ほぼ同時刻、とある部屋でナツとリーナがハッピーの捜索に掛かっていた。
「ネコだらけじゃない」
周囲にはネコの被り物やネコの肉球などといった猫に関する物ばかりが溢れた場所であった。
「ここにハッピーが…ってねえ?聞いてる?」
そう呟きながら、辺りを見回すリーナは背後の存在が居なくなったことに気が付く。振り返るが先程までいたナツの姿はなく、再び周囲を見回す。
「あははっ!面白れぇなぁコレ!!」
「何やってんの!!?」
当のナツはネコの被り物を被り、騒ぎ遊んでいた。
「早く取りなさいよ」
真剣に探していたリーナの心をぶち壊しにしたナツ。そんなナツに怒り気味の声をぶつけた。しかし、ナツは止まる事を知らない。
「ほら、お前もコレ被ってみろ」
などと言って、猫耳型のカチューシャをリーナに無理に被せた。白色の猫耳カチューシャを被せられたリーナはついに怒鳴りつけた。
「それ取って、さっさとハッピーを探して!!!まったく…」
と、言ってカチューシャを外そうと試みるが、
「…あれ?…え?」
中々外れないカチューシャに疑問符を浮かべ、少し乱暴に引っ張る。
「あれ、どうなってんの!!?」
そうやって、悲鳴の様な叫び声を上げるリーナを見兼ねたナツがそのカチューシャを握る。
「何やってんだ、こうやって外すんだよっ―――あっ!」
乱暴に引っ張ったナツだが、その力量は半端なものではなく、リーナを引っ張ってしまった。抵抗する事無く、ただ悲鳴を上げながら、引っ張られるリーナは体勢を崩し、猫に関する物が溢れる山へと突っ込んでいった。
「ちょっ…きゃっ!!?」
「おぉぅ…」
ナツも引っ張った勢いのまま後ろに倒れ、物の山に埋もれる。
「あぁ~いってぇなぁ。何やってんだよ、オイ」
そういいながら、立ち上がり、物の山に埋もれるリーナに視線を飛ばす。
「いたた…もう最悪…」
呟きながら、山から脱したリーナは頭を抑える。そして、不意にその感触が可笑しい事に気が付く。手に少しの重みが感じられる。
「ぷぷっ」
隣で口を押えるナツの表情を窺えないものの笑っている事だけはしっかりと理解した。奇妙な重みが残る手へと視線を向ける。そこには…愛らしい肉球があった。
「ちょっと、何コレ!!?」
手には白い毛に桃色の肉球が付いた手袋があった。しかも、かなり大きい。更に、両手に。
「だははっ!!ハッピー驚くだろうなぁ!」
「笑ってんじゃないわよ!!アンタのせいだからね!!!」
怒鳴り付けるが、その姿では全くもってその怒りが伝わらず、ナツは笑うばかりである。一層の事、殴ってやろう、そう思ったが、この手、この肉球では殴っても無意味だ。取り敢えず、ナツを睨んだリーナは不意に視界に入った男に驚く。
「ナツ、後ろ!!」
「おぉぉ!!?」
訳も分からず、突き飛ばされたナツは無抵抗に転がる。一方、飛び込んだリーナはそのまま、地面に伏した。直前までナツがいた場所を弾丸が飛来する。
「っんな!?四角!!」
臥したまま、その弾丸を撃ち出した正体を見、すぐさま反応したナツ。それに呼応してリーナもナツから退くと戦闘態勢に入るが、その容姿に違和感を覚える。
「うぅ…この手が重い……」
「オイ、コラ!!四角野郎!!!」
被り物をしたナツはその内から叫ぶがその声は普段よりもかなり小さい。それに、声も少し可笑しい。そんなナツに戸惑う男であったが、すぐに銃口を此方へと向けた。
「ネコネコいじめちゃだめぇ~!」
だが、そこに猫っぽいの姿をしたミリアーナが割って入り、男の邪魔をする。
「ウォーリって男かしら?」
「どうでも良い!!黒焦げにしてやる!!!」
被り物を被っているせいか、その怒りの形相は全く伝わらないが、両手には炎を纏っていた。
「ぅうぉおお!!」
ナツの両拳の迎撃であっけ無く二人は巻き込まれ、戦う体力を無くした。
「だぁっはっはっは!!!リベンジ完了ー!!」
と、叫びながら両腕を上げるナツの背後では臥しながらも銃を構えるウォーリーの姿があった。
「ナツ、危ない!!」
「んぁ?」
銃声。だが、ナツに当たる事は無く、ナツの脇腹辺りをかすめるだけであった。
「っべぱっ!!」
銃を構えたウォーリーであったが、どこからか飛んできたハッピーがその腕にけりを一発叩き込みソレを阻止する。
「「ハッピー!!」」
「あい!」
ナツとリーナの声に呼応したハッピーが元気よく声をだし、着地する。
「ハッピー無事だったのね!」
喜びの声を上げながら、走り寄るリーナを見掛けたハッピーは後退しながら、口を押え、嫌がらせをする様な目でこちらを見る。不意に疑問符が浮かんだリーナは止まる。
「ぷぷ。猫が喋ってる、ぷっ」
「笑うな!!ってか、アンタには言われたくないわ!!!」
ハッピーの冗談らしい言葉に豪快なツッコミをした後、猫耳カチューシャを外そうと努める。一方のナツも被り物を乱暴に引っこ抜くとこうしていた。そんな二人のお似合いの姿を見ながら、笑うハッピーであった。
* * *
「やはり、ゲームはこうでないとな」
そういいながら、駒を巧みに動かすのは青髪の男、ジェラールであった。楽しげなその姿を見た男が口を開く。
「ジェラール様、はやくエルザを捕らえ、儀を行いましょう。もう遊んでいる場合じゃありませんぞ」
「…ならば、髑髏会、特別遊撃部隊・
そういいながら、三人の其々、梟、女性、男性を指名する。ジェラールはまた駒を動かし始めた。
「ゴォトゥヘェェェル!!!地獄だ!!最高で最低の地獄を見せてやるぜぇぇえ!!!」
「ホーホーホホウ」
「散りゆくは…愛と命の…さだめかな。今宵は…祭りどす」
そうして、三人の暗殺ギルドの者達が動き始めたのだった。
* * *
時はかなり過ぎ、今に至る。
「クソ!!何がどうなってやがる!!!」
突如として現れたジェラールの思念体が告げた言葉、『楽園ゲーム』。
楽園の塔への扉が開けば、ジェラール達の勝ち。つまりはエルザをジェラール達が捕らえ、生贄に捧げれば良いのだ。
それを阻止するのが、此方の目的。敵は其々三体の戦士を配置させた、と言う。つまりはその三人を倒さなければジェラールを倒す事はできない。
さらに、ルールが追加され、評議員がすべて消滅させる究極の破壊魔法、エーテリオンをこの空間に落とせば、この空間の人や物は全て消滅し、引き分けに終わる。
このゲーム開始直後、ショウがエルザをカードへと閉じ込め、一心不乱に駆け出していた。それからだ。歯車が狂い始め、全員は其々、別れ、三人の戦士の撃退に掛かるのだった。
少しずつ頭の整理をし終えたグレイは真っ直ぐ続く道を眺めた。
「遠いな、クソ…」
と、吐き捨て再び走り出した。
* * *
「何が何だか分からねーがよぉ!!ジェラールって奴倒せばいいんだろ!!」
塔の付近を上昇しながら、そう叫ぶナツに返答したハッピーは遥か上空を見上げる。薄暗い上空を見上げていたハッピーは不意に頂きがあるのか、疑った。
「ハッピー一気に最上階まで行くぞッ!!」
と、叫び、足裏から膨大な炎を噴き、加速する。それに対してハッピーも加速する。
「あいさー!!」
すると、横目で見た小さな光に気を取られたナツは其方へと視線を飛ばす。ハッピーも伝心されたかのように止まり、その方向を見つめた。ナツは目を細め、その光を凝視する。
「…何か来る」
急に張り詰めた空気は漂った。その光は段々と此方へと向かってくる。次の瞬間、奇声を上げた光が急速し、眼前に接近していた。
「ホーホホウ!!」
「うぐっ!?」
唸りながらも掠る程度でその未確認飛行する者を避けた。そして、再び振り返ってその正体を見止めようとしたが―――
「―――ホホウ!!」
既に後ろに回り込まれ、気が付いたら、顔面に拳を喰らっていた。
「うごぉわっ!!!」
その拳に吹き飛ばされ、あっけなく楽園の塔へと続く穴へと入って行ったのであった。その後を加速して追う者もその穴へと入って行った。
「ハァ…ハァ!」
階段を登っているシモンは響く程の音に驚きながら、その音源に目を向ける。
「うぐぐ…」
巨大な人が四人ほど入りそうな鳥かごの上で唸り声を上げるのは桜色の髪をした男、ナツであった。その後ろには青い猫が翼を広げて佇んでいる。
「何だ、今のは…?」
「サラマンダー!!!」
「あぁ?何だお前?」
シモンはナツに向かってそう叫ぶと状況を説明する。
「ホントなんだな?」
「あぁ」
シモンが自らを味方だと説得させ、ナツもそれに根拠もなしに面持ちだけで認める。
「何だジェラールってのは?」
「奴は評議員のジークレインの弟だ。評議員がエーテリオンを使う事などとっくに読んでいただろう」
「な~んだ、兄弟喧嘩か?」
ある意味、変なところで納得したナツに声を掛けようとしたが奇妙な異音に耳を傾けたナツ、シモン、ハッピーは会話を停止した。
「ホホウ」
鎖に着地したのは、見た目は梟、声も梟の奇妙な奴であった。
「コイツは…!!」
「正義の名のもとにお前を成敗してくれる!!!ジャスティス戦士、フクロウ参上!!!」
と、言いながら訳の分からないポーズを決め付けた。
「鳥だぁ!」
「鳥が正義とか言ってんぞぉ!オイ!!」
そんなフクロウを見たシモンは急いで魔法を唱えようとするが、一瞬にして後ろへと回り込んだフクロウに驚愕する。
「なっ…!!」
「ジャスティス…ホーホホー!!!」
訳の分からない奇声を上げながらも光の纏われた拳をシモンへと衝突させ、吹き飛ばす。シモンは悲鳴を上げる暇もなく、倒れ込んだ。
「これほどとは、暗殺ギルド、髑髏会…」
「暗殺ギルド!!?」
シモンの小さな声にハッピーは過剰に反応し、そのフクロウともう一度見つめる。
「ただ人を殺すだけのプロ…!!!逃げろ、サラマンダー戦っちゃいけねぇ!!!」
シモンの必死な叫び声にナツは佇むばかりである。その隣では驚愕ばかりするハッピーがいる。
「ギルドってのは俺たちの夢や信念の集まる場所だ。くだんねぇ仕事してんじゃねぇよ!!」
怒りの形相になったナツは両手に炎を燃え上がらせ、戦闘態勢に入る。シモンの叫ぶ声も耳に届かず、ナツはフクロウを睨み付けた。
「気に入らねぇ!!気に入らねぇからぶっ飛ばす!!!かかってこいやぁ、鳥ィ!!!」
「この世には生かしておかねぇ悪がいる!!噴射!!!」
と、言って噴射機から魔法陣が発生し、フクロウの身体を空中へと飛ばした。
「うぐっ…火力なら負けねぇぞコラァァア!!!」
腹部にぶつけられた巨大な拳を両手でつかみ取り、鳥かごへと投げつける。そうして、自分は他の鳥かごへと着地した。
「また噴射!!」
鳥かごにぶつかったにも関わらず無傷でこちらへと突っ込んでくるフクロウを見たナツは直ぐに跳んだ。だが、跳んだ際に足を掴まれる。
「なっ!?」
そのまま、捕まれた状態で飛行し、その勢いのまま、鳥かごに衝突させられる。
「うぐぁっ!!」
土煙の中から落下してきたナツは鳥かごへと落ち、土煙と共に唸り声を上げる。
「いってぇな畜生!」
臥しながらも負けじと言葉を発し、立ち上がる。その全身には浮かび上がる血管が見られた。
「うおらぁああ!!!」
そして、鳥かごを淡々と伝いながらフクロウへと飛び出していった。
* * *
「次はフクロウVSナツ・ドラグニル。そして、ルーシィ&ジュビアVSヴィヴィルダス。……うーむ、ナツとリーナにここに来てもらいてぇんだが……」
そう呟きながら、チェス盤に淡々と駒を並べていく。リーナをこの最上階へと送り込み、赤い竜の駒、つまりはナツとフクロウと対峙させる。そうして、楽しげな笑みを浮かべて顎に手を当てた。
「ナツ・ドラグニルは少し分が悪いか。しかし、天の魔力を見られるだけでも充分か…」
そう言って駒から目を離し、静かに入り口へと目を向けた。
「来るがいい」
その小さな声は反響する事無く静かに消えていったのだった。
* * *
「何するんだお前ぇ!!」
ハッピーの怒鳴る声が反響した。ハッピーとシモンが目の当たりにしているのはナツがあのフクロウに食われている場面である。既にナツの身体の上半身は口内にある。やがて、ナツの姿は口内へと消えた。
「ああぁぁあ!!!ナツがぁぁぁあ!!!」
「サラマンダぁぁあ!!!」
フクロウは小さく溜息をつくと共にハッピーとシモンへと目を向ける。壮絶な殺気を込めながら。
「ナツを返せぇ!!」
そう言いながら、翼を生やし飛び掛かるハッピーであったが、不適な微笑みを浮かべるフクロウの魔法、凄まじい炎によって呑まれた。
「うわぁああ!!」
「これは…!!サラマンダーの魔力を消化して取り込んだのか!?」
片手に炎を纏い、佇むフクロウは次なる敵、シモンへと殺気を送る。
「トドメェ!!!」
そう叫びながら、また莫大な炎を手から発射し、シモンへと飛ばした。
「ぐっ!マズイ!!」
両腕を交差し、防御の体勢に入るシモン。その眼前を人影が飛来する。
「アイスメイク・
氷の盾が瞬く間に造られ、炎と共に消える。そして、蒸気から現れたのは上半身を露出したグレイであった。
「グレイ!!」
ハッピーがそう叫び、シモンが驚く。
「仲間か!助かった…」
「テメェ、エルザを探していたんだじゃねぇのか!!?」
「コイツに足止めをくらっている…!」
グレイはフクロウへと振り返り、睨み付けた。
「新手のご唐来ホウ!」
「お前はエルザを探しに行け。コイツは俺が……」
そう言って、鳥かごを飛び降り、フクロウが佇む鳥かごへと降り立ちながら、
「片づける!!!」
と、言い放ったのだった。
「分かった!ソイツの腹の中にはサラマンダーがいる!!気を付けろ、奴はサラマンダーの魔法を使うぞ!!」
「グレイ、ナツを助けてぇ…!!」
泣き叫ぶハッピーを背中に向け、グレイは怒りの形相を浮かべた。そして、静かに子供の頃を思い出す。
時はグレイが幼年期だったころ。
「うぐぅ…」
「だはは、グレイ、またやられたのかぁ!?」
「お前も懲りねぇなぁ!」
「だぁ!!うるっせぇ!!」
グレイのボロボロな姿を見た若いワカバとマカオが笑い合っていた。そんな二人に押し寄り取り敢えず、強引に怒る。
「あのグレイをここまでやるんだ、スゲェよなぁ」
「未来を背負って立つエルザ様ってかぁ~?」
まるで、グレイに嫌がらせをする様に笑うワカバとマカオに更に腹が立ったグレイはつい怒鳴ってしまった。
「俺はあんな奴、仲間とは認めねぇ!!!」
「エルザを…連れて帰るんだァアア!!!」
黄昏の頃。夕焼けに紅く染まった朱色の柔らかな雲が上空を悠々と浮遊する時刻だ。河原へと来たグレイは橙色に染まる河を見つめていた。
「…エルザ?」
河を眺め、一人寂しそうな雰囲気を漂わせ、座り込んでいたエルザに急襲を掛けてやろう、と思いついたグレイは颯爽と草原を駆け降りる。その足音に反応したエルザが振り返った瞬間、グレイの心と足が止まった。
「ぬぁ……あっ…」
夕日が背景に広がり、赤々しく綺麗に輝くというのに、エルザの周りは寂しそうでなにより、辛そうであった。何粒か目から離れた涙さえも赤々しくと染まっていた。そう、エルザの眼には孤独な涙が伝っていたのだ。
「いいだろう、かかってこい」
「い、いやぁ…あの…」
「どうした、もう降参か?」
泣いていたという事実に戸惑うグレイはあまり上手に言葉が見つからず、その場に茫然と佇むだけであった。その頬は夕日に染められ、赤らめたのではなく、素直に恥ずかしい、そう思えたからであった。
「何でいつも一人なんだよ」
「ひ、一人が好きなんだ」
静かに漂う緊迫した空気に二人は気まずくなる一方だが、グレイは意を決したかのように目を見開いた。
「じゃ、じゃあ!!何で一人で泣いてんだよ!!!」
そういって、歩み寄り、豪快に乱暴に、恥ずかしそうにエルザの傍へと座り込んだ。喉かに流れる朱色の流麗な河を背景に二人は静かにその場で佇んでいたのだった。
時は戻り、現在に至る。
「おらぁあ!!」
フクロウとグレイの拳が衝突し、ただならぬ衝撃波を辺りに散らす。グレイが押し負け、違う鳥かごへと着地した。だが、グレイの雰囲気は決して押し負けた様な雰囲気をしていなかった。
「退けぇ!!今、エルザは一人何だ!!!孤独なんだ!!!」
グレイの辺りを冷気が漂い始め、やがて、魔法陣が腕と肘に現れる。そして、氷の鋭利で先鋭な刃が発生した。そして、鳥かごを蹴り、一気に跳び上がる。そのまま、フクロウへと切迫した。
「食らえ!!氷刃・七連舞!!!」
肘と腕に付けた氷の刃で連続的にフクロウを切り裂き、凄まじい衝撃を与え、吹き飛ばした。膝を折り、顔を俯かせ、両腕を広げて、着地する。そして、その氷の刃は砕け散った。辺りにはまだ冷気が漂う。結果を見上げる様に顔を上げ、フクロウを睨む。
「ホォオォオオ!!!」
対するフクロウは断末魔を上げ、空へと舞い上がり、冷気を漂わせながら、ナツを口から吐き出した。そのまま、鳥かごの柵を破り、中へと入った直後、その鳥かご共に奈落の底へと沈んでいった。
「やったぁ!!!」
ハッピーの喜びの声が上がる。直後、鳥かごが地面と衝突した轟音が鳴り響く。佇んだままのグレイは何かを思考していた。
「(アイツは…いつも孤独で…心に鎧を纏い…泣いていたんだ…)」
直後、ハッピーのナツぅ、という声が聞こえる。
「エルザは
グレイの咆哮の様な叫び声が木霊したのであった。