問題児たちと血を受け継ぐ者が異世界に来るそうですよ?   作:ほにゃー

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今回で、クラッカーVさんとのコラボが終了となります。

クラッカーVさん、コラボ協力ありがとうございました。


第二弾コラボ最終話 吸血鬼VS英雄志願者

「取り敢えず、紹介する。こいつは要弥生。別分岐の“ノーネーム”所属で、英雄志望の奴だ」

 

「要弥生だ。英雄目指して特訓中だ。よろしくな」

 

弥生を紹介すると、何故か、十六夜達は小声で話し始めた。

 

「どうした?」

 

「……弥生。お前、中二病か?」

 

十六夜の発言に時間が止まった。

 

「その中二病が何かは知らないけど、英雄目指してるとか子供っぽいわ。いい年なんだからそういうことは控えなさい」

 

「……むしろ、痛い」

 

「修也の代わりにアレが来てたらと思うと、ぞっとするぜ」

 

「そうね。私なら、顔合せるたびに罵詈雑言をあびせてるわ」

 

「修也が居ない………まったくもって信じられない」

 

「お前ら、止めろ!弥生が泣き出したぞ!」

 

体育座りをして、泣き出す弥生を慰め、なんとか元気を出させる。

 

「で、弥生。お前は何しにここに来たんだ?」

 

「ああ~それが良く分からないんだよ。いつも通り自室で寝て、目が覚めたら廃墟の中。十六夜達の悪戯かって思ったら、行き成り攻撃されるわで、こっちが此処に来た理由を聞きたい」

 

う~ん、俺達が五月雨のいる別分岐の“ノーネーム”に行った時とはまったく違うな。

 

これだと、明確な帰り方が分からない。

 

「取り敢えず、暫く弥生さんは“ノーネーム”の客分として迎え、帰りの目途がつくまで滞在してもらいます。皆さんも異存はないですね」

 

ジンの決定に従い、弥生を迎えることになった。

 

部屋はいくつか開いてるのだが、十六夜が監視した方がいいと言ったので俺の部屋で寝泊まりすることになった。

 

まぁ、そんな心配いらないんだが…………

 

「俺、とことん信じられてないな」

 

「まぁ、お前にとっては仲間でも彼奴らにとっては今日会ったばかりの人間だ。そうなっても仕方がないだろ」

 

部屋に置かれてる椅子とベッドに座り話し込む。

 

暫く話してると、扉がノックされた。

 

「ご主人様、お茶をお持ちしました」

 

「おう、入ってくれ」

 

入って来たのはメイド服に身を包んだフェルナだった。

 

「どうぞ」

 

フェルナは丁寧に俺と弥生の前にカップを置く。

 

紅茶のいい香りがする。

 

「あ、フェルナ。紹介しとく。こいつは要弥生。俺の異世界の友達だ」

 

「初めまして、弥生さん。私はフェルナです。ご主人様の眷属にして専属メイドです」

 

そう言ってフェルナは下がる。

 

「おい、修也。流石にロリをメイドにするのは問題があるぞ」

 

「よし、表に出ろ」

 

等と、二人でバカ騒ぎしたり、飲み明かしたり(弥生は未成年)などして、過ごした。

 

弥生が“ノーネーム”に滞在して一週間、十六夜達とも打ち解け合い、もう問題は無いだろうと思った。

 

で、今、俺は弥生と向かい合って、バトルをしている。

 

「ちょっと待て!どうしてこうなった!?」

 

弥生が慌てて制する。

 

「いや、十六夜が、俺とお前、どっちが強いか気になるから戦えってよ」

 

「なんてこしてくれてんの!?」

 

「ま、俺もお前と一度闘いたかったし………丁度いいよな!」

 

白牙槍を取り出し振り下ろす。

 

「どうしてこうなるかな!?」

 

『Stand up,"Music HERO"!!』

 

『Barrier music』

 

弥生はすぐにiPodを使い、ギフトを発動する。

 

俺の攻撃はバリアに阻まれ届かなかった。

 

だが

 

「しゃらくせぇ!」

 

今度は振り下ろさず、槍で突く。

 

全身全霊、力を込めた一撃によってバリアは破壊される。

 

「腕力でバリア壊すってどんだけだよ!?」

 

「取り敢えず、眠っとけ!」

 

槍を横薙ぎに振ろうと構える。

 

「行け!クラッカーヴォレイ!」

 

弥生がそう叫ぶと、何故かアメリカンクラッカーを投げてきた。

 

ふざけてるのか?

 

身体を捻り、回避する。

 

「弥生、今のはなんだ?ジョジョのジョセフの真似か?流石に戦い中にふざけられると俺もキレるぞぉ!?」

 

後頭部に何かか当たった。

 

当たった何かは弥生の手元に戻っていく。

 

あれは……さっきのアメリカンクラッカー!?

 

「真似じゃねぇぜ。このクラッカーヴォレイは本物だ」

 

「テメー、あの時といい、今回といい。ふざけた技や真似してくれるよな」

 

「あれ?………もしかして、まだあの時の事怒ってる?」({番外編}箱庭家族の穏やかで騒がしい毎日 ダジャトル・隼作 戦いの行方ー驚愕の正体参照)

 

「当たり前だ!だが、俺に一撃入れるなんてな。正直、驚いた。十六夜と五月雨以外、俺に一撃入れた人間はお前が初めてだぞ」

 

「お、それはいいね」

 

「だから、こっちも本気で行こう」

 

グリフォンの血が入った小瓶を飲み、グリフォンの力を宿す。

 

「くらえ!」

 

旋風を起こし、弥生にぶつける。

 

だが、

 

『iPod HERO!!Element album! Wind music!!』

 

俺が巻き起こした旋風は弥生に吸収された。

 

「な!?風を吸収しただと!?」

 

そう言えば、弥生のギフトって詳しくは知らないんだよな。

 

弥生の戦ってる様子は見てだが、どんなギフトかまでは見てない。

 

これは少し厄介だな。

 

「へぇ~、弥生の奴中々やるじゃねぇか」

 

「英雄を目指してるだけあってやるわね」

 

「修也、ファイト」

 

外野の三人が感想を言う。

 

てか、耀のは感想じゃなくて、応援だな。

 

「耀に応援されて……羨ましいじゃねぇか!」

 

「彼女が彼氏の心配するのは当然だろ!」

 

「はぁ!?お前、まだ付き合ってないはずだろ!?」

 

「いつの話かな!今じゃ、立派な恋人だ!」

 

「くそ!爆発しやがれリア充!」

 

「悔しけりゃ、お前も耀に告白してみろよ!玉砕覚悟でな!」

 

「振られるの前提かよ!」

 

一見ただ言い合ってるように見えるが、この時俺と弥生は必死の攻防をしていて。

 

俺は旋風を起こしたり、風の槍を放ったりし、弥生は風の吸収や風を操り攻撃してくる。

 

俺は今度は麒麟の血を飲み、雷撃を纏って攻撃をする。

 

『iPod HERO!!Element album! Thunder music!!』

 

しかし、先程同様、雷も吸収された。

 

「さっきから攻撃を吸収しやがって!」

 

「これが俺のギフトだからな」

 

攻撃を吸収するギフトか………

 

考えると厄介だな。

 

くそ!

 

「なら、こいつはどうだ!」

 

今度は槍に風と雷を纏わせ、放つ。

 

例えるなら、血の風雷槍(ブラッティ・エアロサンダースピア)か。

 

風の刃を纏った雷の槍が弥生に向かう。

 

「まずっ!?」

 

『Barrier music』

 

弥生は、バリアを展開し、それを五重に張る。

 

槍がバリアを突き破る前に、弥生は『Sonic music』とか言うのを発動させ、攻撃を躱す。

 

吸収せずに回避した?

 

まさか………

 

「なるほど。攻撃を吸収するってのは厄介だが、吸収できるのは一つの属性までだな」

 

「うへぇ~、バレちったか。まぁ、どうせバレると思ってたけどね」

 

「どうする?降参か?それとも、まだ戦うか?」

 

「英雄がそう簡単に諦めるかよ!諦めたら、そこで試合終了だ!」

 

『Reload,Blue dragon』

 

弥生はiPodから青い剣を取り出す。

 

『Element album!Freeze music』

 

青い剣に氷を纏わせ斬り掛かってくる。

 

無論、槍で迎え撃とうとすると、弥生は行き成り剣を地面に突き刺した。

 

『Blizzard!』

 

すると、俺の周りを氷が囲ってきた。

 

俺を捕獲するためのものか?

 

なら、どうして、俺の正面を開けとく・

 

槍を使い、破壊しようとするが、クラッカーヴォレイが飛んできて俺の槍に絡みつく。

 

さらに、もう一つのクラッカーヴォレイも俺の足に絡みつき、俺の機動力を奪う。

 

『Element album! Thunder music Lighting』

 

今度は雷を纏い、剣を振る。

 

すると、大量の雷が放出され、俺に襲い掛かる。

 

そうか、この氷の囲いは俺を捉えるものじゃない。

 

雷の威力を殺さないためのものか。

 

氷の内側に大量の雷撃が入り、四方に散らずに、内側で爆発的に暴れる。

 

「焔の大佐がやってたことを参考にしたぜ!いくら吸血鬼でもこれなら」

 

「倒せたと思ったか?」

 

氷の壁を派手に破壊し、砂煙から姿を現す。

 

「まじで?」

 

「やるじゃんかよ。弥生、咄嗟に血の壁を作らなかったら、負けてたかもな」

 

それでも、わずかに間に合わず、左手がやられたが…………

 

「ただのギフトを持つだけの人間が、吸血鬼の俺にこれだけの手傷を負わせる。やっぱ、お前凄い。それに、囲いを作って威力を逃がさないように工夫。柔軟性も高い」

 

「柔軟性ってか、あれ、漫画のネタみたいなものだぞ?」

 

「元が漫画でも、それをうまく活用するのは本人だ」

 

槍を手の中で一回転させる。

 

「じゃあ、そろそろ終わりにしようぜ」

 

「はぁ~、もう体がギスギスなんだけどなぁ~。あえて言わせてもらおう。不幸だ」

 

『Reload,Red dragon』

 

今度は赤い槌を取り出し、構える。

 

「行くぞ!」

 

「行くぜ!」

 

同時に走り出し、槍と槌がぶつかる。

 

吸血鬼と人間ではもとのスペックの差があるため、弥生が押され気味だ。

 

だが、それを考えても、弥生の身体能力は高い。

 

槍に血で真っ赤に染め、叫ぶ。

 

「我が血よ。我が名のもとに従え。その血に流れる力を槍に纏わせよ」

 

『Element album!Burn music Explosion』

 

「これで、決めさせてもらうぞ!」

 

「それはこっちのセリフだ!まずその舌の根から焼き尽くしてやる!」

 

血の力を宿した槍の一撃に、弥生は真っ向から立ち向かい槌を振り下ろす。

 

その瞬間、爆発が起き、辺り一帯に熱風が吹く。

 

しまった!

 

今の衝撃で聴覚がいかれやがった!

 

おまけに、煙で視界も封じられた。

 

「そこだ!」

 

弥生は俺の背後から現れ、槌を横薙ぎに振る。

 

そして、槌は俺の脇腹に当たる。

 

「がはっ!」

 

その一撃に、俺はその場に倒れる。

 

「まだ終わらねぇぞ!歯を食いしばれよ、最強。俺の最弱は、ちっとばっか響くぞ」

 

止めと言わんばかりの一撃が俺の頭に落ちる。

 

おっして、俺は動かなくなる。

 

「ふう、まぁ、吸血鬼だし、あれで死なないよな」

 

まさか、俺が倒れるとはな。

 

だが、まだ甘い。

 

「なんとか勝てたし、この勝負は俺の勝ちってことで」

 

「誰の勝ちだって?」

 

「………え!?」

 

弥生が首を百八十度程回転させる。

 

「兵は詭道なり。だまし討ちも立派な戦略なのだよ。 英雄の」

 

弥生の真似をして、某大佐の名言を口にする。

 

取り敢えず、弥生の顔面に裏拳を当てて、俺の逆転勝ちになった。

 

「くそっ。まさか、やられたフリだったなんて………」

 

「吸血鬼が頭を殴られたぐらいで、気絶するかよ」

 

倒れてる弥生を起こし、笑い合う。

 

「あの修也に、あれだけ奮戦するとはな。正直、驚いたぜ」

 

「伊達に英雄を目指してないわね」

 

「うん、凄かった」

 

十六夜達は口々に弥生を褒める。

 

弥生は照れくさそうに笑い、頭を掻く。

 

あれ?

 

「弥生、お前、手が消えてるぞ」

 

弥生の手が消えていた。

 

いや、消えてると言うより全体的に薄くなり始めてる。

 

「まさか………帰れるのか?」

 

「………多分」

 

弥生は自信なさそうに言う。

 

「そうか………弥生、一週間楽しかったぜ」

 

「……ああ、俺も久しぶりに修也と会えて楽しかったぜ」

 

「運が良ければまた会おう」

 

「おお!俺は運がいいしな。必ず会おうぜ」

 

そう言って、弥生は消えかかっている腕を上げる。

 

俺も腕を上げ、そして

 

「「じゃあな、英雄!」」

 

手を叩きあった。

 

既に消えている右手だったが、確かに、俺は弥生の手と触れ合った感覚があった。

 

「帰っちまったんだな」

 

「もう少し仲良くしたかったわね」

 

「ちょっと残念かな」

 

「なーに、大丈夫さ。どうせ、また会える」

 

そう言って、俺は空を見上げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふう、一週間ぶりの“ノーネーム”か。皆は元気か気になるな」

 

「そうか。俺は、お前が一週間も行方を眩ましてたことが気になるぜ」

 

「そうね。一体何処で何をしていたのか。はっきり言ってもらおうかしら」

 

「弥生、覚悟はいいね?」

 

「……………は、ははっ…………不幸だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

弥生、お前は強くなった。

 

だが、この先、もっと強敵が現れる。

 

そのためにも、お前は今以上に強くならないといけない。

 

だから、経験を詰め。

 

強くなれ。

 

そして…………お前が目指す英雄になれ。

 

今回の一件は、お前への試練と思え。




戦闘シーン…………大丈夫だったかな?

弥生らしい戦いになっていたか心配です。

では、次回からオリジナルストーリーになると思います。

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