように見えるそこには皆が注目し、一斉にして騒音は鳴り止んだ。

「二人の力を貸してほしい…ついてきてくれるな」

「はい!!?」

「えっ!?」

 驚愕した二人は一瞬、唖然とし、無言になってしまった。

「出発は明日。待っているぞ…」

 緋色の髪をしたエルザは怒号を上げるナツとグレイに構わずに荷物を持って何処かへと去って行った。その背中を見つめるグレイとナツはただ落ち込んでいた。

「ふっざけんなぁぁぁぁッ!!!!」

 ナツの大きな怒号がギルドに大きく轟いた。

 ギルドの中は騒めき始め、次第に大きくなる。ミラジェーンがルーシィとリーナの横で呟いた。

「これって…妖精の尻尾、最強チームかも…」

「「え!!」」

 ルーシィ、リーナともに驚き叫んだ。

「でも、最悪チームかも…」

「えぇ!!?」

「だって、仲がギクシャクしてるってところが不安なのよ~。ルーシィとリーナで取り持ってくれないかしら?」

「ごめん、私達、ちょっとこれから食事の予定があって…」

「あら、そう?それは残念ね…」

 大きく落ち込むミラをちょっと励ますルーシィとリーナ。

(断っただけなのに…!?)

 ミラジェーンは何故か少し落ち込み度が激しかった。

「やっぱり心配だわ~…。街一つ崩壊して帰って来なきゃいいけど…」

(地味に怖い事いうんだね…ミラジェーンさんって…)

 ミラジェーンの言葉に少し驚くリーナはコップに入っている水に映る自分を見つめて一杯、呑んだ。

 

 

 エルザが仕事から帰って来た翌日、ナツ、グレイ、ハッピー達はマグノリア駅に行くこととなってしまった。

「なんでエルザみてぇなバケモンがオレたちの力を借りてえんだよ」

「知らねぇよ。つーか助けならオレ一人で十分なんだよ」

 怒りをぶつかあう二人はいつも通り喧嘩を始めようとする。

「すまない、待たせたか?」

 後ろには荷台の様なところに無数の鞄がぎっしりと詰まれていた。全部、エルザのみたいだ。

「来た…」

「どうした。ナツ。何故、私を睨む…」

「なんの用事か知らねぇが、今回はついていってやる。条件つきでな…」

 エルザは疑問を抱き、問う。

「条件?言ってみろ」

 ナツは決心をしたかの様にエルザの方に振り返り、真顔で偽りではない真剣な顔になった。

「帰ってきたらオレと勝負しろ。あの時とは違うんだ」

「はやまるなっ!!死にてぇのか!!?」

「…いいだろう。受けてたつ」

「おしっ!!!燃えてきたァ!!!」

 と、ナツは大声で言ったものの…列車の中では激しく酔っていたのであった。

 列車の中ではナツはエルザの強烈な一撃を腹に喰らって今は沈黙し、気絶。グレイとエルザだけで今回、エルザがグレイとナツを誘った根拠を聞いていた。 

「少々、気になる連中がいてな…」

 エルザが過去のことを語り始めた。

 

 オニバス駅の近くにある魔導士達が集まる酒場。そこで、迷惑な態度でまるで、他の人達に見せつけるかのように強引な態度だった。酒を大いに飲み、酔っている。

 怒号を上げて、注文を急かす。女性の従業員は慌てて、ビールを運んだ。

 エルザはその強引な態度に気になり、少しだけ、その連中を見張ることした。大抵、こういう連中はなにかを起こす。そう思ったからだ。

「ちくしょう!コンノヤロウ…」

「そう怒るな…」

「そうだ、うるさい」

「あぁ?だってよォ、これから仕掛けるんだろ?サグナイル村に一気に…」

「それがどうした…?というか声がでかい…」

 その連中はどうやらそのサグナイル村というところになにかを仕出かすらしい。そのサグナイル村はここからかなりの距離がある。マグノリアの街からすると、一日くらいでやっと着くくらいだ。

「ふっ…なんでもねぇ。ただ、この罪悪感がなんとも言えねぇや…。はっはっは!!」

「声でけぇ…うん…」

 エルザはその言葉に疑問を抱いていた。なので、調べたのであった。

 

「そう、私はサグナイル村というのを調べてみたのだが、そこでは王国が造らせている兵器があるらしいのだ」

「兵器?」

 グレイがその兵器に疑問を抱く。兵器がある村に仕掛ける、やっとわかった。

「そいつら…!!まさか…」

「そうみたいだな。兵器を使って何かを出来事を起こすようだ」

「へぇ、面白そうだな」

 その会話をこっそりと聞く、二つの影。その影はゆっくりと席を立ち、密かに動いた。

 

 

 一時間という時が流れた。かなりの時間が経ったが、日没も近づき始めた。

 列車の中ではグレイとエルザ、そして、横たわるナツの姿が見られた。

「今日の夜には着くぞ」

「遅ぇな。もうちっと早く行けねぇのか?」

「無理だ」

 即答。エルザの言葉はちょっと厳しい気がしたグレイ。

 そのグレイの耳に僅かになにか怪しげな声が聞こえた。グレイが動く。

「なんだ!!テメェ等!!?」

 即座に動いたグレイの行動に驚愕したエルザは一瞬、戸惑う。グレイは立ち上がり、後ろの席にいる人影に向かって行った。

 そこにいたのは、二人の男性と一人の少女。

「…なんだ?」

「なにアンタ…」

「誤魔化してんじゃねぇぞ!!!全部、聞こえんだよ!!」

「はぁ?」

 エルザがグレイを止めようと横入ろうと動いた刹那、グレイの言葉にまた驚愕することとなった。

「テメェ等…さっき、サグナイル村のこと話してただろ!!?」

「なんのこと――」

「――とぼけんじゃねぇ!!!」

 グレイが魔力を高める。

 その瞬間、一人の男が何か、筒の様な道具を取り出し、投げた。

「なっ!!?」

「なんだコレは!!?」

 薄水色の煙が列車の中に立ち籠める。その瞬間、驚いてこの騒ぎを見ていた人達がどんどんと倒れていった。

「マズイ、これは催眠筒だ…!こんな道具を…使いおって…くっ…」

 眠気がどんどんとエルザ達の意識を奪い取っていく。

「おい、止まれ…」

 念話で話しているもう片方の男が言った。すると、急に列車は止まった。エルザとグレイは急な停止に反動で転ぶ。

 ナツは席から落ち、目が覚めた。

「うぷっ…気持ち悪……くねぇ?」

「ナツ…!!」

「くっ…ナツ、この煙、どうにかしろ!!!」

「あぁ!!?んだってグレイ!?」

「いいから早くしろォ!!!」

 エルザの怒号にナツは驚きながらも魔法を放つ。

「どうにかしろって言われてもよォ…うおりゃあぁ!!!」

 ナツは取り敢えず、炎を纏った拳で列車の壁に風穴を開けて空気を外へと逃がした。催眠の煙はたちまち、外へと出て行き、風にのって消えた。

「はぁ…はぁ…!」

「やべっ、まだ眠い…」

「ちっ…。まぁ、良い。どうせだ。潰すぞ」

「キャッキャッキャ!遊んであげる!」

「お?おぉ?なんかいっぱいいる!!」

 睨み合う五人。ナツはグレイとエルザの後ろでうろちょろとしている。戸惑っている様子だ。

「私はそこの変態男ね。キャッキャ!!」

「だれが変態男だ、コラ!!!」

「では、私は妖精の女王を…」

「いいだろう。かかって来い…」

「じゃ、俺は余りモンのアイツを…やるかね」

「やんのかオラァ!!!…良く分かんねぇけど…」

 ここに今、列車での決戦の火蓋が勢いよく切って落とされた。

 




今度は新しい、変わった僕のオリ原作でございます。ちなみに鉄の森編と悪魔の島編、あと、幽霊の支配者編はお亡くなりになりました。<m(_ _)m>

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