「ナツ!!」
「ん・・・?ルーシィか!」
「大変!!急いでっ!!グレイとエルザが下の塔でマスターと戦ってるみたい!!」
「っ!?よし、俺たちも行くぞハッピー!!」
「でも、ナツのその体じゃ――」
「――行くぞっ!!!」
「あいさー!!!ルーシィ、あとで迎えに来るね!」
ルーシィは頷いてからナツとハッピーを見送った。そして、両手の指を絡み合わせて、願った。
「無事でいてね・・・みんな」
「がはっ!!?」
「うぅぁぁっ!!!」
「クハハハッ!!もう終わりにしようぜ!!処刑だ!!!」
ラグードは手を突き出すとその両手に魔力を次々と注ぎ込み、集中させていった。あっという間に渦巻くように炎が塊となっていく。その炎は最大限にまで凝縮され、大きな塊と化した。
「やべェぞ!!」
「くっ・・・」
「クハハハハッ!!!終わりだァ!!!」
炎の大塊はラグードの手から離れ、エルザとグレイの方へと向かって放たれた。
「ぐっ、チクショォ!!」
「うぅぁ・・・」
その時だった。
「ラグードォォォオオォオオオオ!!!!」
「
「ナツ!!!」
「ナツか!!」
ナツはハッピーから離れ、炎の大塊へと呑み込まれた。
「な!!?」
炎に呑み込まれたナツはあっという間に大量の炎を食い尽くし、自分のエネルギーとした。
「(最上級といっても過言ではねぇ炎を最大限に凝縮してあの大きさだぞ!!?そんな炎を食えば・・・・・・)」
「おぉおおおおおぉおおおっ!!!!」
もの凄い衝撃がナツを中心に放たれ、勇ましい咆哮が轟いた。
「くっ・・・まさかここまでやるとはな・・・!!」
ナツの体は紅炎に包まれ、熱気を放っている。ナツの周りの温度が上昇していく。飛んできた葉も燃え上がり、灰となって散った。
「祭り前の最後の余興だ。楽しませてくれよ?」
体全体から紅炎を噴出させるナツは周りの仲間たちの姿を黙視してから、体を小刻みに震えさせた。
「グレイ・・・エルザ・・・・・・リーナ・・・」
そして、俯いた直後、顔を上げて、耳が痺れる様な声を腹の奥から出した。
「俺の仲間に何をしたんだっ!!!!」
「やかましいぞ!!!ボケぇええ!!!次から次へと邪魔ばっかりしやがって・・・もう我慢の限界だ!!!」
頭に血を昇らせて、怒声をあげるラグードは右手を翳すと魔力を集中させた。すると、右手の中で風が渦巻くように巻き起こり、大玉と化した。そして、それをナツめがけて発射する。
「ぶっ殺してやるッ!!!」
大玉の風はナツに直撃して、さらに大きな旋風となってナツを呑み込んだ。ナツの姿は旋風の中に消え、旋風はナツの体を切り刻む。
「どうだ!!
「くらわねぇなぁ・・・」
「なにっ!?」
ナツはラグードの魔法をモロ喰らったのだがその場に静止したまま、体に傷一つつけずに立っていた。その姿にラグードは焦りと驚きを感じる。その隙を狙って、ナツは足裏から炎を勢いよく噴出させ、距離をあっという間に詰め、ラグードの頬に炎の拳をぶつけた。
「うぉらぁああっ!!!」
「ぐふっ!!」
ラグードの首が捻れ、体が吹っ飛ぶ。
「ぬっ・・・」
ラグードは態勢を立て直すと血相変えて、追撃を狙ってくるナツ向かって魔法を放つ。
「ぁぁあっ!!」
腕を横一閃に振るった直後、その腕を追うように塔の床に生えていた雑草が伸び、鞭のようにナツを襲った。
しかし、ナツは背面跳びをして避けてから、両手と両足を床に付いた瞬間、一気に前に飛び出した。そして、ラグードの腹部に蹴りを炸裂させる。
「ごふっ」
「オラァ!!!」
ナツは態勢を低くしてから飛び上がると同時に拳を上に振り上げ、ラグードの顎に拳を直撃させた。
「ぐぁっ!!」
「うぉおお!!!」
さらにナツは飛び上がった状態から蹴りをラグードの顔面に炸裂させる。そこから上半身を後ろに反ってから前に突き出し、口に多く含んだ空気を発した。その空気は紅炎と化し、ラグードを襲った。
「火竜の咆哮!!!」
「くうぅぅ・・・」
床に着地したナツは鋭い目付きでラグードを睨みつけた。
「チッ、お遊びはこれぐらいで十分だ」
「あぁ、ぶっ飛ばしてやる!!!」
「死ねっ。
手を突き出したラグードはそう唱えると、魔力を消費し、魔法を放つ。床から緑色の細い蔓を生やし、ナツを追わせた。
ナツはその蔓を飛び退いて避けると、その場に着地した。しかし、ラグードの追撃は止まらない。
「
「くぅ!?」
ナツの足元の床が噴火するように飛び上がり、ナツを襲った。ナツはその場でぐるん、と回ってまた床に着地すると、ラグードの方へと走っていく。
「くらえ、
「なっ!?うぐっ・・・」
風がナツを包み込むように巻き込み、切り裂くようにナツを襲った。ナツはその場からすぐさま、離れると一旦、距離をおいて吐息を繰り返した。
「ハァ、ハァ、何なんだお前の魔法は・・・・・・」
「・・・教えてやろうか?俺の魔法は
そう言い終わるとラグードは肩を回し、ナツを睨んだ。
「見せてやろう・・・オレの魔法の力が・・・・・・・・・如何なるものか」
そういった瞬間、ナツの足首が細い蔓に掴まれ、ナツは驚愕した。次の瞬間、ナツの頭上に黒雲が現れ、カッと光った刹那、雷が落とされた。
「あがぁぁっ!!!」
ナツの体全体が痺れ、麻痺する。そんなナツに岩石が乱暴にぶち当たり、あっという間にナツの姿はゴツイ岩石の中へと消えた。
「ナツ!!!」
グレイはそう叫んでもナツの声は返っては来なかった。
「処刑だ」
その瞬間、岩石を取り囲むように草が生え、その蕾が開き、一瞬にして花が開いた。その花から花粉があたり一面に広がった刹那、小爆発が10、100と起きた。
「ぐあぁぁぁああぁあぁああぁぁっ!!!!」
ナツの痛恨の悲鳴が響き渡る。
「クソヤロー・・・・・・。これが、マスターの力なのか・・・」
「クハハハハッ・・・。この程度か?
ナツはその場で倒れ込んだまま、動かずにずっと静寂にしていた。
「フン・・・」
ラグードが鼻息を荒く出すと怒りを沈めるように吐息を一回、長くした。
「ハァ・・・ゼェー・・・・・・ハァ・・・!」
「(コイツ・・・やるじゃねーか・・・)」
ラグードは気力で吹き返したナツを見て、感心していた。驚愕しながらも感心するラグードはナツを睨む。すると、後ろの方で青い猫が金髪の少女を掴んで舞い降りて来た。
「グレイ!!エルザ!!リーナ!!みんな、大丈夫!!?」
「アイツがマスター!?」
ルーシィは床に降りると、すぐさま、エルザ、リーナ、グレイの元へと向かった。そして、そこでしゃがみこんで三人の状態を確認する。
「みんな、大丈夫!?」
「こんなモン、どうってこと・・・痛てっ!?」
無理矢理、立とうとするグレイだったが、膝を折り、がくんと倒れてしまった。かなりの負担がかかっている様だ。
「・・・ナツは?」
「向こうで戦ってやがる・・・」
「(・・・ナツ・・・・・・)」
ルーシィは片手を胸に当て、ナツをとても心配そうに見つめ、ナツの無事を願った。その片手に刻まれた桃色の紋章が堂々と目立った。
「フゥー・・・ハァー・・・フゥー・・・・・・フゥー」
荒い息を吐き出すナツは苦しそうに立っている。それに対し、ラグードは余裕ぶりを見せている。圧倒的にナツが押されているのは一目でわかる。
「しぶとい奴だ・・・」
「お前なんかに・・・負けっ・・・かよ・・・」
「クハハハハッ!!やってみろっ!!!」
そう叫んでラグードは手を翳す。そして、勢いよく振り下ろした。刹那、ナツに雷がぶち当たる。
「がぁぁああっ!!!」
ナツの足元や周りから芽が芽生え、その芽は種子をつくり、その種子をまるで、弾丸のようにナツに発射した。その数は目測では検討もつかないほどだった。
「ぐあぁぁぁああああぁぁっ!!!」
弾丸がナツの体全体に命中していく。種子の連射が終わったとナツはその場で倒れそうになる脚を踏ん張って堪え、必死にラグードを睨むが、ラグードはいたるところに転がっている石や岩を浮遊させると、その無数の岩石をナツにぶつけ始めた。
「あがっ!!ぐぉっ!!!ぐぁあっ!!がっ!!ごはっ!!いぎっ!!あぐぅあぁ!!!ぐあぁぁああぁぁああっ!!!!」
無数の岩石がナツの腕、脚、腹、頭へと激突しては砕けていく。ナツの体はどんどんと負傷していき、やがて、痣ができてきていた。
「うぎぎぃ・・・」
「フゥー・・・なんつーしぶとさだ・・・。くたばれ!!!」
ナツの左右から巨大な大木が挟み込むようにして向かってくる。その速度は半端なものではなく、空を裂きながらナツへとめがけて飛んでいく。ナツは動かない、いや、動けなかった。
「ぐぅぉおおっ―――!!!」
ナツは大木の間に挟まれ、身動きがとれない状態になる。さらに、両方から激突された威力は体が潰されるような気の遠くなるような激痛だった。
さらにラグードは指を器用に使い、水の細い剣を出し、ナツを大木、もろとも切り刻み、裂いた。
「ぐあああぁぁあぁぁぁっ!!!」
ナツの体に無数の痣と傷ができ、血が床へと流れる。それでも、ナツは片手を床に強引に押し付けると、片腕の力だけで上半身を起こし、左腕を使って完全に起き上がった。
「まだ立つか・・・。フン、まぁいい。面白ェ魔法を見せてやろう」
そういうと、また落ちている岩石を浮遊させ、今度は自らの頭上にどんどんと固めていく。岩石がどんどんと固めていき、やがて、巨大な隕石のような岩石へと変貌した。
「これをくらって立ち上がれた奴は一人もいねぇ・・・終わりだ」
そう忠告し、その巨大な隕石をナツめがけて思い切り飛ばした。
「マジでヤベェぞ・・・!!」
「ナツー!!!」
「ナツ避けろ!!!」
「ナツぅぅぅううううう!!!」
ナツの目の前まで巨大な隕石は飛んできている。もう避けられる間合いではない。そして、隕石はナツと床まるごと、呑み込むように大激突した。
ズガガガアァアアァァァァァン!!!!
吹き荒れる強大な衝撃がグレイ達を襲う。塔の一部を破壊した巨大な隕石は塔の一部と同時に砕け散った。砂塵が至るところに舞い上がり、視界を遮る。砂塵が消えるまでにはそう時間もかからなかった。
「ヒマつぶしくらいにはなったぜ。
そう言うラグードの視線には、僅かな砂塵に包まれるナツのボロボロで血だらけの姿があった。
「ナツ・・・!!!」
「くっそぉ!!クソォォォオオ!!!」
グレイがそう悔しい思いを込めた叫び声を放った。
「ナツ!!立て!!!テメェの力はそんなモンじゃねーだろうが!!!」
グレイの猛烈な声援。
「ナツ・・・力を解放しろ!!お前は私を超えていく男だ!!!」
エルザの必死な声援。
「ナツお願い・・・立って!!!」
ルーシィの願望な声援。
「ナツ、がんばれぇぇぇえ!!!」
リーナの決死の声援。
「(仲間のギルドの想いは・・・・・・オレが・・・!!!)」
ナツの耳に届いた声援は体中を燃え上がらせ、ナツを決死の想いで立たせる。
ラグードは先程、口に食わえた煙草をおもわず落とし、目を大きく見開き、何滴もの汗を垂れ流し、愕然とした。
「(コイツ・・・た・・・・・・立っただと!!?)」
今にも転倒しそうな立ち方だが、立っている。その勇ましい姿は誰にも真似できない勇敢な姿だった。
「な、なぜだ!!?なぜ、立てる?」
「ハァー・・・ハァ・・・ハァ・・・・・・ハァー・・・・・・」
気力と根性だけで立つナツに対し、驚愕するラグードは思わず声に出して問いかけていた。
「(生への執着かっ・・・。勝利への執着かっ・・・この男ッ―――
―――どこにそんな力がっ・・・!!!)」
ナツは一瞬にしてラグードとの距離を縮め、思い切り叩きつけるように殴り飛ばした。
ラグードは頭部を床に何度も強打し、バウンドするように信じられないほど跳ね上がっていった。
「くっ・・・どこに・・・どこに、そんな力がある!!?」
鼻血をみっともなく垂らしながらラグードは驚愕し、ナツにしつこく問い詰める。
「仲間・・・ための・・・・・・力だ!!!」
「フン・・・だったらオレはテメェのその力を全力で叩き潰してやろう!!」
「お前・・・こそ・・・・・・・おまえ・・・・・・の目的・・・は何・・・なんだ・・・よ」
「あ?そういやぁ、言ってなかったなぁ・・・教えてやろう、
ラグードがひと呼吸する間にナツの鼓動が果てしなく上がる。
「・・・評議員を潰す!!!」
「!!!」
発せられた言葉に思わず息をすることも忘れ、時は少しずつ流れていった。
ルーシィ「突然ですが、これから質問コーナー的な企画を始めたいと思いま~す!」
リーナ「質問したいことをドシドシと感想にお書き込み下さい。内容はネタバレにならない程度にお願いします。それ以外ならなんでも受け付けます」
ミラ「解答はこの後書きにさせてもらうけど、いいかしら?ちなみに、解答は私たち三人でやりたいと思いますのでご協力の方、お願いします。といっても、作者のヒマつぶしなんですけどね~」
ルーシィ「それは言わない方が・・・・・・」
ルーシィ・リーナ・ミラ「では、質問をどんどんと送ってきてくださいね~!待ってま~す!!!」