問題児たちと血を受け継ぐ者が異世界に来るそうですよ? 作:ほにゃー
「…………ここは?」
目を開けると知らない天井が目に入った。
私は一体………
「目が覚めたか?」
聞きなれた声が聞こえそっちの方顔を向ける。
そこには修也が居た。
「修也、ここは………」
「“アンダーウッド”の主賓室だ。お前、二、三日眠りっぱなしだったんだぞ」
そんなに寝ていたのか………
「もしかして、ずっとそばに居たのか?」
「いや、全員で交代しながら待ってたんだよ。目が覚めた時誰かいなかったら心細いだろ?」
そう言って修也は、にかっと笑う。
その時部屋の扉が騒がしい音を立てて開かれた。
「修也さん!交代にってレティシア様!御目覚めになられたのですね!」
「ああ、つい先ほどな」
「そうでしたか!あ、黒ウサギは皆さんを呼びに行ってまいります!」
歓喜の声を上げ黒ウサギは部屋を飛び出していく。
まったく、相変わらず騒がしいな。
でも、なんだが懐かしく感じる。
「俺、ちょっと耀に呼ばれてるから、一度席を外すぞ。また後で来る」
「ああ、わかった」
「それと、結構無理してたんだ。もう少し寝てろ」
そう言って修也は私の頭を軽く撫でて部屋を出て行った。
頭を撫でられた時、一瞬、修也の姿が叔父上と重なって見えた。
「ふっ、修也、お前は何処までも叔父上にそっくりだな。……………叔父上、貴方の意志はしっかりと引き継がれてます」
空を見上げ、そう語った。
さて、もう一眠りするか……………
レティシアSIDE END
修也SIDE
耀に言われて俺は今“アンダーウッド”の比較的被害が少ない場所に来ている。
一体話って何だ?
「それにしても、人の気配が無いな」
そんなことを考えていると耀の姿が見えた。
なにやら、そわそわしている。
「耀」
「あひゃ!?」
あひゃってなんだよ。
「しゅ、修也。来たんだ………」
「話があるから来てくれって言ったのは耀だろ?」
「あ、う、うん。そうだね」
なんだ、様子が変だぞ。
それになんか顔も赤い。
「そうだ、レティシア目覚めたぞ。後で会いに行こうぜ」
「う、うん」
なんだか、耀の動きがきごちないな。
「………あのさ、私達って出会ったから随分時間が経つよね」
「そういえばそうだな」
「初めて会った時、修也の事、変わった人だと思った」
か、変わった人って…………
「でも、その後はとても仲間想いの優しい人だって思った」
変わった人から仲間想いの優しい人か………
中々のランクアップだな。
「北の誕生祭の時、修也が連れ去られた時、とっても心配した。だから、会えた時とっても嬉しかった。でも、その後、修也が一人で戦いに行って、辛かった。それに、頼られなくてとても悲しかった」
その言葉に俺は言葉を失った。
「大怪我して、倒れてる修也を見て泣きそうになった。今回でも修也一人に戦わせることが多かった。その度に何度も胸が押しつぶされそうな感覚になった。怪我をしてボロボロになる修也を見るたびに胸が苦しい」
…………………
「どうしてこう思うのか最初は分からなかった。ただの憧れとか尊敬とかそういう類のものだと思ってた。でも、修也が傷付くたびに、とても苦しかったし、悲しかった。それで、やっと気づいたの」
そう言って耀は俺を見上げる。
顔を真っ赤にしながら。
「私、春日部耀は
月三波・クルーエ・修也のことが好きです」
その言葉に俺の思考は停止した。
今………好きって言ったか………?
「友達とか、仲間としての好きじゃない。異性としての好きだよ」
これって……………告白されてる?
「ねぇ、修也の返事を聞かせて」
耀は顔を真っ赤にして聞いて来る。
その表情はどんな答えでも受け入れるといった感じだ。
俺は……………耀をどう思ってるんだ?
最初は、不思議な子だと思った。
でも、その後結構ノリがよくて、そして、ちょっとしたことですぐ不機嫌になって、なんか子供っぽい所がある女の子だ。
それていて、こんな俺に対して好きだと言ってくれた。
……………俺は…………
「…………耀
少し時間をくれ」
「………………………………………………………………………………………………は?」
耀は真っ赤にしてた顔を瞬時に真顔に変え、一言そう言った。
だって、女の子に告白されるとか初めてだし、それに俺自身耀の事をどう思ってるのか分からない。
そりゃ、他の女の子と比べたらそれなりに好感度高いし、好きであるのは確かだ。
でも、それがlikeかloveなのかは分からない。
「時間をくれ。頼む」
「…………私がどんな気持ちで告白したと思う?」
「…………」
「一世一代の告白だったんだよ」
「……………」
「それなのに時間をくれって…………呆れるよ」
「…………すみません」
「ヘタレ」
「返す言葉もありません」
「…………………わかった。時間あげる」
「………すまない」
「だから、これだけ許して」
そう言いって耀は俺の両手で挟んできた。
これはアレか。
ドラマや映画的なパターンか。
おそらく頬にキスでもするんだろう。
まぁ、時間を貰うんだ。
それぐらい構わないか。
そう思い覚悟を決める。
そして、耀は俺の唇に自分の唇を重ねた。
あれ!?なんかおかしくね!?
「よ、耀………」
「キスってする場所によって意味があるんだ。
手なら尊敬、額なら友情、頬なら満足感、唇なら愛情、閉じた目の上なら憧憬、掌なら懇願腕と首なら欲望。……………本気だから」
恥ずかしかったのか耀はそっぽを向きながらそう言う。
「……………いつまでも待ってるから、ゆっくり考えてね」
「あ、ああ」
「うん、レティシア、目覚めたんだよね。行こ」
そう言って耀は俺の手を取って走り出す。
耀の横顔を見ながら俺は一つ決意する。
耀の為にもちゃんと考えないとな……………
付き合うと思った方、挙手。
残念ながら付き合いませんでした。
修也君、ヘタレですねwwww
期待してた方々すみません。
でも、告白したことで耀の枷は外れました。
これからどんどん修也君に甘え捲るでしょう。
その辺に期待してください
では、また次回