問題児たちと血を受け継ぐ者が異世界に来るそうですよ?   作:ほにゃー

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第3話 ヘッドホン紛失だそうですよ?

「おい、十六夜見つかったか?」

「いや、ねーよ」

今俺は十六夜のヘッドホンを探している。

なんでも昨日レティシアとリリの三人で風呂に入った後脱衣所から消えていたらしい。

てか、なにさりげなく女と入ってやがるんだよ。

まぁ、いいけど。

「まぁ、これだけ探してないんだ。隠した本人にしか分からない所にあるんだろ」

「…………なあ、十六夜は誰が隠したと思う?」

「状況的に考えたら春日部だな」

「本気でそう思ってるのか?」

「おいおい、そんなに殺気を出すなよ。ビビるぜ?」

そんなことを言う割にケロッとしてやがる。

「俺だって春日部がやったとは思えない。そういうことができる奴じゃないしな」

「……そうか」

「無いんじゃ仕方がねぇ。俺の順番を春日部に譲るか」

その言葉に俺は驚いた。

あの面白いことが大好きでその為ならなんでもする十六夜が簡単に譲るだって………

「おい、なんだよ、その意外そうな顔は?」

「いや、予想外な回答で少し驚いた」

「なんだよ、春日部に順番を譲るのが不服か?お前だってそのつもりで朝早くから俺の部屋にきたんだろ?」

そう、何を隠そう俺が十六夜のヘッドホンを探しているのは朝早く十六夜の部屋に向かったからだ。

理由は十六夜に耀との順番を変わって貰おうと思って話し合いに行った時一緒に探せと言われたからだ。

「気付いてたのかよ」

「当たり前だろ。なんせ俺だからな」

ヤハハと笑い歩き出す。

「どこ行くんだ?」

「春日部の部屋。俺と順番を変えることを言いにだよ。修也も来い」

さっさと歩く十六夜の後を追い耀の部屋に向かう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どうしたんですか、それ?」

黒ウサギは目を丸くし、それを指差す。

十六夜の頭には現在ヘッドホン代わりのヘアバンドがある。

十六夜曰く、頭に何かないと落ち着かないし、髪の収まりが悪いらしい。

「………本当にいいの?」

「ああ、別にいいって。俺が挙げれたはずの戦果代わりに挙げてこい。ついでに、友達一〇〇匹作ってこいよ。南側は幻獣が多くいるみたいだしな」

「ふふ、分かった、ありがとう。十六夜の代わりに頑張ってくる」

十六夜を見上げ耀は小さな華が咲いたような柔らかい微笑みで十六夜に礼を言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、俺達五人と一匹は“境界門”の前に着いた。

境界門の前には多くの行商目的のコミュニティもいた。

そんな中飛鳥境界門に刻まれた虎の彫像“フォレス・ガロ”の旗印を凝視している。

「帰ったら、いの一番にこの彫像を取り除かないと」

「ま、まぁ、それはコミュニティの備蓄が十分になってからでも」

「何を言ってるの。この門はこれから私達“ノーネーム”の広告塔になるのよ。先行投資の意味も込めてまず、ジン君の全身をモチーフにした彫像と肖像画を」

「お願いですからやめてください!」

ジンが叫ぶ。

どうやら、かなり恥ずかしいらしい。

「じゃあ……黒ウサギを売り出しましょう」

「なんで黒ウサギを売り出すんですかっ!」

どこから出したのかハリセンで飛鳥を叩き突っ込む黒ウサギ。

「じゃあ……黒ウサギを売りに出そう」

「なんで黒ウサギを売るんですかああああああ!!」

スパァーン!と良い音を出すハリセンだ。

そんなことをしていると“境界門”の起動が進み、青白い光が門い満ちていく。待機している利用者は列を作る。

俺達は“地域支配者”として列の脇から門が開くのを待つ。

「皆さん、外門のナンバープレートはちゃんと持ってますか?」

俺は手に持ってる鈍色のナンバープレートを見る。

ここに書かれた数字が“境界門”の出口となる外門に繋がってるそうだ。

横にいた耀はナンバープレートを見つめた後、本拠の方を見た。

「どうした?」

「うん、ちょっと………十六夜の事が気になって」

「そうね…まさか、十六夜君がヘッドホン一つで辞退するなんてね」

「YES。あれほど楽しみにしていましたのに」

「あの十六夜が目の前の楽しみを投げ出してまで探そうとしてるものだがらな。きっと思い出があるんだろ」

「………見つかるといいね」

耀のその言葉に同意して頷く。

そして、その直後“境界門”の準備が整った。

 


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