問題児たちと血を受け継ぐ者が異世界に来るそうですよ?   作:ほにゃー

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第8話 ギフトゲームが始まるそうですよ?

「あら?そういえば修也君は?」

 

「あぁ、そういえば言い忘れたがアイツは昨日サウザンドアイズに泊まったぜ」

 

「ど、どうしてそれを言わなかったんですか!?」

 

「言ったろ。言い忘れたって」

 

“フォレス・ガロ”の居住区画に向かおうとした時お嬢様が修也がいないことに気付いた。

 

そういえば黒ウサギにも言ってなかったな。

 

「大丈夫だろ。白夜叉もゲームに間に合うように帰すって言ってんだしよ」

 

「なら、いいですが・・・・あっ、見えました。あれが居住区画です・・・」

 

黒ウサギが絶句した。

 

ガルドとか言うやつは所有してる舞台区画ではなく居住区画をゲーム盤に使うらしいがその居住区画はジャングルに覆われていた。

 

「ジャングル?」

 

「虎の住むコミュニティだ。おかしくないだろ?」

 

「いや、おかしいです。フォレス・ガロ”の本拠は普通の居住区でだったはずです。それに…この木……」

 

「鬼化…だろ」

 

「って修也さん!?」

 

「よっ」

 

いつのまにか御チビの後ろに修也が立っていた。

 

なんか御チビに耳打ちをしてたか何の話だ?

 

「よぉ、間に合わないかと思ったぜ」

 

「これでも、時間厳守主義なんだよ」

 

そんな会話をしてると春日部が修也に近づきいきなり頬を引っ張り出した。

 

「…耀、何か?」

 

「…別に」

 

拗ねたようにいう春日部。

 

コイツはおもしろい。

 

「それより、ジン君。これを見て」

 

お嬢様の声に振り返ると門柱に“契約書類”が貼ってあった。

 

『ギフトゲーム名:“ハンティング”

プレイヤー一覧:久遠 飛鳥

        春日部 耀

        月三波・クルーエ・修也

        ジン=ラッセル

・クリア条件 ホストの本拠地に潜むガルド=ガスパーの討伐。

・クリア方法 ホスト側が用意した特定の武具でのみ討伐可能。

       指定武具以外は“契約”によってガルド=ガスパーを傷つけることは不可能

・敗北条件 降参か、プレイヤーが上記の勝利条件を満たせなくなった場合。

・指定武具 ゲームデリトリーにて配置。

 

先生 上記を尊重し、誇りと御旗の下、“ノーネーム”はギフトゲームに参加します。

                            “フォレス・ガロ”印』

 

「ガルドの身をクリア条件に・・・・指定武具で打倒!?」

 

「こ、これはまずいです!」

 

御チビと黒ウサギが悲鳴のような声を上げる。

 

確かにこりゃ、厄介だな。

 

「ゲームはそんなに危険なの?」

 

「ゲーム自体は単純です。ですか、このルールに問題があります。これでは、飛鳥さんのギフトで操ることも耀さんと修也さんのギフトで傷つけることもできません!」

 

「どういうこと?」

 

いまいち理解が出来てないお嬢様に修也が説明をする。

 

「“恩恵”じゃなくて“契約”でガルドは身を守ったんだ。“契約書類”のルールは絶対だ。早い話、神格クラスの“恩恵”でもガルドを倒すのは不可能なんだよ」

 

「すいません、“契約書類”を作った時にルールも決めるべきでした。僕の落ち度です。すみません……」

 

自分の不手際に落ち込み謝罪する御チビに修也は御チビの頭に手を置く。

 

「気にすんなよ。誰にでも失敗はする。それより……こっちの方が面白い」

 

修也の言葉に春日部、お嬢様が頷く。

 

「それじゃあ、行くか」

 

そう言って修也たちは門をくぐった。

 

十六夜SIDE END

 

 

 

修也SIDE

 

「かなり生い茂っていますね。これでは、隠れていても分かりません」

 

「大丈夫。近くから何の匂いもしない」

 

「俺の耳にも特に怪しい音も聞こえないし、見た限り直径1㎞圏内に異常はない」

 

門をくぐると目の前は木や草で覆われており道も分からない状況だった。

 

だが、耀の犬の嗅覚と俺の並外れた五感のお陰で問題ないのがわかる。

 

「風上にいるのに匂いがしないから建物の中に潜んでいる可能性が高いと思う」

 

「なら、まず外で指定武具とやらを探そう」

 

飛鳥とジンに指定武具を探してもらい俺と耀は周りの警戒に当たった。

 

耀は樹の上に立ち、俺は黒い羽根を出し空中に立っている。

 

「駄目ねそれらしい武具やヒントも見つからないわ」

 

「もしかするとガルド自身がその役目を担っているかもしれません」

 

「なら方針を変えましょう。春日部さんのギフトと修也君の五感でガルドを探して」

 

「もう見つけた」

 

「この森を抜けた先の屋敷にガルドらしい影が見えた」

 

俺の目には森を抜けた先のツタが絡みつき廃墟みたいになった屋敷の中に

 

ガルドと思しき人物を見つけた。

 

耀を見ると目が金色になっていた。

 

おそらく鷹の力の影響だろう。

 

なんかとても綺麗だな。

 

そんなことを思いながら地面に降り4人で屋敷を目指す。

 

遠くから見たのと同じで屋敷全体をツタで覆われている。

 

「すんなりと入れたわね」

 

「奇襲どころか罠の一つもないなんて」

 

ジンの言う通りあれだけ草や木に覆われているなら奇襲や罠が仕掛けられていても

 

おかしくはないのにそれが一つもないのはおかしい。

 

なんか策でもあるのか?

 

「2階にガルドはいた」

 

「よし、戦力を分けよう。飛鳥とジンは1階で待機。俺と耀が2階に向かいガルドの様子と指定武具の情報を探る」

 

「ちょっとなんで私が待機なの!?」

 

「そうです!?僕だってギフトはあります!足手まといには」

 

「いいから話を聞け」

 

怒る飛鳥とジンを宥めて理由を説明する。

 

「まず、ジンと飛鳥には退路を守ってもらいたい。退路がないと撤退が出来ないからな。それと今回のギフトゲームは指定武具での討伐、これだと飛鳥のギフトは効かない。なら、ジンと一緒に退路を守るほうについてもらう方がいい。分かったか?」

 

俺の説明に飛鳥とジンは不満そうだったが結局は納得してもらった。

 

「よし、いくぞ」

 

「うん」

 

耀と一緒に階段を上り終えると目の前に大きな扉があった。

 

両脇に立ち扉を上げると

 

「GEEEEEEEEEEYAAAAAAAAAAAAaaaaaaa!」

 

虎の怪物が白銀の十字剣を背に守るように立ち塞がっていた。

 

「飛鳥!ジン!今すぐ逃げろ!」

 

階下にいる飛鳥たちに聞こえるように声を張り上げて叫ぶ。

 

ギフトカードから白牙槍を取り出し構える。

 

おそらくあの虎はガルドだ。

 

そして鬼化された植物、白銀の十字剣、これで全てわかった。

 

「耀!俺がガルドを引き付ける、その間にあの剣を回収してくれ!」

 

「わかった!」

 

耀も何かを察したらしくすぐさま剣に向かって走り出した。

 

ガルドが爪で耀を襲おうとしたが俺が間に入り槍で受け止める。

 

「お前の相手は俺だ!」

 

ガルドの爪を受け止めてる間に耀が十字剣を回収した。

 

そして、そのまま剣をガルドに突き刺そうとする。

 

しかし、耀が剣を回収した瞬間俺は気が緩みガルドが俺を突き飛ばした。

 

「ぐはっ」

 

半分吸血鬼といえども結構痛い。

 

俺を突き飛ばすとガルドはそのまま耀に襲いかかった。

 

耀が振り下ろした剣はガルドの爪に弾かれ勢いよく飛ぶ。

 

「あっ」

 

爪が耀を襲い右腕を切り裂く。

 

「耀!」

 

飛ばされ床に刺さった剣を抜きガルドの手を斬る。

 

それと同時に俺の脇腹を爪で切り裂かれる。

 

傷口が焼けるような痛みに襲われるがそのまま走りだす。。

 

十字剣はギフトカードに入れ耀を抱きかかえる。

 

「……すまない」

 

 

 

 

 

 

嗅覚と視覚、聴覚を使いジンと飛鳥の場所を探した。

 

「飛鳥、ジン!」

 

「修也君!」

 

「修也さん!」

 

血まみれの俺と耀を見て飛鳥とジンは驚く。

 

「耀を頼む」

 

耀をジンに渡し、脇腹を押さえながらガルドのとこへ向かおうとすると飛鳥に止められた。

 

「どこにいくつもり?」

 

 

「決まってる。ガルドの所だ」

 

「そんな怪我で行っても返り討ちにあうだけよ」

 

「だが、耀は俺のせいで傷ついた。俺がガルドを倒さないと」

 

「それで、あなたが死んだら春日部さんは自分の怪我であなたを死なせたと思うわよ」

 

飛鳥のその言葉に俺は何も言えなかった。

 

「私たちはコミュニティの仲間であると同時に友人よ。

 

少しは私たちを信じなさい」

 

「……わかった。なら、頼む」

 

ギフトカードから十字剣を取り出し飛鳥に渡す。

 

「そいつが指定武具だ。ガルドは今虎になってる。動きが素早い。倒すには動きを封じないといけない」

 

「まかせて、勝算はあるわ。ジン君、修也君と春日部さんをお願い」

 

「……はい、分かりました」

 

飛鳥の言うことに従いジンは耀と俺の応急手当を始めた。

 

「飛鳥、帰って来いよ」

 

「ええ、修也君も私が帰って来た時に出血多量でご臨終なんてやめてよね」

 

「ああ、わかった」

 

飛鳥が剣を片手に森の奥に進むのを見て俺は出血と痛みから眠気に襲われた。

 

取りあえず、後は飛鳥に任せよう。

 

それにしても、耀にはとんでもない怪我を負わせちゃったな。

 

後で、もう一度謝らないと……


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