問題児たちと血を受け継ぐ者が異世界に来るそうですよ? 作:ほにゃー
皆さんはもう買いましたか・
私は買いました。
収穫前夜祭
俺は耀と飛鳥と共に売店市場で買い物に来ている。
半ば耀に無理矢理連れてこられたんだが…………
こっちは“ノーネーム”が六桁に昇格に必要な連盟旗の為に、連盟となるコミュニティとの交渉の準備で忙しいって言うのに…………
ちなみにジンは“ウィル・オ・ウィスプ”“六本傷”との交渉をし、俺は“インフォーマント”と“ペルセウス”の交渉をすることになった。
ネズさんの所はともかく、ルイオスの所はどうだろうか…………
俺との関係はともかく、十六夜達との関係が悪いな。
とくに飛鳥とか……………
「修也、聞いてる?」
「あ?……あ、ああ、聞いてる!」
ヤッベ!
全然聞いてなかった。
「……飛鳥にこの服に合うかって話」
耀が俺を疑いの目で見つめ、話してた内容を教えてくれる。
飛鳥が手に持ってる服は股下から大胆に割れ目の入ったオーバースリットのスカートだ。
「飛鳥って日焼けとかしてないからそういう肌を見せる服とか結構似合うと思うぞ」
「そ、そうかしら?」
俺の言葉に飛鳥は頬を赤くし、照れる。
「む~~~」
すると耀は頬を膨らませ明らかに不機嫌さをアピールしてくる。
そんな耀が可愛く思え、俺はご機嫌を取る意味も込めて頭を撫でる。
暫く撫でてやると耀は機嫌が直ったのか、ふにゃっとした笑顔になった。
「はぁ~、いちゃつくなら他所でしてほしいわね」
飛鳥が何か言ってるが良く聞こえなかった。
「飛鳥はどんな服が好きなの?」
耀は頭を撫でられながら飛鳥に問う。
「可愛ければ洋も和も好きよ。着物だって昔はよく来てたもの」
「私も着物は好きだな。来ていて身が引き締まる感じがする」
「そうね。一着ぐらい持っていた方がいざという時困らないし、機会があったら“サウザンドアイズ”に探しに行きましょう」
二人は笑い合いながら頷いた。
すると、両手に荷物を抱えた十六夜とリリが見えたので、手を振った。
十六夜達も気づき手を振って応える。
「よお、買い物か?」
「少し時間が開いたからだとさ。俺は耀に無理矢理」
「返事待たせてんだから、少しぐらい我儘聞いてやれよ」
ヤハハと笑い十六夜が肩を叩いて来る。
「それで、お前たち、黒ウサギに渡すプレゼントは決まったのか?」
「ええ、水樹の幹から削り出した紅塗りの櫛よ」
「寝癖も一差しで綺麗になる優れもの。三人でそれぞれ違うデザイン」
二人は胸を張って自慢げに応える。
「なるほどな、修也は?」
「俺はコイツだ」
ギフトカードに収納していたある物を取り出す。
それは赤い宝石が埋め込まれた、金色の簪だ
「うわ~、綺麗」
「これは、何なの?」
「赤い宝石は血宝石って言って、血が炭素と結合してできた宝石なんだ。輝きは良し、硬度も良し。それに、血宝石には、魔除け恩恵が付与されているんだ」
俺の説明に耀と飛鳥は凄いっと言った感じで簪を見る。
「現地の高級品か。捻りは無いが王道だ」
十六夜は上から目線で感心してくる。
「それで、十六夜君は決めたの?」
「いや、まだだ。市場には別件で来たからな」
「十六夜様がパンプキンキッシュを御馳走してくれるというので…………皆さんもご一緒しませんか?」
リリは二尾をパタパタと嬉しそうに揺らす。
「十六夜君が料理ねえ。本当に作れるの?」
「当然だ。お前たちよりも上手いぜ」
「……それはちょっと聞き捨てならない」
「全くだな。十六夜、お前だけが料理できると思ったら大間違いだ」
流石に俺も今の十六夜の言葉にカチンと来た。
耀と飛鳥も同じらしく、いざよいに対して挑戦的な目を向けている。
「種目は?」
「欧風だ。メインはキッシュだから残るはスープと前菜、デザート」
「了解、行こう」
耀の声を合図に俺達は食材置き場に向かった。
そんな俺達を十六夜はヤハハと笑って見送った。