問題児たちと血を受け継ぐ者が異世界に来るそうですよ? 作:ほにゃー
「十六夜、お疲れだ」
「ああ、後は任せたぜ」
ボロボロになった十六夜とハイタッチを交わし、十六夜は手当、俺は最終戦に向かった。
「修也君、あと一勝よ。頑張って」
「いえしゅ!しゅーやしゃんなら、じぇったひにかちぇましゅ!(YES!修也さんなら絶対勝てます!)」
「修也、信じてるから」
「ああ、行ってくる」
みんなに激励の言葉を貰い、中央に進む。
「よぉ、五月雨。俺がお前の相手だ」
「まぁ、僕としては修也と戦いたかったから嬉しいけどね」
俺と五月雨は軽く握手をし、距離を開ける。
兎「では、最終戦 月三波・クルーエ・修也VS五十嵐五月雨 スタートです!」
黒ウサギの合図と共に、五月雨は金と銀の剣を出し、斬り掛かってくる。
白牙槍で、銀色の剣を、ハープーンガンで金色の剣を受け止める。
「デュランダルで斬れないとは良い槍だな」
「そっちこそ、この槍に斬り掛かって刃こぼれしないとは恐れ入るぜ」
次の瞬間、互いに距離を取り、離れる。
ハープーンガンを五月雨に向け撃つ。
五月雨はこの銃の威力を分かっているかのように、素早く避ける。
ハープーンガンから飛び出した銛が、地面に突き刺さり、紙面を抉る。
「うお、すげぇ~。あれ、受け止めてたら大変なことになってたな」
「初見でよくコイツの威力を理解できたな」
ハープーンガンの威力を見切られたとなるともう使えないと判断し、大人しく仕舞う。
代わりに血の小瓶を取り出し飲む。
「……それ、血か?」
「あ、言ってなかったな。俺、吸血鬼なんだ」
そう言うと、俺は素早く移動し、背後を取る。
そして、白牙槍を振る。
「ちっ!」
五月雨は金の剣で斬撃を受け止め、銀の剣で斬りつけてくる。
後ろにのけ折ることで銀色の剣の一撃を躱す。
「まさか、吸血鬼だとはな!」
「へ!ついでだ、良い物見せてやるよ」
俺は槍に風を集め、そして一点に集中させる。
そして、突きを放つ。
突きを放つと、槍の先に集まってた風が一気に飛び出し、巨大な風の槍になって五月雨を襲う。
風の槍は、五月雨に直撃したように見えた。
砂煙が酷くて良く見えないが、おそらく「これで、倒せると思ったか?」
いつの間にかは背後に五月雨が立っていた。
「まさか、グリフォンのギフトが使えるとはな。それもギフトか?」
「ああ、幻獣の血を飲むことでその幻獣の力を一時的に使うことが出来る。俺のギフトの一部だ。それで、お前はどんな方法であの一撃を交わした?正直、あれを倒せないにしろ手傷ぐらいは負わせれると思ったんだが?」
「ああ、それはこうしたんだよ」
次の瞬間、五月雨はまた俺の後ろに居た。
「光+速度、これで俺自身の素早さを瞬間的にあげて光速の速さをだした」
「おもしろいことするな」
そして、再び槍と剣が切り結び合う。
「雷+発射+拡散」
今度は雷を俺に向け発射してきた。
おまけに拡散していて攻撃範囲がでかい。
翼を出し、上空に避難する。
「そこだ!風+斬撃+拡散!」
俺が上空に避難すると分かっていたらしく、俺は風の刃に切り裂かれる。
「くっ!」
体中を切り裂かれ、ヒリヒリとした痛みが体を襲う。
このままじゃ、こっちが負ける。
なら………
もう一度、槍に風を纏い、風の槍を放つ。
だが、狙うのは五月雨じゃない。
俺はそのまま、風の槍を地面に叩き付けた、
地面に激突した風の槍は地面を抉り、そして、砂煙を巻き起こす。
さっきのよりも威力を高めたので砂煙が俺たちだけでなく、十六夜達も襲う。
「修也のヤロウ!やりすぎだぞ!」
「ゲホッ!ゲホッ!無茶苦茶じゃない!」
「……二人が見えない」
全員の視界が塞がってる。
やるなら、今だ!
俺は素早く耀の背後に回り、耳元でささやく。
「悪い。あとで、何でもしてやるから」
「え?」
耀が頭に疑問符を浮かべた瞬間、俺は耀の首に噛みついた。
「あうっ!」
ゆっくりと耀の血を口に含み、飲み込む。
飲み終わると、傷口は舐めて塞ぐ。
「あひゃ!」
耀の血を飲んだおかげで、傷も塞がり、力が湧いて来る。
「五月雨、決着と行こう」
「どうやら、何かしたらしいな。いいだろ、とっておきを見せてやる」
そう言うと、五月雨は、二本の剣を交差させた。
「全能の神嵐・十閃(ゴッドテンペスト・クロス)!」
あれは、まずいな。
素早く腕を切り裂き、血を撒き散らす。
「我が血よ!我が名のもとに従え!我が命を守りし盾となれ!」
血に命じ、血の障壁を造りだし、五月雨の攻撃を受け止める。
だが、血の障壁はそれを全て受け止められず破壊される。
「まさか、あれを防ぎきるとはな」
五月雨が感心そうに言う。
俺はというと
「は、はは、ははははははははははは!あはははははははははははは!」
高笑いしていた。
「おい、どうした?笑いだしたりして?」
「いや、十六夜以外だとお前が初めてなんだよ。人間で、俺と対等、いや、それ以上の奴と戦うのは」
「それで?」
「…………ありがとな。お前のおかげで箱庭がもっと楽しくなりそうだ。案外、探せばいるかもしれないな。お前みたいな奴」
「……そうか。僕も、お前みたいな奴は初めてだ。この世界で会えたら家族になりたかった」
「お前と戦うのは楽しいが、そろそろ終わりにしよう」
「そうだな」
そう言うと五月雨は金の剣を仕舞い、銀の剣を正眼に構える。
俺は槍に自分の血を塗り、そして、麒麟の血を飲む。
「我が血よ。我が名のもとに従え。その血に流れる力を槍に纏わせよ!」
槍に血の力が宿り、麒麟の雷が纏わりつく。
「行くぞ!」
五月雨は銀の剣に光を集め収束する。
「くらえ!血の雷槍(ブラッティ・サンダースピア!)」
「全能の神嵐・裂斬(ゴッドテンペスト・スラッシュ)!」
槍と剣がぶつかり、巨大な爆発を起こした。
そして、勝負は…………………
次回、コラボ最終話