問題児たちと血を受け継ぐ者が異世界に来るそうですよ? 作:ほにゃー
既に日は落ちあたりに人はいなくなる。
それなのにも関わらずフェルナは一人サーカス団のテントの前に立っていた。
「ちょっとレティシアいつまでも担いでないで下ろしてくれないかな」
「おっとすまないな」
現れたのは大人バージョンのレティシアとジンだった。
「貴方達は“ノーネーム”の!どうしてここに?」
「おや、ちょうどいいところに見知った奴がいるじゃないか」
「こんばんはフェルナさん。僕たち黒ウサギを探しに来たんだ」
「メルンから行方不明と聞いてな。今、どういう状況か説明してくれないか?」
レティシアはフェルナに状況を聞こうとする。
「それが、サーカス団が魔王だったみたいで、黒ウサギさんも取り込まれてしまったとか」
「何?それで主殿…十六夜達は?」
「十六夜さん達なら今は町はずれの宿で休んでる。とりあえず明日対策を練ろうって」
「そうなんだ、少し来るタイミングが悪かったね。それなら、僕たちもその宿に行ってみようかな」
「うん!大きな看板のある宿だからすぐ分かると思うよ!行ってらっしゃ「ちょっと待て」
フェルナの言葉を遮りレティシアが口をはさむ。
「お前は一体ここで何をしてる?」
「え?」
「もう夜も遅いのにそんなにこのサーカステントが気になるか?」
「レティシア?」
「そいつの言うことは嘘だぞジン。あの問題児たちが非常事態を前に明日考えようなどと悠長な判断をするはずがない。ここから邪魔者を遠ざけたいだけ。おそらくこのテントの中で何かがおこっているからだろう」
レティシアはテントに手を当ててそのまま引き裂く。
すると天とは引き裂かれたところから徐々に塞がり始め、数秒後には跡形もなく直っていた。
「な…元に戻った!?」
異常事態にジンは驚く。
「当たり前でしょ。そう簡単に破れるわけわいじゃん…内からも外からも」
殺気とは違いフェルナは体から不愉快と分かるオーラを出していた。
「貴様…」
「“ペルセウス”や“グリムグリモワール・ハーメルン”に打ち勝った奴等…そいつらが仲間になれば楽しいだろうなぁと思ってたんだ。私達“トリックスター”の仲間にね………っそして…」
顔を上げたフェルナの顔には狂喜したかのような笑みが浮かび上がっていた。
「もっともっと…箱庭を盛り上げるのよ!!」
「サーカス団の仲間にって…どういう事!?フェルナさん、まさか君は最初から」
「待てジン様子がおかしい。こいつ、まさか………」
レティシアが何かに気付きジンを止めフェルナを見る。
「盛り上げる盛り上げるの…それが私たちの使命なんだ。たとえどんな手段を使ってでも!!」
フェルナにはもうレティシアとジンの姿は見えておらずただひたすらそう言い続けた。