問題児たちと血を受け継ぐ者が異世界に来るそうですよ?   作:ほにゃー

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第8話 元魔王再び降臨だそうですよ?

また巨人族が攻めてきた。

十六夜のヘッドホンが私のカバンの中にあってそれが三毛猫のやったことだった。

しかも、巨人の襲撃の時、ヘッドホンが壊れてしまってどうしようかと悩んでる時にまた攻めてきた。

すぐに皆と外に出てみるとすでに“一本角”と“五爪”の人たちは壊滅状態だった。

そのことに驚いてると空からグリーが落ちてきた。

翼は荒れてて、後ろ脚も怪我してる。

『耀!丁度いい、今すぐ仲間を連れて逃げろ!』

「え?」

『彼奴らの主力に化け物がいる!先日の奴らとは比べ物にならん!このままでは全滅だ!』

グリーがそう叫ぶ最中、また琴線を弾く音が聞こえた。

この音、濃霧の時と同じだ。

『奴だ!その音色で見張りの意識を奪われ二度も襲撃を許してしまった。今は仮面の騎士と修也が戦線を支えているが、それもいつまで持つか』

修也が戦っている。

その言葉に私は衝撃を受けた。

また、修也だけに戦わせてる。

そんな思いを隠しながらグリーの言葉を翻訳して皆に話す。

「仮面の騎士!?まさか、フェイス・レスが参戦してるのですか!?」

「まずいぜ、ジャックさん!もしアイツになにかあったら“クイーン・ハロウィン”が黙ってねえよ!すぐ助けに行こう!」

ジャックに飛び乗りアーシャたちは最前線を目指す。

私はグリーに再び状況を尋ねる。

「この竪琴を弾いてる巨人は修也や仮面の人でも倒せないの?」

『というより攻めあぐねている。あの音色は近くで聞くほど効力を発揮する。となれば神格級のギフトと見て間違いない』

「神格………それで修也と仮面の人と竪琴の巨人は?」

『先ほどまで共に戦っていたのだが竪琴の方は姿を消した。仮面の騎士と修也は音色に耐えながらも戦いに臨んでいる。………あと竪琴の主は、巨人族ではない』

「え?」

『お前たちと身長は変わらない。深めのローブを被った人間だ。巨人族が従っているところを見ると奴が指揮者かもしれない。それに奴だけではない。空から確認した所、巨人の数は五〇〇人超と言ったところだ戦闘を請け負う“一本角”と“五爪”は壊滅状態でもう………』

私は言葉を無くした。

どうすれば………………

対抗しようにも今の内容を説明できなかった。

代わりに黒ウサギが飛鳥とジン君に説明する。

するとジン君が一歩前に進み出て意外なことを言った。

「大丈夫。僕に考えがあります。先ほど“サウザンドアイズ”からギフトが届きました。もし敵の巨人族がケルトの末裔だというのなら、このギフトで敵の戦線を瞬間的に混乱させられるはず」

「ほ、ほんとに」

「はい。しかし、それだけでは足りません。竪琴の術者を破らねば同じことを繰り返すだけです。術者を逃がさないためにも………耀さん、貴女の力が必要です」

「………それは、見せ場を譲るということ?」

私は少し不機嫌そうに言う。

同情で言われてるなら嫌だ。

「違います。僕の予想が正しければ耀さんの力が必要な状況に陥るはず。貴女でなければできない事です」

ジン君に真っ直ぐ見つめられ、そう言われる。

同情とかそんな理由じゃなかった。

「わかった。作戦を教えて」

 

 

 

 

 

 

 

 

ジン君飯言われた通りに私は上空でその混乱が起きるのをまった。

上空1000ⅿ。

“アンダーウッド”よりも高い位置に止まり、鷹の目で地上の様子を見る。

奇襲を仕掛けるにはこれ以上にない位置。

これでジン君の言う通りになれば…………

本当ならこんな大役、修也か十六夜に任せられてるはず。

あの二人なら奇襲じゃなくって混乱に乗じて真っ正面から突っ込むはず。

そして、誰にもまねできない劇的な勝利で、笑うはず。

私もこの作戦が成功したらあの二人みたいに笑えるかな………

腰に手を当てて二人がする様に笑ってみる。

「あはははははははははははははははははははははははははははははははうんこれはない」

予想以上に恥ずかしい。

いくらテンションが高くてもこれはない。

誰も見てなくて良かった。

暫くするとジン君がギフトを発動したらしく漆黒の風が起きる。

その風が圧縮され人の形になる。

そして、圧縮された空気は一気に放出し爆ぜた。

そして、そこから現れたのは

 

「 何 処 に 逃 げ た の 、 白 夜 叉 あ あ あ あ あ あ あ あ あ あ あ あ あ あ あ あ あ あ ッ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ! ! ! 」

 

その声に聞覚えがあった。

審議決議の時聞いたものだ。

え?

新しいギフトってペスト?

でもなんでメイド服?

後、何故白夜叉の名前を叫んでるの?

それより、一撃で一〇〇の巨人を薙ぎ払ったのは凄い。

あ、そう言えば、前読んだ『黒死病について』に巨人の話があったっけ。

確か、巨人族の闘争を記した話で巨人族が黒死病を操って他の巨人族を操ったとか。

ジン君が狙ってたのはこれだったんだ。

 

「 出 で 来 い 、 出 て こ い 、 出 て 来 な さ い 白 夜 叉 ッ ! よ く も 元 魔 王 の 私 に 、 あ ん な 下 劣 で イ ヤ ラ シ イ 服 装 の 数 々 を ! 」

 

「ウオオオオオオオオオオッォォォォォォ――――!」

 

「 五 月 蠅 い わ 、 こ の 木 偶 の 坊 ! 」

 

ペストが再び腕を一振りし巨人を軽々と薙ぎ倒す。

ペストが凄いと思うと同時にジン君のギフトも凄いと思った。

確か“精霊使役者”だったかな?

取りあえず今は、作戦に集中しよう。

ペストが巨人族を殲滅していくと、ジン君の予想通り濃霧が発生した。

耳を澄ませ、ソナーのように超音波を発生させて音源を探る。

視覚、聴覚、嗅覚を惑わせても元が音波ならこの方法で位置を探れるはず。

問題は上空から離れすぎてるから多少の位置修正が必要なぐらい。

……………見つけた!

力を解放し、一気に急降下する。

濃霧を突き破り、敵の手の中にある“黄金の竪琴”を素早く奪い取る。

そして、そのまま上空に逃げる。

「やった………できた」

作戦が無事に行ったことに安堵の息を吐く。

「……フフフフ」

修也や十六夜みたいではないけど、自然と笑いが込みあがって来た。

 


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