問題児たちと血を受け継ぐ者が異世界に来るそうですよ?   作:ほにゃー

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修正版、投稿しました。

修正前のは、ただ単に十六夜のセリフを修也に言わせただけで、オリジナル性がありませんでした。

そのことを、指摘され、自分でも直した方がいいと思って修正しました。

それでは、ゆっくりお読みください。


第11話 修也VS蛟劉 決着だそうですよ?

蛟劉と俺の攻撃がぶつかり合うたびに、大地は抉れ、海水は吹き飛び、木々は衝撃波で薙ぎ倒される。

 

蛟劉は棍を二本取り出し、巧みに操りながら水流を操り攻撃を仕掛けて来る。

 

俺も白牙槍で応戦しつつ、血の力を使い攻撃する。

 

互いに一歩も譲らない攻防戦。

 

長期戦になれば、俺の方がヤバイ。

 

血の力は一見便利そうに見えるが、使い続けるってことは、大量の血を流すってことだ。

 

いくら吸血鬼でも、血を流し続ければ死ぬ。

 

なら、戦いを早々に終わらせないとな。

 

その時、蛟劉が一気に突っ込んでくる。

 

「おらっ!」

 

槍を地面に突き刺し、そのまま持ち上げる。

 

ちょうど、根が張ってる部分を突き刺したので、根っこごと地面を抉り取り、壁にする。

 

蛟劉はそんなのもお構いなしに、粉砕する。

 

その隙に背後に回り、首を狙う。

 

しかし、持っていた棍を背後に回し、防御する。

 

「そう簡単にやられてはくれないか!」

 

「当たり前や!こんなおもろいこと、簡単に終わらせたら勿体ないで!」

 

蛟劉は嬉しそうに笑みを浮かべながら叫ぶ。

 

「ハハハッ!楽しそうだな、蛟劉!」

 

「ほんま、楽しいで!ほんまに………ほんまにな」

 

嬉しそうにしながらも、蛟劉は悔しそうに顔を俯かせる。

 

俺は溜息を尽きながら、踵落としを地面に落とす。

 

地面は割れ、ヒビが蛟劉の足の間を走る。

 

蛟劉は躱そうと移動する。

 

移動場所をあらかじめ予測し、蛟劉の鳩尾を殴りつける。

 

殴られた衝撃で蛟劉は飛ばされるが、崖下に落ちそうな所で踏ん張り、落下を防いだ。

 

「こんなもんかよ!蛟魔王って言っても大したことないな!」

 

「…………ええで、この一撃、防ぎきったら君の勝ちや」

 

蛟劉は棍を捨て、海水を操る。

 

手の平に海水が集まり、渦をつくる。

 

「高速で回転する渦潮。これにちょっとでも触れてみ。体、斬り飛ばされるで」

 

そう言うと、俺目掛けて渦潮をフリスビーの様に投げる。

 

その時、跳んできた水しぶきが俺の頬を切り裂いた。

 

なんちゅう切れ味だよ!

 

そして、渦潮は地面を削り、木々を斬り倒し、俺に向かってきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………度胸は戦いにおいて重要なことや。君には何事にも物怖じせず、真っ向から戦いに行く度胸がある。そして、強さもや。でも、度胸と無謀は違うで」

 

そう言って蛟龍は土煙に向かって語る。

 

「これは、高めの授業料や。身を持って痛みを知れば、無謀な挑戦も、戦いも仕掛けんやろ」

 

蛟劉は海樹の果実に手を掛けようとする。

 

これを手に入れ、ゴールすれば白夜叉との契約は完了。

 

そして、蛟劉がもっとも会いたい人に合わせて貰える。

 

「待てよ。世捨て人が。まだ終わってねーぞ」

 

蛟劉はその声に驚き後ろを振り向く。

 

そこには、全身を切り刻まれていたが、槍を手に立ち上がっている修也が居た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……驚いたな。殺すつもりはあらへんかったけど、少なくとも立てなくなるぐらいの威力やったはずなんやけど」

 

「こいつだよ」

 

俺は僅かに血が残った小瓶を見せる。

 

「水龍の血。こいつを飲んで、水流を操って渦潮に穴を開けた。後はそこを潜り抜けて攻撃を躱したんだよ」

 

「渦潮の中に飛び込むって………下手すれば死ぬで。なのに、どうしてそこまで命を賭ける?“ノーネーム”が負けても、サラちゃんは“階層支配者”になる。僕がそう指名するからや。なのに、どうしてそこまで意地になって自分たちで勝とうとする?」

 

「決まってんだろ」

 

俺はにやりと笑う。

 

「強者に勝ちたいからだ!」

 

「……は?」

 

「お前は強い。だからこそ俺はお前を倒したい。だから、勝つ!」

 

「……“階層支配者”のことはええの?」

 

「いや、よくねえよ。ただ心配してないんだよ。耀は“二翼”を叩き潰すし、フェルナとコッペリアも必ずフェイスを倒して、優勝する。だから、俺は自分のするべきことをする。それが、お前の足止めだ。フェルナとコッペリアが優勝するその時まで、俺はお前をここにとどめる。そのついでに、お前に勝つ!」

 

「…………この蛟魔王を捕まえて、ついでかいな。ほんまおもろいわ」

 

「おもろいのはお前の方だろ。そんな腑抜けた面で“斉天大聖”に会おうってんだからな」

 

「!?……白夜王から話聞いとったんか?」

 

「いや、推測だ。枯れ木の流木と呼ばれてるお前が動く理由となればそれ以外に思いつかねぇよ」

 

俺は肩を落とし、蛟劉に向きなおる。

 

「はっきり言う。今のお前が“斉天大聖”あった所でどうなる?大海の大聖者が、三途の川に沈められるぞ」

 

「三途の川、か………笑えそうやけど笑えんわ」

 

「………蛟魔王と呼ばれ、あらゆる修羅神仏と戦った男が、今じゃ、“枯れ木の流木”と揶揄さえる始末。………それでいいのか?」

 

俺の問いに蛟劉は答えない。

 

「今のお前が言っても“斉天大聖”を失望させるだけだ。いや、最悪泣かれるかもな」

 

いくら言っても蛟劉は答えない。

 

「蛟劉、答えろよ。今のお前は………胸張って自慢できる功績が一つでもあるか?」

 

「……………やれやれ、僕も随分落ちぶれたもんやな。こないな若もんに、大事なこと気づかされるなんてな」

 

蛟劉はやれやれといった様子で首を振る。

 

「ジャッジマスター!僕の負けや!“覆海大聖”は、戦いを辞退する!」

 

その声が黒ウサギに届いたのか、蛟劉の名前が書かれた“契約書類”は音もなく燃え落ちた。

 

「あんがとな、修也。お陰で大事なことに気付けた」

 

「そうかい。そいつは良かった」

 

「ああ、今の僕には何もあらへん。だからこそ、胸張って会えるだけの功績が必要や」

 

それにっと蛟劉は付け加える。

 

「君とは本気で戦いたいしな。そのためにもこのゲームは少し、狭すぎや。じゃあな、修也。次に会うときは…………蛟魔王の“主催者権限”でお相手する」

 

「……ああ、その時はとびっきり面白いルールで頼む」

 

「もちろんや」

 

にこやかに笑って、蛟劉は滝の上から飛び降りる。

 

その横顔は覇気に満ち溢れていて、晴れやかな色をしていた。

 




次回、いよいよ最終話になります。

そして、エピローグを書いて蒼海の覇者編は終了となります。

では、次回もお楽しみに。

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