問題児たちと血を受け継ぐ者が異世界に来るそうですよ?   作:ほにゃー

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番外編 マッチョ人形襲撃だそうですよ?

「クッハー!なんでえ、なんでえ!お前さんら調理も人並み以上に出来るんじゃねえか!こりゃ調理大会に出なかったのが惜しまれるな!」

 

俺たちが作った料理をガロロさんは絶賛した。

 

「…………馬鹿言うなよ。俺の料理スキルなんざ趣味の範疇でしかねえよ。出るとしたら、春日部一択だろ」

 

十六夜は少しむっとした表情で耀を見る。

 

「そうね、まさか春日部さんがこんなに料理が上手だったなんて…………私なんて焦がしてひっくり返してしまったのに………」

 

飛鳥はしょんぼりとした表情でショックを受けてる。

 

「てっきり耀は食べること専門だと思ってたが………人は見かけによらないな」

 

「それってどういう意味?」

 

また耀が不機嫌になってこっちを睨んでくる。

 

「私だって……女の子だもん」

 

拗ね方が可愛い……………

 

「悪い悪い。でも、料理は滅茶苦茶うまいぞ」

 

「……本当?」

 

「ああ」

 

「………そっか」

 

素っ気なく返事をするが、顔は笑っていた。

 

「それにしても素晴らしい。これは調理法もそうだが具材選びにも拘ったと見える」

 

同席していたサラが口元を緩ませながら耀に聞く。

 

「素晴らしい部分を見つけるのは得意。私、独り暮らしだったから、ご飯を美味しく食べる様にしてたら、いつの間にかこうなってた」

 

少し得意げになって言うように対し、十六夜はまたむっとし、飛鳥は更に落ち込んだ。

 

そんな中、何故かリリは上の空と言った表情でキッシュに手を付けてすらいなかった。

 

「リリ、食べないの?」

 

「え?あ、はい。いただきます」

 

リリは慌てて両手を合し、キッシュを口に運ぶ。

 

だが、歓声も上げずやはり上の空でいる。

 

「リリ、何かあっただろ?」

 

「え?」

 

「いつものリリらしくないぞ。何があったなら話してくれるか?」

 

俺がそう言うとリリは少し困ったような表情をして、話し始めた。

 

リリが言うには、今日俺達と別れた後、路地で店を見つけ、そこの店でいいブローチを見つけた。

 

それを黒ウサギへのプレゼントにしようと思ったのだが、ギフトゲームに勝利した者のみが買うことを許された店だったそうだ。

 

おまけに店主は不在。

 

ガロロさんが言うには、盗賊に対するトラップか何かなんじゃないかとのことだ。

 

「とにかくそんなブービートラップ紛いな店があるのは物騒だな。議長さんよ。悪いが主催の一人として現場を見て来てくれないか?」

 

「分かりました危険な店なら破壊しても構いませんね?」

 

「ああ、やっちまってくれ」

 

こうして、俺達四人とサラ、リリの六人はその店に向かうことになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

リリの言ってた店に行くには市場を通り過ぎて断崖の割れ目から入るそうだ。

 

そしてその場所に向かってみたが明らかに不自然だった。

 

人が通れるぐらいの大きさなのに、誰一人として気にしていない

 

「なるほど。簡単には入れないようになっているのか」

 

「そうだな…………人払いの恩恵を使っているのかもしれない」

 

「なら、どうしてリリはこの亀裂を見つけられたの?」

 

「そ、それはその…………暴れ牛に跳ね飛ばされて…………」

 

『暴れ牛?』

 

なんというか物騒な話だ。

 

「暴れ牛って闘牛でもやってたのか?」

 

「暴れ牛に跳ねられて隙間に入る………偶然にしては凄い偶然だな」

 

「暴れ牛に跳ねられて隙間に………少し出来過ぎてるわ」

 

「うん。偶然に暴れ牛がやってきて、偶然にもリリを跳ね飛ばすなんて。そんな偶然が」

 

 

「うわあああ!暴れ馬だああああ!!!」

 

 

「ひゃー!?」

 

「「「……………………」」」

 

行き成りやって来た暴れ馬がリリを撥ね飛ばし、リリはそのまま隙間の中に落ちてしまった。

 

行き成りの出来事に俺達は呆然としてしまった。

 

「おい、何をしている!早くあの子を追うぞ!」

 

「「「「ッ!!」」」

 

サラに一喝され、俺達もあわてて隙間の中に入った。

 

隙間に入って五分ぐらいでリリは直ぐに見つかった。

 

「お前ら、明日の夜は、暴れ馬の馬刺しなんてどうだ?」

 

「賛成。ついでに暴れ牛の焼肉もしないとね」

 

この二人、あの暴れ馬を食う気だ…………

 

まぁ、確かに俺もあの暴れ馬どもを許せない。

 

暫く歩いているとリリの言ってた店が見つかり、話の通り、店の扉には『ゲームクリアした者のみ売買可』との『契約書類』があった。

 

中に入ると中には雅な装飾品や骨董品があった。

 

だが、どれも値段が異様に高く、現“ノーネーム”の生活費十年分は掛かる物もあった。

 

店の奥には店主が座る椅子があり、そこには一体の人形とその人形が持ってる“契約書類”があった。

 

 

『[───わたしはせかいいちのはたらきもの───

 

ひとりめのわたしはせかいいちのはたらきもの!

 

だれのてをかりなくてもうごいてうごいてうごきつづけたよ!

 

あまりにうごきつづけたから、はじめのとうさんもおおよろこび!

 

だけどあるひ、それがうそだとばれちゃった。

 

ひとりめのとうさんとわたしは、うそがばれてこわれちゃった。

 

 

ふたりめのわたしはせかいいちのはたらきもの!

 

ともだちがてをかしてくれたから、うごいてうごいてうごきつづけたよ!

 

あまりのもうごきつづけたから、つぎのとうさんもおおよろこび!

 

だけどあるひ、それがにせものだとばれちゃった。

 

でもふたりめのわたしととうさんは、ともだちのおかげではたらきつづけたの。

 

 

さんにんめのわたしはほんとうにはたらきもの!

 

まだうまれてないけど、えいえんにはたらきつづけるの!

 

はやくうまれろ!はやくうまれろ!みんながそういいつづけたよ!

 

だけどあるひ、わたしがうまれないとばれちゃった。

 

だからさんにんめのとうさんは、さんにんめのわたしをあきらめたの。

 

だけどそんなのゆるさない!たくさんのとうさんがわたしをまっている!

 

とみも!めいせいも!じんるいのゆめも!わたしがうまれたらてにはいる!

 

だからお願い……私を諦めないで……!例え、真実が答えでも……!』

 

なんというかかなり変則な文面だな。

 

こんな“契約書類”もあるんだな。

 

「悪いが私にはさっぱりだ。お前たちに任せるよ」

 

「おいおい新しい“階層支配者”がそんなんでどうする」

 

どうやらサラは謎解きはあまり得意じゃないようだな。

 

「それにしても真実が答えでも……か。此奴はまた残酷なゲームだな」

 

ん?十六夜は答えが分かったのか?

 

そう思ってると、急に店全体に地鳴りのような音が響いた。

 

「気を付けろ!何かがいるぞ!」

 

「それも多分…………一つや二つじゃない…………!」

 

サラと耀が声を上げて警告する。

 

地響きがする方向を見ると『従業員以外立ち入り禁止』と書かれた扉の方向だった。

 

十六夜はリリを肩車する。

 

「リリ、絶対に離れるな」

 

「は、はい!」

 

「来るぞ!」

 

ハープーンガンを取り出し扉の方に向ける。

 

そして

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

扉から大量のマッチョ人形が現れた。

 

「「「「―――――うわお」」」」

 

俺達四人はコンマレベルの狂いが無いぐらい完璧に同じタイミングでそう言った。

 

てか、マッチョ人形、滅茶苦茶リアルだな。

 

制作者の趣味嗜好はともかく人形作りの技術としてはかなりのレベルだ。

 

等と感心しているとマッチョ人形はエレガントのポージングを取り、白く輝く歯を見せて

 

「………ムキッ!」

 

「ムキ!?」

 

「ムキ!!?」

 

「ムキって鳴いた!!?今ムキって鳴いた!??」

 

「落ち着け女性陣。今のは泣き声じゃない」

 

「おそらく掛け声だろう」

 

女性陣は混乱し、俺と十六夜はなんとか耐える。

 

すると、マッチョ人形は臨戦態勢に入り

 

「………マッチョ!」

 

「マッチョ!?」

 

「マッチョ!!?」

 

「今マッチョって鳴いた!!?今のは絶対マッチョって鳴いた!??」

 

「そうだな。今のはマッチョって鳴いたな」

 

「確実に鳴いたな」

 

更に女性陣は混乱し、俺と十六夜ももう諦め半分で匙を投げた。

 

互いに睨み合い(?)先に動いたのはマッチョ人形だった。

 

「……雄々オオオオオオオオオオオオオオオオォォォォォォォォォォォ!!!」

 

雄々しいとしか表現できない雄叫びを上げ俺達に向かってマッチョ人形は迫って来た。

 

『きゃああああああああああああああああああああああああああ!!!』

 

女性陣はあまりの恐怖から全力で退避した。

 

「キ、キモイ!キモイわ!!」

 

「ない、アレはない」

 

飛鳥と耀は漢の夢を体現したような筋肉に真っ青になり、後退する。

 

サラはもう店の外に居た。

 

十六夜は後ろ走りしながらマッチョ人形を見つめていた。

 

「……一体欲しいな」

 

「なんでだよ!?」

 

「やめて!」

 

「ヤメテ」

 

「や、止めてください!」

 

十六夜は残念そうに溜息を吐く。

 

溜息吐くほど欲しかったのかよ…………

 

てか、さり気なく飛鳥を脇に抱えてるし…………

 

心なしが飛鳥の頬がちょっと赤い気がする…………

 




タグに十六夜×飛鳥を加えようか悩んでる今日この頃

私はどうしたらいいのでしょう?

じっくり検討しようかと思います。

それでは次回もお楽しみに


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