問題児たちと血を受け継ぐ者が異世界に来るそうですよ?   作:ほにゃー

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第6話 背後の影だそうですよ?

翌日、“ペルセウス”で一晩過ごし、俺は“アンダーウッド”に戻って来た。

 

“アンダーウッド”では、今日のメインのギフトゲーム、“ヒッポカンプの騎手”が始まりそうになっていて大賑わいとなっている。

 

取りあえず、俺は“ノーネーム”に割り当てられた更衣室テントに向かう。

 

その時、有翼人が三名ほど俺たちのテント側から走って行くのが見えた。

 

確か、彼奴らは“二翼”の「修也?」

 

声を掛けられて振り向くと、そこにはセパレートタイプの水着を着た耀が居た。

 

「耀?どうしてここに?」

 

「お腹空いたから何か食べに行こうと思って」

 

相変わらず色気より食い気だな。

 

「修也も付き合って」

 

「分かったよ。その前にこれ着とけ」

 

流石に水着姿でうろつかせるのもあれなので、俺が着てる黒いコートを着せた。

 

「うん、ありがとう」

 

「よし、じゃあ行くか」

 

右手で耀の左手を掴む、耀は一瞬驚きの表情になったが、すぐに笑顔になった。

 

「そういえば、“ヒッポカンプの騎手”って個人戦からチーム戦になったんだよな?」

 

「うん。私達は飛鳥が騎手で、私、修也、十六夜がサポートって風になってる」

 

なるほど。

 

ディーンが壊れて使えない飛鳥はサポートに向かないし、なによりヒッポカンプのスピードに付いて行けないだろう。

 

そう考えて、飛鳥を騎手にして、空を飛べる俺と耀、ヒッポカンプに付いてこれる十六夜が護衛か。

 

「修也……お腹空いた」

 

「ああ、そうだな。それじゃあ、どこか屋台でも行くか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

十六夜 SIDE

 

黒ウサギがテントを出て、白夜叉の所に向かい、春日部も腹が減ったと言ってテントから出て行って、今テントの中では俺とお嬢様しかいない。

 

正直、水着姿のお嬢様と居ると調子が鈍る、

 

普段なら軽くセクハラ発言して、からかうのが俺なのにそれができない。

 

くそ、本当にどうしちまったんだよ…………

 

「ね、ねぇ、十六夜君」

 

「お、おう。どうした、お嬢様?」

 

やべぇ、今声が上擦っちまった。

 

「その、私の水着、やっぱり変かしら?」

 

「……あ?」

 

「だって、春日部さんや黒ウサギの水着は褒めてたけど、私に関しては何も言わなかったから。だから、変なのかなって………」

 

「そ、そんなことねぇよ!むしろ似合いすぎてるぐらいだぜ!」

 

「そ、そう?……でも、黒ウサギと比べると私、胸もあまり無いし」

 

「そんなの関係ねぇえ!俺はお嬢様の方がいいと思うぞ!」

 

………………は!

 

お、俺何変なこと言ってるんだ!?

 

「い、十六夜君………」

 

お嬢様は耳まで真っ赤にして、俺を見てくる。

 

そんなお嬢様が色っぽいと思い、俺は思わず視線がお嬢様の唇、首筋、胸、腹、そして………………

 

「お、俺、ちょっと外出てるぜ!」

 

俺は火照った顔を覚ますために、慌ててテントを離れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

飛鳥SIDE

 

十六夜君が去って行って方を見つめ私は高鳴る自分の胸に手を当てる。

 

「………凄いドキドキ言ってるわ」

 

これが…………恋………

 

そう思うと恥ずかしい反面楽しく思えた。

 

まさか、私の初恋の相手が十六夜君だなんて、思ってもみなかったわ。

 

春日部さんも、修也君を想ってた時はこんな感じだったのかしら?

 

恋って素敵なのね。

 

「……多分、黒ウサギも十六夜君が好きなのよね」

 

あの反応を見てれば、黒ウサギが十六夜君に好意を抱いてるのは一目瞭然ね。

 

確かに、私は黒ウサギ程、愛嬌もないし、胸もない。

 

でも、黒ウサギと同じぐらい……いいえ、黒ウサギ以上に十六夜君の事を想ってるわ!

 

「……負けないわよ」

 

誰もいないテントで私は一人ぼそっと呟いた。

 

その時、急に背後から何者かが私の口を塞いだ。

 

「!?ん~~~~~~!!」

 

慌てて抵抗するが、口に押し当てられた何かのせいで、私の意識は徐々に薄れ、そして意識を無くした。

 


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