問題児たちと血を受け継ぐ者が異世界に来るそうですよ?   作:ほにゃー

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第5話 “生命の目録”の真実だそうですよ?

方針が決まり、俺達は城の外郭を一周することを目的として、探索することになった。

 

その結果、城下街は城を中心に十二分割された区域で仕切られていることが分かった。

 

「十二分割された城下街に“獣帯”か……………ますます関係が深くなったな」

 

「うん。もしかしたら、各区域に何か秘密があるかも」

 

「では、私は上空から探してみます。お二人はアーシャと共にお子様たちと探索してください!」

 

カボチャ頭を揺らしながらジャックは空に向かって飛んで行く。

 

まぁ、ジャックの腕なら何があっても大丈夫だろう。

 

ちなみにネズさんは、大人たちと一緒に探索をしている。

 

取りあえず、俺達は子供の世話だな。

 

そう思いアーシャの方を見る。

 

「おいオマエラ、高いところには上るなよ!大きながれきは三人以上で退けるように!

あん?石をぶつけられた?おい、ぶつけた奴は今すぐ出て来て謝らないと、逆さづりの刑だぞ、コラ!!」

 

言葉はアレだが、見事に子供たちの相手に慣れている感じだった。

 

これって俺の出る幕ないな。

 

そう言えばさっきから、ガロロさんは静かだな。

 

対魔王戦の戦略を立てる為に耀の“生命の目録”を見せてくれって言ったきり古い館の門の下で、“生命の目録”を握り締めて、総身を戦慄かせている。

 

ペンダントを受け取った時、顔を真っ青にしてだが、大丈夫だろうか?

 

気になりガロロさんの元に移動する。

 

ガロロさんは俺が近づいてることに気付いておらず、独り言を言った。

 

「これを…………お嬢ちゃんの、親父さんが造っただと…………?

あらゆる生命体から情報を収集し、所持者を進化させる単一系統樹…………!」

 

ガロロさんの口振りはまるで“生命の目録”について知っているようだった。

 

俺が口を開こうとした瞬間俺はガロロさんの口から衝撃的なことを聞いた。

 

「春日部と聞いてまさかとは思ったが、あの大馬鹿野郎!これが本物なら………本当に、俺たちが想定した対魔王兵装になりえるかもしれない。…………だが、コウメイ、お前は

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

自分の娘まで、化け物にするつもりか……………!!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

娘?

 

どういうことだ?

 

いや、それより、化け物ってなんだよ?

 

「ガロロさん、今のはどういう意味だ?」

 

「こ、小僧!?お、お前、どこから聞いてた?」

 

「そんなことはどうでもいい。答えてくれ。コウメイって誰だ?化け物ってなんだよ?

“生命の目録”って一体何なんだ?」

 

静かに、冷静にガロロさんに尋ねる。

 

ガロロさんは気まずそうに頭を掻きながら口を開く。

 

「コウメイ、春日部孝明は、十年前、アンダーウッドが魔王襲来に会った時、お前の親父、クルーエと共にアンダーウッドを救った男だ」

 

マジかよ……………

 

予想外過ぎる繋がりだ。

 

まさか、親父と耀の親父さんが繋がってただなんて…………

 

「アイツは野暮ったいボロボロの服を好む彫刻家で、言葉数が少なく、不器用で、都合が悪いことは小声で話して、羨ましいぐらいに見事な体躯と整った顔で、ムッツリの色男で…………………仲間の為に力を発揮できる、素晴らしい男だ」

 

そう言うガロロさんの口調は友人に対する万感の想いが込められていた。

 

「なのに……………あいつはなんで、アレを、嬢ちゃんに…………」

 

「そうだ。“生命の目録”、アレの正体は何なんだ?フェイス・レスが言うには、“目録”からのサンプリング、“進化”と“合成”をするのが本来の役割だって言ってたが………」

 

その言葉にガロロさんは苦虫を噛み潰したような顔をし、溜息を吐く。

 

「…………………“生命の目録”、アレは、生態兵器を製造するギフト。

使用者を例外なく合成獣にし、接触したあらゆる生命体の情報を取得、分析し、所持者を進化させ続ける単一系統樹。

俺とクルーエ、孝明の三人で語り合った夢物語を実現させたもの。

あらゆる異能と策略に対抗するために造られた対魔王・全局面的戦闘兵装だ」

 

俺は絶句した。

 

耀のギフトが、生態兵器を製造するギフトだって…………

 

信じられなかった。

 

「…………あのギフトは、“生命の目録”は、耀の親父さん、孝明さんが、不治の病で歩くことすらできなかった耀の為に、造ったギフトだ。絶対にそんな禍々しいものなんかじゃない……………」

 

「そうは言っても、“生命の目録”はそう言うギフトだ。…………おそらく、あのギフトの真実を嬢ちゃんは知らない。黙っててやってくれ。もし知ったら、ショックを受けるはずだ」

 

そう言ってガロロさんは“生命の目録”を俺に渡して探索を開始した。

 

俺は“生命の目録”を握ってない方の手を強く握りしめ、門を殴った。

 

殴ったせいで、門にひびが入ったが気にはならなかった。

 

「親父、アンタは、何を思ってそんな物を、孝明さんと語ったんだよ………………」

 

俺の呟きは虚しく、その場に響いた。

 




原作小説を読んで、なんか耀のヒロイン力が高くなってる気がするのは私の気のせいでしょうか?

それはさておき、十三番目の太陽を撃てが終わったら、箱庭のとある日常、黄金盤の謎を追え、異邦人の御茶会、リリの大冒険、蒼海の覇者、スティムパリデスの硬貨、異邦人と月ウサギの御茶会の順にやり、それが終えたら、オリジナルの話を書きます。

以上、今後の予定でした。

次回もお楽しみに

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