問題児たちと血を受け継ぐ者が異世界に来るそうですよ?   作:ほにゃー

99 / 106
今回からオリジナルストーリーとなります。

タイトルは未定です。


オリジナルストーリー
プロローグ


ん?誰かが隣に居る……

 

確か、昨日は風呂に入った後、すぐに寝た。

 

その時、ベッドの中には何もいなかった。

 

となると………

 

眠気に耐えながら、布団をめくる。

 

すると、そこには、耀がいた。

 

気持ちよさそうに目を閉じて、俺の左腕にしがみついて眠っている。

 

耀を起こさないようにそっと腕を外し、ベッドから起きる。

 

軽く伸びをし、手早く着替えを済ませる。

 

「………人の寝姿を観察するのは悪趣味だと思うぞ」

 

「へぇ~、俺の気配に気づいてたか」

 

背後に向かって声を掛けると、返事が返って来た。

 

そこには、黒い着物の上から白い袖の無い羽織を着た青年が居た。

 

歳は俺と変わらないぐらいか?

 

「自己紹介がまだだったな」

 

青年は、軽く頭を下げ、口を開く。

 

「黒鬼(こくき)だ。よろしくな」

 

「そうか。俺は、月三波・クルーエ・修也。修也でいい」

 

「そうか。……それにしてもいい天気だ。外に出ようぜ」

 

二人っきりになりたがってる。

 

「いいだろ」

 

部屋を出ると辺りは静まり返ってる。

 

まだ誰も起きてないようだ。

 

人気のない廊下を渡り、館から出る。

 

丁度朝日が昇った所だ。

 

「で、外に呼び出してどうしたいんだ?」

 

「決まってるだろ。あの箱庭の英雄の血を引く息子の力を見たいんだよ」

 

そう言うと、刀が俺の首のあった位置を一閃した。

 

俺は咄嗟に身をかがめたので首から下がお別れになることは無かった。

 

「ほぉ、躱したか」

 

「喧嘩ならいくらでも買ってやるよ。その前に、“契約書類”を用意しろ。喧嘩はそれからだ」

 

「いいだろ。すぐに用意しよう」

 

 

 

 

 

 

 

 

『ギフトゲーム名:日の出の決闘

 

プレイヤー名:月三波・クルーエ・修也

       黒鬼

 

勝利条件:相手に敗北を認めさせる又は、相手を戦闘不能にする

 

失格条件:相手の殺害

 

宣誓 上記のルールにのっとり、“月三波・クルーエ・修也”“黒鬼”の両名はギフトゲームを行います。』

 

「これでいいだろ。じゃあ、始めようぜ」

 

黒鬼は刀を抜き、構える。

 

「さっさと終わらせよう。後一時間もすれば朝飯だ」

 

俺も白牙槍を構え、間合いを測る。

 

互いに腹の内を探り合い、タイミングを計る。

 

そして、俺と黒鬼の間を風が通り抜け、砂を巻き上げる。

 

その瞬間、俺の槍と黒鬼の刀が交差した。

 

暫く、互いの武器をぶつけ合い、距離を取る。

 

黒鬼が、刀を地面すれすれに移動させ、斬り上げる。

 

槍を振り下ろし、刀を受け止める。

 

そのまま刀を弾き、槍を横薙ぎに振る。

 

黒鬼は、素早く刀を引き戻し、防御する。

 

拳を握り、黒鬼の顔を目掛けて殴る。

 

黒鬼は、口をすぼめて何かを吹きだす。

 

すると、俺の右目の下に痛みを感じ、俺は動きを止める。

 

その間に、黒鬼は、足払いをして俺を転ばす。

 

そのまま、刀を俺の心臓目掛けて振り下ろしてくるが、左手を突き出す。

 

左手は刀によって貫かれたが、わずかに時間が作れた。

 

脚を振り上げ、黒鬼の後頭部に蹴りを叩き込む。

 

その隙に、距離を取って、痛みを感じた場所に手を当てる。

 

触ると何かが突き刺さっていて、抜いてみると細長い針だった。

 

なるほど、仕込み針か。

 

針を投げ捨て、血の入った小瓶を取り出し、飲む。

 

左手から滴る血を撒き散らし、唱える。

 

「我が血よ。我が名を持って命ずる。敵を捕らえる拘束具となれ!」

 

血は動き出し、一斉に、黒鬼に向かう。

 

両手と両足に、血が絡みつき、黒鬼の動きを封じる。

 

「これで終わりだ」

 

殺しはルール違反、てか、殺しOKでも殺す気はない。

 

だから、拳を握り、全速力でつっ込む。

 

そして、拳が黒鬼の身体に触れた瞬間

 

「!?アツッ!!」

 

思わず手を引っ込めてしまった。

 

右手を見ると、手が赤く火傷していた。

 

「残念だったな」

 

黒鬼がそう言うと、拘束具となった血が次第に溶け出し、蒸発した。

 

「俺のギフト“紅炎操作(プロミネンス・コントロール)” 。俺は紅炎を自由自在に操り、そして生み出すことかできる。そして、紅炎をこのように纏うこともできる」

 

そう言うと、刀に紅い炎が纏わりつく。

 

そこそこ距離はあるのに、熱さがこっちにまで伝わってくる。

 

「さぁ、これで終わりにしよう」

 

「いや、終わらせねぇよ」

 

槍を血で赤く染め、血の力を槍に纏わせる。

 

「“紅刀斬撃波”!!」

 

「“血の白牙槍(ブラッディ・スピア)”!!」

 

紅炎と血の力がぶつかり合い、衝撃波を生み出す。

 

衝撃波により、地面が抉れ、木々が薙ぎ倒される。

 

衝撃が止むと、黒鬼は、地面に倒れ伏せていた。

 

「……勝てた」

 

勝てた安堵感から、地面に座り込む。

 

それにしても、こいつ何者だ?

 

かなりの実力者だったが………

 

「やれやれ、派手にやってくれたな」

 

上を見上げると、メイド服を着たレティシアが居た。

 

レティシアは辺りを見渡しながら地面に降り立つ。

 

「レティシア、実は」

 

「いや、何も言わなくていい」

 

そう言うと、倒れてる黒鬼の元に行くと、レティシアは行き成り踏みつけた。

 

「ぐぼう!?」

 

「いつまで、倒れ込んでる。さっさと起きろ」

 

「ちょ、レティシア!?俺、今、結構ボロボロなんだけど!?」

 

「知らん。自業自得だ」

 

「酷っ!?」

 

行き成りのレティシアの行動に驚きながらも、レティシアに尋ねる。

 

「レティシア。黒鬼を知ってるのか?」

 

「知ってるも何もこいつは」

 

レティシアは踏みつけるのを止め、黒鬼を指差す。

 

「旧“ノーネーム”のメンバーにして、五年前から行方不明になっていた男。そして、白夜叉とクルーエ叔父上の息子。早い話、修也。お目の異母兄弟だ」

 




はい、蒼海の覇者編のエピローグに出てきたオリキャラは、修也のお兄ちゃんです。

次回もお楽しみに

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。