問題児たちと血を受け継ぐ者が異世界に来るそうですよ?   作:ほにゃー

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第2話 仲間と合流だそうですよ?

「それにしてもなんでここに?」

 

「多くの参加者がここに飛ばされるのを確認しまして、それで助けに来たというわけです」

 

なるほどな。

 

「こいつは驚いタ。北側の下層で最強と言われてるコミュニティ“ウィル・オ・ウィスプ”じゃないカ」

 

「初めまして、お嬢さん。“ウィル・オ・ウィスプ”のジャック・オー・ランタンといいます。以後お見知りおきを」

 

「“インフォーマント”リーダーのネズミダ。よろしくな、カボチャさん♪それと、もうお嬢さんって年でも無いサ。強いて言うならお姉さんだな♪」

 

ジャックとネズさんの挨拶が済むと何処からか女性の声が聞こえた。

 

「お、おい!?シュウ坊!?」

 

ネズさんの声が聞こえたが無視をして走る。

 

声が聞こえた場所に着くと苔生物が子供を襲っているところだった。

 

「伏せろ!」

 

声を上げ槍を投げ飛ばす。

 

槍はそのまま苔生物に突き刺さる。

 

そして、一気に加速し槍を引き抜き、突きのラッシュを繰り出し倒す。

 

「おい!大丈夫か?」

 

怯えてる子供に手を伸ばそうとした瞬間

 

「セイッ!」

 

「あぶっ!?」

 

誰かの蹴りが俺の首に当たり俺の意識を奪った。

 

修也SIDE END

 

 

 

 

耀 SIDE

 

「あれ?修也?」

 

敵だと思っておもいっきし延髄蹴りをしたら、相手は修也だった。

 

もしかして、何か間違えたかな?

 

「おーい、シュウ坊!どこ行った………って、こりゃどういう状況ダイ?」

 

フードを深くかぶり目を隠した小柄な女性が現れた。

 

シュウ坊って修也の事かな?

 

ふ~ん……………修也ってこんな人と友達なんだ…………

 

後で問い詰めよう(黒笑)

 

「お嬢さん?なんか怖い笑みを浮かべてるゾ?」

 

「気にしないで。それより「キャアアアアアア!」ッ!?」

 

子供の悲鳴。

 

あっちにも冬獣夏草が現れた。

 

早く助けに行かないと。

 

すぐに旋風を起こし走り出そうとすると聞き覚えのある声が聞こえた。

 

「YAッFUFUFUFUUUUUUUUUUuuuuuuu!」

 

この声は………

 

突如起きた紅蓮の旋風が冬獣夏草を炭にして、その旋風を起こした者が叩き潰した。

 

「ヤホホホホホ!呼ばれてないのにジャッジャジャーン!大丈夫ですか、お子様方?」

 

ジャックだ。

 

頭にはアーシャもいる。

 

「はい!」

 

ジャックの言葉に子供たちは大きな声で返事をする。

 

「それは重畳!こやつらは私が引き受けますから、其処の建物にお逃げなさい!」

 

ジャックの言葉に従い子供たちは建物に逃げる。

 

「全員隠れたよ、ジャックさん」

 

頭に乗ってたアーシャがそれを確認する。

 

「………解かりました」

 

あれ?急に声のトーンが変わった?

 

そして、ジャックの霊格が肥大した。

 

ど、どうしたの?

 

「“ウィル・オ・ウィスプ”の御旗を前にして、幼子を食い殺そうとするとは。何と無知。何という冒涜。我らの御旗の掲げる大義を知らぬというのか………!」

 

「ジャ、ジャック?」

 

ジャックに向かって彼の名前を呟くが聞こえてない。

 

「知らぬなら我が業火の中で知りなさい。後悔なさい。我らが蒼き炎の導を描きし旗印は―“ウィル・オ・ウィスプ”の御旗は、決して幼子を見捨てはしないのだとッ!!」

 

全身から陽炎を立ち昇らせて敵をジャックは睨みつけた。

 

「おうさ!やっちまおうぜジャックさん!」

 

アーシャが指を鳴らすとジャックの頭上に七つのランタンが現れる。

 

ランタンの蓋が開くと同時に荒ぶる業火が零れ落ちて膨れ上がる。

 

「お、おいおいマジかよ!地獄の炎をそのまま召喚するなんぞ、そんじょそこらの悪魔に出来る芸当じゃないぞ!城下街ごと消し飛ばすつもりか!?」

 

「………?此処、危険?」

 

「超危険!逃げろ、耀お嬢ちゃん!」

 

その瞬間、灼熱の嵐が吹いた。

 

その業火は大地を焦土し、大気を灼熱に変え、影も残さず敵を焼殺する。

 

そして業火は、そのまま城下街を飲み尽くす勢いで燃え広がり敵を焼失させる。

 

「わ、わわわわ!」

 

慌ててキリノとガロロさん、修也を抱えて飛ぶ。

 

殺気の女性も捕まえようとしたがいつの間にか居なかった。

 

「ヤホホホホホホホホホホホホホ!!!大・炎・上!!!」

 

陽気な声を上げ、業火の佇むジャックの姿を見て私は思った。

 

ジャックは本当に悪魔が生み出した眷属なんだ………

 

暫く上空に待機して、火が鎮火してから降りる。

 

「おや、彼女は……」

 

「あ、耀じゃん!アンタも子供たちみたいに捕まってたわけ?」

 

ジャックとアーシャが私に気付く。

 

「違う。捕まった人を助けに来ただけ」

 

アーシャの言い方に少しむっとなって言い返す。

 

「やれやれ、変わりませんねえ、貴女も」

 

「え?」

 

ジャックが少しがっかりしたように言ったので少し気になった。

 

「何はともあれ、ここは危険です。他の参加者とも合流しましょう」

 

「そうは言うがな。アンタの召喚した業火の中で無事な奴はいるのかね?」

 

確かに。

 

あんな業火の中じゃ、普通の人ならだだじゃすまない。

 

「ご安心をガロロ大老。我々の使い魔が安全な場所に案内をしています」

 

そう言ってジャックが指を鳴らすと二足歩行のキャンドルスタンドとランタンを持った小さな人形合わせて十五体現れた。

 

「ご苦労様。他の参加者は無事ですか?」

 

「らんたーん♪」

 

「よろしい。それでは保護した皆さんをここに集めてください。ガロロ大老が居ると言えば、素直に集合してくれるでしょう」

 

「らんたーん♪」

 

返事をしてキャンドルスタンドとランタン人形が走っていく。

 

あのランタン人形、フェルナに似てるかも…………

 

「フェルナ―ン………」

 

心配そうな声を上げ修也を揺するフェルナ。

 

……………早とちりって怖いなぁ…………

 

「今後の方針は貴方にお任せしますよ。ガロロ大老」

 

「方針?脱出するための?」

 

「脱出したところで一時しのぎにしかならないでしょう少なくともここに居るメンバーは全員、ペナルティ条件を満たしてしまっているのですから」

 

「え?」

 

「春日部嬢はギフトカードをお持ちですか?持っていたら出してみたください」

 

ジャックに謂れポッケに入れといたパールエメラルドのギフトカードを取り出す。

 

そこには見たことのない紋章が浮かんでいた。

 

「これは“ペナルティ宣告”です。主催者側から提示されたペナルティ条件を満たしてしまった対象者には、招待状とギフトカードに主催者の旗印が刻まれるのです」

 

ペナルティ条件を確認しようと“契約書類”を取り出す。

 

 

・プレイヤー側ペナルティ条項

 ・ゲームマスターと交戦した全プレイヤーは時間制限を設ける。

 ・時間制限は十日毎にリセットされ繰り返される。

 ・ペナルティは“串刺し刑”“磔刑”“焚刑”からランダムに選出。

 ・解除方法はゲームクリア及び中断された際にのみ適用。

 ※プレイヤーの死亡は解除条件に含まず、永続的にペナルティが課せられる。

 

 

 

「でも、私、ゲームマスターと………レティシアと戦ってない」

 

ここに書いてある通りならレティシアと戦わないといけないはずだ。

 

でも、私は戦ってない。

 

なのにどうして?

 

「おそらく、既に戦っちまったんだろう」

 

横を見ると修也が首をさすりながら起きていた。

 

「修也!」

 

「よぉ」

 

片手を上げ挨拶をしてくる。

 

それより

 

「修也、さっきも言ったけど私はレティシアと戦って」

 

「ああ、聞いてたから分かる。ところで耀、お前触手が生えた化け物やでっかい火蜥蜴と戦わなかったか?」

 

「う、うん。戦った」

 

「あれは巨龍から生み出された生物だ。もし、ゲームマスターがあの巨龍ならその分身と戦うことはゲームマスターと戦うことになるんじゃないのか?」

 

修也の言葉に私は驚いた。

 

「あの巨龍が、レティシアだって言うの?」

 

「分かりません。ですが、一つ確実なのは」

 

ジャックは頭を左右に振り、そして、炎の瞳を古城を囲う雷雲を見つめる。

 

「“魔王ドラキュラ”を倒さない限り…………十日後には、血の雨が降るでしょう。伝説の如く、串刺し刑に処されてね」

 

 


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